シグナリーファン編集部 のすべての投稿

CB無線は資格免許不要でHFの電波伝搬特性が気軽に楽しめる!違法CBと合法CBの違いとは

現在、日本国内で『CB無線』や『市民ラジオ』と呼ばれる無線。

これらは従事者免許(資格)や無線局免許が不要で個人の趣味やレジャー、さらに企業の業務連絡に使用でき、26-27MHzの周波数を使い、空中線電力が0.5W以下の『免許を要しない無線局』として定められたうちの『市民ラジオの無線局』を指します。

総務省公式サイト『免許を要しない無線局の分類と主な用途等』(PDFファイル)https://www.soumu.go.jp/main_content/000458674.pdf

上記の総務省公式サイトのページには免許を要しない無線局の概要一覧があり、“電波法4条のただし書”として『免許を要しない無線局』のうち、電波法4条第2号に該当する無線局として『市民ラジオの無線局』が明記されています。

また、同省公式サイトによる、さらに分かりやすい説明として『電波法令に定める市民ラジオの無線局の要件』が、以下のページに掲載されています。

電波法令に定める市民ラジオの無線局の要件は、電波法第4条第2号及び電波法施行規則第6条第3項において、

  • A3E 26.968MHz、26.976MHz、27.04MHz、27.08MHz、27.088MHz、27.112MHz、27.12MHz又は27.144MHz の周波数を使用する
  • 空中線電力が0.5W以下である
  • 適合表示無線設備である

ことが定められています。

出典 総務省公式サイト『不法無線局の特徴と被害例』 https://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/monitoring/summary/chara/

したがって、現在我が国で『CB無線』や『市民ラジオ』と呼ばれる無線は上記に該当する『免許を要しない無線局』のうち『市民ラジオの無線局』に該当します。

もともと、CB無線はアメリカが発祥で『Citizens Radio Service』、すなわち市民ラジオサービスと呼ばれる制度。

日本国内ではそれまで『市民ラジオの制度』と正式に呼ばれたこの制度は、資格を要しない一方で開局申請をして局免の交付を受ける必要がありました。

しかし、1983年の法改正により、上記の『免許を要しない無線局(または免許不要局)』へ種別が変更。

現在では『免許を要しない無線局(無線機)』のうち『市民ラジオの無線局』を利用するにあたって、総合通信局への開局申請は不要となり、定められた電力と周波数を使うCB無線機である限り、何らの手続きも要りません。

ここまでのおさらいとして

  1. CB無線はアメリカが発祥
  2. かつては日本国内でも『市民ラジオの制度』として免許された(資格は不要だが開局申請が必要だった)
  3. 1983年『免許を要しない無線局』に改正され、そのうちの『市民ラジオの無線局』となり、開局申請(=局免交付)が不要となり現在に至る

このようにご理解していただければ幸いです。

以下、当サイトでは『CB無線』ならびに『市民ラジオ』という名称で説明させていただきますが、両者は同じものでございます。

なお、Amazon Kindle Unlimitedに入会すると、月額980円でライセンスフリー無線完全ガイド vol.9の電子版など、三才ムックが出版する無線関連書籍の多くをはじめとして、100万冊の電子書籍が無料で読み放題です。

Amazon Kindle Unlimitedに入会すると、月額980円で三才ムックが出版している多くの無線関連書籍をはじめとして、キンドル本として販売されている本(小説、コミック、雑誌、写真集など)のうち、100万冊の電子書籍がでどれも無料で読み放題です。

Kindle端末がなくても、Kindleの電子書籍はパソコン(ブラウザやアプリ)やスマートフォン(アプリ)で読むことができます。この機会にぜひ入会しませんか。

[btn] Amazon Kindle Unlimited[/btn]

かつて業務連絡でもCB無線は一般的だった

当時、SONYが販売するCB無線の広告ではCB無線ユーザーを『CBer』と呼称していました。

総務省の昭和56年版『通信白書』に拠れば、当時の”CBer”は実に29万5269局。主に趣味・レジャーの利用者が27%、登山・ハイキングでの利用が23%等、個人的な連絡用が主なもの。

しかし、昨年度末より約1万6000局減少し、昭和52年度以降、毎年減少。

その後、昭和57年に業務と遊びのどちらにも使える『パーソナル無線』が登場。

【制度終了】パーソナル無線の解説

CB無線の利用者はパーソナル無線へと次第に代替していき、現在ではパーソナル無線も廃止され『遊びにも業務にも使える無線』の代替は『特定小電力無線』や『デジタル簡易無線(登録局)』が、その役目を担っています。

デジタル簡易無線とは?『免許局』と『登録局』の違いなどを解説

 

なお、先述したSONYのCB機の広告では工事現場、工場、農場、駐車場、交通整理、森林パトロールなどの業務で自社製のCB無線機が”大活躍”していると謳っていました。

アマチュア無線は法的に営利業務で使えず、また特定小電力無線などがまだ無い当時、農場など広大な敷地で業務を行う事業者の業務連絡というニーズに応えたのが、やはりCB無線でした。

CB無線も業務無線として、当時は十分に活用されていたと言えるでしょう。

CB無線の遊び方

さて、前述の通り最大送信電力が0.5w(500mw)と極小かつ、外部アンテナの使用も法的に許されない、このCB無線。

果たしてどこまで電波が飛ぶのか、不安な皆様の顔が浮かびます。

しかし、地表と電離層を繰り返し反射しながら遠くへ伝搬するHF帯の周波数特性、さらにA3E(AM変調)を利用しているので心配はご無用。

HF帯の26-27MHzでAM変調を使うCB無線の特徴とは

CB無線の電波形式は一般的な業務無線、またはアマチュア無線で一般的なFM変調と違い、航空無線と同じく、搬送波の振幅の強弱によるAM(Amplitude Modulation) 変調のみ。

また、許可された帯域はHF帯の26-27MHzのうち、26.968MHz、26.976MHz、27.040MHz、27.080MHz、27.088MHz、27.112MHz、27.120MHz、27.144MHz以上の8つの周波数(チャンネル)のみです。

なお、念のために書きますと、CB無線機で使えるのはこれら26から27MHzのみで、アマチュア無線で使えるのは28MHz帯ですので両者で交信はできません。

HFの伝搬特性を利用して遠距離交信を楽しめるのが根強い人気の理由

最大0.5Wの微弱な送信出力しか認められないこのCB無線でも、開けた海上であれば、50キロ~100キロほどの遠距離間での交信はそう難しくありませんが、市街地での交信距離は短いものです。

しかし、5月から9月の春から秋にかけてのシーズンに活発となる電離層状態の異常・Eスポや、電波を大気中の疑似的な導管に通すラジオダクトを利用すれば、話は別。

通常、アマチュア無線でも利用されているHF帯でのAMやSSBモードは電離層伝搬や上述のEスポなどさまざまな伝播条件により、通常よりはるかに長距離での通信を可能にします。

短波(HF:High Frequency)と電離層を利用すれば外国との交信も可能!

ただし、刻一刻とコンディションが変化するため、その通信状況は断続的。

さらにFMに比べて聞き取りにくいAMが標準のCB無線では、慣れないと相手のコールサインを聴きとるのも一苦労です。

刻一刻と変わるコンディション下において、短時間で相手の信号を聞き取る力をつける技術の向上には多くの運用回数が必要です。

とくに夏場に発生するEスポを狙えば、とたんに交信距離は1000キロ越えもざらで、北海道と沖縄ほどの長距離でも交信できてしまうのです。

一般的な業務無線の交信では、このような異常伝搬が発生すると”正常”な通信ができないため非常に厄介。

例えば80年代、VHF帯アナログ警察無線では、ある警察本部の無線交信に同じ周波数を使用する別の県警の無線交信が混信し、正常な交信が妨げられました。

しかし、このような異常伝搬はHF帯アマチュア無線や、フリーライセンスホビーであるCB無線では逆で、むしろ歓迎されるもの。

異常伝搬による遠距離交信こそが1番面白く、実は免許資格不要のCB無線の魅力はそこにあると言っても過言ではないのです。

フリーライセンス無線各種。手前はパナソニックが製造販売していた8chCB機RJ-410

したがって、CB無線の根強い人気の理由は、出力が小さくて外部アンテナ不要の(※使うこと自体が法的に認められていません)ハンディ無線機ながらも、異常伝搬次第で超遠距離交信(DX)が楽しめるからなのです。

CB無線で遠距離交信する秘訣は?

さて、季節やコンディションによって、送信出力の微小なCB無線でも長距離交信ができるのが分かりましたね。

それ以外にも成功させるために何か秘訣があるのでしょうか。

もちろんあります。海岸の近くや、河川、水田など水辺の近くでの交信です。

とはいえ、相手がいなければ交信は成立しません。

でも大丈夫。CB無線の移動運用イベントが行われており、事前に告知がされます。

コンディションの良いシーズンでは8つしかないチャンネルが全て埋まってしまうほどです。

ただ、比較的のんびり、ゆったりとラグチューをするアマチュア無線とはやや違い、気象条件によって繋がるチャンスが少ないので、手短にコールサイン、運用場所、メリット交換のみの交信が多くなります。

CB無線のコールサイン

アマチュア無線局を例とした場合、個別の無線局を識別するために割り当てられたコールサイン(呼出符号)は総合通信局へ開局申請時に交付された無線局免許状に記されていますから、コールサインとは本来、局免に付随するものと言えます。

では、開局申請の必要ないフリーライセンスラジオのCB無線で各局が名乗っているコールサインはいったい誰が交付してくれたものでしょうか?

実は交付されたものではなく、各自が自由に好きなコールサインを名乗っています。

主に使われているのは、やはりかつての『市民ラジオの制度』時代に交付された『地域名+アルファベット二文字+数字2または3ケタ』に因んだものです。

CB無線はアメリカから

もともと、CB無線はアメリカで始まった無線で、長距離のトラッカーが連絡を取ったり、非常時の通信手段としており、アメリカでは今も愛好家が多くいます。

犯罪組織に覆面パトカーの警察無線の指令本部に不正アクセスされていた『ダイ・ハード4.0』では、ハイテクを皮肉ってか「俺はセカイノオワリが来ても、CB無線で最後まで誰かと話していたい」というようなセリフが出てきたほどです(ただし、演出で周波数は66.6MHzだった)。

また、CB無線で女性と偽り、トラック運転手に仕返しされる恐怖を描いた映画が『ロードキラー』です。

CB無線で女性を装う悪ふざけの代償は予想以上…?驚愕スリラー映画『ロードキラー』解説

 

現在もCB無線機は製造販売されているの?

かつて日本国内のメーカーでは日本電機(NEC)、ナショナル、SONY、ケンウッドなど名だたる大手家電メーカーがCB機を製造販売していましたが、SONYでは2006年に「ICB-87R」の製造を終了し、各社撤退。

そのため、長らく国内合法仕様のCB無線機を製造販売する国内メーカーはなく、それらのメーカーの当時のビンテージな中古機をオークションなどで買うのが一般的でした。

やはりコンディションの良い個体では数万円の値がつくこともあり、人気の高さが伺えます。

待望の新製品が続々登場!サイエンテックスのCB無線機

画像の出典 株式会社サイエンテックス公式サイト

ところが近年、なんと新製品のCB無線機が続々登場。

静岡の計測機器メーカー・株式会社サイエンテックスは2016年に受注生産の卓上型CB無線機『SR-01』、さらにハンディ型の『JCBT-17A』を発売。

ただし、これらは受注生産品で、現在は販売されていません。

しかし、同社のエンジニアが独立して設立されたメーカー・ポラリスプレシジョンからは「Blackbird」、また兵庫の西無線研究所からはハンディ型「NTS111」が発売されています。NTS111はハンディサイズのCB機としては超小型。

合法CB無線と違法CB無線の違いとは?

こんなに面白いCB無線ですが、日本国内では違法CB無線の問題も。

国内メーカーから過去から現在において、日本国内の電波法に準拠する仕様で販売された国内仕様CB無線機の使用はまったくの”合法CB無線”であり、何ら問題がありません。

しかし、社会問題とも言える大きなトラブルをもCB無線は引き起こしたのです。

ただし、それは合法CB無線機自体がもたらしたのではなく、高出力に不正改造されたCB無線機や国外向けのCB無線機、そして一部の利用者が原因でした。

CB無線が社会問題になった理由

先述したとおり、CB無線の制度はアメリカが発祥。

当時、日本のメーカーはアメリカ向けに国外仕様CB無線機を製造販売していました。

その国外向けのCB機が下記事情により、日本国内にアメリカ仕様の高出力、多チャンネル仕様のままで逆輸入されたことから、不法無線局、つまりこれが”違法CB無線”として大きな問題となったのです。

当初、CB無線機は、アメリカ輸出用に製造されていました。しかし、昭和52年にアメリカの規格が変更されたため、大量の在庫を抱えた一部のメーカーが逆輸入し、国内市場に流通させました。当時の日本では、合法CB無線機の使用は認められていましたが、ハンディタイプであり、車載においての利便性が悪かったこと等から、合法CB無線機に比べ、大きな電力、多チャンネルの不法CB無線機が大量に販売されることとなり、現在に至っています。

出典 総務省東北総合通信局

これが日本国内において、いわゆる『合法CB無線』と『違法CB無線』という”二つのCB無線”が存在する理由です。

現在もアメリカ向けのCB機を日本国内で使うと違法になりますので注意が必要です。

ただし、日本国内の法令に合致するように改修し、技適証明を取得すれば、その限りではありません。

現在、違法CB無線と合法CB無線の違いは以下のようなものです。

出典 総務省東北総合通信局
合法局 不法局
周波数 27MHz帯8波(8ch)の発射が可能 27MHz帯で9波(9ch)以上の発射が可能
送信出力 0.5W(500mW)以下 無線機本体で5W程度
電力増幅器を使用したものは、1000W以上
その他 ハンディータイプのみ。 技術基準適合証明マーク(認証マーク)がある。 車載又は固定型。 技術基準適合証明マーク(認証マーク)がない。 変調を聞くためのイヤホンを付けていることがある。

