陸上自衛隊では、訓練や野外行動、災害派遣などにおいて隊員の栄養を確保するため、戦闘糧食を運用しています。
戦闘糧食は、調理設備が利用できない環境でも携行・消費できるよう設計された携帯用の食事です。
その中でも長年主力として使用されてきたのが、缶詰形式の「戦闘糧食I型」です。
隊員の間では「缶メシ」とも呼ばれ、必要なエネルギーや栄養を補給できるよう開発されました。

戦闘糧食I型は、高い保存性と携帯性を備え、加熱せずに食べられることが特徴です。そのため、訓練や演習に加え、災害派遣などさまざまな任務で活用されてきました。
現在はレトルトパウチを採用した戦闘糧食II型が主流となっていますが、I型は長年にわたり自衛隊の野外活動を支えた代表的な戦闘糧食として知られています。
詳しく見ていきましょう。
戦闘糧食I型
戦闘糧食I型は、主食や副食を缶詰として個別に密封した携行食です。常温で長期間保存できるほか、缶詰ならではの堅牢性を備えており、野外での携行や輸送にも適していました。そのため、長年にわたり陸上自衛隊の戦闘糧食として運用されてきました。
しかし、重量がかさむことや、使用後に空き缶が発生することなどから、より扱いやすいレトルトパウチ式の戦闘糧食II型への移行が進められました。
そして陸上自衛隊では2016年2月をもって戦闘糧食I型の新規調達を終了し、後継となる戦闘糧食II型へ移行しています。
II型はレトルトパウチを採用することで軽量化が図られたほか、メニューの種類も増加しました。また、味や食感の面でも改良が重ねられており、隊員からは概ね好評とされています。

なお、戦闘糧食I型の調達終了は陸上自衛隊のみであり、海上自衛隊と航空自衛隊では現在も継続して採用されています。
陸上自衛隊がII型へ移行した背景には、缶詰特有の重量や容積の大きさがありました。読売新聞によれば、I型は携行性に課題があったほか、加熱のために鍋などの調理器具を別途携行する必要がありました。これに対し、レトルトパウチ式のII型は軽量で持ち運びやすく、発熱剤による加熱も可能なため、野外での運用性が大きく向上したとされています。
陸上自衛隊は、隊員が任務などの際に持ち歩く携行食の「戦闘糧食」を、従来の缶詰タイプからレトルトパックタイプへ全面的に切り替えることを決めた。
中略
これに対し、90年に登場したレトルトパックタイプは、1食分が1袋にまとまっていることや、水を加える発熱材を使うことで手軽に温めて食べられるのが特徴。空から投下しても破れるなどの問題がなかったことも実験で確認された。
2016年02月23日 18時04分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
引用元
http://www.yomiuri.co.jp/national/20160223-OYT1T50145.html?from=ytop_main4
戦闘糧食I型の特徴とコンセプト
戦闘糧食I型は、東日本大震災などの災害時に被災者へ支給されるなど、被災者への非常食としても活用実績がある糧食である。自衛隊としては備蓄している食料の中から出せるものを提供せざるを得なかった一方で、そのメニューの中に「赤飯」が含まれていたことが問題にされた。
赤飯の缶詰を出されたことに対して憤りを覚えた被災者もいたとの報道がある。戦闘糧食II型でも、一部メニューに赤飯が含まれている。
缶詰タイプである戦闘糧食I型は頑丈であることに加え、レトルト食品に比べて長期保存が可能な点が利点である。しかし、実際に消費する隊員にとっては、メニューの多様性や食べやすさにおいて、レトルトのII型の方が魅力的であるという。
こうした理由から、陸上自衛隊では2016年にI型の使用を終了し、現在はレトルトパウチ形式の戦闘糧食II型が採用されている。
メニュー
戦闘糧食I型の主食メニューは、白米、赤飯、五目飯、とり飯、しいたけ飯、さらにカンパン(ビニールパック入り)が用意されている。

副食メニューには、ウインナーソーセージ缶、ます野菜煮缶、たくあん漬缶、まぐろ味付缶、福神漬け缶、味付ハンバーグ缶などが含まれていた。
主食はもち米が多めに使われ、腹持ちが良い一方で胸焼けするという隊員の声もあった。なお、陸自ではこのカンメシの組み合わせは選べなかったが、海自では選択可能。
