航空自衛隊レーダーサイトの「レーダー警戒」以外の極秘任務とは
【お知らせ】 シグナリーファン編集部では、各記事の編集および画像生成の一部でAIを活用しています。
レーダー・通信システム

航空自衛隊レーダーサイトの「レーダー警戒」以外の極秘任務とは

この記事は約5分で読めます。
スポンサーリンク

登山やハイキングの際、たまに山頂(一等三角点の場合も)にそびえたつ白いドーム状やゴルフボール型の建造物を目撃してしまう場合があります。

これ、実は全国28カ所で『わが国の主権への侵害行為』に対して24時間全力で目を光らせ、ときに対抗措置を実施する自衛隊の重要施設『レーダーサイト』です。

その多くは必要性から見晴らしの良い山頂に設置されますが、実は例の無線『GCI』と深い関係あり。

航空自衛隊のGCI(地上要撃管制)とは
航空自衛隊のUHF帯戦術用周波数をGCIと呼びます。GCIとは純粋に 『地上要撃管制(Ground-controlled intercept)』を意味し、航空自衛隊による対領空侵犯措置における防空戦術です。離陸から着陸までを誘導するのが一般...

その役割を詳しく見ていきましょう。

スポンサーリンク

防空指令所(DC)と連携して対領空侵犯措置を担う

レーダーサイトを配備するのは航空自衛隊航空警戒管制団の警戒管制隊。

稚内から沖縄宮古島まで、全国28箇所に設置されたレーダーサイトは日本周辺を飛行する航空機や大陸間弾道ミサイルの監視など、いわゆる要撃管制を支える超重要施設。

24時間営業で日本の四方を絶え間なく見張っています。

我が国の領空を侵犯する可能性がある航空機(彼我不明機という)を確認した場合、必要に応じて対領空侵犯措置(スクランブル)が発令され、戦闘航空団(ロシア機に対処する北海道なら千歳基地の第2航空団、青森県三沢市の第3航空団が担任する)から戦闘機が緊急発進。

スクランブルにおいては防空指令所(Direction Center:DC)がレーダーサイトと協力しながら要撃戦闘機に対する目標までのコース指示など要撃管制を行います。

一方、そのロケーションの良さを活かし、とくに短波無線など、外国の無線傍受など知られざる任務も。

北朝鮮からは日本国内の工作員へ向けて送信される短波による暗号指令があるとされています。

【乱数放送】A3放送に潜む北朝鮮の“拉致指令”の謎
かつて冷戦下の世界を背景に、不気味な存在感を放っていた「乱数放送」。80年代のような緊張感こそ薄れたが、この放送はいまだに短波や中波帯にしぶとく残っている。何のための放送か。表向きはただの数字の読み上げ。しかし、その実態は、各国の諜報機関が...

これらは防衛省情報本部で解析され、明日降ってくるミサイルの予測にも役立てられています。知られざる諜報活動は以下のページで詳しくご紹介。

なお、海上自衛隊でもレーダーを用いて監視をする「警備所」が全国にあり、こちらの任務は海上を行き交う船舶の監視となっています。

レーダーサイトはゴルフボール”から”カメの甲羅”へ?

網走分屯基地の三次元レーダーJ/FPS-4。グラスファイバー製のレドームは過去、白色カラーであったが、近年は暗緑色カラーが多い。典拠元 航空自衛隊公式サイト

レーダーサイトの象徴とも言えるのが、”ゴルフボール”型の球形三次元ドーム・レーダー。

現在配備されている球形レーダーにはJ/FPS-2、J/FPS-3、J/FPS-4があるほか、さらに高性能のJ/FPS-5も配備。

J/FPS-5は建屋から3面それぞれに飛び出したレドーム部の形状がユニークな亀甲模様をしており、俗称で”ガメラレーダー”とも。

J/FPS-5″ガメラレーダー” 出典 防衛省公式サイト

日本が開発した防空用固定式警戒管制レーダーJ/FPS-5は弾道ミサイルやステルス機も補足できる超高性能レーダー。我が国のミサイル防衛構想であるMDシステムの一翼を担っています。

ただし、一基あたりの設置費用が100億円以上と高額で、配備は打ち切りに。

今後しばらくはJ/FPS-2およびJ/FPS-3が継続運用されますが、後継のJ/FPS-7の開発も進められています。

123便撃墜説を無線マニア目線で見る
「123便撃墜説」を唱える青山透子氏の著作群については、既に数え切れぬほどの疑問符が投げかけられている。受信マニアの目線から一歩引いて眺めても、“撃墜説”の根拠など笑えるほどに希薄で、結論を言えば「ありえない」の一語に尽きる。とりわけ202...

山の頂上で気が抜けない24時間態勢の空域監視はまさに最前線

北海道や東北、日本海側など、豪雪地域の冬場のレーダーサイトなら苛酷な環境と言えるでしょう。

道内では奥尻島に奥尻分屯基地があり、神威山山頂にレーダーが設置されています。

また航空警戒管制団第45警戒群が分屯している北海道当別町の当別分屯基地では実に百人以上もの人員が配置されています。

雪国の厳しい環境下にある当地での勤務はときに命がけ。

部外者の通れない敷地内からサイトに通じる道路までの除雪は航空施設隊の自前作業。

過去にはあるレーダーサイトで、防衛道路の除雪作業において車両ごと谷へ転落するなどして、2名の殉職者が発生しています。

もともと当別分屯基地は昭和29年に米国空軍が開設したレーダーサイトでしたが、当時米兵と軍属が240名ほど居住しており、当別の街はだいぶ活気づいていたそうです。

その後、昭和34年にレーダーと兵舎2棟が自衛隊に移管され、米空軍は撤退。

勤務する隊員たちはサイトの分屯基地内に併設している宿舎で寝起きします。

レーダーサイトでは電源が確保できなければレーダー装置を動かせません。電源喪失に陥らないよう、非常用電源の確保も万全です。

航空自衛隊のレーダーサイトまとめ

このような外国軍機に航空自衛隊は今日も24時間の警戒活動を実施しています。

  1. レーダーサイトは航空自衛隊の分屯基地。任務は外国の航空機や弾道ミサイルの監視と無線の傍受
  2. レーダーサイトが未確認飛行物体を捉えれば直ちに要撃機がスクランブル発進、要撃管制も行う
  3. レーダーサイトは侵犯機に対して国際緊急周波数による警告通信を行う
  4. レーダーサイトは機密性が高く、一般公開されても敷地内での撮影は禁じられる
  5. レーダーサイトには任務ごとに各種部隊が配置される
  6. レーダーサイトの警備は空自の基地警備隊および他職種の隊員が当番制で行う
  7. レーダーサイトのごはんは美味しい
  8. レーダーサイトの警戒監視によって日本の空は24時守られている

年に一回、開庁記念日に一般の人も見学できる場合がありますが、行われない年度も。

機密のカタマリである自衛隊レーダーサイトは、レドームそのものから全景まで写真撮影を制限される場合があります。

参考文献

日本防衛秘録/守屋武昌、MAMOR 2013年5月号

🔎 自衛隊無線に関する記事は「ミリタリー無線カテゴリー」にてご紹介しています。
他の関連記事もぜひご覧ください。
タイトルとURLをコピーしました