出典 総務省東北総合通信局

また、無線機自体の合法、非合法含めてCB無線では以下のような諸々の問題が発生しました。

チャンネルの占有行為

まず、合法的なCB無線で発生したのが一部の利用者側のマナー違反たる”チャンネルの占有行為”です。

CB無線は昭和50年代に学生を中心に爆発的な人気となりましたが、人気が過熱して利用者が急増。

少ない8つのチャンネル数を巡って、利用者の間で奪い合いと占有行為がたびたび発生したのです。

地域によっては、マナーの悪いCB無線クラブが特定のチャンネルを占有していました。

一見、誰も使っていないチャンネルでも常に留守番役が聴取しており、自分らのグループに属さない人が使おうものなら、脅すなどして排除し、実質的にチャンネルを占有したのです。

さらにはそのチャンネル占有に利権を見出したいわゆる反社会勢力が登場。

そのような団体を後ろ盾にしたクラブが『会費』名目で上納金を毎月納め、クラブ員メンバーは自家用車や営業車にそれとわかるステッカーを貼って誇示するなどエスカレート。反社会勢力は勢いを増しました。

このようなCB無線でのチャンネル争いは、のちのパーソナル無線でも受け継がれ、これらの側面から、CB無線にはある種特有の用語や挨拶のしきたりがあり、とくにトラッカーが好んでこれらを使用していました。

一部はアマチュア無線用語とかぶっていたり、正規のハムが使用していたり、派生している用語もあります。

食事を「ポンポコチャージ」、乗用車を「レジャッコ」、入浴を「ニューヨーク」など、用語自体は面白くても、その歴史には暗い過去があり、これらを知らずにアマチュア無線などで使用すると一部のアマチュア無線家は眉を顰める原因となっています。

※参考文献  梅原敦著『早わかりパーソナル無線』

違法CB無線による大出力送信で電波障害や火災の誘発が発生

そして、この窮屈なチャンネル数の少なさや、占有行為に嫌気がさした一部の人たちは、より多くのチャンネル数を持つアメリカ仕様のCB無線機や改造機を電波法に反して使うようになったことが『新たな問題』を引き起こしました。

それは不法なCB無線機から発せられる高出力の電波、電波法で認められていないアンテナによる深刻な電波障害です。

とくに主要道路の付近では、民家のテレビや電源も入れていないラジカセのスピーカーから『サブちゃん探してますよ!』とか『ニューヨーク行ってくらあ』など、トラック野郎の雄叫びが聞こえたりなどして、無念にも南方で戦没した日本軍兵士の幽霊ではないかと騒ぎになり住民を恐怖に陥れました。高出力の無線電波が周囲のスピーカーに影響して音声を生じさせる例としては、アニメ映画『パパママバイバイ』でも米軍機墜落の際に発したメーデーの無線が、墜落現場付近の小学校の運動会のスピーカーに混信する様子が描かれています。またすごいの出してきたなあ……。

さらに最も危険なのは、高出力の電波がストーブの電子回路へ影響を与え、火災の原因となることです。

不法CB無線機から発射される電波は、日本国内で使用するテレビやラジオの受信や船舶無線に妨害を与えたり、高出力の電波により、ストーブの電子回路を誤動作させ、火災を引き起こした事例も発生しています。

出典 総務省東北総合通信局

なお、違法CB無線機も合法CB無線機も使うチャンネルは非常に近く、また違法CB無線機は大出力であることから、合法CB無線ユーザーの交信にかぶってる来ることが間々あり、合法ユーザーからは嫌われています。

CB無線のまとめ

確実にストレスなく繋がるVHF帯域のアマチュア無線、それに業務利用ならデジ簡がベストな選択ですが、HF無線による遠距離交信の面白さを免許・資格不要で気軽に体験できるライセンスフリー無線は間違いなく、このCB無線だけと言えます。

アマチュア無線のHF運用はアンテナが重要ですが、むしろ外部アンテナの利用が法的に禁止されているCB無線だからこそ、ドライブや旅行先などで気兼ねなく手軽にHFが楽しめると言えるでしょう。

CB無線はダクト現象といった電波の異常伝搬やEスポなどの特定の気象現象による遠距離交信が醍醐味と言えますが、そのようなコンディションでなくとも、標高の高い山で運用を行えば400キロは飛びます。

現在では、昭和50年代の最盛期と比べるまでもありませんが、気軽に楽しめるフリーライセンス無線として、著名なメンターに触発された若い世代の方たちが興味を持って始める例が増えており、静かなブームとなっています。

アマチュア無線で「わいせつな通信」は禁じられています

アマチュア無線に限らず「無線局が行ってはならない行為」は電波法で様々取り決められており、その具体的な不法行為については以下の記事で詳しく紹介しています。

アマチュア無線における法令違反の行為とは?

そして、これらの不法行為の中にはアマチュア無線家にとっては誰もが気になる(!?)条項がありました。

それは電波法108条にある「無線設備又は第百条第一項第一号の通信設備によつてわいせつな通信を発した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」という一文です。

気になるのは「通信におけるわいせつの定義」です。この世界に海原雄山がいたら、きっとこう言うでしょう。

『電波法でわいせつな通信を禁じると明記したからには答えてもらおう。まず第一にわいせつな通信とは何か?』

『わいせつな通信の定義も出来ないくせに、わいせつな通信をするなというのはおかしいじゃないか』

海原雄山はともかく、このような腐し方をする輩、この趣味の一部の界隈でよく見かけるのは気のせいでしょうか。

さて、総合通信局の公式サイトからは「わいせつな通信」の定義に関して明確に説明した文書を見つけることはできませんでしたが、さらに調べると「第7回国会 参議院 電気通信委員会 第11号 昭和25年3月2日」における政府答弁を発見。ズバリ、電波法の108条で規定された「わいせつな通信」そのものへの政府見解であり、これが現時点で参考になると思います。

○小林勝馬君 百七條及び百八條におきまして「政府を暴力で破壊することを主張する通信を発した者」乃至は「わいせつな通信を発した者」というふうになつておりますが、これは発信人であるのか、これはオペレイトしたオペレイターであるのか、どこを指しておられるのか、両方を指しておられるのか、尚又「わいせつな通信」というのはどの範囲で決定されるのか承わりたい。

出典URL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714847X01119500302/99

○政府委員(野村義男君) 百七條及び百七條の、どういうものがこういう罪を犯すことになるかということも、先程申上げました犯意があるかどうかということと密接な関係があるのでありまして、電報を出す人、或いはオペレイター、施設者でも、それを知つて、こういうことをしようとしてした場合には、これに当るわけであります。
第二点の「わいせつ」ということについては、これは社会通念でわうせつの観点はあるわけでありまして、従来は無線電信法では風俗壊乱というようなことで言つておりましたが、風俗壊乱というと非常に広い範囲になるので、これは狭めまして、わいせつ、こう相成るのでありますが、これは普通学問上の幾らもわいせつの定義はあるのでありますが、社会通念で御了承になつて頂きたいというふうに考えます。

出典URL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100714847X01119500302/100

当時の参議院議員・小林勝馬氏による「わいせつな通信はどの範囲で決定されるのか」という伺いに対して、当時の政府委員・野村義男氏はこう答えています。「学問上では幾らもわいせつの定義はあるけれども、社会通念で了承せよ」と。

とはいえ「公然わいせつ」という言葉はあるものの、「アマチュア無線における公然の通信」にそれを当てはめると少々難しい解釈になりそうです。

ウェブ上で「わいせつな発言」あるいは「卑猥な発言」と検索すると、事例が散見されます。現代では日常会話の中に性的な発言を行うことを「セクハラ」と呼ぶ社会通念がありますが、それに準じた範囲と考えるべきでしょうか。

!?

ただ、過去においては関東地方の広域レピーターへの妨害等で何者かが複数で卑猥な発言を大声で繰り返し叫ぶ愉快犯的ないたずらの例があったようです。しかし、当時この108条違反で摘発された例があったのかは不明です。

いずれにせよ、無線の交信のみならず、日常会話でもそのような発言は慎みたいところです。

免許がないのに電波が発射できる状態のアマチュア無線機を車内設置した人が取締りの際に使う定番の言い訳があるって総合通信局の人が言ってた

総合通信局によれば、『アマチュア無線の免許がないにもかかわらず、電波が発射できる状態のアマチュア無線機を車内に設置して路上取り締まりを受けたほとんどの方たちが逃れるために使う』という定番のセリフがあるそうです。

不法無線局を取り締まる総務省総合通信局(総通)とは?

ある日の電波検問にて…

※これはある日の電波検問の一幕を筆者が実際の取り締まりを参考にして書き起こしたもので、実際の公的機関や取締りとは一切関係がありません。

ある日の路上。アマチュア無線用と思わしきアンテナを取り付けた一台の営業車が、赤色灯のついたトヨタアリオンの覆面パトカーから停止命令を受ける。

営業車は警察車の誘導に従い、数十メートル先の検問エリアへと向かう。

警察と総合通信局の合同による不法無線局取締のための電波検問だ。

電波監視の任に従事するのは”電波Gメン”と呼ばれる総合通信局の職員だ。

捜査機関ではない”電波Gメン”には車両を強制的に停車させる権限がない。

したがって、警察との合同取り締まりも行う。

「お忙しい中恐れ入ります。総務省関東総合通信局のキムラと申します。ただいま不法無線局の取り締まりを行なっております。運転手さん、アマチュア無線やられてますか』

キムラ係官は営業車の運転手に問いかけた。制服の警察官、それに『POLICE』と明記された赤いベストを着用した私服の警察官数名も同時に取り囲む___。

「やってるよ。やってるっていうか……聞いてるだけ!」

運転手の言動からは苛立ちと焦りのようなものを感じさせた。

聞いてるだけ?職員は訝しげに問い返した。「アマチュア無線の免許あります?」営業車の運転手は一瞬、言い淀んだ。

いや、免許はないよ。聞くだけなら免許いらないよね___

そう言いながら運転手は何かを隠そうとした。無線機のハンドマイクのコードを本体から外し座席の隙間に押し込んだのだ。

『おいアンタ!ダメだよ。ウチら“現認”したからな』

助手席側から見ていた年配の巡査長がウインドウをコンコンと叩きながら窓越しに運転手を一喝した。

ビクッとしながら運転手は手を止めると巡査長は黄色い歯を見せながら「ヒヒッ」と満足そうに笑った。

突っ込みを免れたハンドマイクは座席の隙間に半分だけ頭を出している。

『無線の免許はないんですね。運転者さん」とキムラが再度確認する。

「送信してないもん、俺」運転手が声を荒らげた。「なにか無線機自体から電波が発射できないような措置とかしてます?」とキムラ。

そばに立っていた制服の警察官らは署活系無線で忙しなく本署と連絡を取り、貸与されたPフォンで被疑車両の画像を撮影し、警察本部へと送信している。生活安全課員らしき私服の警察官も加わる。

『運転手さん、マエ(前科)ある?何か他にやばいもの積んでたら先に出しとけば、自首じゃないけどさ、我々の心象も変わるよ、ヒヒッ』と刑事。先ほどの巡査長とは違い、白い歯が印象的だった。

「だから受信のみで電波出してねえよ!」

「運転手さん、今実際に測定するけど実際に電波を出してなくても、一緒にマイク積んじゃってるし、PTT(プレス・トーク・スイッチ)押して電波出たらアウトだよ___」

係官らが無線機に計測装置をつなぎ、運転手が半分だけ隠したマイクを取り付け直し、PTTを押す。メーターが振れる。

電波の発射が確認されたのだ。青ざめた顔の運転手。彼に従事者免許がない以上、不法無線局の開設となり、彼は摘発対象となる。

キムラ係官は警察官に対し、電波法違反の不法事実を口頭で告発した___。

総合通信局職員らはあらためて無線設備のチェックを行い、告発を受けた警察官らはそれらを押収し、捜査車両に積み込む。

運転手は任意同行に応じ、警察官とともに警察署へ向かったが、車内では被疑者の運転手と警察官が、「おうおう!DNA(検査)でもなんでもやりゃいいじゃねえかよ!」「そんなもんやる必要ねえんだよ!」「カツ丼は食えるの?」「食えねえんだよ!」などとひどく言い争っていたという___。

後日、関係書類作成のために警察署へ出向いたキムラ係官は書類作成後の談笑中に担当刑事からその話を聞いたという。

総合通信局は捜査機関ではない。したがって、その職員も司法警察員ではないため、逮捕も検察への送致もできない。

強制的な権限がないに等しい彼らには警察との密接な協力が必要であることを再認識したキムラであった。

来週はまた警察学校で不法局取締りの講師として招聘されている。

次の講義でキムラは「ある言い逃れのセリフ」を学生たちに教えるつもりでいる。電波監視にキムラの休まる日々はない___。

総合通信局「取締りの際にほとんどの方がそういう言い訳で逃れようとします」

DNAでもなんでもやりゃいいじゃねえかようッ!←そんなもんやる必要ねえんだよ!(笑)お前に作家の才能がないことだけはわかったよ。

さて、『電波を発射せずとも、アンテナや電源を繋ぐなど、”電波の発射できうる状態”で無線機を無免許で車などに設置していると、取締り当局側に不法無線局の開設と見做される』という事例は当サイトでも以前ご紹介した通り。

未だに「無免許(従免&局免)でも、受信目的なら車に無線機をつけてもOKでしょ?マイク?もちろんはずしてバッチリ対策してますよ!」という認識の方がいることに驚くこともありますが、当の総合通信局では「受信目的」という主張は「取締りの際に、ほとんどの方がそういう言い訳で逃れようとします。」とバッサリ切り捨て。

Q1-6 無線局の免許がないのに、無線機を受信目的として車に付けた場合はどうなるの?