副食の味付けは、通常の隊員食堂の調理同様、全体的にやや塩辛めであり、戦場における食事では塩分を強める方が適していると考えられている。特にハンバーグ缶は、冷えると味が濃くなるため、隊員の間では「すごい味」と表現されることもあった。
温めることで味と栄養価が最適化
戦闘糧食は、温めることで味と栄養価が最適化される。缶のままでは味も栄養も十分に発揮されないが、湯煎によって白米をα化させることで、味と栄養の両面で向上する。
湯煎さえ行えば、開封後でも2〜3日は常温での保存が可能であり、冬場の野外活動でも十分に食べられる。通常は個別に湯煎するのではなく、一度に大量の缶をまとめて湯煎する運用が一般的であった。
大きな缶と副食の小さな缶がセット
I型は、主食の大きな缶と副食の小さな缶がセットになっており、パッケージは野外で目立たないよう艶消しの暗緑色(OD色)で塗装されている。なお、1990年代初頭までは銀色の無塗装缶が使用されており、視認性が高かったという特徴もあった。
缶には「赤飯」などとゴシック体で表記されている。
開封には基本的に缶切りが必要であるが、6缶に1個のみ簡易缶切りが付属していた。しかし、隊員は多くの場合、自前のビクトリノックスやウェンガーの十徳ナイフで開けることが通常であった。効率と確実性を考えれば、個人装備での開缶が現場では実用的であったのである。
謎のタクアン祭り
戦闘糧食の調達は、師団の需品科との事前調整に基づいて行われる。しかし、調達に失敗すると、タクアン缶ばかりが配給される事態が発生することもあった。この状況は隊員の間で「タクアン祭り」と称され、恐怖の対象として語られた。
缶は入れ子式
缶は入れ子式になっており、使用後は非常にコンパクトにまとめることができる。
陸上自衛隊では、敵に部隊規模を推測されないように食べ終えた缶を土に埋めることも指導されるが、演習時には回収してリサイクルされることが通常である。
戦闘糧食に入ってる小型乾パン(金平糖入り)とオレンジの水飴の話
陸自で配給されていた小型乾パンはコンペイトウが入っており、さらにオレンジスプレッド(オレンジ味の水あめ)がセットになっていた。乾パンにつけたりして食べる。昔はレバーペーストのチューブもあった。
旧軍の頃から軍用糧食として調達されていたのが乾パンである。市販のものと大きく変わらない味だが、自衛隊マーク入りで日本政府の支給品という特別感がある。
陸自と海自、どちらでも現行で支給されているが、陸自のカンパンは甘くない。その代わり、唾液が出るように金平糖のおまけ付きであった。行軍中でも食べやすいように、小さいサイズにされるという工夫があった。一方、海自のものはサイズが大きく、カンパン自体がほんのり甘みがあるのが特徴である。
1990年から導入されている戦闘糧食 II型
戦闘糧食I型に続き今度は戦闘糧食Ⅱ型をご紹介するで。先に紹介したI型は自衛隊において1951年から長らく、現在まで戦闘糧食として主力やったんや。
缶詰タイプの宿命として現場の隊員からは重い、かさばる、缶きり必携(缶切りが付属していたけどな)、暖めるにも手間がかかるといった不満が出ていたんや。
一般に戦闘糧食に求められる条件は、持ち運べることが前提であり、軽量であること、梱包が規格化されていること、長期保存が利くこと、調理をせずとも戦闘任務に就く兵士が短時間で喫食でき、高カロリーを摂取できること、ゴミが出ないことなどが挙げられんやけど、実際に”食べる側”である兵士にとって重要なのはやはり、味やな。
当然ながら、自衛隊では当時から納入メーカーに対し、仕様書のなかで「食材は新鮮かつ、味はもちろん美味しくなきゃダメだかんねっ!」と仕様要求をキッチリと提示しとるわ。
典拠元 防 衛 省 仕 様 書 改 正 票 D S P N 5006F(3) しいたけ飯缶詰
http://www.mod.go.jp/j/procurement/chotatsu/nds/pdf/n/n5006.pdf
でも不味かったんや。

そこで90年代、装い新たに登場したのが、味がすこぶる向上したレトルトパックタイプの戦闘糧食II型。
パックタイプなので手軽に開封でき、袋を手づかみにしてハシもスプーンも使わず搾り出すように(上に押し出すように)食べれば勝手も良く、なによりII型はメニューが豊富で味が良く、多くの隊員に歓待の念を持って受け入れられたみたいやな。
ただ、必ずしもレトルトパックのII型が全ての面において優れていることもなく、カンメシの賞味期限が3年に対して、II型は1年と短め何がちょいと運用難しめ?
