特定小電力トランシーバーとは?
特定小電力トランシーバーは、正式には「特定小電力無線局」と呼ばれ、1989年に制度化された無線です。より正確には、「特定小電力無線局」の中に分類される「無線電話用」のトランシーバーを指します。
一般には「特小(とくしょう)」という略称で親しまれており、家電量販店やホームセンターなどで手軽に購入できるため、遊びや簡易な業務連絡用として広く利用されています。免許や資格が不要なため、誰でも気軽に使える無線機です。
特定小電力トランシーバーの主な特徴
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免許・資格が不要
どなたでも購入・使用できるライセンスフリーの無線機です。 -
使用する周波数帯
通信は主に420MHz帯を利用し、決められたチャンネルを選んで使います。 -
通話方式
基本的には単信通話(交互通話)で、同時に話すことはできません(※同時通話対応機も一部存在します)。 -
初期の仕様について
かつては「呼出名称記憶装置」の搭載が義務づけられており、機種ごとにメーカー名や製造番号が自動送信されていましたが、現在ではこの制度は廃止されています。 -
アマチュア無線との違い
特小トランシーバーはアマチュア無線機とは異なり、アマチュア局との交信はできません。あくまで「誰でも使える市民向け無線」として独立した枠組みです。
特定小電力トランシーバーの距離は?
ただし、パワーは極めて低く、スーパーやデパート、テーマパークなど同一敷地内か、見通し距離でも2km圏内での通信が最大です。
おすすめの機種と選び方
特定小電力トランシーバーには、チャンネル数の多さ、秘話機能、同時通話、防水性能など、さまざまな機能が搭載された機種があります。高機能な製品ほど価格は高くなりますが、長く安心して使いたい方には、信頼性の高いメーカーの製品をおすすめします。
とくに、アイコム(ICOM)、アルインコ(ALINCO)、**ヤエス(YAESU)**などの一流メーカーは、業務用途でも高い評価を受けており、品質やサポートの面でも安心です。
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特定小電力トランシーバーの使用例

ライセンスフリー無線機各種。左のモデルがアルインコの47ch中継対応防浸型 特定小電力トランシーバー DJ-P221
特定小電力トランシーバーは一般的な屋外の工事現場や店内業務のほか、アウトドア、スポーツ、仲間で連なって走るドライブなど、レジャーでの連絡手段にも使えるマルチな無線機です。
レジャーでの使用

女性サバゲーマー(概念図)
特定小電力トランシーバーの実用性と活用シーンについて
特定小電力トランシーバーは、その名のとおり出力が非常に小さい無線機です。そのため、同じ建物内や近距離で、かつ見通しの良い開けた場所での使用にもっとも適しています。
たとえば、グループでの登山やスキーなど、自然の中で行うレジャーでは、離れた場所にいる仲間との連絡手段として非常に便利です。互いの姿が見えない場合でも、トランシーバーを使えば状況確認や集合指示が簡単に行えます。
とくに多く使われているシーン ― サバイバルゲーム
特定小電力トランシーバーがもっとも頻繁に使われているレジャー分野としては、サバイバルゲーム(通称「サバゲー」)が挙げられます。
チームメンバー同士で戦況の報告や作戦の指示、さらには非常時の連絡手段として、トランシーバーは非常に重要なアイテムです。実際、多くのプレイヤーが携帯しており、ゲームを円滑かつ安全に進めるために欠かせない道具となっています。
サバゲーフィールドと交信距離の相性
サバゲーのフィールドは郊外に設けられることが多く、私有地が一般的です。適度に整備された雑木林など、人が身を隠しやすい地形が選ばれます。このような環境では、見通し距離で数キロ程度の交信が可能な特定小電力トランシーバーが最適です。
また、屋外フィールドに限らず、室内(インドア)フィールドでも重宝されており、壁や障害物が多い空間でも一定の通話が可能です。
通信の傍受と秘話機能について
実際の軍事作戦と同様に、敵の通信を傍受してその内容から作戦を予測することは、戦術上の重要な要素とされています。また、逆に敵にわざと誤った情報を流し、混乱させる「欺瞞通信」も、戦術の一つとして実在します。