取締りの際に、ほとんどの方がそういう言い訳で逃れようとします。しかし、受信目的であっても、電波が発射可能な状態であれば不法無線局を開設したことになり、電波法違反となりますのでご注意下さい。

引用元 東海総合通信局 https://www.soumu.go.jp/soutsu/tokai/denpa/kansiqa/index.html#a1-6

「マイクを外せばいい」、「いいわけねーだろ」から始まった不毛な論争は「マイクを車に積んでなければいい」にひとまず落ち着いてはいるようですが、昨今の機種によってはマイクを取り付けなくても無線機のパネル操作で送信できるものもあることに留意する必要があります。

実際の取り締まり当局側ではマイクのみならず、電源も同様に「直ちに取り付けられる場合」は不法局と判断しています。

電源を切っていたり、マイクを無線機から外していても、直ちに取り付けられる場合は不法局となります。

引用元 東北総合通信局 https://www.soumu.go.jp/soutsu/tohoku/kanshi/amateurradio.html

そう、総合通信局の見解として重要な点は「電波の発射の有無」ではなく、「(無線機が)電波が発射可能状態下にある、または直ちにその状態に移行できること」なのです。

原則として、無線局免許を受けていない場合、電波発射の有無にかかわらず電波を出せる状態となっていれば、電波法第4条違反になり不法無線局の開設罪にあたる

有効な免許を所持しないまま、アマチュア無線機(※ただし受信のみを目的としたものは含まない)を車内などに設置していることは電波法違反となることを当サイトでも以前から申し上げていますが、アマチュア無線は従事者免許と局免のセットで運用できる趣味の無線です。※例外的にゲスオペ制度や、体験運用制度があります。

また、アマチュア無線の従事者免許証は生涯有効の終身免許(資格)ですが、無線局免許状は5年毎更新となっていることに注意し、更新手続きのお忘れがないか、ぜひお手元の免許期限のご確認を。

局免失効状態でアマチュア無線機を設置し摘発!→女性検事『電波出したろ?』→被疑者『出してない!』→『くっ…一度くらい電源は入れたことあるよね?』→『…かも』→略式裁判で有罪確定

デジタル消防無線は聴けない?三つの聴ける「消防関係無線」

消防署と隊員および消防車両が交信するデジタル消防無線は市販の受信機では傍受できません。

[aside type=”normal”]消防無線が260MHz帯デジタル方式化した理由

秘匿性の向上による利用高度化および、電波資源の有効利用

[/aside]

しかし、今般のデジタル化の一方で広帯域受信機で聞けるアナログ消防無線や、その他の消防関係無線が全国で一斉に増えており、むしろ消防無線は身近になりました。

2016年にデジタル化した消防無線

平成28年5月31日まで使用されたアナログ方式の150MHz帯消防指令波は各消防本部独自の自営無線通信として運用され、基地局の消防署から支署や車両(移動局)などへ出場指令を出すほか、活動中の隊員から本部へ状況伝達する際に使用されました。

140MHzから150MHzといったVHF帯では、状況次第で広範囲に届く場合もあるため、消防・救急波として公開されている近隣市町村の周波数を受信機に入れてメモリースキャンしておけば、昼間は聞こえない遠い地域の消防無線でも、深夜の電離層の変化によって傍受ができました。

アナログFM方式のため、市販の広帯域受信機で受信が可能でしたが、ついに2016年(平成28年)3月をもって、すべての市町村で260MHz帯デジタル方式消防救急デジタル無線通信システム化へ更新したと総務省消防庁が告知しています。

消防救急無線通信システムのデジタル化の特徴……情報秘匿と文字データによる情報伝達

新しい260MHz帯デジタル方式消防救急デジタル無線通信システムは、通信方式にSingle Channel Per Carrier(SCPC方式)を採用。さらに消防独自の音声コーデック方式秘話も使用されています。

また260MHz帯デジタル方式消防救急デジタル無線通信システムでは、これまで消防救急アナログ無線で不可能だった『車両動態管理および文字等のデータ通信』も可能になり、文字データによって詳しい水利位置、患者情報などを消防本部から現場の隊員に指示可能です。

[aside type=”normal”] デジタル新型消防無線機はドクターヘリにも搭載されるようになり、病院などの拠点を離陸したドクターヘリは現場到着まではFMの医療用周波数で単信または複信方式で情報伝達を行いますが、現場上空になると消防無線を使って現場の各消防本部の隊員らと詳細な要請内容の交信をします。[/aside]

そして、140MHzから150MHz台のいわゆるVHF帯から、より高い帯域の260MHz帯へと移行しています。260MHz帯はUHFに近くなるため、論理的には以前のVHF帯よりも通信距離が短くなり、とくに山などでは不感地帯が発生する懸念も指摘されています。

[box class=”blue_box” title=”東京消防庁のみTDMA方式”]

全国の消防ではSCPC方式を採用していますが、唯一、東京消防庁のみが時分割多元接続のTDMA方式を採用しています。その理由は周波数が50波以上もある大所帯であること。この膨大な消防と救急業務の各周波数を運用するため、25kHz幅の1波に4チャンネルが入るTDMA方式を採用しています。ただし、一部の車両には近隣県の消防と連携が取れるように、SCPC方式の無線機も搭載されています。参照元 https://radiolife.com/tips/45081/

[/box]

また、デジタル無線特有の仕様として電波が弱いと変調に不具合が生じ、音声が断続してしまい、正常に受信(復調)できないという特徴や、PTTボタンを押してから実際に送信されるまでにタイムラグが発生してしまいます。これは現在民間で広く普及している「デジタル簡易無線(登録局・免許局)」でも同じです。

とくに消防無線では人命救助の現場で使用されるもっとも重要な無線であることから、消防活動において指示の遅れによる危険性が指摘されており、現場においては全く交信ができない状態に陥る可能性を指摘する消防団員の声を以下の記事で報じています。

デジタル通信はクリアに聞こえる半面、アナログ式の時代は建物や山の陰でもわずかに聞こえた音声が全く聞こえないこともあり、 郡部の消防本部などからは「はっきり聞こえるか、全く聞こえないかのどちらかというのは不安もある」「電波が入りづらくなった」との指摘もある。 消防庁によると、3月末で全国の消防救急無線のデジタル化が終了したという。

典拠元
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=354801&nwIW=1&nwVt=knd

一方、デジタル消防無線のアンテナは消防車両に取り付けられるタイプでは以前よりも短くなり、アンテナメーカーからドルフィン型アンテナも登場しています。

デジタル消防無線は関係者以外、受信不可に

これまでのアナログ消防無線では市販の無線機や受信機を使った第三者による傍受および復調が容易でした。しかし、今回のデジタル化により、市販の広帯域受信機ではデジタル指令波が事実上、一切受信不可能となりました。

情報保全という観点から見ると、デジタル変調による情報秘匿は時代の趨勢上やむを得ないものと言えます。

ただ、困難と言っても、技術的に完全に不可能かどうかは今後のAI等の解析アプリケーションの進化にもよるため、不明です。※法的な側面もあります。

デジタル消防無線受信機が一切市販されていない現状では一般人どころか、消防団員もデジタル消防無線に対応した受令機が無ければ受信ができません。アナログ時代における消防団員も非番時に対応するため、個人的に市販の広帯域受信機を用意して消防無線を傍受していましたが、現在はスマホアプリで出場要請を受信するケースも。消防団専用として消防団波という153.35MHzの専用波もありましたが、新たな認可は下りず、将来的にデジタル化されるものとみられています。

アルインコなどアマチュア無線機メーカーからもデジタル消防無線を受信できる「受令機」が発売されていますが、総務省消防庁の指導によって消防関係者向けに限定されているため、どのメーカーも一般人への販売は自主規制しており、製品の特性上その仕様すら関係者のみしか開示せず、一般の人の質問へは答えられないとしています。

警察無線同様、消防無線もデジタル暗号化されており、それを第三者が不正に解読を試みようとすると、不法行為となります。これについてはアルインコ社のサイトで以下のように説明がなされております。

今のアナログのような感覚で受信できるレシーバーはありません。警察や消防のような無線は、製造に必要な部品の入手、秘話コードや運用形態が高いセキュリティレベルで守られており、仮に受信機だけを手に入れたとしても、通信を聞くことはできません。また、デジタル秘話化された無線通信をデコードすることは電波法に違反し罰則がありますから、そのような装置をまともなメーカーが一般向けとして製造販売することもあり得ません。

引用元 アルインコ株式会社公式サイトhttps://www.alinco.co.jp/faq/contents_type=322#F20171115001

※2023年現在、上記の文言は削除されています。

アルインコ社では「消防団員様でも、個人のご購入はできません。」とのことです。

アルインコ社公式サイト
http://www.alinco.co.jp/product/prod_item.html?itemId=I20130411001

ところが、以前一度だけヤフーオークションにデジタル消防無線用受令機が出品され、大問題になったことがあります。

<出所を尋ねる質問etc. 6時間後に出品取り下げ!>厳重な流通管理と盗難防止が施されるはずの「デジタル消防救急無線受令機」がヤフオクに登場

https://www.hamlife.jp/2016/06/24/yafuoku-dj-xf7/

このように、デジタル消防無線では無線機のみならず、受令機も含めて大変厳重に管理されているはずですが、オークションにかけられたことがあるのは事実です。

たとえデジタル対応機のアルインコ DJ-X100であっても、コーデックが対応していない以上、復調は不可能。

聴ける“消防関係無線”は増えている

しかし、本当に『消防無線』は傍受不可能になってしまったのでしょうか?そうとも言い切れません。

今なお、航空無線の一種である消防ヘリや防災ヘリのカンパニーラジオは聞けますし、アナログ・ヘリテレ連絡波も受信可能です。

カンパニーラジオは航空会社、警察や消防の地上運行拠点(基地)と、所属航空機とが運航管理に使う航空無線

そして、デジタル消防無線発足の一方で、すでに都市圏の受信者にはおなじみの”アナログ消防署活系無線”の受信機会が全国で増えています。そのほか、新たに”消防団無線”としてお目見えした二つの無線の計三つの“聴ける消防関係無線”に要注目です。

“聴ける消防関係無線”その1、アマチュア無線

一つ目は意外にもアマチュア無線。これまでも災害時、非常通信の手段として心強いアマチュア無線でしたが、令和3年3月の法令改正により、アマチュア無線の定義が明確化されたことで、非常災害時(事前・直前準備、訓練)から災害復旧時までの継ぎ目のない通信支援が可能になりました。

また、消防団が行う活動に関する通信についてもアマチュア無線の利用が可能になりました。全国の消防団では普段の見回りや訓練において、一般のアマチュア無線局とメリット交換などを通じて、相互に協力体制をとっています。※運用体制は各地域で異なります。

“聴ける消防関係無線”その2、デジタル簡易無線(登録局)

二つ目はデジタル簡易無線(登録局)。フリーライセンス局にお馴染みのデジ簡も、いまや常備消防や消防団をつなぐ利便性の高い通信手段となっています。

デジタル簡易無線とは?『免許局』と『登録局』の違いなどを解説

近年では260MHz帯のデジタル消防無線機にもデジタル簡易無線(登録局)の送受信機能を併せ持った機種が登場しており、全国的に常備消防や消防団でデジタル簡易無線(登録局)をまとまった台数で導入するケースが顕著です。※運用体制は各地域で異なります。

中古デジ簡機を第三者が登録申請→東海総合通信局「へ?すでにこの無線機は登録済みやが…」→元登録者へ連絡→消防団から盗まれた無線機と発覚

例として、茅野市消防団では『茅野市消防団員行動解説動画 #04「デジタル簡易無線機編」』として、消防団員向けに無線機の運用方法を詳しく解説されています。

2011年に発生した東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市では翌年の2012年、団員約700人用にデジタル簡易無線機を配備しています。

疲弊する消防団、わずかな訓練・装備と報酬で危険な任務–震災が突きつけた、日本の課題《1》/吉田典史・ジャーナリスト

市では、消防団に配備されている車両に無線を備え付けていた。だが、車を離れると無線からの情報を得ることはできなかった。結局、団員51人が犠牲となった。

市は12年度から、団員約700人にデジタル簡易無線機を配備することにした。津波の到達時間や高さなどをすべての団員に連絡できるようにする。

出典 http://toyokeizai.net/articles/-/9365?page=2

また、北海道札幌市でも約200台のデジタル簡易無線機を消防団に配備していますが、公開されている無線運用マニュアルのなかで秘話コードに言及しています。

デジタル簡易無線機には、秘話コードを設定しているので、一般の方が保有する無線機では、消防団の無線交信を傍受できません。

参照 札幌市消防団 無線運用マニュアル https://www.city.sapporo.jp/shobo/saiyo/documents/musen.pdf

鹿屋市でも平成29年にデジタル簡易無線機(消防団用)を配備しています。

市では、平成29年度特定防衛施設周辺整備調整交付金を活用し、消防団へ「デジタル簡易無線機」を配備しました。これにより、火災現場等において、これまで以上にスムーズな連携・伝令が可能となり、迅速な活動が期待されます。

出典 http://www.e-kanoya.net/htmbox/anzenanshin/syouboudan_seibi_4.html

新潟県の魚沼市消防本部は魚沼市消防団が使用するデジタル無線装置の発注仕様書を公開していますが、方式としてデジタル簡易無線方式(登録局)を求めています。

デジタル簡易無線機 17台 魚沼市消防団に配置しているデジタル簡易無線機(IC-D60)と互換性があるもの

出典http://www.city.uonuma.niigata.jp/docs/2017072700064/file_contents/290810_12_uoshodanbutsu17_shiyou.pdf

酒田市消防団用無線システム概要として公表されているこちらの資料ではチャンネルとともに秘話も設定済みです。

運 用 要 領

1 運用チャンネル
①②③のデジタル簡易登録局は、メイン21CHとし、22・23CHは予備とする。

(21~23CHは秘話を設定済)

出典 https://www.city.sakata.lg.jp/bousai/bousai/bousaisoshiki/dan-top.files/dan-musen.pdf

“聴ける消防関係無線”その3、アナログ消防署活系無線

三つ目はアナログ消防署活系無線。以前から消防には署活系という466.3500~466.5500MHz(12.5kHzステップおよびFM)帯の周波数を使う、主に現場の隊員(携帯局)が交信をする無線系統もあります。

実は今、デジタル化して聞けなくなった指令波とは逆に、全国の小規模消防に使用が緩和された署活系無線が活発化。

主に火災現場などで消防隊員が使う消防署活系ですが、これまで政令指定都市などの大規模消防局でしか配備と運用が認められず、政令指定都市以外の小規模な市町村の消防本部では運用が認められなかったのです。

それが今回のデジタル化に伴って総務省が規制緩和を行い、現在では政令指定都市以外の全国の消防で使用が拡大。

また、消防無線としてはかなり自由度が高く、ラジオライフさんのサイトにこのような興味深い説明もありました。

消防無線はアナログ波の署活系でデジタルを聞く

消防無線の署活系は運用方法に自由度があり、いろいろなシステムが作られています。その1つが、260MHz帯のデジタル消防無線中継システムです。消防本部と消防車を結ぶ260MHz帯のデジタル波を受信した消防車は、車載の中継装置でFMモードに変換。466MHz帯のアナログ波で送信されるのです。
(文/さとうひとし)

