かつて冷戦下の世界を背景に、不気味な存在感を放っていた「乱数放送」。80年代のような緊張感こそ薄れたが、この放送はいまだに短波や中波帯にしぶとく残っている。
何のための放送か。表向きはただの数字の読み上げ。しかし、その実態は、各国の諜報機関が海外に展開する工作員に向けた極秘の指令だ。
スパイ映画のような話に聞こえるかもしれないが、これはフィクションではない。
2025年6月18日、記事について、より正確性を高めるため、複数の典拠元を追加した上で追記補正するなどの改訂を行いました。
本記事では、短波(HF)帯無線における国家間の諜報活動に関連すると報道等で指摘されている特殊な無線通信やラジオ放送の事例を紹介しています。受信にあたっては法令を遵守し、違法な通信活動を行う外国政府に協力することのないよう、十分ご注意ください。
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今もなお電波にひそむ“声なき声”・・乱数放送とは
日本周辺に関して言えば、かつて北朝鮮の国営放送「平壌放送(Voice of Korea)」が行っていた「A3放送」がとくに有名だ。A3とは、AM放送に用いられる「ダブル・サイドバンド(両側波帯)」の技術的表記である。
ただし、この放送は単なる音楽番組やニュースとは違う。通常の内容に紛れるように、突然「いち、に、よん、ご、きゅう……」といった数字の羅列が淡々と読み上げられる。
無意味にも思えるその数字は、暗号化されたメッセージであり、送り先は国外で潜伏中の工作員や協力者たちである。
意味を解読できるのはあらかじめ、暗号解読表を渡された者だけである。
一見すれば時代錯誤にも思えるこのアナログな手法が、いまだ廃れないのには理由がある。インターネットに痕跡を残すことなく、グローバルかつ匿名で指令を飛ばせる乱数放送は、目に見えぬ諜報戦の隙間を突くにはうってつけなのだ。

画像の出典 警視庁が押収した北朝鮮スパイが情報収集に使っていたスパイの道具 写真特集:時事ドットコム
堂々とスパイに指令を送っていた「A3放送」 その正体とは何だったのか
長年にわたり平壌から北朝鮮の国営放送「平壌放送(Voice of Korea)で公然と流されていた秘密指令「A3」。「平壌放送」自体は2024年1月12日に放送停止しているが、A3放送の詳細や実態については依然として不明な点が多い。
一部報道や元工作員の証言によれば、このA3放送の中には、日本人拉致に関連する指令が含まれていた可能性があるという。もしそれが事実であれば、単なるスパイ映画の話では済まされない。
A3放送の特徴
「A3放送」という名の“乱数通信”──北朝鮮が仕掛ける欺瞞の声
「A3放送」は、数学的な乱数、つまり意味を持たない数字の羅列を音声で読み上げることで、部外者には意味不明なまま、受信者にだけ情報を伝達する形式の通信手段である。
これは「乱数放送(Numbers Station)」の一種であり、北朝鮮のみならず、世界各国の同種のナンバーステーションが長年にわたって使用してきた方法のひとつだ。
ただし、A3放送は単なる暗号通信にとどまらない可能性もある。一部の報道や研究によれば、北朝鮮政府はこの放送の中に虚偽の政治的メッセージや指令を意図的に混入させ、西側諸国や韓国・日本の諜報機関を攪乱する「欺瞞工作(ディセプション)」としても利用していた可能性がある。
軍事通信の世界では、あえて傍受されることを前提とした戦術的欺瞞も広く知られており、A3放送もその一環と見る向きがある。
A3放送の特徴と技術的背景
A3放送は、北朝鮮の公式ラジオ放送の合間に数分間だけ挿入される形式で放送される。日本国内で確認されている代表的な周波数には、657kHz(中波)や3320kHz(短波)などがある。どちらも「平壌放送」として知られる北朝鮮国営のラジオ放送の一部だ。
この放送形式には以下のような特徴がある。
項目 | 内容 |
---|---|
暗号化手法 | 工作員に事前に配布された乱数表と受信した数字を照合して解読。 |
使用周波数 | 主に平壌放送の657kHz(中波)や3320kHz(短波)など。 |
放送時間 | 数分間程度と非常に短い。 |
