日本のアマチュア無線文化を支える二つの民間団体
日本のアマチュア無線の発展には、無線家が中心となって運営する二つの民間団体、JARLとJARDの存在が欠かせません。
JARL(一般社団法人日本アマチュア無線連盟)
JARLは、アマチュア無線家による自主組織で、相互の交流やアマチュア無線の普及を目的に活動しています。1926年(大正15年)に任意団体として設立されましたが、太平洋戦争により一時活動を停止。終戦後の1946年(昭和21年)に再結成され、現在は一般社団法人として運営されています。
JARLは、アマチュア無線の利用環境の改善に長年取り組んできました。具体的には、以下のような貢献があります:
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新しい周波数帯の割り当てを国に要望・実現
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使用可能な電波形式の拡大
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無線従事者資格取得や無線局開設手続の簡素化
これらの活動により、アマチュア無線が始めやすく、続けやすい制度づくりが進みました。
JARLの会員制度は以下の通りです。
区分 | 内容 |
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正員 | アマチュア無線局を開設している個人または社団 |
准員 | 無線局を持たないが、アマチュア無線に興味を持つ個人 |
家族会員 | 正員と同居し、かつ無線局を開設している家族(配偶者・親子・兄弟姉妹) |
賛助会員 | JARLの活動に賛同する個人・法人・団体 |
入会は任意であり、アマチュア無線を始めるにあたって必ず加入しなければならないわけではありません。ただし、会員になるとQSLカードの転送サービスなどの特典が利用できます。
また、JARLはアマチュア無線家の代表として旧郵政省(現:総務省)と交渉を重ねてきた歴史があり、初心者にもやさしい制度の整備に貢献してきた実績があります。
JARD(一般財団法人日本アマチュア無線振興協会)
JARDは、アマチュア無線の普及と制度運用の実務を担う一般財団法人です。もともとはJARL内部の組織でしたが、公益性の観点から郵政省の指導のもと、アマチュア無線独自の証明機関として独立しました。
JARDは、JARLとは異なり、制度や技術に関する実務面のサポートを行っています。主な業務は以下の通りです:
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第4級・第3級・第2級アマチュア無線技士の養成課程講習会の開催
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無線機器の技術基準適合証明(技適)の審査・証明
制度上の窓口として、初心者がアマチュア無線を始める際には非常に関わりが深い組織です。
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JARD公式サイト:http://www.jard.or.jp/
補足:
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JARLはアマチュア無線家の団体であり、仲間との交流や制度改善を中心とした活動を行います。
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JARDは制度の運用や講習、技術証明を専門とする実務機関です。
どちらも日本のアマチュア無線文化の発展に欠かせない存在です。