引用元 ラジオライフ.com
http://radiolife.com/security/7632/

上記のようにデジタル化された指令波であっても、一部の消防本部では独自運用として、アナログの署活系に変換して現場の隊員に伝える場合もあり得ます。

ただし、消防本部によっては反転式秘話を施している場合も。その際は反転秘話に対応したアルインコのDJ-X100(受信改造済み)が活躍します。

そのほかの消防関連周波数

VHF帯の150MHz帯に割り当てられた防災相互波(158.35MHz)もアナログ用周波数ですが、大規模災害時のために残されているようです。こちらは複数地域にまたがる大規模災害時の活用が想定される一方、警察や自衛隊などとの大規模な合同訓練でも使います。

近隣の消防組合と連絡を取るために平時でも使うことがあり、たとえば、ある市消防本部が遠方の市消防ヘリに用件を伝達するため、隣接の消防組合に伝達を要請する時などに158.35MHzが使用されます。

また、防災相互波はVHF帯だけではなく、UHF帯の466.7750MHzでも割当てられており、消防本部では466MHz帯を使う署活系無線機に、466.7750MHzもプリセットされていますので要メモリーです。

消防無線のすべて (三才ムック VOL. 246)消防無線のすべて (三才ムック VOL. 246)
4861991994 | 三才ブックス | 2009-05-28

消防用語

消防無線では専門用語が飛び交います。近隣の災害発生状況を知る上で消防無線は欠かせない存在ですから、消防救急用語を覚えておくと検証がより容易に。

消防車両は各コールサインを持っています。○○タンク、○○指揮、など。○○の部分は市町村消防本部名称です。大抵は本部自らが公開しネット上で誰でも見られる情報になっています。

南十勝消防事務組合無線通信運用規程
http://www.minami119.hiroo.hokkaido.jp/sab_8/reikisyuu/reiki_honbun/au05901001.html

上田地域広域連合消防通信運用規程
http://www.area.ueda.nagano.jp/reiki/honbun/08300600.html

美作市消防無線交信要綱
http://www.city.mimasaka.lg.jp/static/reiki/reiki_honbun/r140RG00000722.html

印西地区消防組合消防通信規程運用要綱
http://fire-inzaichiku.eco.coocan.jp/reiki_int/reiki_honbun/aw29400851.html

用語は消防局によって異なります。以下は無線技術雑誌などに掲載されていた例です。

用語 概要
カガイ
加害
マルショー
傷病者
マルヨン
火災で命を失った人
マルソン
自損行為
マルキュー
要救助者
マルヨイ
酒酔い
マルゲン
現場
ナナマル状態
パニック状態
マルセン
有線連絡
CPA
心停止
CPR
心肺蘇生法
特命出場
人員補充のための追加出動
イチマルマル
警察官 ※イチイチマルではない。本部によってはそのまま「警察」と呼称する場合もある。
口頭指導
119番オペレータが通報者に電話で救命方法をレクチャーすること。

消防無線のまとめ

このように消防指令波はデジタル化によって部外者の受信が不可能となりましたが、多くの地域ではむしろ今まで運用されなかったアナログ署活系無線が突然活発になっているほか、デジ簡の導入、さらに制度改正によるアマチュア無線の活用などにより、より幅広い意味での消防関係無線の受信の検証ができる機会は増えています。

したがって、せっかく買った広帯域受信機(アナログorデジタル)を手放す必要は今のところまだありません。

アマチュア無線の四つの級を解説。級が違うと何が違う?

日本では国家資格であるアマチュア無線技士の級は全部で4つ。

それぞれの級とアマチュアの『アマ』をつけて『○アマ』と略されるのが一般的です。

取得には国家試験と『養成課程講習会』があり、最上級の1アマ以外は養成課程講習会でも取得が可能です。

アマチュア無線技士の従事者免許証を取得する方法

上級になるにつれ、使用できる周波数帯域と送信出力が拡大。

これは、アマチュア無線家がより高度な技術を学び、広範な通信を探求するための仕組みです。

それでは日本のアマチュア無線技士資格のそれぞれの級の違いをご説明いたします。

第1級アマチュア無線技士(1アマ)

[box class=”blue_box” title=”第1級アマチュア無線技士の操作範囲など”]

  1. 第1級アマチュア無線技士の主な操作範囲
    • アマチュア無線局の無線設備の操作
  2. 第1級アマチュア無線技士と同等の操作範囲を免許される他の国家資格
    • 第1級および第2級総合無線通信士
  3. 第1級アマチュア無線技士の利点
    • アマチュア局に許可されるすべての周波数とモード、最大1kwまでの操作が可能
    • 一定の要件を満たす者は総務大臣の登録を受け、それぞれに定められた種別の多様な無線局(固定局、放送局、海岸局、航空局、船舶局、衛星局、地球局、アマチュア局ほか多数)の点検の業務を行える(参照元 日本無線協会
    • 講習を経たうえで、JARDの開催する養成課程講習会のアマチュア無線技士養成課程講師に任用される。

[/box]

第1級アマチュア無線技士、通称1アマは全級で最上級。試験レベルは短大卒以上です。1アマの試験会場では時折、小学生を見かけることもあり、合格すれば新聞の地方版を飾ることもあるようです。アマチュア無線とアンテナのイラスト朝日新聞1996年5月20日版によれば、三重県四日市市に住む小学4年生が9歳7ヶ月で1アマに合格したとのこと。試験を執り行う日本無線協会によれば、それまでは12歳3ヶ月が最年少だった記録が、大幅にその記録が塗り替えられたそう。

同12歳の気になる試験対策は『漢字や計算方法を丸暗記。勉強した以外のパターンの問題は諦める』戦術だったそうです。

モールスの実技試験が廃止されて以降、1アマの合格率は一気に20%から40%まで上昇しています。

気になる1級の操作範囲は“アマチュア無線局の無線設備の操作”となります。

すなわち、「アマチュア局に許可されるすべての周波数とモード、最大1kwまでの操作を行うこと」が許されます。

なお、1アマの操作範囲を行える1アマ以外の従事者資格は第1級および第2級総合無線通信士となっています。

令和5年度時点で、1アマの取得には(財)日本無線協会が年3回(4月、8月、12月)開催しているマークシート方式の国家試験の合格が必要です。試験地は東京都、札幌市、仙台市、長野市、金沢市、名古屋市、大阪市、広島市、松山市、熊本市、那覇市で開催されています。令和5年度時点で受験料は9,600円と、4つの級のうち最も高額です。総務省の平成21年度版「通信白書」によれば、1アマの資格者数はアマチュア無線技士全体の0.7%となる26.000人です。

第2級アマチュア無線技士(2アマ)

[box class=”blue_box” title=”第2級アマチュア無線技士の操作範囲など”]

    1. 第2級アマチュア無線技士の主な操作範囲
      • アマチュア無線局の空中線電力200W以下の無線設備の操作
    2. 第2級アマチュア無線技士と同等の操作範囲を免許される他の国家資格
      • 第3級総合無線通信士
    3. 第2級アマチュア無線技士の利点
      • 養成課程講習会での取得も可能
      • 特定のアニメキャラに想いを重ねることができる
      • 4アマと3アマでは免許を与えた者が『総合通信局長』だったが、2アマおよに1アマは『総務大臣』になり、日本人の大好きな権威主義を思う存分堪能できる

[/box]

工学の難易度は3アマ、4アマでできた暗記では難しくなりますが、旧試験と比較すると容易です。アマチュア無線を使う少女のイラスト現在では1アマ同様に通信術の実技試験もなく、モールスの知識を確認することに主眼が置かれ、法規の中にモールス関連問題が出題されます。法規は4アマ、3アマと段階を踏んで合格してきた人ならば、暗記は容易。

法で定める2アマの操作範囲は”アマチュア無線局の空中線電力200W以下の無線設備の操作”です。周波数は1アマ同様です。なお、2アマの操作範囲を行える他の従事者資格には「第三級総合無線通信士」があります。

令和5年度時点で2アマの取得方法は年に3回行われる国家試験のほか、ついに2015年からは養成課程講習会も開始。なお、JARD主催の養成課程講習会の費用は7万円程度になっています。

試験地は1アマ同様です。受験料は令和5年度時点で、7,800円です。総務省の平成21年度版「通信白書」によれば、2アマの資格者数は75.000人。これはアマチュア無線技士全体の2.3%です。

なお、テレビアニメに登場する高校生の女性キャラクター『武部沙織』が2アマを取得し、無線の知識を部活動で役立てていることから「俺も2アマ取って彼女に想いを馳せたい」という成人男性が多くいたようです。

第3級アマチュア無線技士(3アマ)

[box class=”blue_box” title=”第3級アマチュア無線技士の操作範囲など”]

    1. 第3級アマチュア無線技士の主な操作範囲
      • アマチュア局の無線設備の操作(空中線電力50ワット以下で18MHz以上又は8MHz以下)
      • 10MHzおよび14MHzの操作は不可
      • モールス通信が可能
    2. 第3級アマチュア無線技士と同等の操作範囲を免許される他の国家資格
      • 3アマの操作範囲のみに該当する他の国家資格はなし
    3. 第3級アマチュア無線技士の利点
      • モービル運用が目的なら最大出力の50Wまで出せる
      • モールス通信ができることで、より遠距離の交信(DX)が可能

[/box]

3アマから法規の中にモールスに関する問題が出題されます。つまり、モールスは3アマから初めて許可されます。4級を取得していれば、養成課程講習会にて3アマを取得することも可能です。浜辺でアマチュア無線を扱う女性と、ジープのイラスト

法で定める3アマの操作範囲は”アマチュア無線局の空中線電力50W以下の無線設備で18メガヘルツ以上または8メガヘルツ以下の周波数の電波を使用するものの操作”です。

最大で50Wまでの出力が許可され、モービル運用だけ楽しみたい方は3アマまで取得してしまえば、事実上なに不自由なく法で規定された『移動するアマチュア局』に許可される上限で運用可能。

令和5年度時点で3アマは全国各地にあるテストセンターにてCBT(Computer Based Testing)方式の国家試験により、年間を通じて実施されます。

受験者はPC画面上に表示された多肢選択問題に対してマウスを用いて正答の番号を選び、解答します。CBT国家試験についてはこちらをご覧ください。

または養成課程講習会で講習と修了試験を経て取得が可能です。国家試験の受験料は令和5年時点で5,400円です。

なお、総務省の平成21年度版「通信白書」によれば、3アマの資格者数は20万人と、全アマチュア無線技士の6%です。3アマ同等の操作範囲が行える他の従事者資格は現在のところ、ありません。

第4級アマチュア無線技士(4アマ)

[box class=”blue_box” title=”第4級アマチュア無線技士の操作範囲など”]

  1. 第4級アマチュア無線技士の主な操作範囲
    • アマチュア局の無線設備(無線電信を除く)の操作(空中線電力20ワット以下で30MHz超もしくは空中線電力10ワット以下で21MHz以上30MHz以下又は8MHz以下)
    • 10MHz・14MHz・18MHzは操作不可
    • モールス通信は不可
  2. 第4級アマチュア無線技士と同等の操作範囲を免許される他の国家資格
    • 第1級海上無線通信士、第2級海上無線通信士、第4級海上無線通信士、航空無線通信士、第1級陸上無線技術士、第2級陸上無線技術士
  3. 第4級アマチュア無線技士の利点
    • もっとも試験が容易
    • 5.8GHz帯を使うFPV(First Person View)ドローン操縦が可能。※開局が必要

[/box]

小学生でも楽に合格できるほど、やさしい国家試験になっていますが、さらに優しい養成課程講習会でも取得できます。

4つの級の中で唯一、モールス通信が免許されず、よってモールスに関する問題は出題されません。アマチュア無線を使う女性のイラスト

法で定める4アマの操作範囲は”アマチュア無線局の無線設備で次に掲げるものの操作(モールス符号による通信を除く) 1 空中線電力10W以下の無線設備で21メガヘルツから30メガヘルツまでまたは8メガヘルツ以下の周波数の電波を使用するもの 2 空中線電力20W以下の無線設備で30メガヘルツを超える周波数の電波を使用するもの”です。

144MHzや430MHzでもアンテナ次第で数百キロもの広範囲で交信可能です。また、4アマでは現在、3.5MHz、3.8MHz、7MHz、21MHz、24MHZ、28MHzの各HF帯バンドが許可されており、HFを楽しみたい方も4アマでOK。ただし、モールス通信は許可されず、CWを楽しみたい方は3級を目指しています。

短波(HF:High Frequency)と電離層を利用すれば外国との交信も可能!

令和5年度現在、4アマは3アマ同様、CBT試験または養成課程講習会で講習と修了試験を経て取得が可能です。国家試験の受験料は令和5年時点で5,100円です。

なお、総務省の平成21年度版「通信白書」によれば、4アマの資格者数は300万人です。これは実に全アマチュア無線技士の90%です。

4アマの操作範囲を行える無線資格は第1級海上無線通信士、第2級海上無線通信士、第4級海上無線通信士、航空無線通信士、第1級陸上無線技術士、第2級陸上無線技術士となっています。

なお、「特殊無線技士」の資格で、アマチュア無線を運用することはできません。

プロの無線従事者の資格とは?アマチュア業務とプロの業務はどう違う?

おまけ 国外のライセンス制度

記事の冒頭で『日本では』と断りを入れた理由はアメリカ、ドイツ、オーストラリアなど各国によってアマチュア無線の資格の分類数が違うからなのです。

例えばアメリカでは最も初級の「テクニシャン・クラス」、中間の「ジェネラル・クラス」、そして最上級の「エクストラ・クラス」の三つのみ。

また、日本と違って、はじめから最上級の試験を受けることはできず、下から順番に受験して合格しなければなりません。

さらに、アメリカのライセンスは包括免許のため、従事者免許証と無線局免許状が1つになっているのも特徴です。なお、日本人でも取得することが可能です。

参考サイト様 http://ja1yuu.blog.fc2.com/blog-entry-30.html

アマチュア局が免許を受けることができる周波数帯と、免許を受けることができる空中線電力、さらにアマチュア無線が運用できる業務用無線従事者資格、外国のアマチュア無線資格で操作できる範囲などについてさらに詳しくお知りになりたい方はJARL公式サイトでご確認ください。

http://www.jarl.or.jp/Japanese/6_Hajimeyo/shikaku.htm

最後に

各級において受験要項や受験料の改定が行われている場合があるため、受験に際しては必ず事前に日本無線協会の公式サイト等にて詳細をご確認していただけるようお願い申し上げます。

なお、4級と3級の資格が取得できる養成課程講習会についても詳しく解説しています。

講習と簡単な修了試験で4級と3級の国家資格が取れる養成課程講習会とは?