長期の保存に関してはカンメシに軍配が上がるようやで。
II型(レトルトパック)の気になるメニュー は?
主食は 缶飯と同じく、ご飯モノ。オーソドックスな白米パック&赤飯パック、それに変わり飯として五目御飯パック、豆しか入ってない豆ご飯パック、ドライカレーパックがあり。
おかずには、酢豚、ビーフカレー、チキンステーキ、 ビーフハムステーキ、ハンバーグ、鮭の塩焼き、鯖生姜煮など。
ほな、自衛隊の飯事情、もうちょい深掘りしていこか。副菜には高菜漬けやポテトサラダなんかがついてて、汁物も充実しとるで!なんせ、日本人のソウルフード、お味噌汁があるんやからな。ほかにもワカメスープとか、寒い日にホッとする一杯が用意されとるんや。
こうやって見てみると、肉料理に魚料理、バランスもええしな。なんと言っても、美味い理由は市販品を一部流用しているからなんやで。

コレが米軍さんのMREとの違いなんかもしれへんな。アメリカの戦闘糧食『MRE』については以下で解説しとるよ。

せやけど、やっぱ自衛隊のもんやから、市販品とはちゃう。ビタミンなど、栄養がプラスされとるんや。
あと空中投下とかも想定されとるから、パッケージが分厚いねん。破れにくくて丈夫なII型は、素手で開けるんはほぼ無理ゲー。ナイフ必須やで、ほんま。
隊員からの評価は上々!
昔のカンメシはなかなかアレやったけど、今の主流であるレトルトパックタイプの戦闘糧食II型は「普通に美味い!」って評判ええねん。カンメシに比べて味付けがマイルドになってて、市販のレトルト食品をそのまま流用してるもんやから、「あれ?これコンビニで見たことあるやつちゃう?」ってなるレベル。ほんまに自衛隊のメシかいなって疑うくらい、ええ感じや。
せやけど、やっぱりカロリーは高め。これはしゃあない。どこの国の軍隊でも野戦用の携行糧食は高カロリーに設定されとる。なんせ兵士らはめっちゃ動くし、戦闘中なんかメシどころちゃう場面もあるからな。でも、どんな状況でも冷たい飯はイヤやろ?たとえそれが、中学の便所でのいじめ現場でも、実弾飛び交う戦場でもな!
ほな、どうやって温めるん?
実は、自衛隊で配給された戦闘糧食は、野外炊具で一回加熱されとるんやけど、冬場とかはもう一回温めることもある。そんとき使うのが「簡易加熱剤」っちゅうやつや。袋に加熱剤を入れて、レトルトパックをポイッと放り込む。そんで20分くらい待ったら、あったかい飯が食えるって寸法や。
これがな、戦闘糧食I型にはなかった便利ポイントやねん。I型は加熱に鍋とか野外炊具が必要やったから、陸自でも「ちょっと不便すぎへん?」ってなって廃止されたんや。
どこが作ってるん?
戦闘糧食を製造しとるメーカーはいくつかあるんやけど、献立ごとに違う会社が担当してるねん。ハウス食品とか、おなじみのメーカーも参戦しとるで。ほんで、実際に陸自に納入されてる戦闘糧食II型の一部は「武蔵富装」ってメーカーが作っとる。しかも、この会社、防災用の糧食も作っとるんやで!
弊社は「平成16年」から戦闘糧食の開発研究を継続的に実施し、その成果が認められ平成20年から陸上自衛隊の戦闘糧食として正式に採用され、平成27年までの7年間で約530万食の戦闘糧食を納入しております。
引用元 武蔵富装公式HP
http://musashi-fusoh.com/sentou.html
現在、同社が陸自と海自の各種糧食のうち、担当する献立は下記のもの。
【陸自】戦闘糧食II型 さんまピリカラ煮
【陸自】戦闘糧食Ⅱ型 かも肉じゃが
【陸自】戦闘糧食Ⅱ型 とり野菜煮
【陸自】戦闘糧食Ⅱ型 ウインナーカレー
【陸自】戦闘糧食Ⅱ型 チキントマト煮
【陸自】戦闘糧食Ⅱ型 ハヤシハンバーグ
【陸自】戦闘糧食Ⅱ型 中華風カルビ
【陸自】非常用糧食 さんまピリカラ
【陸自】非常用糧食 すき焼ハンバーグ
【陸自】非常用糧食 かも肉じゃが
【海自】軽包装糧食 和食セットかも肉じゃが
美味しそうなメニューが並んどるなあ。そして、同社では市販の”ミリメシ”として、防災糧食を販売もしとる。これがその、かわいい”ミリメシ”。
実はな、今、一部の界隈で自衛隊の戦闘糧食が「ミリメシ」として密かにブームになっとる。そん中でも特に目を引くのが「萌えミリメシ」や!内容物は普通の戦闘糧食と変わらんのやけど、ミリオタ界隈ではたまらんらしい。
もちろん、自衛隊の演習や訓練で市販の携行糧食が増加食として出されることもあるんやけど、さすがに「萌えミリメシ」が支給されることは……ないやろな(笑)。
いや~、自衛隊の飯事情もなかなか奥が深いもんやで!
