航空機の追跡がもっと簡単に!定期便の動きをリアルタイムで追える便利なツール
近年、航空機の追跡は以前に比べて格段に簡単になりました。特に、ルートがほぼ決まっている定期便の場合、緊急事態でもない限り、航路を大きく外れることは少ないため、航空機の動きを追うのも難しくありません。
定期便は通常、予め決められたルートに従って運行されるので、受信してその動きを追いかけたり、待ち受けをしても予測がしやすいのです。
さらに、現在では「Flightradar24」といった便利な無料アプリが登場し、航空機の位置情報をリアルタイムで地図上に表示することができるようになりました。
このアプリを使えば、航空機がどこにいるのか、何時に到着するのかを24時間、瞬時に確認できるので、まるで自分が航空管制官になったかのような感覚を味わうことができます。
そしてリアルタイムでフライトの情報を手軽にチェックできることは、航空ファン、とりわけ航空無線の受信を趣味にしている人にとっては、さらに楽しみが加わることになります。
https://www.flightradar24.com/- Live flight tracker!
Flightradar24 is the best live flight tracker that shows air traffic in real time. Best coverage and cool features!
Flightradar24(FR24)とエアバンド受信を組み合わせると、リアルタイムで飛行機の動きとパイロット・管制官の交信をリンクさせて楽しむことができます。
特にアプローチや離陸、巡航中の機体の状況を詳しく把握できるのが魅力。
各項目に飛べます
Flightradar24の仕組み
「Flightradar24」は地図画面上にリアルタイムで飛行中の航空機の位置情報を表示するアプリです。
その仕組みは簡単。

画像典拠元 Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/Flightradar24
ADS-B「Automatic Dependent Surveillance-Broadcast」いう機器を搭載した航空機から発せられるさまざまなデータ信号を受信機で受信した世界中のボランティアユーザーが、その情報をインターネットでFlightradar24の専用サーバーに送信して、オンライン上に表示する仕組みです。
ADS-Bには、航空機の位置情報のほか、航空機の種別、対気速度、旋回、上昇、降下といったデータが含まれています。
航空機が突然行方不明になるのを防ぐための画期的なシステムなのです。

朝8時ごろの日本と周辺諸国の飛行状況の様子。リアルタイムで世界の空には多くの飛行機が。 (画像典拠元 Flightradar24.com)
Flightradar24では無料版でも多くの情報が表示されますが、有料版ではさらに詳しい情報も。
Flightradar24はスマートフォン向けのアプリおよびパソコン向け公式サイトとしても配信されており、いつ、どこでも24時間世界中の航空機を追跡可能。
Flightradar24で検証可能な航空機の各種情報
旅客機では便名(自家用機は便名が割り当てられないため機体番号が表示されます)、出発地と目的地(空港コードや都市名も表示されます)、Aircraft(機種)、Registration(機体登録記号)、Mode S(モードSトランスポンダのコード)、Altitude(飛行高度)、Vertical Speed(上昇・降下率)、Speed(対気速度)、Track(飛行方位)、Latitude/Longitude(緯度および経度)、Radar(その機の情報を受信してるレーダー名)、いろんな情報が表示されます。
Flightradar24アプリを立ち上げたら、世界地図が表示されるので、まずは自分が住んでる地域をズームアップ。
画面の左下に表示されてる矢じり型の「位置情報サービスアイコン」をタップしたら、自分の今いる場所がすぐに表示されるので、近くを飛んでる航空機がないかチェックしてみましょう。
大型機が頻繁に離着陸する空港では、複数の機体が連続してアプローチしてくることも。
FR24でどの機体がどこにいるかを確認しながら、「次に交信するのはこの機体」と予測して聞くと、まるで管制官気分になれます。
絶え間なく映る航空機にマウスポインタ―を載せてみよう