自衛隊無線の各帯域(HF、ローVHF、UHF)ごとの受信方法解説

訓練飛行、演習、公開イベント、そしてスクランブルでのGCIなど、さまざまな交信を行っている自衛隊。

これらミリタリーエアバンド各帯域の特徴や概要をご紹介します。

公開されていない戦術用周波数そのものは掲載しておりません。

自衛隊機も飛行場の管制圏を飛行する際には民間機が使う管制用周波数、それに飛行コース付近の各フライトサービスとも交信します。

航空無線の基本的な種別は、こちらの記事で解説しています。

航空無線の基本解説『航空無線の周波数と種類』

また、自衛隊の管制(後述しますが、一般的な航空交通管制業務と地上要撃管制業務があります)独自に割り当てられた周波数もあります。

したがって、受信には140MHz帯および225MHzから399MHzまでをAMモードで受信できる広帯域受信機が必要です。

非・受信改造済みIC-R6を買うと後悔する理由とは?

米軍にはHF-GCSと呼ばれる究極命令を伝える際に使われる通信があります。

【地球終了のお知らせ】「スカイキング、応答するな」米軍が核攻撃命令を送信する短波無線HF-GCS

自衛隊ではHFにそのような大規模な統制通信はありませんが、HF通信自体は欠かせません。陸自ではコータムのHF帯、空自や海自では洋上飛行の航空機との通信や救難用の周波数が多数あります。

北海道の知床遊覧船事故の発生直後、当該海域に各関係機関が駆けつけて捜索を行いましたが、その際はHF帯に指定されている各救難捜索波を各機関が相互連絡で使用したと推定されます。これは地震などの大規模災害発生時も同じと言えます。

ただし、直接の作戦用周波数は高度なデジタル秘話化により、部外者は内容を復調できません。

陸上自衛隊の無線

陸上自衛隊の無線で最もポピュラーなのが航空管制。

例として北海道札幌市にある丘珠空港は本来、『陸上自衛隊丘珠駐屯地』ですが、自衛隊管制官が民間機への航空管制を行う日本唯一の空港です。

丘珠空港は特殊な例ですが、基本的には陸自の航空管制は陸自所属の航空機への管制が主なものです。

陸自の航空管制

基本的に陸上自衛隊のヘリは可視性が良好な天候下で有視界飛行方式(VFR)にて比較的低空を飛行します。

使用帯域は118MHzから142MHzのVHF。近隣に陸自の駐屯地があれば普段から飛来するので、受信のチャンスは多いでしょう。

118MHzから120MHz帯は陸自機、民間機ともに管制との交信に使用しますが、陸自ではさらに136MHzから142MHzまでを使用するのも特徴です。飛行場のない駐屯地との交信は上述のVHFではなく、後述のローVHF帯を使います。

広帯域受信機はともかく、ワイドバンド機能をもったアマチュア無線機では140MHz帯をFMモードで受信できても、AMモードが選択できない機種なら受信はNG。そのため、受信は少しクセがあります。

[aside type=”normal”]陸上自衛隊機のコールサインの例

陸自で配備数の多い多用途ヘリ『UH-1J』は『ハンター』。 大型ヘリのCH-47なら『キャリアー』、偵察ヘリのOH-1なら『オメガ』、最新のオスプレイは『ヴィーナス』など。一方、AH-64Dロングボウアパッチ攻撃ヘリは『アパッチ』、さらに上級国民専用機EC225LP スーパーピューマも『ピューマ』と、機種名そのままの場合も。これらの機体が編隊飛行する際は『コールサイン+数字+フォーメーション』という名称に。例『ハンター410フォーメーション』

[/aside]

陸上自衛隊のローVHF

ローVHF(Low VHF)は一般に30MHzから88MHzまでの周波数です。

HFとVHFの中間で波長が比較的長く、障害物を透過しやすいのが特徴です。

これにより、山岳地帯や都市部などの複雑な環境でも通信の信頼性が向上。世界各国の軍隊でもローVHF帯を広く戦術通信に利用しています。

公開されている諸元では、陸上自衛隊の85式野外無線機JPRC-F10の使用周波数は28〜60MHzでFM変調となっており、陸自で実際に使用されるのは30〜50MHz帯が顕著。

それゆえ一般にこの業界では『陸自のローVHF無線』と呼ばれており、まさに『陸自板業務無線』。

アニメとか映画で無線機を背負った自衛隊員が『送れ!』『○○でよいか?』『よろしっ!』とかゆってる場合はこの『ローVHF』での通信と思っていいでしょう。

陸上自衛隊が運用するローVHF帯通信の具体的な用途は次の通り。

  1. 部隊間通信: 山岳地帯や都市部など、あらゆる複雑な環境下で作戦を遂行する陸上自衛隊が部隊間通信を行うために使用。
  2. 非常時通信: 戦闘以外の災害など非常時において、通信の信頼性を確保し滞りなく民生支援対応するために使用。
  3. 指揮統制通信: 指揮官や上級部隊、拠点との戦術的な指揮統制を行うのに使用。
  4. 車両通信: 戦闘車両同士や部隊との通信に使用。
  5. 航空機間通信: 航空機が僚機との機体間交信で使用。
  6. タクティカル・データリンク: 戦闘任務中、部隊間でデータをリアルタイムで共有。

ローVHF帯にはそれぞれ特科、普通科、諸科共通波など、複数のバンドがあるようです。『近隣部隊と混信しないように配慮しつつ、毎年シャッフルされている』という話もあります(これはコータム配備前のお話です)。また、上級部隊との連絡は衛星通信によるSHFも利用しており、ローVHFのみで完結しているわけではありません。

秘話とセキュリティ

『秘話機能』すなわち、通信内容が第三者によって傍受されたり、改ざんされないようにするセキュリティ技術、つまり情報保全のこと。

戦術用周波数である陸自のローVHF帯通信は基本的に位相変調を利用したデジタル変調方式と天才美人女優でハリウッドスターのヘディ・ラマー(wikipedia)が発明した周波数ホッピング機能といった技術が使用され、通信の機密性とセキュリティを確保しています。

過去、陸上自衛隊の各部隊においては秘話機能を有した『85式野外無線機』が広く使用されていましたが、平成13年度からは『新野外無線機』に更新されています。

ただ、最新の無線システム『広帯域多目的無線機(コータム)』に更新中の令和5年現在においても旧式の85式は防災訓練などでお目にかかることがあり、新野外無線機にいたっては各部隊での第一線装備となっています。

陸自のローVHFはまさに陸自の業務無線。防災訓練から、ヘリの離着陸誘導、機体間交信、そして実戦まで使用されるが、周波数は広範囲。国土交通省の『航空重大インシデント』公式ページ掲載の平成9年に起きた陸自ヘリと民間機との空中衝突事故の報告書にて陸自側の使う40MHz帯『航空機相互間通信用周波数』がズバリ公開されていましたが……。

駐屯地や演習場に陸自ヘリが離着陸する際は地上誘導員と調整するため、40MHz帯の複数でなんらかの短い信号を確認できますが、デジタル秘話。推測するに陸自特有の短い交信でしょうか。

なお、現在更新中の『コータム』は陸自内の通信のみならず、海自、空自との統合通信、さらに警察無線や消防無線とも相互通信が可能となった画期的な無線システムです。

とはいえ、現在も記念祭などで陸自のローVHF帯のアナログ交信が聞けるシーンもあるようです。

アナログFMモードとデジタルの切り替え自体は容易ですが、そもそもなぜ陸自のローVHFでアナログとデジタルが混在しているのか、すべてデジタル秘話にしないのはなぜか?

『ラジオライフ』2000年6月号によれば、アナログ波しか送受信できない旧型無線機を使用し、新型に更新されていない地方の部隊があるようなのです。

これは今から23年前の話なので、その後に広く新野外無線機が行き渡り、広帯域多目的無線機(略称: 広多無(コータム)へ更新中の現在は違う可能性もあります。

また一般に、デジタル波はアナログ波よりも交信距離が短いため、必要に応じて使い分けているともされています。

ただし、軍用無線においては傍受を防ぐため、広範囲への電波の到達を防ぎたい思惑もあるようです。

これ以上のことは筆者は知っていても書けませんが、以下の『航空祭を攻略! ミリタリーエアーバンド虎の巻』内の『陸上&海上自衛隊のエアーバンド最前線』の項目には、非公開周波数自体の掲載はないものの、おそらく最も詳しく陸自のローVHF系統の無線の概要、陸自無線用語、”陸自のローVHF周波数を見つけるための方法”が掲載されていますので注目です。

新無線システム『広帯域多目的無線機(略称: 広多無(コータム)』

『新野外無線機』の後継機となる新型無線システムです。

これまでのHF、VHF、UHF帯の周波数のほか、民間回線も利用したIP無線システムとなっており、自衛隊の部外機関(警察や消防)のデジタル無線ともリンク可能です。

陸自では以下のように公式に発表しています。『音声から文字データになったことで音声通話の頻度を激減させ、長文の命令を間違わず伝達でき、情報共有のあり方がそれまでと一変した』としています。

新しい戦前の日本政府の言うことなので真実はわかりませんが、当然、データ通信にも対応したソフトウェア無線機であることから、ガス警報、敵前逃亡者・反戦自衛官手配の同報メール、画像情報の送受信、防衛大臣のメルマガ配信も戦闘中にやろうと思えば可能でしょう。

基地内連絡波(基地内警備波)

上述のローVHFに比べ、より自衛隊版業務無線然とした通信が基地内連絡波と呼ばれる系統。

陸自駐屯地、海自・空自基地内での警備や簡易な業務連絡に使用されており『基地内連絡波』や『基地内警備波』と呼ばれます。

157MHz帯の4波の周波数がアナログFMで割り当てられているほか、海自や空自では453MHz帯でデジタルモードも運用されています。

了解が『ラジャー』なのがいい味出してます。

駐屯地記念祭などイベントでの受信例が多いようですが、近年導入されたデジタル波では未知の周波数が多いようです。

その他の陸自の無線通信

秘匿が不要な通信は隊員各自が員数外(貸与される官品ではない隊員の私物)で揃えた民生用の特定小電力無線を使うことも。

ほかにも第一空挺団が毎年の『降下訓練始め』やその他の自衛隊イベント時にて空自の輸送機から降下をする際、地上の誘導員とコース指示の連絡をUHFの300MHz帯前半で行うのも有名です。

航空自衛隊の無線

空自には警察や防災ヘリで対処ができない山岳遭難や海難事故現場で高度な救助活動を行える航空救難団が編成されており『最後の砦』と呼ばれています。

大規模な災害等が発生した場合、2〜19MHz帯のHF帯に割り当てられた救難捜索用周波数が活発になります。

また、輸送機が海外派遣時、洋上飛行する際は6MHzの厚木オーシャニック、12MHz帯のある周波数を使用する場合もあります。

空自のUH-60J全天候型救難ヘリコプター。鮮やかで派手な青色の機体カラーはレッキとした洋上迷彩。機首に高性能レーダーや外部燃料タンクも備え、航続距離も長い。映画では『ヘリオス』という架空のコールサインが使われていたが、実際は『フージン(風神)』。『雷神(U-125A)』とコンビで救難現場に飛来する。ワイヤーアンテナを装備しており、HF通信も多用する。

GCI

遥か上空2万フィートから聞こえてくる戦闘機同士や地上要撃管制との臨場感満点の無線交信

通常、航空自衛隊は定められた訓練空域にて戦闘機同士による格闘訓練を行うほか、射爆撃場で地上目標に対する攻撃訓練も行っています。

HFもいいのですが、空自の戦術用周波数『GCI』はミリタリーエアバンドの中で、最も魅力的かもしれません。その理由とは?

航空自衛隊では通常の管制波とは別にUHF帯域の225MHzから399MHzに設定された『GCI』と呼ばれる作戦用周波数を使います。

本来『GCI』は純粋に”地上要撃管制”のこと。現在はその訓練や部内連絡用の非公開周波数も含めてGCIと呼ぶのがこの業界の慣しです。

これら空自の訓練やスクランブルで使用されるGCI用周波数は公開されておらず、自分でサーチが基本。GCIはそれぞれチャンネル指定され、RL誌によればその数なんと1000ch。

航空自衛隊の戦術用周波数『GCI』解説……公開すると逮捕される!?

サーチにややクセがあるものの、受信時の迫力は満点。

先輩パイロットから新人への指導はやはり厳しく、遥か上空2万フィートから聞こえてくる戦闘機同士や地上要撃管制との臨場感満点の無線交信に受信機の前で震えることも。

交信は日本語、英語が混在。周波数のサーチ方法は上記の記事をチェック。マニアは24時間体制でサーチしてます。

男は黙ってGCI受信(もちろん学齢児童生徒女子も黙って受信するのは自由だからね❤️)。

国際緊急周波数

国際緊急周波数は自衛隊専用ではなく各国が使用する世界共通の周波数。

領空侵犯機に対して自衛隊機が英語や中国語、ロシア語などを使って警告をすることがあります。

普段は静かな国際緊急周波数が騒がしくなれば、日本の周辺がキナ臭いことになっていると考えていいでしょう。

GCIと共に使用されることが多く、警告された領空侵犯機はおとなしく日本の領空外へ出なければ、自衛隊に実力を行使されるか、深く領空侵犯した場合は日本国内の基地へ強制着陸させられるので、国防の最前線の交信が傍受できます。

韓国海軍に火器管制レーダーを照射された自衛隊機が問い合せのために使用したのもこの周波数です。詳細は下記記事にて解説しています。

国際緊急周波数の解説!救難要請から領空侵犯まで!航空自衛隊のGCIとも関わりあり

航空祭で無線を聞こう!

