報道連絡波は放送連絡波とも呼ばれ、報道機関(テレビ局・ラジオ局)に免許された放送事業用業務無線です。
2016年に主要波はそれまでのアナログ波からデジタル化。
2025年現在、デジタル対応受信機で受信可能です。
実は意外と入感しやすい報道連絡波。その理由は基地局側である”高群”の送信元が、山頂にある各テレビ放送中継局と同じ立地のため。
さらに送信出力が25~50Wと高いのも受信には好条件。ただし、移動局同士では低群の166MHz帯のみで交信することもあるため、両群の帯域メモリーが無難です。
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交信内容
普段の交信頻度こそ一般の業務無線より低めの報道連絡波。
しかし、ニュースの時間帯になると、ヘリ中継が入るため、交信が多くなるほか、大事件事故、災害の際は報道局デスク(基地局)から現場取材中の取材クルーや取材ヘリへ指示が飛び、活発化。
マスコミは報道特権で警察から情報提供を受けており、リアルタイムな犯罪・事故取材現場の生々しい緊張感のある交信も。
本社デスク『デスクから353ヘリコさん取れますか?被害車両は現在映っている路肩に停車してる白のワンボックスです。警察によると運転手は死亡のようです。車のフロントをアップでお願いします。それと、逃走車両は○X市街に逃げたとのことで現在、警察車両がそちらの方に集まってるようです。これから11時のニュースで流しますんで向かってください』
本社デスク『現場は○○○○の橋です。犯人はこっから被害者を川に転落させたとのことです。ここ重点で撮ってください」
本社デスク『船の沈没現場あたりで人が発見されたとの情報です。海保のヘリちょっと追ってみてください』
※交信内容はフィクションです。
VHF帯の報道連絡波(放送連絡波)は166MHz帯と168MHz帯
報道連絡波(放送連絡波)はデジタル4値FSK変調方式『STD-B54』を採用。
166.528125MHz~168.896875MHzまで、6.25kHzステップで割り当てられています。
移動局側が166MHz帯の低群、基地局側が168MHz帯の高群です。
低群 166.528125MHz~166.896875MHz(6.25kHzステップ) 報道ヘリ、中継車などの移動局側
高群 168.528125MHz~168.896875MHz(6.25kHzステップ) 基地局側
報道連絡波(放送連絡波)受信は秘話コード対応受信機が必要

VHFデジタル報道連絡波(放送連絡波)は6桁の秘話コードを使用。
AORのAR-DV10ならびにAR-DV1、それにアルインコのDJ-X100(受信改造済み)ではコードの自動解析に対応し、復調は容易です。
2025年現在、マスコミ無線が受信可能なデジタル対応受信機
- ALINCO DJ-X100(STD-T102/B54モードを選択)※秘話コード自動解析は裏モード開放が条件
- AOR DR-DV10(DC-Rモードを選択)
- AOR DR-DV1 (DC-Rモードを選択)
- ICOM IC-R30 (NXDN-VNを選択)※生産終了、NHK方式非対応、秘話コードの自動解析非対応
いずれの機種も秘話コードが一致しない場合、受信機からは『モガモガ』音のみ。
また上記機種のうち、ICOMのIC-R30の場合、秘話コードがすでに判明していれば受信可能ですが、秘話コードの自動解析には非対応。
手動で順番にコードを入力することも不可能ではありませんが、非現実的です。
そのほか、NHK方式のホワイトニングコードにも非対応です。
上記の機種で最も安価に簡単に受信できるのはDJ-X100(受信改造済み)です。
アルインコ DJ-X100(受信改造済み)で受信する場合
受信改造済みおよび裏コマンドを入力したDJ-X100で受信する場合は起動後、電波法に反する使い方をしないことへの同意、行った場合は捜査機関から刑事責任を課されることに同意をします。
ヤバイ決意表明ののち、『モードコンフィグ』→『デジタル』に入り『STD-T102/B54』モードを選択。上述の周波数帯域をスキャン。
”モガモガ音”がヒットしたら、ストップさせてFキー+0キーで『虫眼鏡モード』を発動させると、5秒ほどで秘話コード解析が終了し、報道連絡波(放送連絡波)が音声として復調されます。
秘話がかかった状態ではデジタル変調の信号を断続的に受信するのはDCRの秘話と同じですが、その音はDCRと異なります。
秘話コード解析後、秘話コードが表示されるのはDCRの秘話コード解析と同じです。
余談ですが、報道連絡波の秘話コードはデジ簡の民間事業者や消防にありがちな「00001」、「04545」、「05963」のような推測されがちなコードではありません。
事前にコードを知っている場合以外はIC-R30のように自動解析がない機種では受信NG。
またDJ-X100では「発信者名』の部分にテレビ局の社名が表示されます。
例 発信者名 HHTBほんしゃ
VHF帯とUHF帯の番組中継波(アナログ)
主にラジオ局が番組中継で使うアナログの無線です。番組で実際に流れるアナウンサーの声が聞こえますが、その前後の『舞台裏』まで聞こえてしまうのが興味深いと言えます。具体的にはアナウンサーの「ぼやき」です。
具体的な周波数は『周波数手帳ワイド』等で伺い知ることができる
NHK、民放各局の報道連絡波の具体的な周波数は『周波数手帳ワイド』にて掲載されています。
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報道連絡波(放送連絡波)のまとめ
事件事故の取材活動ばかりでなく、制作デスクとの放送の技術的な打ち合わせも。このため、報道連絡波でもあり放送連絡波でもあるマスコミ無線。
事件事故の発生をキャッチできる無線ですから、受信機にあらかじめ各社の周波数を登録して普段からサーチしていると、どこの社の電波が強力か否かといった技術的研究ができます。
ということにしておいて下さい。秘話の解析機能を使って「通信内容を窃用した場合」、電波法違反による刑事罰の責任は全てユーザー側となります。
なお、今でこそヘリからの空撮取材や生中継は当たり前で、機上から本社へ電送しながら帰投するのが一般的ですが、昭和の頃は小学校の校庭などへの取材ヘリの無断着陸が横行していました。
撮影した取材テープを地上クルーに引き渡す目的でしたが、民間ヘリは緊急事態や事前に許可を得ない限りは指定場所以外への無許可着陸は当然違法。後年は低空でホバリングするヘリから直接取材テープをパラシュートで地上のクルーに引き渡したり、NTTの専用回線を使った機上伝送が一般化されていきました。
また、マスコミ各社のヘリは過密な取材現場上空で空中衝突を避けるために連絡を取り合いますが、通常は航空機間の相互連絡周波数を使うほか、相手のヘリの使うカンパニーラジオにブレイクする場合もあります。