自衛隊の官品迷彩服、実は意外な場所で製造も。その縫製体制とは?

自衛隊の解説

陸上自衛隊の迷彩服は、日本国内の大手企業と特殊な製造ルートによって生産されています。

陸上自衛隊の迷彩服は戦うためにデジタル描写、耐熱、対IR加工へと進化した
自衛隊の迷彩服は、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の三部隊それぞれで独自に設計され、色やパターンはデジタル処理によって作成された高性能な迷彩服が配備されています。ここでは、各部隊の迷彩服について詳しく解説します。陸上自衛隊の配備する迷彩服...

官品迷彩服の製造のながれ

主な製造企業は繊維大手のユニチカで、染色工程は子会社である大阪染工が担当しています。

大阪染工では、自衛隊の要求仕様を上回る性能の繊維製品を生産しており、耐火性や耐摩耗性に優れた糸の染色を行っています。

具体的には、耐火素材の「難燃ビニロン」を、耐摩擦性を考慮した「スレン染料」で処理するなど、技術的に高度な工程が採用されています。

こうした工程は企業秘密とされ、外部には公開されていません。

と、ここまでは一般的な製造だと思われた方。意外な秘密があります。

糸の紡績は岡山で行われ、大阪で染色された後、最終的な縫製は次の工程へ進みます。

国内企業と刑務所での縫製体制

なんと、その後、官品迷彩服の製造は、北海道にある刑務所や少年院で実施されることがあります。

札幌刑務所や函館少年院では、受刑者が自衛隊や警察向けの被服を縫製することがあり、その品質には定評があります。

裁縫作業は丁寧に行われ、耐久性や仕上がりの精度に優れるとされています。

ただし、2004年には札幌刑務所において、作業専門官の指示で私的な用途(サバイバルゲーム用)の迷彩服を製作させたケースがあり、内部規定や倫理に反する行為として問題になったことも報道されています。

札幌刑務所職員、受刑者に迷彩服作らせ20着販売…窃盗や横領の疑い

札幌刑務所(札幌市東区・杉田尚文所長)の男性職員が7月上旬、所内の
洋裁工場で働く受刑者に対し、私的に迷彩服などを作らせていたことが11日、
分かった。
作らせた衣類は、判明しているだけで約20着にのぼり、同僚職員らに
販売していたとみられる。
札幌矯正管区は、窃盗や業務上横領などの可能性もあるとみて、関係者の
聴取を進めている。
同管区によると、この職員は、洋裁工場の作業を技術指導する専門官。
サバイバルゲームなどを楽しむ所内の趣味サークルに所属する同僚職員から
依頼され、所長名の作業命令のないまま、サークルで使う迷彩服約20着を
作らせていたとしている。

出典 讀賣新聞 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040811i406.htm

タグにはなんと・・

自衛隊や警察の被服には、製造元の情報が記載されたタグが付けられており、刑務所で縫製された場合には「刑務所で心を込めて作りました」といったような表記がされることもあります。

着用者にとっては複雑な心境を抱かせる表記ですが、品質や耐久性は確保されています。

刑務所で作っても、国外では作らない

なお、自衛隊の迷彩服は国内製造にこだわっており、国外製造は原則として行われていません。耐火性や対赤外線性能など、装備の機能性が秘匿情報とされるためです。

過去にはコスト削減の観点から海外製造の検討がなされたこともありましたが、現在も国内生産体制が維持されています。

比較として、米軍の迷彩服の一部に中国製が含まれることが議会で問題視された事例もあります。

まとめ

こうして、日本国内の繊維技術と刑務所での縫製技術が組み合わさることで、現在の陸上自衛隊の迷彩服は製造・管理されています。

官給品としての高い性能を確保しつつ、国内生産による安全性や機密性も維持されていることが、現在の自衛隊装備体制の特徴です。

そう考えると、刑務所での縫製は理にかなっているのかもしれません。

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