3自衛隊のイベント中でも、航空自衛隊の航空祭は毎年何万人もの客が訪れるビッグイベントです。その来場者の中には耳にイヤホンをつけた人がいます。多くの場合、この時の彼らは美少女アニメの主題歌を聴いてはいません。広帯域受信機でエアバンドを傍受し、今まさに目の前を通過する自衛隊機の飛来を待っているのです。

航空祭で最も迫力があるのはなんといってもブルーインパルスの交信。演技を行うブルーインパルスは​通常、6機編隊で飛行展示を行います。ブルーとタワーが行う無線交信をワッチすると、ブルーの演技の開始時刻、編隊の飛来方位、”スモークナウ”のタイミングなど展示する次の演技の概要がわかるので、ブルーを狙う地上のアマチュアカメラマンには好都合です。ただ、当日にどの周波数を使うのかは直前までわからない場合が大半ですから、事前の情報収集は必須です。おっと。無線で聞いた内容の”窃用”にはくれぐれもご注意を。

自衛隊の曲技飛行隊は3部隊!実は「ブルーインパルス」だけではないのだっ!

 

海上自衛隊の無線

海上自衛隊と米軍が共用する厚木航空基地(厚木海軍飛行場)は純然たる軍用飛行場で、海自側は航空集団司令部を置いており、その拠点として知られています。先述の陸自の航空管制で使われる140MHz帯も海自では使用されています。

海自のHF通信

厚木航空基地の『航空管制隊』で運用される洋上管制所においては6MHz帯でUSBモードを使用した『厚木オーシャニック』にて、主に洋上を飛行する海自所属の対潜哨戒機やヘリに対する管制承認業務を行っていますが、洋上飛行の空自や陸自機への管制も行います。離島における急患発生時、出動した救難飛行艇との交信は迫力があります。英語と日本語が使用されます。

また、周波数手帳ワイドによれば、海上自衛隊では他にも6MHz帯に各基地毎に周波数が割り当てられています。HFかつSSBモードの無線を受信できる機材については、SSBモード対応の上位機種の受信機、オールモードのHFアマチュア無線機、SSB対応BCLラジオなどが必要です。以下の記事にて解説しています。

XHDATA D-808がすごかった!HF帯SSBモードの洋上管制や海上自衛隊アツギオーシャニック、7MHzも!

HFの航空無線『洋上管制』の受信方法を解説

大村航空基地の『シードローム』

大村航空基地の大村飛行場と、長崎空港間の大村湾水面にはUS-1/US-2飛行艇の離着水用水域(シードローム)が設定されていますが、この『シーランウェイ』管制は海上自衛隊のみです。

海上保安庁の航空無線

海上保安庁の任務は日本の海洋権益の保護、密入国と領海侵犯への対応、海上犯罪の取り締まり、そして救難です。犯罪の取り締まりについては被疑者に傍受されることで不利益が生じますから、警察無線同様にデジタル無線を使用しています。

海保の無線通信のうち、最もポピュラーなのは通常の航空機運用と救難活動(Search and Rescue・通称SR)で主に使われるカンパニー波130.300MHzと134.500MHzの二種です。

夏ともなれば、海水浴へやってきた大学生などの若者グループが、女にいいところ見せようとして潮流を考慮せずにバナナボートで出航し、離岸流で沖へ流され帰れなくなるのが毎年の風物詩。地元漁協の活躍、それに海上保安庁の「Mission Banana Boat」も増加する季節です。変なミッション名をつけるんじゃない(笑)

海保の海難救助では巡視艇やボンバルディア捜索救難機による広範囲な捜索活動と、ヘリコプターによる要救助者のピックアップが主な任務です。

前述の海上自衛隊がHFを使うのと同じく、海保でも広い海域で活動する理由から6MHz帯や9MHz帯のHFに開局する場合があり、自衛隊とも交信します。こちらも当然、犯罪捜査に関わるものはありません。

なお、「国際VHF」の呼び出しチャンネルは非常用チャンネルにも指定されており、海上保安庁が交信する場合もあります。

在日米軍の無線

航空以外聞けないです

三沢や関東周辺や沖縄など、米軍基地がある場所では米軍飛行場の管制周波数に合わせるだけでOK。

米軍基地が近くにない場合は航空自衛隊機との合同訓練での交信を狙い目。

他にデジタルのP25仕様無線機を基地警備等に使用しているようです。基本的に日本の電波法の管轄外にいるので、思わぬ帯域で周波数を発見することもあるそうです。

自衛隊無線のまとめ

このように3自衛隊ではそれぞれが運用する航空機の管制承認の伝達や、GCIを使って任務を行っていますが、使用される周波数帯はHFからUHFまで実に様々。

なお、HFのSSB受信には当サイトが推奨しているIC-R6では非対応ですが、1万円程度のSSB対応BCLラジオでも受信できます。

XHDATA D-808がすごかった!HF帯SSBモードの洋上管制や海上自衛隊アツギオーシャニック、7MHzも!

自衛隊機がどんな帯域の無線を使うのか、機体のアンテナから考察してみるのも良いでしょう。ヘリの尾部付近に細い手すり状の部品があれば、HF用のワイヤーアンテナです。陸海空自衛隊のヘリに備わっている装備で、固定翼機も備えている場合があります。民間のヘリの場合は機体に短波無線を搭載することはほぼないそうです。

ただ、自衛隊ではHF通信よりも明らかに衛星通信の利用が増えており『昔は良かった』との受信家の嘆きも多く目にするようになりました。

自衛隊だけでなく、周辺諸国の軍用HFに耳を傾けてみるのも良いかもしれません。

あまり大きいHFアンテナ建てたり、海岸付近で短波ラジオ持ってうろうろしていると、警察に顔写真撮られて身元・前歴照会されますけどね。

HF無線の世界はアングラだった・・・やべえ通信まとめ(傍受の際は当該工作機関から十分に適切な社会的距離を保つ必要あり)

余談ですが、硫黄島に赴任している自衛隊員は余暇にアマチュア無線のHF帯でCQを出していたようです。

基本的に管制波は広く市販の冊子で掲載されており、古くから知られているものですが、空自のGCIといった周波数は自分で調べることが基本となります。”GCIマナー啓発活動”をするつもりはありませんが『GCIは自分で調べ、調べた周波数は墓まで持って行く』が業界の古くからの慣しとなっています。

昔、某誌のライターがやばいの載せすぎて自衛隊出禁なりました。

デジタル・報道連絡波(放送連絡波)の受信方法

報道連絡波は放送連絡波とも呼ばれ、報道機関(テレビ局・ラジオ局)に免許された放送事業用業務無線です。

番組中継のため、報道局デスク(基地局)から、事件・事故・災害現場で取材中の取材クルーや上空の取材ヘリへの指示連絡に使用されます。

2016年にそれまでのアナログ波から完全デジタル化しましたが、2025年現在、デジタル対応受信機で受信可能です。

報道連絡波(放送連絡波)は166MHz帯と168MHz帯

報道連絡波(放送連絡波)はデジタルの4値FSK変調方式である『STD-T102』を採用。

166.528125MHz~168.896875MHzまで、6.25kHzステップで割り当てられています。

移動局側が166MHz帯の低群、基地局側が168MHz帯の高群です。

低群 166.528125MHz~166.896875MHz(6.25kHzステップ) 報道ヘリ、中継車などの移動局側

高群 168.528125MHz~168.896875MHz(6.25kHzステップ) 基地局側

交信頻度こそ一般の業務無線より低めですが、ニュースの時間帯になると、ヘリ中継が入るため、交信が多くなります。

もちろん、大事件、事故、災害が発生したなら、なおさらです。

実は意外と入感しやすい報道連絡波。その理由は基地局側である”高群”の送信元が、山頂にある各テレビ放送中継局と同じ立地であるため。

さらに出力が25~50Wと高いのも受信には好条件。

ただし、移動局同士では低群の166MHz帯のみで交信することもあるため、両群の帯域をメモリーした方が無難です。

報道連絡波(放送連絡波)受信は秘話コード対応受信機が必要

STD-T102方式を使う報道連絡波(放送連絡波)は6桁の秘話コードを使用。

AORのAR-DV10ならびにAR-DV1、それにアルインコのDJ-X100(受信改造済み)ではコードの自動解析に対応し、復調は容易です。

2025年現在、マスコミ無線が受信可能なデジタル対応受信機

  1. ALINCO  DJ-X100(T102モードを選択)※秘話コード自動解析は裏モード開放が条件
  2. AOR DR-DV10(DC-Rモードを選択)
  3. AOR DR-DV1 (DC-Rモードを選択)
  4. ICOM IC-R30 (NXDN-VNを選択)※生産終了、NHK方式非対応、秘話コードの自動解析非対応

いずれの機種も秘話コードが一致しない場合、受信機からはモガモガとした音しかでません。

また上記機種のうち、ICOMのIC-R30については、秘話コードがすでに判明している場合は受信可能ですが、秘話コードの自動解析には非対応。手動で順番にコードを入力することも不可能ではありませんが、非現実的です。そのほか、NHK方式のホワイトニングコードにも非対応です。

上記の機種で最も安価に簡単に受信できるのはDJ-X100(受信改造済み)です。

アルインコ DJ-X100(受信改造済み)で受信する場合

受信改造済みおよび裏コマンドを入力したDJ-X100で受信する場合は起動後、電波法に反する使い方をしないことへの同意、行った場合は捜査機関から刑事責任を課されることに同意をします。

DJ-X100(受信改造済み)では電源投入後に『誓約』画面が表示される意味とは

ヤバイ決意表明ののち、『モードコンフィグ』→『デジタル』に入り『T102』モードを選択。上述の周波数帯域をスキャン。

”モガモガ音”がヒットしたら、ストップさせてFキー+0キーで『虫眼鏡モード』を発動させると、5秒ほどで秘話コード解析が終了し、報道連絡波(放送連絡波)が音声として復調され、事件事故の取材内容等、詳細が判ります。

秘話がかかった状態ではデジタル変調の信号を断続的に受信するのはDCRの秘話と同じですが、その音はDCRと異なります。

秘話コード解析後、秘話コードが表示されるのはDCRの秘話コード解析と同じです。

余談ですが、報道連絡波の秘話コードはデジ簡の民間事業者や消防にありがちな「00001」、「04545」、「05963」のような推測されがちなコードではありません。

事前にコードを知っている場合以外はIC-R30のように自動解析がない機種では受信が難しいでしょう。

※秘話の解析機能を使って「通信内容を窃用した場合」、電波法違反による刑事罰の責任は全てユーザー側となります。

またDJ-X100では「発信者名』の部分にテレビ局の社名が表示されます。

例 発信者名 HHTBほんしゃ

具体的な周波数は『周波数手帳ワイド』等で伺い知ることができる

NHK、民放各局の報道連絡波の具体的な周波数は『周波数手帳ワイド』にて掲載されています。

なお、上に挙げた『周波数ガイド』の2021年版、2022年版などはAmazon Kindle Unlimitedに(月額980円)に入会すれば、読み放題・無料で読むことができます。

Amazon Kindle Unlimitedでは三才ムックが出版している多くの受信、無線関連書籍をはじめとして、キンドル本として販売されている本(小説、コミック、雑誌、写真集など)のうち、100万冊の電子書籍がでどれも無料で読み放題です。Kindle端末がなくても、Kindleの電子書籍はパソコン(ブラウザやアプリ)やスマートフォン(アプリ)で読むことができます。この機会にぜひ入会しませんか。

[btn] Amazon Kindle Unlimited[/btn]

報道連絡波(放送連絡波)のまとめ

事件事故の取材活動ばかりでなく、本社との放送の技術的な打ち合わせの場合もあります。

このため、報道連絡波でもあり放送連絡波でもあるマスコミ無線。

事件事故の発生をキャッチできる無線ですから、受信機にあらかじめ各社の周波数を登録して普段からサーチしていると、どこの社の電波が強力か否かといった技術的研究ができます。

ということにしておいて下さい。秘話の解析機能を使って「通信内容を窃用した場合」、電波法違反による刑事罰の責任は全てユーザー側となります。

あくまで小説や映画の話ですが、テレビ局のデスクとヘリとの交信はリアルタイムなニュースの緊迫した状況がうかがえる場面がよく描かれています。『あーっ!自衛隊の飛行機が雲に突っ込んで行きよるーっ!』って『首都消失』か。なつかしいな。

なお、今でこそヘリからの空撮取材や生中継は当たり前で、機上から本社へ電送しながら帰投するのが一般的ですが、昭和の頃は小学校の校庭などへの取材ヘリの無断着陸が横行していました。

撮影した取材テープを地上クルーに引き渡す目的でしたが、民間ヘリは緊急事態や事前に許可を得ない限りは指定場所以外への無許可着陸は当然違法。後年は低空でホバリングするヘリから直接取材テープをパラシュートで地上のクルーに引き渡したり、NTTの専用回線を使った機上伝送が一般化されていきました。

また、マスコミ各社のヘリは過密な取材現場上空で空中衝突を避けるために連絡を取り合いますが、通常は航空機間の相互連絡周波数を使うほか、相手のヘリの使うカンパニーラジオにブレイクする場合もあります。

カンパニーラジオは航空会社、警察や消防の地上運行拠点(基地)と、所属航空機とが運航管理に使う航空無線

アマチュア無線における法令違反の行為とは?