救命糧食「ガンバレ食」とは
さて、自衛隊には食堂の食事をはじめとして、さまざまな飯が隊員に配給されているわけですが、そのなかに救命糧食なるメシもあります。その名のとおり、救命を目的としたもので主に艦艇や航空機に搭載されている非常食なのです。海難救助では救難捜索機が救命糧食や生存支援用キットを応急的に空中投下することも。

航空自衛隊では紙製ケースに6食分のお菓子のような救命糧食「ガンバレ食」が入っています。なぜコレが「ガンバレ食」と呼ばれるかと言いますと、箱の中に「頑張れ、救助は必ずやってくる!」というメッセージが書かれた防水紙が入っており、脱出した乗員たちはこの紙を見て元気を出すためです。
「お菓子のような」と書きましたがいったいどんな「お菓子」なんでしょうか?

内容としてはビスケット・タイプの「A食品」とゼリータイプの「B食品」で構成されています。味は日本人の嗜好に合うような和菓子風味とのことで食べやすく工夫されています。
🎒 航空自衛隊の非常食、通称「ガンバレ食」
救命糧食は、艦艇や航空機に常備される非常用携行食。
航空自衛隊では水密紙容器に収められ、6食セットで配布される「ガンバレ食」という愛称で知られる。
💌 “ガンバレ”の由来
パッケージ内には「頑張れ、救助は必ずやってくる!」といった励ましの防水メッセージ入り紙が同梱され、遭難した乗員を心理面から支える工夫がされている。
中身はお菓子風!
A食品(ビスケットタイプ)
B食品(ゼリータイプ)
いずれも日本人の嗜好を念頭に置き、和菓子風の味付けになっており、緊迫した状況でも口にしやすいよう設計されている。
救命糧食の役割と特徴
軽量・長期保存対応:航空機・艦艇の非常時用として、軽量かつ高カロリーで保存性に優れた構成。
心理的安心感:「ガンバレ」の言葉と甘味で遭難者の気持ちを少しでも前向きに。
和風テイスト:ビスケットやゼリーながら和風味を採用し、安堵感を演出。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | ガンバレ食(救命糧食) |
| 収容形式 | 紙製防水ケースに6食セット |
| 内容物 | ビスケットタイプ+ゼリータイプ(和風味仕様) |
| 特徴 | 軽量・保存性に優れ、励ましのメッセージを添えた緊急用食 |
「ガンバレ食」は、自衛隊装備の中でも非戦闘的ながら非常時における乗員の命と心を守る、繊細な配慮が込められた救命装備です。
さて、この「ガンバレ食」、皆さんも食べてみたいと思いませんか?