受信難易度 | 非常に強力な送信出力により、市販のAMラジオでも容易に受信可能(SSBモード不要)。 |
情報の不透明性 | 数字の羅列に加えて暗喩が交じることもあり、第三者には解読が困難。 |
このような通信形態を採る以上、北朝鮮の工作員が短波ラジオや受信機を常に携帯しているのは当然のこととなる。実際、日本国内で摘発された北朝鮮の工作員の所持品には、短波通信機器が含まれていた例が複数確認されている。
屋根裏のラジオ──証言から浮かび上がる実態
ジャーナリストの高英起氏(元・朝鮮日報東京支局記者)は、ABEMA TIMESの取材(※1)に対し、自身の体験として、幼少期に親戚宅の屋根裏部屋に立ち入ろうとした際、激しく怒られたことがあったと語っている。後にその家が北朝鮮の工作員を匿っていたことが判明し、乱数放送を受信するためのラジオ機器が押収されたという。
※1 出典:
「北朝鮮からラジオで日本の工作員に指示? 夜中に流れる『乱数放送』をスタジオで公開」
ABEMA TIMES, 2021年1月30日掲載 https://times.abema.tv/articles/-/8671495
このように、「A3放送」とは単なる数字の羅列ではなく、情報戦・心理戦をも内包した一種の“軍事的コミュニケーション”であり、その影響範囲は受信機のある場所にとどまらない。
送信出力が非常に強力なため、日本国内の一般的なAMラジオでも容易に受信可能であることから、情報の届く範囲は広く、また遮断も困難という特性がある。
A3はアマチュア向けだった?
つまり、A3放送は双方向通信ではなく、あくまで送信側のみが発信する「片方向」の暗号通信である。
したがって、A3放送は音声で数字を読み上げるナンバーステーション的指令であり、簡易的なものであることから、訓練による習熟度が低い工作員向けだとする一部報道もある。
北朝鮮による海外への指令の大半は、昔も今もA3放送ではなく「CW」と呼ばれるモールス信号による通信で行われているという。
「ゆっくりとした朝鮮語で乱数化した数字を読み上げるA3、つまりボイス通信は、大した訓練を受けてないアマチュア工作員に対するものだ。日本領海に侵入する工作船や海外拠点に対する指示は、モールス信号で行われる。モールス信号は、送る方も受ける方も特別な訓練を受けなければ、やりとりができない」
引用元 世界初の北朝鮮専門ニュースサイト DailyNK Japan https://dailynk.jp/archives/60171
したがって、具体的な工作活動を実行する、より練度の高い工作員にはモールスが利用されていたという。
A3放送のような乱数通信以外にも、工作員と司令部との連絡のために専用の周波数帯が存在するとの指摘もある(※1)。
※1 一部報道によると、短波帯における非公式な周波数やスケジュールが監視対象とされている事例もあるが、詳細は公開されていない。
工作員と短波無線──「A3放送」とフィクション作品
日本国内で活動する工作員が短波無線機を利用しているという構図は、1980〜90年代のフィクション作品でもしばしば描かれた。
たとえば、かわぐちかいじによる漫画『黒い太陽』や、釋英勝の『ハッピーピープル I LOVE JAPAN』で、押し入れに隠された短波無線機を使って秘密通信を行う工作員の姿である。
これらの作品は、当時の現実を反映した社会派エンタメとしても評価された。
A3放送については、表向きには2000年をもって終了したとされているが、実際には形を変えながら今日まで続いている可能性があるとも言われている(※2)。
たとえば、通常のラジオ番組に偽装して、歌謡曲を流すスタイルが取られることがある。その場合、選曲や曲順そのものが暗号になっているという指摘があるほか、特定の指令を伝えるために、北朝鮮国内で知られる「反日曲」をわざと流しているという見方もある。
さらに別の手法として、通信制大学の「課題放送」を装った伝達方法も存在するという。この方式では、番組の中でテキストのページ数だけを淡々と読み上げるなど、古典的な乱数表通信に似た形式が取られているとも報じられている。
北朝鮮のA3放送と日本政府の対応
北朝鮮の乱数放送を日本の警察や自衛隊は把握しているのか?