Flightradar24で表示されている黄色い飛行機のアイコンは、絶えず動いています。
“Live flight tracker”という名前が示す通り、今この瞬間も飛んでる航空機のリアルタイムな情報なのです。
じゃあ、航空機のアイコンにマウスポインターを載せてみよか。
そうすると、JALやANAみたいな日本の航空会社の名前や、外国の航空会社名が表示されるんや。
航空機のコールサインとは?
――航空無線とFlightradar24で空をもっと楽しむために
航空機の無線を受信したり、Flightradar24で機体の動きを追ったりしていると、まず気になるのが「コールサイン」です。これは、無線通信において自分がどこにいる誰なのかを明確にするための“名前”のようなもので、すべての航空機が持っています。
コールサインには大きく分けて2つのパターンがあります。1つは航空会社+便名という形式。毎日決まった時間に飛んでいる定期便の旅客機は、たとえば以下のような形で無線交信に登場します。
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日本航空125便 → 「ジャパンエア・ワンツーファイブ」
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全日空503便 → 「オールニッポン・ファイブゼロスリー」
もう1つは機体登録番号をそのまま使うパターン。個人所有のセスナ機や小型ヘリコプター、そして警察や消防、防災関係のヘリなどがこれにあたります。
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JA123 → 「ジュリエットアルファ・ワンツースリー」
この「JA~」というのが日本の航空機登録番号で、アルファベットをフォネティックコードで読むのが無線のルールです。
Flightradar24と受信機を組み合わせてみよう
Flightradar24では、画面左側に選んだ機体の詳細情報が表示されます。出発地、目的地、現在の高度や速度など、リアルタイムでさまざまなデータを確認できます。航空機がたどったルート(航跡)も地図上に表示されます。
受信機を使って航空無線を聞いていると、航空機が現在通過しているウェイポイントという空中の目印の名前も交信から分かることがあります。事前に自宅付近のウェイポイント名を調べておくと、飛行ルートのイメージがしやすくなっておすすめです。
ヘリコプターや特殊機もチェックできる
Flightradar24では、旅客機だけでなく警察、消防、防災のヘリコプターや、報道用ヘリなども表示されることがあります。
こうしたヘリは、旅客機とは全く異なる飛び方をしているので非常に興味深い存在です。パトロールのように決まったルートを繰り返し飛行したり、ある場所の上空を旋回していたりする様子を観察することができます。
さらに最近では、海上保安庁や海上自衛隊が共同運用している無人偵察機の動きも、稀に表示されることがあります。こうした特殊な機体は、航空ファンの間でも話題になる存在です。
なお、2023年現在では、多くの警察・消防・防災ヘリや報道ヘリにADS-Bという位置情報送信装置が搭載されており、これらのヘリコプターのリアルタイムな位置情報もFlightradar24で確認できるようになっています。
2023年現在、ヘリコプターでADS-Bを搭載しているのは各都道府県の警察、消防・防災ヘリ、それに報道用ヘリコプターが多いようです。
そう、つまりこれらのヘリが複数で同一エリアを飛行している場合、そのルート直下付近で何らかの災害、事件や事故が発生している可能性があるわけです。
2023年 長野立てこもり事件──Flightradar24が映し出した警察特殊部隊『SAT』の展開
Flightradar24(FR24)などの航空機追跡サービスは、空を行き交う民間機だけでなく、警察や消防などの公的機関のヘリコプターの動きもリアルタイムで把握できることがあります。そして、その情報と報道内容を照らし合わせることで、重大事件への対応として行われる警察特殊部隊の作戦展開が、間接的に可視化されることがあるのです。
その一例が、2023年5月に長野県で発生した「長野猟銃立てこもり事件」でした。
事件が発生した当夜、長野県内の場外滑空場に複数のヘリコプターが相次いで飛来・着陸しました。これらは、警視庁および神奈川県警が派遣した特殊急襲部隊(SAT)や特殊犯捜査係(SIT)の隊員、そして彼らの装備や銃器などを現場に迅速に展開させるための輸送作戦の一環でした。
もちろん、警察庁が派遣を決定した時点で、マスコミも「SAT・SITが長野に向けて出動」と報じており、派遣の事実自体は公になっていました。しかし、Flightradar24には警察ヘリの飛行ルートがそのまま表示されており、その情報をSNSに転載する動きが相次ぐという、これまでにあまり見られなかった事態が発生しました。
今回のように、実際の警察活動の一端がリアルタイムで共有・拡散されることで、警察の作戦の透明化とリスクの可視化され、秘匿性が求められる事案への影響も懸念されます。こうした情報がどのように警察当局に受け止められ、将来的にどのような対策がとられるかは現時点では明らかになっていません。
思い返せば、かつてはパトカーに搭載された位置送信装置(通称カーロケ)からの電波を受信することで、パトカーの接近を検知できる探知機が市販されていた時代もありました。当時、警察当局はこれを深刻な脅威と捉え、やがてシステムを刷新。現在では携帯電話回線などを利用した秘匿性の高い通信方式に移行することで、一般の受信機からの探知を困難にしました。
空のカーロケともいえるFlightradar24の登場によって、同様の課題が浮上してきたといえるでしょう。市民が使える便利な情報が、同時に公的機関の戦術的な弱点にもなり得る――
治安維持の支障と警察当局が考慮すれば、警察ヘリも特定の状況下ではADS-Bの電波発信をとりやめて位置情報を秘匿するなど、情勢が変化する可能性もありそうです。
Flightradar24で映る飛行機と映らない飛行機…違いは?

