日本のメーカーの技術力は高いけど、デジタル警察無線受信対応の受信機を各メーカーが一切発売せえへんのはどういうことや!?今回はそんな疑問を記事にしてみたんや。
基本的に現状、日本のデジタル警察無線はリアルタイムで暗号鍵を変更する強力な暗号技術を使っとるから、解読はほぼ不可能とされとる。
90年代のデジタル警察無線『MPR』みたいに出てる電波をとっ捕まえて、特殊なソフトでちょっと解読(デコード)したら聞けるなんてことはないって覚えといてや。
もっとも、最近のAI技術は目を見張るもんがあるし、技術の進歩はいたちごっこやし、言い切るのもあかんと思うけどな。まさかAIでモザイクがあんな綺麗に“除去”されるとはなあ…って、何の話やねん。
まあ、ともかくや。名だたる受信機メーカーが「警察無線対応受信機」を発売しない理由はいくつかあるみたいやな。
ざっくり言うと 「電波法」と「まともなメーカーである矜恃を失う」ことが大きな要因なんやないかな。
デジタル警察無線『APR』の配備が全国で開始され、警察無線のセキュリティ技術は旧型の『MPR』から飛躍的にアップしたのが2003年。
その翌年には『暗号化された通信の解読を禁止するため』として、電波法の改正を行い、新たに『法の壁』をも建てられたんや。
つまり暗号通信たる現行のデジタル警察無線の内容を解読(デコード)することは違法とされたってことやな。
ただし、それには前提となる条件があるで。
電波法第109条の2
第百九条の二 暗号通信を傍受した者又は暗号通信を媒介する者であつて当該暗号通信を受信したものが、当該暗号通信の秘密を漏らし、又は窃用する目的で、その内容を復元したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 無線通信の業務に従事する者が、前項の罪を犯したとき(その業務に関し暗号通信を傍受し、又は受信した場合に限る。)は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3 前二項において「暗号通信」とは、通信の当事者(当該通信を媒介する者であつて、その内容を復元する権限を有するものを含む。)以外の者がその内容を復元できないようにするための措置が行われた無線通信をいう。
4 第一項及び第二項の未遂罪は、罰する。
5 第一項、第二項及び前項の罪は、刑法第四条の二 の例に従う。出典 https://dsk.or.jp/dskwiki/index.php?%E9%9B%BB%E6%B3%A2%E6%B3%95%E7%AC%AC109%E6%9D%A1%E3%81%AE2
以上の電波法第109条の2によれば、警察無線にかぎらず、暗号化された通信を傍受した者や媒介する者が、通信の秘密を漏らし、又は窃用する目的で、その内容を何らかの方法で復号(デコード)すること自体および未遂は違法であると明記されとるで。
しかし、電波法の文面を額面どおりに受け取れば『通信の秘密を漏らしたり窃用する目的でなければ解読しても問題ないのでは?』とも解釈できるな。
とはいえ『もっぱら個人的な無線技術の興味に基づいて解読しただけで他言するつもりはありません』なんて主張しても、それを違法か否か判断するのは捜査機関や裁判所や。
少なくとも、限りなくクロに近いグレーな行為。グレーもクロにできる立場にあるのが捜査機関やしな。
いずれにせよ、我が国では警察無線を聞きたくても、PCや解析プログラムなどを使ってデコードを試みようとした時点で不法行為となる可能性が高いで!
「そんなん、お前個人が勝手に解釈しとるだけやろ」って?そうやったらええんやけどな、解読(デコード)の違法性については『DJ-X100』でおなじみのアルインコ社も以下のように注意を喚起しとるんや。

引用文献 https://www.alinco.co.jp/faq/contents_type=322#F20171115001
今のアナログのような感覚で受信できるレシーバーはありません。警察や消防のような無線は、製造に必要な部品の入手、秘話コードや運用形態が高いセキュリティレベルで守られており、仮に受信機だけを手に入れたとしても、通信を聞くことはできません。
また、デジタル秘話化された無線通信をデコードすることは電波法に違反し罰則がありますから、そのような装置をまともなメーカーが一般向けとして製造販売することもあり得ません。
引用文献 アルインコ株式会社公式サイトhttps://www.alinco.co.jp/faq/contents_type=322#F20171115001
当然『まともなメーカー』のアルインコなど大手国内無線機器メーカーにしみてれば、一般ユーザー(ワイらマニア)向けに警察無線や消防無線(指令波)を解読できるような受信機の販売など「そんな岡持ちありえません」って話やな。まったくもって残念やな!?