日本の政府機関による諜報活動は、公文書としての公式な詳細開示が乏しい。
警察や自衛隊が特定の国家名を挙げて公然と諜報活動を広報することは極めて稀であり、通常は明言を避けている。
しかし、複数の報道・専門解説・証言により、これらの機関が北朝鮮に関する情報収集活動を日頃から行っている実態が継続的に存在していることは、客観的に見て高い確度で事実と評価されている。
北朝鮮が乱数放送を通じて、日本人拉致を含む対日工作の指令を発信していた疑いが強い以上、日本の警察や自衛隊が無関心でいられるはずはないと見るのが自然である。
電波の内容を分析し、暗号の解析・解読を試みる活動は「シギント(SIGINT=Signals Intelligence)」と呼ばれる。
空を飛び交う無数の無線通信から意味ある情報を拾い上げる手法は、第二次世界大戦以前から確立され、現代でも日本の国家安全保障における重要任務のひとつと位置づけられている。
「聞く・解く・読む」──今も続く日本のシギント活動の実像
簡単に言えば、シギント(SIGINT)とは「他国の通信を傍受し、暗号を解読し、その内容を分析する」行為を指す。対象は敵国の政府、軍、あるいは工作機関。
日本だけでなく、世界中の情報機関がこの分野に注力している。たとえば、アメリカ国家安全保障局(NSA)やイギリス政府通信本部(GCHQ)は、シギントの中核を担い、日常的に世界各国の通信を監視していることで知られる。
日本の場合、過去に発生した北朝鮮の工作船事件では、自衛隊の通信傍受施設が北朝鮮本国と工作船との短波帯モールス通信を傍受していたという事実がある。
日本政府がこうした活動を公に認めることはないが、実態はおおよそ「察してほしい」というレベルにある。
自衛隊では、陸・海・空それぞれの情報部門を統合した「情報本部」がシギントを担当しており、集められた情報は国家安全保障に関する報告として政府上層部に提供されている。
一方、警察庁も同様に通信傍受を含むシギント活動を展開している。
とくに対北朝鮮分野では、同庁警備局が中心的役割を担い、国内外の治安・スパイ・テロ・組織犯罪に関する情報を収集、分析。必要に応じて都道府県警と連携して動く体制が取られている。
その一環として、北海道北広島市郊外には広大なアンテナ群を備えた施設が存在する。畑地の中にひっそりとたたずむこの建物、正体は警察庁情報通信局直轄の「千歳無線通信所」とされている。
任務は、北朝鮮当局と日本国内の工作員やその協力者が行うHF(短波帯)通信などの傍受である。千歳無線通信所は、全国に十数か所あるとされる警察庁外事情報課の通信施設の一つとされ、警察によるシギントの中核拠点のひとつとなっている。
このような施設は、目立たぬように運用されているのが特徴である。当然ながら「警察施設」といった看板は掲げられない。かつて関東のある通信所が市販の地図に掲載された際には、警察が地図会社に削除を要請したとされており、情報活動の“見せない徹底”が今も続いている。
「そんな機関は存在しない」──その傍受施設の正体
TBSの報道局記者である竹内明氏の著書『ルポ 国家の臨界』(朝日新聞出版、2007年)によれば、千歳通信所のような傍受拠点では、実際の傍受作業は警察庁情報通信局の技官が担当しているが、施設そのものの管轄・指揮系統は警察庁警備局外事情報課にあるとされている。
また、インターネット掲示板「★阿修羅♪」の情報によれば、警備局と情報通信局の通信職員たちが、交代で北朝鮮などの通信を24時間体制で傍受する任務に就いているという記述もある(※情報の出典は2005年であり、情報の扱いには注意が必要)。
北朝鮮による乱数放送の存在はすでに広く知られている。2000年以前には、短波・中波放送を通じて国外の工作員に暗号指令を送っていたというのが定説である。現在ではその活動はかつてほどの頻度ではないと見られているが、大学の通信教育講座の音声に偽装して指令を出しているといった都市伝説めいた情報も、一部では語られている。