アマチュア無線で免許されているアマチュア業務とは『金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的に無線技術に興味を持ち、正当に許可された者が行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務』です。それに加えて、近年では消防団や自治会での使用も一部緩和されています(営利・商用目的を除く)。

これらアマチュア業務で行われる交信においては電波法の各種法令といったルールを必ず守るのが前提。

法に反した使い方をしてしまうと不法無線局となり、電波法違反で検挙され、無線従事者として業務停止や免許取り消しなどの行政処分、さらに罰金といった刑事処分を課せられます。

では、具体的にアマチュア無線で何をやってはいけないのか見ていきましょう。

アマチュア無線でしてはいけないこと

アマチュア無線では主に下記のような行為が禁止されています。

1、無資格、無免許での運用

アマチュア無線は従事者免許証と無線局免許状の二つがなければ運用できません。無資格および無免許で使うと罰せられる大変厳しい無線制度です(ただし、ゲストオペレーター制度や令和5年3月改正の『アマチュア無線の交信体験制度(体験運用)』などの場合は、この限りではありません)

周波数や送信出力は運用者の従事者免許の資格に応じて免許されている範囲内での運用でなければならず、オーバーパワーや周波数の逸脱も電波法違反となります。

  1. 許可されていない帯域での通信: アマチュア無線は級によって使用できる周波数帯域が違い、許可されていない帯域外での通信は違反です。例えば、2アマ以上に免許される10MHz帯にて3アマが交信すると違反です。また、アマチュアバンドからの周波数の逸脱(“オフバンド”と言います)、さらに業務無線帯域、警察や消防といった官庁の重要通信の帯域で電波を出してしまうと重大な電波妨害となります。
  2. 送信出力の超過: アマチュア無線では、送信機の出力にも級ごとに制限され、逸脱した場合も違反です。

余談ですが、過去には有名なグリコ森永事件の犯人グループと見られる者たちがアマチュア無線を使い、犯罪計画の交信を行っていたことが知られています。同交信はHFの7MHz帯域の、正規に許可されたアマチュア無線局の帯域外を使う「オフバンド通信」で行われ、正規のコールサインを名乗らず、「玉三郎」、「怪人21面相」などと名乗っての通信でした。

https://amateurmusenshikaku.com/%e3%82%a2%e3%83%9e%e3%83%81%e3%83%a5%e3%82%a2%e3%83%90%e3%83%b3%e3%83%89%e3%80%81%e3%81%9d%e3%81%ae%e3%82%aa%e3%83%95%e3%83%90%e3%83%b3%e3%83%89%e3%81%ab%e3%82%88%e3%82%8b%e4%b8%8d%e6%98%8e%e3%81%aa/

 

これらの法令違反が総合通信局の電波監視で発見された場合には摘発され、行政処分や1年以下の懲役または100万円以下の罰金といった刑事処分を課せられます。

局免失効状態でアマチュア無線機を設置し摘発!→女性検事『電波出したろ?』→被疑者『出してない!』→『くっ…一度くらい電源は入れたことあるよね?』→『…かも』→略式裁判で有罪確定

2、アマチュア業務以外の通信

アマチュア無線がアマチュア業務以外で違法に利用される例で多いのが、営利を伴う商業利用の交信。しかし、アマチュア無線で行えるのは非営利のアマチュア業務が基本。それ以外の一般的な企業の営利に絡む通信はできません。

アマチュア無線で認められている行為は非営利のアマチュア業務のみです。アマチュア業務以外の一般的な企業の営利に絡む通信はできません。

なお、令和3年度、総務省により定義が明確化され、町内会での防災目的での利用や、消防団等、社会貢献活動等でのアマチュア無線の活用が認められました。ただし、引き続き営利目的での利用は認められません。

一方、人命の救助や現行犯人の逮捕などに関する非常通信に限っては、アマチュア無線を例外的に使用できます。ただし、非常通信を目的としてアマチュア無線局の開設はできません。非常通信については、総務省が2014年10月24日に「アマチュア局による非常通信の考え方」を公表しており、その中で”非常通信はアマチュア局の柔軟な判断とボランティア精神によって行っても良い”と明確に見解を表明していますのでご参考まで。

アマチュア無線で行う非常通信とは?

3、虚偽の通信

アマチュア無線のみならず、電波法では無線通信で『自己若しくは他人に利益を与え、又は他人に損害を加える目的で』虚偽の通信を行った者は処罰されます。

第百六条  自己若しくは他人に利益を与え、又は他人に損害を加える目的で、無線設備又は第百条第一項第一号の通信設備によつて虚偽の通信を発した者は、三年以下の懲役又は百五十万円以下の罰金に処する。

平成10年1月、三重県桑名郡多度町の多度山で、何者かがアマチュア無線を使い「にせ非常通信」を出して、警察や消防などのヘリコプター3機、数百人の捜索隊を出動させるという悪質な事件が発生しました。

アマチュア無線を悪用し、偽りの非常通信などを行えば、言うまでもなく警察や消防に対する偽計業務妨害にもなりかねません。

また、電波法では虚偽の遭難通信も許されません。

第百六条 2 船舶遭難又は航空機遭難の事実がないのに、無線設備によつて遭難通信を発した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。

自己若しくは他人に利益を与えない、又は他人に損害を加えない目的のウソなら可能であるかについては、不勉強でわかりません。

4、わいせつな通信

電波法108条にて明記されているのが『わいせつな通信の禁止』です。秩序を保つための法令と言えますが、気になる「わいせつの定義」は以下の記事にて、政府答弁を参考の上で個人の感想を述べました。

アマチュア無線で「わいせつな通信」は禁じられています

5、憲法・政府の暴力的破壊を主張する通信を発する行為

アマチュア無線で憲法・政府の暴力的破壊を主張する通信を発する行為はできません

電波法第107条によって、通信秩序を維持するため、憲法・政府の暴力的破壊を主張する通信内容をアマチュア無線で行うことはできません。ではそれ以外の犯罪的な内容の交信はできるのでしょうか?例の如く不勉強でわかりません。

6、暗号での通信

アマチュア無線で暗号を使った通信はできません

電波法第58条によって、アマチュア無線では暗号を使った通信ができません。総務省ではその理由を『アマチュア業務に通信内容を秘匿する必要がないことおよび通信秩序の維持』のためとしています。

暗語使用の禁止・通信に秘匿性を与える機能について

暗語使用の禁止について

アマチュア局は、多数の免許人で周波数を共用してお互いに譲り合いながら電波を使用して国内外の他者との通信を行うことを目的とするものであるなど、その開設の目的から、通信内容を秘匿する必要がなく、通信秩序の維持のための必要から、「アマチュア無線局の行う通信には、暗語※を使用してはならない。」(電波法第58条)とされております。

※暗語とは、通信内容を第三者に分からないようにするため、通信当事者間で定めた仕方により、通信内容を秘匿したものをいいます。

出典 総合通信局 https://www.tele.soumu.go.jp/j/others/amateur/info/confidentiality/

ただ、いわゆるQ符号は暗号ではなく略号であり、使用できるとの政府の見解です。

○政府委員(網島毅君) 実験無線局及びアマチユア無線局は暗号は扱つてはなりませんが略号は扱つても構わないと思います。殊に国際條約の規定によつて決められてQコードというようなものは使用さしてもいいと考えております。尚一般無線局には暗号は使つても差支えありません。

出典 https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=100714847X01119500302&spkNum=100#s100

アマチュア局や業務局で使われているQ符号は広く公にされているものですし、交信内容を秘匿することが目的ではないということですね。

アマチュア無線で使われるQ符号とは?

また、アマチュア無線以外の『一般無線局』は暗号を使った交信は差し支えないそうです。実際に業務無線でも暗号は一般的ですし、消防無線では暗号を使って交信しますし、警察無線では「男が”センターポール”を露出しながら駅前を徘徊…」などという暗号を使って指令を出していたようです。センターポールが何を表すのかは割愛します。

https://policemaniacs.com/code_ichirei/

7、他人に依頼された通信

電波法に基づき無線局の運用方法について定めることを目的とする総務省令である『無線局運用規則』の第259条により、アマチュア無線では他人に依頼された通信はできません。

ただし、地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合における、人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持のために必要な通報及び人工衛星に開設するアマチュア局の送信する通報は、この限りではないとなっています。

つまり、いわゆる『非常通信』において、被災者など他人に救助の通報を依頼された場合、あるいは人工衛星に開設するアマチュア局の送信する通報は、何の問題もなく行えるということです。

アマチュア無線でやってはいけないことのまとめ

このように、アマチュア無線は電波法によって各種の禁止行為が定められています。これら不法無線局を取り締まっているのが、総務省総合通信局です。総合通信局による取り締まりについては以下の記事で解説しています。

不法無線局を取り締まる総務省総合通信局(総通)とは?

アマチュア無線技士の従事者免許証を取得する方法

アマチュア無線を運用するためには従事者免許証(従免)と無線局免許状(局免)が必要です。

ただし、現在は『アマチュア無線の交信体験制度(体験運用)』があり、無資格のどなた(年齢不問)でも、有資格者の監督のもとで一定の操作(交信体験)が行えます。

このうち、本項で解説する従事者免許証(従免)が俗に言うアマチュア無線の資格になります。

昭和33年以前までは有効期限が設けられていましたが、現在は書き換え更新不要の終身資格。取得後の煩わしさはありません。

アマチュア無線技士の従事者免許証を取得する方法

アマチュア無線技士は全級において受験資格に年齢や学歴は不問です。

従免の取得には下記の二通りです。

  1. 国家試験に合格して取得
  2. 養成課程講習会を受講し、修了試験に合格して取得

一般に養成課程講習会での取得が国家試験に比べて容易です。養成課程講習会の概要もご紹介しています。

講習と簡単な修了試験で4級と3級の国家資格が取れる養成課程講習会とは?

CBT試験の概要

第三級および第四級アマチュア無線技士は2024年現在、全国各所にある民間事業者運営による「CBTテストセンター」にて受験可能です。

CBTはパソコン画面上に表示される多肢選択問題をマウスで選んで回答する方式です。

ご自宅に最も近いテストセンターのほか、ご希望の地域のテストセンターでの受験を自由に選べます。

申込み方法等は株式会社CBT-Solutions公式サイトでご確認ください。https://cbt-s.com/examinee/examination/nichimu.html

第三級および第四級アマチュア無線技士をはじめ、プロ用資格である陸上特殊無線技士(二級および三級、一級養成課程選抜試験)や海上特殊無線技士(二級および三級)、2アマeラーニングなどの修了試験がCBT試験方式に対応しています。

プロの無線従事者の資格とは?アマチュア業務とプロの業務はどう違う?

試験実施日はテストセンターによって異なりますが、年間を通して多数開催されています。

テスト終了後、ただちに印刷されて発行される試験結果レポートに得点が記載されており、自身で合否判定が可能です。

受験当日は本人確認のため、顔写真付きの本人確認書類(有効期限内の運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、学生証など)が必要です。

※受験票(CBT試験では発行されません)、筆記用具は不要です。

なお、第二級および第一級アマチュア無線技士はこれまで通りの試験です。

無線従事者育成機関である財団法人・日本無線協会の無線従事者国家試験申請システムから申請します。

https://shinsei.nichimu.or.jp/

※ご注意 インターネットによる申請受付期間は、毎月1~20日まで。

フォームに必要事項を記入して送信後、同協会からのメールに従って日本無線協会の指定する口座に指定の受験料を期日までに振り込むと、一ヵ月後にハガキの受験票が届きます。

受験票には自分の氏名や受験する級の区分、受験日時、受験会場などが記載され、記載に相違がないか確認後、受験票に氏名、生年月日などを記入し、顔写真を貼ります。

指定された受験日に受験票と筆記用具を持って、指定された受験会場にて受験します。

東京都中央区晴海三丁目の日本無線協会本部では、毎月第3日曜日に当日受付による国家試験が実施されています。

同本部での試験の場合、合否結果が当日に開示され、合格すると、その場で免許申請がOKです。申請手数料や写真も同時に持って行くと便利。

なお、筆者が取得したのはCBT試験ではなく、通常のマークシート方式の試験でした。当時の受験体験と勉強に利用した書籍を以下の記事で紹介しています。

【コラム】アマチュア無線技士の国家試験体験記

合格後の無線従事者免許証の申請手続き

国家試験と講習会の修了試験、いずれも合格後はご自身で総合通信局へ従事者免許証の申請手続きが必要です。

その1、申請書のダウンロード

出典 総務省電波利用ホームページ http://www.tele.soumu.go.jp/j/download/radioope/index.htm

まず、「総務省電波利用ホームページ 」にアクセスし、「アマチュア無線技士用従事者免許証申請書(PDFファイル)」をPCにダウンロード後、A4版白色コピー紙に印刷します。

プリンターが自宅になくてもOKです。

スマホにダウンロードした申請書のPDFファイルをセブンイレブンの「かんたんnetprint」アプリでアップロード(登録)し、お近くのセブンイレブン店舗に設置された複合機から、アプリで登録したPDFファイルを呼び出し、プリンター機能にて印刷できます。

サイズはA4、白黒で印刷してください。

その2、申請書への記入

申請書には申請資格名、氏名、生年月日、住所、電話番号、国家試験の受験番号または養成課程の修了証明番号、欠格事項の有無を記載のうえ、6ヶ月以内に撮影された写真(縦30mm&横24mm)を貼付します。

申請書への記入の仕方 http://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/operator/01B.pdf

無線従事者規則第42条について

また、以下の方は欠格事項に該当し、免許が与えられない場合がありますので、ご確認ください。

第四十二条 次の各号のいずれかに該当する者に対しては、無線従事者の免許を与えないことができる。

一 第九章の罪を犯し罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者

二 第七十九条第一項第一号又は第二号の規定により無線従事者の免許を取り消され、取消しの日から二年を経過しない者

三 著しく心身に欠陥があつて無線従事者たるに適しない者 (平一二法一〇九・一部改正)

出典 総務省公式サイト https://www.tele.soumu.go.jp/horei/law_honbun/72001000.html

なお、心身障害者であっても無線設備の操作に支障がない場合は無線従事者免許が与えられるように電波法が一部改正されました。

JARL公式サイト https://www.jarl.org/Japanese/2_Joho/2-2_Regulation/jyujisha0011.htm

その3、同封するもの

上記の申請書のほか、必要なものを同封します。

1、氏名と生年月日を証明するための公的な書類

総務省が指定する”氏名と生年月日を証明するための公的な書類”には運転免許証、住民票、印鑑登録証明のいずれかがありますが、いずれもコピーは不可です。

車の運転免許証で証明したい場合、免許証そのものを同封しなければなりませんが、これでは車の運転免許証が手元を離れ、運転できなくなってしまい不便です。

ただし、住民票コードの通知を受けている方、電気通信主任技術者資格、工事担任者資格、無線従事者資格のいずれかをお持ちの場合は、上記の”氏名と生年月日を証明するための公的な書類”の提出が不要です。

たとえば、すでに4アマの方が3アマに合格し、新たに3アマの従免申請を行う場合、お手元の4アマの従事者免許証に記載された免許番号を申請書に記入することで、”氏名と生年月日を証明するための公的な書類”に代えることができます。

2、手数料

手数料として、1,750円分の収入印紙が必要です(2024年現在)。※収入証紙ではありません。郵便局窓口で購入できます。収入印紙は申請書の左側上の欄に貼り付けます。

3、110円切手をちょう付した返信用封筒 (免許証の郵送を希望する場合のみ)

自分の氏名と宛先を記入し、切手を貼付した返信用封筒を同封します。※2024年10月から定形郵便物の郵便料金(切手)が110円に改定されていますのでご注意ください。

なお、免許証は総合通信局で直接受け取ることも可能。その場合は返信用封筒は不要です。

その4、提出

ご自身の居住する地域を管轄する総合通信局へ送付します。

出典 https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/fees/other/commtab1/