ADS-Bの有無がFlightradar24の可視性を左右する
Flightradar24(FR24)などの航空機追跡サービスでは、ADS-B(自動位置情報送信システム)信号を発信している航空機のみが表示対象となります。したがって、信号を送信していない機体は表示されず、追跡することはできません。
日本国内においては、ADS-Bの搭載が義務化されていないため、すべての航空機がこのシステムを装備しているわけではありません。特に古い機体や小型機では、ADS-Bを未搭載のまま運用されているケースもあります。
また、地上側にもADS-B信号を受信してインターネット上に中継するユーザー(通称フィーダー)が存在しない地域では、たとえ機体が信号を発していてもFR24上に表示されません。たとえば、無人の砂漠地帯や、国家による情報統制が行われている北朝鮮のような地域では、航空機の姿がまったく映らないこともあります。
Flightradar24で軍用機は見えるのか?
FR24で表示されるのは民間機だけではなく、政府専用機や貨物機、空中給油機、米軍機の一部も表示されることがあります。ただし、すべての軍用機が見えるわけではなく、機種や状況によって異なります。
「これはFR24に映っていないけれど、航空無線で交信しているのが聞こえる…!」という瞬間は、無線愛好家にとって非常に興奮する発見といえるでしょう。
筆者のこれまでの観察によれば、通常の訓練飛行などに用いられる戦闘機の位置情報は、原則としてFR24上には表示されません。一方で、災害時における航空偵察任務などの例外的状況では、F-15戦闘機の位置情報が表示されたこともありました。
また、直接戦闘に関与しない輸送機やビジネスジェット型の非武装機については、平時でも表示されるケースが多いです。たとえば、米軍が運航する大型輸送機や定期的なビジネスジェット型機材は、通常の民間機と同じように確認できます。

札幌丘珠空港周辺を飛行するアメリカ陸軍のヘリコプターもコールサイン『NINJA72』とともに表示されていました。
以下に、Flightradar24(FR24)において表示されることがある代表的な軍用機の例を、用途別にまとめてご紹介いたします(※2023年〜2024年時点での観測実績に基づく)。
【政府専用機・VIP輸送機】
機種名 | 所属 | 表示傾向 | 備考 |
---|---|---|---|
Boeing 777-300ER | 日本政府 | 通常表示 | 「JAF001」「JAF002」などのコールサインで表示。日本の政府専用機。 |
C-32A(Boeing 757型) | アメリカ空軍(USAF) | 表示あり | アメリカ副大統領や閣僚輸送。“SAM”コールサインで表示されることがある。 |
C-40B/C(Boeing 737型) | アメリカ空軍 | 表示あり | 政府高官輸送など。民間型に酷似。 |
【輸送機】
機種名 | 所属 | 表示傾向 | 備考 |
---|---|---|---|
C-130H/J ハーキュリーズ | 各国空軍(航空自衛隊、米空軍など) | 表示あり(条件付き) | 主に物資・人員輸送。災害時や国際支援時に表示されることがある。 |
C-17 グローブマスターIII | 米空軍など | 表示されやすい | 輸送任務で世界中に飛行。頻繁にFR24上に出現。 |
KC-135 ストラトタンカー(空中給油機) | 米空軍など | 表示あり | 航空機への空中給油任務。給油ミッション中も表示される場合あり。 |
【偵察・哨戒・特殊用途機】
機種名 | 所属 | 表示傾向 | 備考 |
---|---|---|---|
RC-135(リベットジョイント) | 米空軍 | 稀に表示 | 偵察・SIGINT用途。ヨーロッパ方面などで表示例あり。 |
P-8A ポセイドン | 米海軍など | 表示されることがある | 哨戒・対潜用途。沖縄・横須賀周辺で表示されることがある。 |
EP-3E アリエスII | 米海軍 | 非表示が基本 | 電子偵察用途。FR24では原則表示されない。 |
【戦闘機】
機種名 | 所属 | 表示傾向 | 備考 |
---|---|---|---|
F-15J/DJ | 航空自衛隊 | 通常非表示 | 一般訓練飛行では表示されない。災害時の偵察任務で表示された例あり。 |
F-35A/B | 日米両軍 | 非表示が基本 | 高度なステルス性もあり、FR24には表示されない。 |
F/A-18E/F スーパーホーネット | 米海軍 | 非表示が基本 | 空母艦載機。表示されることはほとんどない。 |
【その他の注目例】
名称 | 備考 |
---|---|
無人偵察機(RQ-4 グローバルホークなど) | 一部表示される例あり(特に沖縄・グアム方面から飛行する米軍機) |
海上保安庁 MA722/MA874等の固定翼機 | FR24にて確認可能。災害派遣時などに可視化されやすい。 |
戦闘に用いられない航空自衛隊の『政府専用機』に関しても2014年まで位置情報が表示されていました。
しかし、防衛省の抗議により、Flightradar24は表示を取りやめに。
ただし、これはあくまでFlightradar24の運営側が政府の要請に従ったに過ぎず、当該機がADS-B信号を発信している限りは同種のフライトトラッカーサイトで表示される可能性があります。
なぜFlightradar24で「Unknown」や「No callsighn」と表示されるのか?

