アマチュア無線をスマートに運用したいなら、通話表やQ符号など無線用語を覚えてしまえばメチャ便利!

アマチュア無線ではほかのさまざまな競技などのように、運用の手順やマナーのほか、用語も覚えなければなりません。

他局の交信を何度も聞くことで覚えていくのも良いですが、やはり積極的に自分で使って交信することで覚えたいものです。このような専門用語を理解してオペレートしていくことで、チョットかっこいいハムになれますよ。

このページでは「国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則」で国際的に規定されたQ符号(キューふごう、Q code)および、アマチュア無線で一般に使われることの多い用語を解説します。中には日本国内でしか通用しない用語もあります。

最初は難解ですが、普段よくつかわれる用語は大体決まっています。

例えばFBは「大変良い」とか、「素晴らしい」という意味。逆にBFはその反対、つまり「悪い」といった具合です。セブンティースリーは「さようなら」という意味です。

筆者も最初は「セブンティースリー(さようなら)」などの無線用語を使うのは何か、こっぱずかしい気がして、戸惑いつつ、噛みながら使いはじめていました。

現実には『アマチュア無線用語』と『アマチュア以外の無線用語』が入り混じっている

実は現状のアマチュア無線では、ハム以外の無線用語も入り混じって使われています。個人的に驚いたのは「お稼ぎください」という用語。もともとはアマチュア無線以外のCB無線やパーソナル無線用語だったようですが、「仕事で稼ぐ」という意味ではなく、交信局数を稼ぐといった意味です。ちなみに「仕事」は「コマーシャル」と言います。とまあ、最初はびっくりしましたが、これらのハム以外の無線用語もなかなか興味深いものです。

ただ、厳密には正規のアマチュア無線用語ではないので、気心の知れたフレンド局以外のOMさんとの初交信で使うと失礼なので、おすすめはできません。

1993年に出版された『まんがでわかるハム用語 (CQ comics) 』という本では、 前述した「お稼ぎください」も『お稼ぎくださいって,なにを稼げばいいのだろう』という章で紹介されているほか、ハム用語だけでなく、交信方法も詳細に解説されているので、用語などについてさらに興味があれば一読してみてください。

Q符号を格好よく使えるようになると、もうプロのハム

Q符号(キューふごう、Q code)とは、国際的に無線通信において用いられるQを頭文字とする3文字の略記号のことで、単に略符号とも呼ばれます。具体的には下記のようなものです。これもまた、マスターしないと会話についていけないことがあります。Q符号こそがアマチュア無線の基本的な正規の用語と言えるでしょう。

Q 符 号
QRA? 貴局名(または個人名)は何ですか。
QRH? こちらの周波数は変化しますか。
QRL? そちらは通信中ですか。
QRM? そちらは混信を受けていますか。
QRN? そちらは空電に妨げられていますか。
QRO? こちらは送信機の電力を増加しましょうか。
QRP? こちらは送信機の電力を減少しましょうか。
QRS? こちらはもっと遅く送信しましょうか。
QRV? そちらは用意ができましたか。
QRX? そちらは何時に再びこちらを呼びますか。
QRZ? だれかこちらを呼んでいますか。
QSB? こちらの信号にはフェージングがありますか。
QSP? そちらは,無料で………へ中継してくれますか。
QSQ? そちらには誰それさんがいませんか。
QSY? こちらは他の周波数に変更して伝送しましょうか。
QTC? そちらには送信する電報が何通ありますか。
QTH? そちらの位置(市町村など)は何度(どこ)ですか。


実際の交信では、「私のQRAはタナカ、QTHは○×県○×市です」とか「QRZ、誰かこちらを呼びましたか?」こんな感じで使います。

通話表(フォネティックコード)を覚えよう!業務無線の国家試験でも実技試験として出るよ!

さて、アマチュア無線をやるならば、やはり通話表(つうわひょうまたはフォネティックコード)も覚えておいたほうが良いでしょう。アマチュア無線のみならず、航空特殊無線技士の試験にも出ます。

映画などで聞いたことがある人もいると思いますが、現在無線で使用されるフォネティックコードは欧文通話表と呼ばれるもので、Aならアルファ、Bならブラボー……などと言い換え、聞き間違いを防ぐ目的で使用されています。

アマチュア無線でも実はとっても重要なコードです。これを覚えてしまえば、航空無線でもフォネティックコードが理解できますし、将来、航空特殊無線技士などの無線資格を取る際にも通信術の実技試験として出題されるので、興味があるならば覚えてしまいましょう。

文字 使用する語 文字 使用する語 文字 使用する語 文字 使用する語
A Alpha H Hotel O Oscar V Victor
B Bravo I India P Papa W Whiskey
C Charlie J Juliet Q Quebec X X-Ray
D Delta K Kilo R Romeo Y Yankee
E Echo L Lima S Sierra Z Zulu
F Foxtrot M Mike T Tango
G Golf N November U Uniform

実は筆者も航空特殊無線技士の受験をしたのですが、送話はまったく苦労せずに覚えることができて、本番でも試験官の前で緊張することなく、正確に一文字も間違わずに発声できました。

もちろん、「はじめます、本文」も最後の「終わり」も、確実に発しました。

しかし、想像以上に難関だったのが、書き取りを行う受話の実技試験。焦って一文字逃し、結果は不合格になってしまいました。

アマチュア無線で使われるフォネティックコードと違うようだけど!?

とはいうものの、アマチュア無線では上記の正規表現のほか、独特のコードを用いる場合があります。たとえば「J」は本来のフォネティックコードでは、『ジュリエット』ですが、アマチュア無線では『ジャパン』と呼ぶこともあります。さらにEは「エドワード」、Zは 「ザンジバル」、などと表現する局もいます。「ジュリ・エイト」というのはよくわかりませんが……。

もちろん、これらの正規ではない表現を非正規表現として切り捨てるのではなく、日本のアマチュア無線文化のなかに根付いているものですから、理解しておけば、さらに交信の幅が広がります。

ただし、前述の『航空特殊無線技士』などの実技試験を伴う資格の試験では正規のフォネティックコードが基本なので、使わないようにご注意を。

和文通話表もあります

また、「あさひのあ」、「いろはのい」など、無線電話通信に使う通話表で、日本独自の和文通話表もあります。

和文通話表
朝日のア はがきのハ
いろはのイ 飛行機のヒ
上野のウ 富士山のフ
英語のエ 平和のヘ
大阪のオ 保険のホ
為替のカ マッチのマ
切手のキ みかさのミ
クラブのク 無線のム
景色のケ 明治のメ
子供のコ もみじのモ
桜のサ ヤマトのヤ
新聞のシ    
すずめのス 弓矢のユ
世界のセ    
そろばんのソ 吉野のヨ
タバコのタ ラジオのラ
チドリのチ りんごのリ
ツルカメのツ るすいのル
手紙のテ れんげのレ
東京のト ローマのロ
名古屋のナ わらびのわ
日本のニ ゐどのゐ
沼津のヌ    
ネズミのネ かぎのあるゑ
野原のノ 尾張のヲ
    おしまいのン

例えば田中さんが自己紹介する場合には以下のように使います。

「私の名前は、タバコのタ名古屋のナ為替のカ、タ・ナ・カと申します」

鈴木さんが自己紹介する場合には

「私の名前は、すずめのス、すずめのスに濁点、切手のキ、スズキと申します」

このように和文通話表を使って自分の名前や、無線では伝えにくい複雑な名称などを相手にわかりやすく伝えることができますので、覚えておくと良いでしょう。