航空自衛隊の飛行機・海上自衛隊の艦船に搭載されている非常食(がんばれ食)の民間販売用リパック品が一般販売されていますので、興味があればご試食を。ゼリー&クッキーセットのタイプとクッキーのみタイプがあります。
賞味期限は製造日より5年間とのことで、長期保管も当然大丈夫。自宅や車などに常備しておくと災害時にも安心なのではないでしょうか。
備えて安心、食ってガンバレ!救命糧食、でした。

自衛隊とカップラーメンのエピソード
過去、日清食品グループでは、自衛隊向けの限定商品として「SDFヌードル」を展開していました。この商品は自衛隊の駐屯地や基地内の売店(PX)などで販売されていたことで知られており、一部はインターネット通販でも取り扱われています。
自衛隊の食事としても、補給食として支給されていたこともあります。
味付けについては、同社のカップヌードルと比較して濃いめに感じるという意見もある一方、具材が少なめでした。
このほか、エースコックも自衛隊向け商品として「自衛隊オリジナルラーメン 標的(ターゲット)」を販売していました。いずれも一般向け商品とは異なる、自衛隊関連のオリジナル商品として企画・販売されている点が特徴です。
このように、自衛隊では、訓練や演習の内容によっては、戦闘糧食とは別に「増加食」としてカップ麺などの食品が支給されることがあります。野外で温かい食事をとることは、隊員の体力維持や士気向上にもつながるためです。
実はカップヌードルと自衛隊には、発売初期から意外なつながりがあります。1971年に日清食品がカップヌードルを発売した当初、日本ではまだ「カップ入り即席麺をお湯で作って食べる」という文化が浸透しておらず、販売は必ずしも順調ではありませんでした。
そこで日清食品は、24時間勤務や屋外活動の多い警察・消防・自衛隊などに積極的な営業活動を行いました。その結果、初期の大口採用事例のひとつとなったのが陸上自衛隊朝霞駐屯地だったとされています。演習場で給湯車を利用して隊員に提供されたことは、カップヌードルの普及史を語るうえでよく知られたエピソードです。
また、1972年に発生したあさま山荘事件では、厳寒の現場で警察の機動隊員がカップヌードルを食べる様子がテレビ中継を通じて全国に放送されました。

当時、多くの視聴者にとってカップヌードルはまだ珍しい商品であり、この映像は商品の知名度向上に大きく貢献したといわれています。
なお、「警視庁の機動隊には配られたが長野県警察の機動隊には配られなかったため対立が生じた」といった話が有名です。
みんなでやろう!演習おやつセット
元自衛官の作家・大宮ひろ志氏の著書などによると、昭和末期から平成初期頃の自衛隊では、「コンバットレーション」と呼ばれる携行用の補給食が配布されていたようです。
その内容は、魚肉ソーセージ、紙パック入りのりんごジュース、ういろう、みそパンなどで構成されており、透明なビニール袋にまとめ包装され、袋の表面には「コンバットレーション」とカタカナで表記されていたとのことです。
「コンバットレーション」は正式な戦闘糧食とは異なり、行軍や野外演習などの際に手軽なエネルギー補給を行うことを目的として補助的な携行食として運用されていたとのことです。
現在の自衛隊では各種の戦闘糧食が整備されていますが、当時はこうした簡易的な携行食も活用されていました。
携帯性に優れ、短時間で摂取できる構成であったことから、登山やキャンプなどのアウトドア活動で利用される行動食と共通する特徴を備えていたといえるでしょう。
米軍のMREとは?自衛隊の戦闘糧食との違いは?
自衛隊の盟友であるアメリカ軍における戦闘糧食事情も簡単に整理しておこう。
現在の米軍では、MRE(Meals, Ready-to-Eat)あるいは「Cレーション」と呼ばれるパック入りのレトルト戦闘糧食が支給されている。
構成やスタイルは、自衛隊の戦闘糧食2型と大きく類似しており、個食形式で長期保存が可能な設計となっている。
歴史を遡ると、米軍の戦闘糧食はかつて瓶詰めや缶詰による提供が主でり、自衛隊の1型もそれに倣ったものであった。
しかし、1990年代以降はMREが標準となり、現場の兵士に必要な栄養を確保する携行食として広く普及してきた。
ところが、その肝心の味覚面では兵士たちの評価は必ずしも高くない。
喫食者報告によれば、MREについて「食べ物に似た何か別のものである」との皮肉や、「口にするのを躊躇したくなるメニュー」といった否定的な意見が散見される。

特に初期のMREは、兵士たちから「味が非常に乏しい」と評され、歴史に残るレベルで酷評されたとされる。
その後、改良が重ねられ、現在では以前より食べやすくなったものの、依然として「美味しい」と評価されることは少ない。
これは、MREが長期保存と高温・低温環境下での安定性を優先して設計されており、味や食感を最重要視していないことに起因する。
したがって、米軍のMREはあくまで「現場での栄養確保用」としての機能が第一であり、味は副次的な要素と言えそうだ。
自衛隊の戦闘糧食と比較する際も、この点を踏まえると、評価の軸が明確になるだろう。
MREはわざと不味くさせている?