また、位置情報自体は表示されているのに「Unknown」や「No callsighn」と表示がされる場合も。
機体が位置情報を発信していない場合、このような表示です。また”BLOCKED”になる場合もあります。
映るのは飛行機だけじゃない!ヘリや気球、さらに航空機以外も表示されることもある
表示されるのはほとんどが固定翼や回転翼などの航空機ですが、地域によってはヘリウムガスで打ち上げられたバルーンや空港内で業務を行う各種業務車両が表示されることもあります。
日本国内のヘリでADS-Bを備えているのは警察、消防、マスコミなど一部のみ。
首都圏近郊の機関では備えている機体が多いようです。やはり高価な装備なので民間では普及が進まないのかもしれません。
さまざまな有料機能
Flightradar24には、有料で開放される各種機能が用意されています。
緊急事態宣言の航空機情報を即時プッシュ通知(一部有料)

緊急事態宣言、いわゆるスクォーク (SQUAWK)7700に設定した航空機が出現したことを利用者のスマホに24時間プッシュ通知する機能があり、スコーク発報で航空機の非常事態を窺い知ることができます。通常、航空機は識別のためにトランスポンダと呼ばれる装置を用いて、管制から指示された4桁の数字を割り当てられています。
各航空機に積まれたトランスポンダが、それぞれの識別子として電波を発信します。
万が一、機長が非常事態と判断した場合、各スコークコードを入力して発しますが、スコークは以下の様な数字によって事態の内容が違っています。
- 7500はハイジャック
- 7600は通信機トラブル
- 7700は非常事態
スコーク7700は航空機の機体自体に異常が発生した場合に発報。例えば、日本でも燃料計表示異常、昇降舵トラブル、誤作動、降着装置、右エンジン停止のトラブルなど、ボンバルディアDHC-8の各種トラブルは話題になりましたが、航空機にこのようなトラブルで発生した際は、7700のコードが使用されるわけです。

トラブル発生中の航空機の航跡
スコーク7700はそのほか、機内で急病人が出た際などにも使用されます。そのため、スコークのなかでも7700の通知頻度は予想以上に多いものと驚きます。次いで多いのが7600の通信機に関するトラブル。世界の空を飛ぶ数万機の飛行機のいずれかから、一日数回は通知されているようです。
なお、ハイジャックをあらわす『スコーク7500』は非常に深刻な事態。乗っ取り犯が操縦席を制圧している場合は、パイロットが管制塔に通常の無線交話でハイジャックの発生を伝えることは難しいため、トランスポンダに『7500』を入力して密かに知らせるわけです。
なお、『スコーク7500』の通知を受け取るにはアプリ内課金をして機能拡張させる必要があります。
3D表示でリアルな飛行を楽しむ
航空機の外部視点が疑似的に見られる3D表示もおすすめ。

疑似的に種類別の機体の外観も表示されるので、リアルな飛行感覚を楽しむことも。
Flightradar24まとめ
かつて、上空3万フィートからかすかに聞こえるジェット音の正体を知るには、航空無線の受信だけが頼りでした。
しかし今では、スマートフォンやパソコンの画面を通じて、24時間いつでも飛行中の航空機を簡単に確認できる時代になりました。
Flightradar24(FR24)単体でも十分に楽しめますが、エアバンド受信(航空無線)を組み合わせることで、航空機の動きがよりリアルに伝わってくるのが魅力です。
この趣味を始めると、たとえば夜中の2時に自宅上空を通過する飛行機が「もしかしてニューヨークから来たのかな…?」と、想像がどんどん膨らみ、気がつけば朝になっていることもあるかもしれません。それほど奥深く、没入感のある世界です。
特に広帯域受信機をお持ちの方がFR24を使い始めると、その面白さにすぐに夢中になることでしょう。
現在ではスマートフォン向けのアプリも登場し、より手軽に、そしてどこでも「空の管制官気分」を味わえるようになっています。
空を見上げる楽しみが、ますます広がることでしょう。