なぜ、21世紀にもなってなお、こうしたアナログな手段が使われているのか──その理由のひとつが、インターネットとの対照にある。ネットは容易に遮断・検閲できるが、短波や中波といった低周波電波は電離層を反射して地球全体に届く。すなわち「止めようがない」のである。
加えて、自作の無線機器や市販のアマチュア機材でも、基本的な技術と環境さえあれば世界中どこでも受信できる(ただし、北朝鮮国内を除く)。このことが、良識あるアマチュア無線家を、知らぬ間に「隠れ蓑」とされる可能性を孕んでいる。
警察がアマチュア無線にある種の警戒を抱いている背景には、過去の警察通信が傍受された経験もあろうが、それ以上に、この技術的特性が治安に及ぼす潜在的脅威があると考えられる。
実際に、国内の北朝鮮系工作員がHFアンテナを設置する際には、独立系のパチンコ店の屋上が好まれたという指摘もある(出典:『週刊ポスト』2002年6月7日号など報道ベース)。
警視庁の運用では、所轄の警察官がパトロール中に怪しいアンテナを見つけると、本署の警備課外事係に連絡が行く。その後、公安部外事第二課(通称「ソトニ」)が情報通信技官または警備局の技官を連れて現地調査に入るという流れだ。
電波の発信が確認されれば、「行確(行動確認)」と呼ばれる監視フェーズに進行するが、発信が確認されなかった場合は、技官と捜査員は近所の富士そばで静かに蕎麦をすすって帰庁することもあるらしい。…そっちの二課かよ。押井守かよ。おいちゃん、コロッケ追加で!
なお、2001年に発生した「九州南西海域工作船事件」では、沈没し、その後引き揚げられた北朝鮮の工作船内からアイコム製のハンディ無線機やHF受信機、さらにはモールス用の電鍵などが発見されており、これらの実物は、現在「海上保安資料館 横浜館」(海上保安庁運営)にて展示されている。
北朝鮮が発信する乱数放送「A3放送」や、その他の無線通信が日本側にどのように傍受されているのかについて、政府は詳細を公表していない。しかし、防衛省および警察庁には通信傍受(シギント=SIGINT)を行う専用施設が存在しており、その概要は一部で以下の様に解釈されている。
自衛隊による傍受施設(通信所)
防衛省情報本部は、日本各地に通信傍受を目的とする施設を配備しており、代表的なものとしては、以下の通信所が挙げられる。
通信所名 | 所在地 | 特徴 |
---|---|---|
東千歳通信所 | 北海道千歳市 | 陸自東千歳駐屯地内に所在。巨大なWullenweber(像の檻)アンテナを配備 |
小舟渡通信所 | 青森県 | 日本海側を監視 |
大井通信所 | 東京都品川区 | 首都圏近郊の情報収集拠点 |
美保通信所 | 鳥取県 | 日本海に面する戦略拠点 |
太刀洗通信所 | 福岡県 | レーダードーム型アンテナを配備 |
喜界島通信所 | 鹿児島県奄美諸島 | 南西諸島の対外監視に特化 |
自衛隊の東千歳通信所や美保通信所には、いわゆる「像の檻」と呼ばれる巨大なWullenweber型円形指向性アンテナが設置され、精密な方向探知が可能。太刀洗通信所には複数の通信所と連携し、三角測量により送信源を特定するためのレーダードーム型アンテナが配備されている。
自衛隊の施設のうち、北朝鮮のCW(モールス)による指令を傍受しているのが、美保通信所(鳥取県境港市)と大刀洗通信所(福岡県朝倉郡筑前町)、喜界島通信所(鹿児島県奄美郡喜界島町)の3施設とされる。
出典:【対北情報戦の内幕-13-】自衛隊が「工作船接近」を知りながら拉致事件を見逃した理由(2016年01月22日)
警察による傍受施設
警察庁も独自に傍受拠点を保有している。代表例として以下の施設が確認されている。
名称 | 所在地・所属 | 備考 |
---|---|---|
警察庁第二無線通信所 | 東京都日野市(通称「ヤマ」) | 非公式。ICPOの予備通信所が表向き。都内における傍受・分析拠点 |
警察庁小平通信所 | 陸上自衛隊小平駐屯地内 | 警察庁外事技術調査室の傍受施設として設置されている。 |
北海道警察本部千歳無線通信所 | 北海道北広島市 | ログペリオディックアンテナを設置し、方向探知も可能 |