一方でこんな見方もある。
一部の報道や現場の証言によれば、「あえて味を控えめにすることで、戦時以外におやつ感覚で消費されるのを防ぐ」という設計方針が囁かれている。
米軍のチョコレートも、保存性と栄養を優先するために意図的に味を抑えて作られているという話がある。
MRE(米軍レーション)のメニューと実食者の感想
一方で、MREの内容は意外と多彩である。定番のチキンやビーフの料理に加え、マカロニ料理やケイジャン風の「ジャンバラヤ」、さらにはベジタリアン向けメニューも用意されている。
また、調味料として瓶入りのタバスコ、塩、砂糖、ピーナッツバターが付属し、クラッカーやコーンフレークバー、パンケーキなどのスナック類、デザートのゼリーやチョコ、ガム、粉末ジュースやインスタントコーヒー・ココアといった飲料も含まれる。
甘い食品は血糖値を上げ、満腹感を確保する目的があるため、兵士の糧食としても、理ににかなっている。
試食現場の女性自衛官の声
しかし、問題は味である。依然として独特で、粉末ジュースの色や味は米軍兵士からも「合成洗剤のよう」と評されることもある。
日本のミリタリーフリークや現場経験者の間でも、MREの味に対する反応は苦笑い、“罰ゲーム”の対象になることが少なくない。
実際、2017年に実施された日米共同方面隊指揮所演習「ヤマサクラ」では、日米文化交流の一環としてMREと自衛隊戦闘糧食の食べ比べが行われた。
米軍のMREを試食した陸自の自衛官らは、パッケージを見て戸惑い、食べた際には表情をしかめる場面もあり、女性自衛官の一人は思わず声を漏らすこともあったという。

ある書籍でも、米軍と自衛隊の戦闘糧食を実際に試食し、比較する企画が掲載された。
その現場には複数の元自衛官が参加しており、味や保存性、携帯性について実務目線で評価が行われた。
米軍のMRE(Meals, Ready-to-Eat)は長期保存と過酷な環境での利用を前提に開発されており、栄養面では優れているものの、味については「現場での緊急食」として割り切られている。
「え、これがあのMRE…?パッケージだけで存在感ある」
「でも中身は思ったよりコンパクトで軽い。これなら長距離行軍でも持ち歩けそう」
袋を開けて小分けになったレトルト食品を見ながら、隊員たちは自然と真剣な顔になる。
そして試食の際、元・女性自衛官の一人はこうコメントしていた。
「戦場で食べるなら問題ないけど、演習での食事としては……まあ、独特の風味が強い」
お茶を濁すコメントだが、あきらかに「美味しくない」という感想を柔らかく表現したものである。味覚の評価に敏感な読者にとっては、このひと言で十分に米軍MREの特徴が伝わったであろう。
余談だが、田辺節雄氏の漫画『続・戦国自衛隊』では、このMREを題材に、戦国時代にタイムスリップした自衛隊員が、彼らと同時に時を超えた米軍兵士らが携行していたMREを食べて、高カロリーの影響で腹を壊すエピソードが描かれている。
長らく質素な戦国時代の食事に慣れてきた自衛隊員らが突然の高カロリー・加工食品を食して、猛烈に拒絶反応が起きてしまった、という描写だ。あくまでフィクションではあるが、リアルさが感じられる。
結論として、米軍MREは栄養と保存性を最優先に設計された実用食であり、味の評価は副次的である。
食べやすさや好みに関しては改善が進められているものの、現場での機能性を理解することが、評価のポイントである。
保存性や携帯性の点では米軍MREに劣る部分もあるが、訓練や野外活動での消費においては、味の面で参加者に安心感を与えるという利点があった。
なお、雑誌の企画では全てのメニューが口に合わないわけではなかったようで、中には日本人の味覚に合うものもあったようだ。
「まずいって聞いてたけど、思ったより食べられるかも」
「甘い菓子類は美味しいし、エネルギー補給にはありがたい」
実際の試食現場では、元自衛官たちは表情に微妙な差を見せながらも、総じて「米軍MREは栄養価と保存性に優れるが、味はやや独特」「自衛隊の糧食は食べやすく現場向き」といった事実に基づいた感想を口にしていた。
このやり取りからもわかる通り、MREは現場での実用性重視の設計だ。
味は二の次で、栄養バランス、耐久性、持ち運びやすさが最優先である。
あくまで実用性と現場環境における機能性を優先させているのが米軍の思想であることが示されている。