アルインコの説明書とかサイトの概要説明って、なんかどことなく人間くさい感じがするよな。他のメーカーと比べても、妙に親しみやすいっちゅうか、感情的ちゅうか、ええ意味で技術者のこだわりを感じるわ。DJ-X100は「知識ないやつは使えんよ」みたいなこと書いとるもんな。
ともかく、デジタル警察無線を解読する受信機をどこの「まともなメーカー」も発売しない理由は電波法に違反し、罰則があるからってこういうことやな。
これを解読するような受信機を「まともなメーカー」が出したら即アウトや。
せやから、「まともなメーカー」にとってリスクしかないから絶対にデジタル警察無線を復調および復号できる機種を販売せえへんのや。
仮に「解読できる受信機」を出したとしても、即座に法的措置を取られて販売停止になるのは目に見えとる。さらに、メーカー自体も捜査対象になる可能性が高い。
相手は専用の弾まで作って、どうにか起訴に持ち込む捜査機関「警察」やで。目つけられたら終わりや。
せやから、「デジタル警察無線を解読できる受信機」を探しとるなら、まともなメーカーからは一生出てこんし、仮に中国あたりのまともじゃないメーカーが出したとしても、使って発覚したら警察に絡まれ敗北ってことを覚えといた方がええで。
消防無線はどうなのか?
一方、消防無線も指令波は現在、デジタル秘話化されとる。デジタル警察無線と同等に暗号化のレベルが高いって噂でっせ!
アルインコは消防機関向けに消防無線および受令機をちゃんと製造販売しとる技術力のある、まともなメーカーであることは今更言うまでもないわな。
せやけど、当然ながらその販売先は消防機関のみ!個人の消防団員含め、一般人には一切売らへん!問い合わせすら受け付けへんっちゅうことをしっかり明記しとる。
別にアルインコだけが特別に厳しいんやなくて、これは総務省消防庁の指導による厳しい流通管理の一環や。
ところが2016年、あろうことか何者かがアルインコ製の携帯式デジタル消防受令機「DJ-XF7」 をヤフオクに出品するっちゅう事件が起こったんや!😨
アルインコが「一般人には売らへんで!」と言ってるものがどこから出てきたのか経緯は知らんけど、警察用無線機や受令機では考えられへん事態やな。
中古デジ簡機を第三者が登録申請→東海総合通信局「へ?すでにこの無線機は登録済みやが…」→元登録者へ連絡→消防団から盗まれた無線機と発覚
もっとも、仮に不正な方法で入手したとしても……
コードが毎回合わんかったら復号不可!
盗難が判明したら、狙い撃ちで自己破壊コードを送られる!
せやから、盗難品や横流し品を手に入れたとしても、そのまま受信できるほどセキュリティは甘くないで。
しかも”ビックリ箱”仕様の可能性
おそらく、警察無線機と同じく、消防無線機や受令機も 不正に開けたらプログラム破壊 される仕様やろうな。まさに「開けたら最後!」のビックリ箱や。
そしてAOR社も……
AOR社も、もはや「受信マニア相手」 に商売するより、総務省消防庁との契約を選び、全国の消防機関との共存を決めてもうたんや。
つまり、AOR社も国の流通管理の指導を受け入れたちゅうことや。その代わりにデジタル消防無線受信機を一般向けに販売することは未来永劫なし!
結論:まともなメーカーが作るメリットはゼロ
さて、デジタル警察無線を解読する受信機をまともなメーカーが絶対に発売せえへん理由、わかってもらえたやろか?法律!技術!
まともな無線機メーカーに言わせたら、そんなん 『警察無線の受信(=解読)は違法』の一言で終わりや! そんなどえれえもんを作ったら社会的に大問題やし、警察にお取り潰しされる前に企業としての信用が地に落ちて廃業や!っちゅう話や。企業なら、やばい橋は渡りたくないもんや。

いやあ、アルインコがまともなメーカーで良かったな。
そして、メーカー以外の個人が技術的に作れるか?ちゅうたら、かつての旧型デジタル警察無線を破った自作マニアでも、やはり難しいんやないの?
まあ、犯罪捜査に使われとる警察無線を誰でも聞けるようになったら、各方面に捜査情報が筒抜けや。
例えば、警察が緊急手配を無線でやっとる時に、犯人がそれを聞いとったらどうなる?捜査の手薄な方向へ逃走する可能性もあるで。
実際、80年代は筒抜けやったんや。「グリコ・森永事件」でも警察さんは苦渋を味わっとるさかいに。
この犯人と目される男らはアマチュア無線のオフバンドにも登場し「無線マニア」を自称しとった(らしい)んや。捕まってないから真相は不明や。
ともかく、そんな危ない橋を渡るより、普通に合法な「航空無線」の受信に全フリした受信機を作る方が、メーカーとして安定経営やろな。
とはいえ、80年代のラジオライフの広告で、「受信マニアの心を煽り文句で揺さぶったメーカー」も、今ではこの変わりよう。
ほんま、時代は変わったもんやで……😞
余談やけどな、日本のメーカーである「ユニデン」は日本国内向けに受信機を販売してないけども、米国向けに高性能のデジタル受信機を輸出しており、米国の報道関係者の間では警察無線の受信に多数使用されとるで。
この受信機を使用して警察無線を傍受、現場まで急行する“ストリンガー”が主人公のリアリティ風ドラマがこちら。

ほな 「アメリカやなくてどうしても日本で警察無線を聞きたいんや!」 いう人はどうしたらええんや?まあ、一番手っ取り早いんは 『警察24時』 でも視聴することやな。
それか、実際に警視庁自ら公開した交信記録を聴くのもアリやで。たとえば、1995年の『地下鉄サリン事件』のときの警視庁の通信指令センターと外勤の交信記録 は、マスコミ向けに公開されとるから、それを聴取すればリアルな警察無線の雰囲気はつかめるはずや。
まあ、違法な方法に手を出すより、そっちの方が安全で合法ってことやな!