総合通信局等の所在地

北海道総合通信局(公式サイト) (管轄区域:北海道)
〒060-8795札幌市北区北8条西2-1-1札幌第一合同庁舎
東北総合通信局(公式サイト) (管轄区域:青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
〒980-8795仙台市青葉区本町3-2-23仙台第二合同庁舎
関東総合通信局(公式サイト) (管轄区域:茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨)
〒102-8795千代田区九段南1-2-1九段第三合同庁舎
信越総合通信局(公式サイト) (管轄区域:新潟、長野)
〒380-8795長野市旭町1108
北陸総合通信局(公式サイト) (管轄区域:富山、石川、福井)
〒920-8795金沢市広坂(・かなざわしひろさか)2-2-60金沢広坂合同庁舎
東海総合通信局(公式サイト) (管轄区域:岐阜、静岡、愛知、三重)
〒461-8795名古屋市東区白壁(しらかべ)1-15-1名古屋合同庁舎第3号館
近畿総合通信局 (管轄区域:滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
〒540-8795大阪市中央区大手前1-5-44大阪合同庁舎第一号館
中国総合通信局(公式サイト) (管轄区域:鳥取、島根、岡山、広島、山口)
〒730-8795広島市中区東白島町19-36
四国総合通信局(公式サイト) (管轄区域:徳島、香川、愛媛、高知)
〒790-8795松山市味酒町2丁目14-4
九州総合通信局(公式サイト) (管轄区域:福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島)
〒860-8795熊本市西区春日2-10-1
沖縄総合通信事務所(公式サイト) (管轄区域:沖縄)
〒900-8795沖縄県那覇市おもろまち2-1-1那覇第2地方合同庁舎3号館4階

申請書の記載内容に問題がなければ、数日から数週間後に従事者免許証が無事にお手元に届きます。

まとめ

以上の申請手続きにて、従事者免許証が交付されます。

余談ですが、アマチュア無線の従事者免許証を「官公署発行の顔写真付き身分証明書」として、車の運転免許証同等の身分証として利用できる場面はケースバイケースです。

それは、本人の住所が記載されていないのが理由。

主に使えない場面は郵便や銀行の貯金・保険関係などですが、多くの市町村役場の窓口では本人確認時に使用できる身分証の例として公式サイトで挙げています。

さて、アマチュア無線を運用するにあたっては、従事者免許証の次に無線局免許証(局免)の申請(開局申請)が必要です。

開局申請の手続きと受け取りまで、以下のページにて解説しています。

新制度発足!アマチュア無線の局免申請から受け取りまで

航空自衛隊の戦術用周波数『GCI』解説……公開すると逮捕される!?

航空無線は主としてVHF帯に空港・航空路管制の周波数、各航空事業者・各公的機関が業務に使うカンパニーラジオなどを割り当てている。

一方、航空自衛隊ではUHF帯に戦術交信用周波数が複数ある。

これらを無線愛好家の間ではGCIと呼ぶが、その正体は一体何か。

本来、GCIとは純粋に『地上要撃管制(Ground-controlled intercept)』を意味し、我が国の航空自衛隊における対領空侵犯措置における防空戦術である。

離陸から着陸までを誘導するのが一般的な航空管制だが、GCIは要撃機が離陸した後、防空指令所やレーダーサイトが空中目標(領空侵犯機など)に誘導することを目的とした戦闘用の通信なのだ。

将来的にスパイ防止法でもできれば別だが、個人的に自衛隊のアナログ無線通信を傍受する行為は現在の憲法や法律のもとではとくに規制はない。ただし、現状の法制度のもとでは周波数は原則公開であるが、GCIの詳細な周波数は公共の安全や国の防衛に関する重要通信として総務省も公開していない。

この公開されないミステリアスなGCIこそ、我が国の国防の最前線の無線を代表するミリタリーエアーバンドの真髄であり、マニアを熱狂させる”戦闘波”なのだ。

なお、3自衛隊における一般的な無線通信は以下の記事でも解説している。

自衛隊無線の各帯域(HF、ローVHF、UHF)ごとの受信方法解説

 

ではGCIについて、実際の詳しい運用例と傍受方法などを以下に解説しよう。

航空自衛隊による対領空侵犯措置とGCI運用

航空自衛隊の対領空侵犯措置とは、我が国の領空を侵犯または侵犯する疑いのある国籍不明機に対する一連の対処行動であり、一般に要撃やスクランブルと呼ぶ。

通常、各国では防空識別圏(ADIZ)を設定し、自国周辺を飛行している民間機、軍用機等の識別を実施しており、我が国の航空自衛隊も24時間絶え間なく全国28箇所の防空レーダーサイト、より遠方まで監視できる早期警戒管制機・AWACSなどで監視任務を担っている。

国籍不明機が我が国の領空を侵犯する可能性がある場合、対領空侵犯措置がとられ、戦闘航空団の配置された各基地からスクランブル発進した要撃戦闘機は目標までのコースを地上の防空指令所(DC)、全国28箇所のレーダーサイト、さらには早期警戒管制機などから指示される。これら一連の空自による防空管制をGCI (Ground-controlled intercept…地上要撃管制)と呼ぶ。

https://jieitaisaiyou.com/%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A%E3%81%AE%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88/

 

戦闘機自体も機上に索敵レーダーを備えるが、スクランブル発進した戦闘機が国籍不明機(彼我不明機とも呼ぶ)まで自機のレーダーを頼りに飛行することは稀。地上の防空指令所や空中のAWACSからのGCIによる誘導に委ねているのが現状だ。※GCIには音声を伴わないデータリンクのみもある。

GCIによる誘導で彼我不明機を補足した要撃機(通常は2機編成で離陸)は、僚機とともに当該機を上下左右から挟み込み、機体に描かれた国籍マークなどを確認し写真撮影などを行い、基地へGCIで報告。その際に撮影された映像はリアルタイムで空自の防空指令所(DC)に伝送されている。

領空侵犯機に対しては、『Uガード』と呼ばれる国際緊急周波数で、英語や当該機の国の言語等を使って警告を発する。

「アテンション!ロシアンエアクラフト!ロシアンエアクラフト!ディスイズジャパニーズエアロスペース!(注意せよ!ロシア機!ロシア機!ここは日本の領空だ!)」

例として、このような警告の通信が行われる。さらには「ただちに飛行コースを変更セヨ、ワレに従わぬ場合は貴機に実力を行使する」など、恐ろしい警告も。

黎明の笛 KDP版

明らかな軍用機の場合、コース変更や領空外への退去に従わなければ、自衛隊機が相手の前方に向かって後ろから搭載機関砲による信号射撃を行うほか、強制着陸、そして最終手段となる撃墜なども待っている。

国際緊急周波数の解説!救難要請から領空侵犯まで!航空自衛隊のGCIとも関わりあり

すなわち、これらの周波数が騒がしくなる事態は一触即発の外交問題寸前の事態であり、最前線の生々しいやりとりを受信機を通して自衛官や政治家と共有することになる。これが興奮せずにいられるだろうか。

とはいえ、これらGCIの各チャンネルは、実戦以外でも普段から訓練に使用されており、教官パイロットが訓練生を教育するに当たり、厳しい口調で叱りつけるような言い方を聴くと、当然ながら自衛隊の任務も諸外国の軍隊と同様、厳しい任務であることを再認識するはずだ。

GCIは通常の航空管制とは違って周波数が非公開だが…

GCIには訓練用、ホット(実戦)用、部隊間連絡用などがあるが、前述の通りGCIの周波数は非公開。関連雑誌や周波数バイブルなどでもGCI周波数までは親切に教えない。

これは、SNS上などでの公開が自衛隊側に発覚すると、すぐさま周波数が変更されるという理由もあるが、公にならない限り変更されることはないだろう。それもそのはず、航空自衛隊全体でこれらのチャンネルは莫大な数があり、容易に変更はできない。

したがって、GCIの直接的な周波数をネット上で万が一にも公にしないことは自衛隊の任務に支障を生じさせないため。自衛隊に限らず、軍事通信はいつの時代も敵対国に傍受(無線通信の傍受による情報収集を”シギント”と呼ぶ)されているとはいえ、周波数の直接的な公開はNG。

GCI受信を80年代から指南している『月刊ラジオライフ』誌でも『具体的な周波数はあえて掲載しないスタンスでやってきました』(同誌2019年9月号「ミリタリーエアバンド教導群」175P参照)としているが、この一文が全てを物語る。

なお、航空無線関連冊子で掲載されている周波数で225~390MHzで空自用となっているものは、GCI以外の管制用周波数(GCAなど)だ。

ただ、あくまで筆者個人の推測だが、万が一傍受した人が周波数を公開したとしても、ただちに電波法違反となるかと言えば、ならない可能性が高いのではないか。

過去、月刊ラジオライフ誌上において、アナログ警察無線の周波数が詳細に公表され、警察当局が摘発に動いた例があるものの、警察当局が伺いを立てた当時の郵政省電波監理局は「違法に当たらない」とし判断し、摘発は見送られている。

ただし、「周波数の公開」ではなく、警察無線や鉄道事業者の無線の「音源の公開」など、明らかな漏洩の場合は過去に電波法違反で摘発されたケースが複数あるため、そのような行為はGCIの場合でも刑事責任が追及される可能性が高い。

なお、GCIの周波数を職務上知り得る立場にある現職自衛官がそれを公開すると機密の漏洩などに問われる可能性があることは言うまでもない。

戦闘機のパイロットが持つタックネーム

これら空自の戦闘機パイロットはそれぞれが一つの『タックネーム』と呼ばれる戦術上のニックネームを持っており、機体につけられたコールサインとは異なる。空戦訓練においてもGCIの交信ではタックネームでお互いを呼び合うのが慣例。

https://jieitaisaiyou.com/tacname/

広帯域受信機でGCI周波数をサーチする方法

GCIの帯域を受信できる受信機が手元にあるなら、そのGCIを探す手法は非常に簡単。

  • AMモードにして225MHz~390MHzの間を100kHzステップでサーチ

これだけ。そう言うとやや語弊もあるが、24時間ぶっ通しで、というのが前提。当然、複数の受信機で同時にサーチすれば効率も良い。

もちろん、225MHz~390MHzの間には各種の事業者、警察、消防などの公的機関、それに家庭用の電話機などに割り当てられた周波数が存在する。例を挙げれば、旧規格コードレスホンの子機側は253.8625 – 254.9625MHz。次はデジタル消防無線の265MHzから275MHz。

さらに351MHzではデジ簡の各チャンネル、360MHzには各所轄警察署の署活系無線、警備会社、水道関係、また380MHzから上は旧規格のコードレスホンの親機側の帯域があり、自衛隊もGCIで使用しにくい。

実質的にGCI周波数が使われているのは225~250MHz、それに270~390MHzあたりと考えられるものの、必ずしもそうとは言い切れない可能性も。警察無線の署活系3※※MHzあたりにA署とB署の合間を縫ってGCIがポツリと入り込んでいるのでは・・・!?

ともかく、非公開周波数GCIの全貌と発見のテクニックが以下の書籍に記載されているのでチェック。

間違いやすいが、GCIも航空無線であり、FMモードではなく、原則AMモード。

GCIには訓練用、僚機との交信用、ホット(実戦)用があり、日常から交信は多いが、何の前触れもなく深夜に戦闘機の爆音がかすかに漆黒の空から聞こえたときがチャンス。SNSなどにリアルタイムな地元の空の異変をうかがわせる書き込みがないかチェック。あれば領空侵犯機に対する要撃で基地から離陸している可能性が高い。

困惑する千歳市民を尻目に稚内沖の1万フィート上空では戦闘機パイロットたちが国際緊急周波数で『ロシアンボンバー、アテンション!アテンション!』と怒鳴りつけたり、GCIで『警告を実施したが当該機は我に従わない!引き続き警告を実施スルーッ!』などと物騒なやり取りを地上の防空司令所としている可能性もある。こんな無線がいきなりキミの受信機に飛び込んで来たら……。

The Air Force Space Command (Blazers: U.S. Armed Forces)
The Air Force Space Command (Blazers)

日本海上空でロシア空軍や中国空軍に立ち向かっていく航空自衛隊機の緊迫感を窺い知るには受信機の秒速サーチが大活躍。要撃機がRTB(帰投)するまで、くまなくチェックしたい。

自主規制された『歯抜け受信機』では一部周波数が受信不可

市販の受信機にはGCIが受信できる機種、できない機種がある。

メーカー各社が加入する「日本アマチュア無線機器工業会」の自主規制によって、プライバシーに関わるUHF帯の一部が削られているためだ。

これは「歯抜け」と呼ばれる問題で、「お前の歯も抜いてやろうか」のページで詳しく解説中。

非・受信改造済みIC-R6を買うと後悔する理由とは?

 

また、歯抜けが無くてもサーチ速度が遅い受信機でのGCI受信はNG。だからこそGCI波を探すにはサーチおよびスキャン速度&感度が優秀でUHF帯にも強く、歯抜けをフルカバー受信できるように改造された100chのメモリーを約1秒で周回するこちらのベストセラー受信機が、マニアやプロから推奨されているのだ。

まとめ・・GCI受信は数あるジャンルの中でもワクワク感は異常

以上、ミリタリーエアバンドの真髄であるGCIがマニアを魅了する理由をご理解いただける一助になれば幸いだ。

これらGCIで使われる周波数はそれぞれチャンネルになっており、苦労して自分で見つけたGCI周波数が豊富にメモリーされた受信機は自分だけの宝物。そう、GCI探しはまさに宝探し。

さらに詳しく知りたいのなら「月刊ラジオライフ」や「航空無線のすべて」など専門誌がおすすめ。

Amazon Kindle Unlimitedに入会すると、月額980円で三才ムックが出版する「月刊ラジオライフ」や「航空無線のすべて」などの無線関連をはじめ、100万冊の電子書籍(キンドル本として販売されている小説、コミック、雑誌、写真集など)が追加料金なしで読み放題。

深夜に突然聞こえてきた「管制当局の命令を無視した民間機が自衛隊戦闘機にチェイスされる深刻な無線交信の正体は”GCI劇場”だった!」……という笑撃のオチも楽しめるラジオライフなどが、Amazon Kindle Unlimitedに入会すると、月額980円で読み放題。

[btn] Amazon Kindle Unlimited[/btn]

Kindle端末がなくても、Kindleの電子書籍はパソコン(ブラウザやアプリ)やスマートフォン(アプリ)で読書可能となっている。この機会に入会してみよう。