東北管区警察局仙台無線通信所 | 宮城県仙台市 | 総務監察・広域調整部の所管。 |
中部管区警察局守山無線通信所 | 愛知県名古屋市守山区 | 高度な秘匿性をもつ施設。過去には地図メーカーに削除依頼が出された。 |
近畿管区警察局信太山無線通信所 | 大阪府和泉市 | 広域調整部が所管している。 |
中国四国管区警察局島根無線通信所 | 島根県 | 総務監察・広域調整部が所管している。 |
九州管区警察局出水無線通信所 | 鹿児島県出水市 | 九州地方の通信傍受に対応する拠点のひとつである。 |
九州管区警察局若松無線通信所 | 福岡県北九州市若松区 | 九州管区警察局の通信所として位置づけられている。 |
九州管区警察局沖縄無線通信所 | 沖縄県糸満市 |
警察庁の東千歳無線通信所には、ログペリオディックアンテナ(広帯域高指向性アンテナ)があり、送信元の特定や信号の明瞭化に使われている。これらの施設では、30MHz以下の周波数帯に特化した受信設備を持ち、短波や中波帯を含む軍事・秘密通信を重点的にモニターしているとされる。
使用される受信機と傍受技術
かつて自衛隊では、アメリカ製「ハマーランド社SP-600」を元にした国産通信型受信機が使用されていた。また、北朝鮮情報専門の民間シギント機関である『ラヂオプレス』も、通信型受信機を用いて情報を集めていたことが記録に残っている。
近年では、旧来の受信機に代わって、SDR(Software Defined Radio=ソフトウェア無線)受信機が主流となっており、傍受作業はほぼ全自動化されている可能性が高いと考えられている。
加えて、傍受技術には以下のような手法が含まれる。
-
周波数掃引(スキャン):一定範囲の周波数帯を高速でスキャンし、異常な信号を検出
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暗号解読:専門官による暗号キー解析、アルゴリズムの脆弱性解析
なお、ネット上でも北朝鮮関連の通信が話題になったことがあり、過去には北朝鮮のミサイル発射予告とされる通信を匿名掲示板のユーザーが解読した事例もある(※2)。
※1 出典:防衛省・各種公開資料、および公開報道情報に基づく。
※2 参考記事:「北朝鮮ミサイル発射予告、2ちゃんねるユーザーが“先読み解読”?」(複数報道)
気になるのは警察や自衛隊の無線傍受施設と総合通信局のDURASとの共助や協力体制だが、公になっていない。
A3放送の概要まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
A3放送の正体 | 北朝鮮が自国の工作員や協力者に向けて送信する暗号通信手段である。 |
名前の由来 | 日本でこの放送がAMラジオ上に「A3」と表記されていたことから、そのまま通称として定着した。 |
通信方式 | 乱数列や特定パターンの読み上げを用いて送信される。工作員は事前に渡された乱数表や鍵を用いてこれを解読する。 |
装いの手口 | 通信制大学の課題放送や普通の歌謡番組を装うことがある。曲順や読み上げ内容が暗号になっているとされる。 |
受信の容易さ | AM帯や短波帯(例:657kHz、3320kHz)を使って放送されることが多く、市販のラジオでも受信が可能である。 |
傍受側の対応 | 日本の自衛隊や警察には専用の通信傍受施設(例:東千歳通信所、警察庁第二無線通信所など)が存在し、これを監視・記録している。 |
機材と技術 | 今ではSDR受信機(ソフトウェア無線)によって、傍受・解析が自動化されつつある。 |
秘密通信の特性 | 一方通行の暗号通信であり、一般人には内容の理解が不可能なように設計されている。 |
関連の可能性 | 日本人拉致事件との関連が指摘されており、過去の摘発例では、短波無線機を所有する工作員の存在が確認されている。 |
現状の併用状況 | 北朝鮮もインターネットを利用することがあるが、政府機関の監視を回避するのが困難なため、今もアナログな短波通信が併用されていると考えられる。 |