本職
しかし、日本の無線通信においては、相手に損害を与える目的で虚偽の通信を行うことは法律で禁止されています。したがって、サバイバルゲームにおいても、あくまで遊びの範囲での利用にとどめる必要があります。
もしも通信の内容を相手に傍受されたくない場合は、秘話機能付きのトランシーバーを選ぶことをおすすめします。戦術面での優位性を保つうえでも、秘話機能は大きなメリットになります。ただし、反転秘話は簡単に解読されます。
以上のように、特定小電力トランシーバーはレジャーや趣味の活動において、手軽でありながら実用性の高い通信手段として活躍しています。使い方や用途に応じて、最適な機種を選ぶことが、快適な無線運用につながります。
当然、防水機能を備えた機種が好まれます。
業務での使用
特定小電力トランシーバーの業務での使用例は、比較的大規模なスーパー、大型ショッピングセンターの従業員の品出、工事現場などがあります。
例えば、建設現場では地上のクレーン車のオペレーターとビルなどの高層にいる作業員との連絡。
また、片側交互通行の工事現場で交通誘導警備員が連絡で使用しており、街中での業務利用に最適です。
レジャー用とビジネス用の違いで、機種によっては通話できないデメリットも
特定小電力トランシーバーのチャネルにはビジネス用のBとレジャー用のLがありますが、 基本的に特定小電力トランシーバーの規格であれば、周波数は同じなので交信可能。
ただし、市場にはレジャー使用を想定した20ch機と、業務使用を想定した47ch機の二つが販売されているため、機種によってはチャネル数により通話できない場合もあります。
できれば同じ機種同士で交信すると確実です。
特定小電力トランシーバーは電波利用料も不要
特定小電力トランシーバー最大の利点は免許、資格、届け出が不要かつ、電波利用料もかからない点です。
アマチュア無線であれば、年間の電波利用料や、開局の申請手数料が必要ですが、特定小電力トランシーバーは事実上、無線機本体の代金と電池代だけで使用でき経済的です。
ただ、無線局としての申請が不要ということはコールサインが付与されないということでもありますから、レジャーなどや特定小電力トランシーバーでCQを出す際に識別を付ける必要がある際は各自が好きなコールサインを名乗るのが慣習になっています。
特定小電力トランシーバーをフリーライセンス的に使用する
特小はレジャー用として使用が許されており、不特定多数の人との交信も可能。
アマチュア無線のように高い山の山頂からCQを出して楽しむフリーライセンス局もいます。
特小には法で定められたメインチャンネルはありませんが、呼び出しを行うチャンネルはレジャー3chが昔からの慣習です。
出力は弱いが、山の上では数百キロ、中継装置の使用もOK
特定小電力の0.01Wは10mWという、たいへん弱い出力です。
交信距離が平地で1キロ程度であり、その微弱な送信出力はデメリットと言えます。
例えばデジタル簡易無線の1ワット送信時の1/100ですから 、 電波の飛びに不安を覚える方もいるでしょう。
ところが、数百メートルの山の頂から電波を出すと、数百キロ先へ届くことも。
また、中継器の使用が許されているので、広い店舗でもくまなく使うことができます。
業務以外のレジャー目的でも中継器の設置ができ、山頂に設置することでアマチュア無線のレピーターと同じように、通話距離を伸ばすことも可能。
しかし、業務で使用している局との混信には注意が必要です。
なお、アンテナ交換は法律で認められていません。
まとめ
特定小電力無線は資格や届け出、電波利用料も不要で、しかも遊びと仕事、どちらにも使えるお手軽なフリーライセンス無線。
ただし、送信電力はとても弱いので郊外で数キロ、街中では数百メートルが限界です。
もし、特定小電力よりも遥かに電波が飛び、仕事にも遊びにも使える免許不要の無線が欲しいなら、デジタル簡易無線(登録局)が最適です。
資格は不要で、総務省への登録の書類手続きと、年間数百円の電波利用料のみで使用できます。