「レーション」の本来の意味と日米共同演習での一コマ
「レーション」という言葉は、一般に戦闘糧食を指すと思われがちである。
しかし厳密には、軍隊が兵士に支給する配給品全般を指す用語である。食事だけでなく、マッチやタオル、衛生用品といった日常物品も含まれ、兵士が任務を遂行するための必需品として提供されるものである。
この背景を踏まえると、日米共同演習における一幕も理解しやすい。
演習中、米兵の間では自衛隊の戦闘糧食が「味付けが日本人向きで食べやすい」として注目される場面があった。
特に自衛隊の糧食を試食した際には、「自衛隊の“美味しい”戦闘糧食が欲しい」と話す米兵が少なくなかったという。
自衛隊の戦闘糧食は、日本人の口に合わせた味付けが施されており、非常時でも比較的食べやすい設計となっている。
単なる味覚の比較にとどまらず、兵士同士の交流や文化的な理解の一助にもなっているのが戦闘糧食である。
日本国内でもMREは購入できるが注意点も……
一方、日本国内で販売されるMREについては、事情が異なる。
国内でMREが話題になるとき、多くはミリタリーマニアによる「実食レポ」である。
しかし、ここで重要なのは、日本国内で流通しているMREは食品ではなく、雑貨としての扱いだという点である。食品衛生法上、正式な食品としての流通経路は確保されていないため、試食する際は十分な注意が必要である。
日本では食品衛生法や輸入規制の関係上、米軍用の実物MREは「雑貨」としての流通が基本であり、食品としての正式な流通経路は確保されていない。
そのため、パッケージ内の食材が必ずしも日本の食品衛生基準を満たしているわけではない。
特に注意すべき点は以下の通りである。
消費期限の確認:輸入品や個人流通品は保管状態が不明な場合が多く、保存期間が長いとはいえ、品質保持が保証されないことがある。
加熱や開封時の衛生管理:パッケージの密封性は高いが、輸送中の温度変化や保管状況によって内部の食材に影響が出ることがある。調理前にパッケージや内容物の状態を確認する必要がある。
食材のアレルギー・成分表示:日本国内向けに販売されていないため、原材料表示が不十分な場合がある。アレルギーを持つ者は特に注意が必要である。
また、MREには栄養バランスや保存性の工夫が凝らされており、戦場や災害現場での緊急食としての価値は高い。
しかし、国内での購入・試食はあくまで個人の趣味・研究目的にとどめ、通常の食品として扱うことは避けるべきである。
結論として、日本国内でのMREは「コレクション品・研究材料」として楽しむ範囲に限定されるものだ。
実際に食べる場合は自己責任で衛生管理や安全確認を徹底することが不可欠。
万が一にも試食を敢行する際は、この点を十分に理解したうえでの行為と理解していただきたい。
戦闘糧食のまとめ
つまり、陸上自衛隊が「戦闘糧食I型(缶詰)」の調達を終了し「II型(レトルト)」へ全面移行したのは、持ち運びやすさ、ゴミの処理能力、そしてメニューの豊富さなど、過酷な野外行動における実用性を劇的に向上させるためです。
一方、海自・空自がI型を継続調達している(していた)のは、艦艇や基地といった限定された環境下での備蓄効率を重視しているためです。
- 長らく続いた缶詰型の戦闘糧食I型は2016年で陸自では調達終了。
- 味とメニューの豊富さはII型の圧勝。
- 袋は市販品より約2倍ほど厚く丈夫。
- しかし、外装の耐久性や賞味期限はカンメシの圧勝。
- 加熱用ヒーターも付属。
- 米軍兵士も合同演習でほしがる美味さ。
- 現在のII型の外装には「転売禁止」の文字が・・。
総じて、戦闘糧食I型は耐久性・保存性・利便性を兼ね備え、現場での任務遂行を支える実用的な缶詰糧食であり、隊員たちは日常的な運用の中でその効用と限界を理解しながら扱っていたようです。
なお、配給された戦闘糧食は隊員の裁量で消費可能ですが、転売は禁止されており、現行のII型のパッケージ表面には「転売禁止」と大書きされています。
こうした運用上の制約も含め、戦闘糧食I型およびII型は長期間の野外活動や災害派遣における隊員の活動を支える基本的な物資です。
参考書籍
別冊ベストカー 陸自マニア! 三推社/講談社 2007年刊
そこが変だよ!自衛隊 大宮ひろ志























































