【特集】都道府県警察の実力部隊――機動隊とは何か

警察のなかで“集団による警備力”の中核を担っている部隊――それは各都道府県警察の警備部に編成されている機動隊。

テロやゲリラといった有事の際の治安警備はもちろんのこと、災害現場での救助活動や雑踏の中での秩序維持など、多岐にわたる任務に対応する、いわば“実力部隊”と呼ぶにふさわしい存在です。

ここでは、機動隊が経験してきた激動の現場を振り返ってみましょう。

対応はテロから災害、原発放水特攻隊、振り込め詐欺捜査まで――縁の下の力持ち的存在

機動隊が担う役割は、テロやゲリラといった集団的不法事案への対処をはじめ、災害現場での救助活動、雑踏警備、さらには広域での一斉取締りなど多岐にわたります。

これらはすべて“マンパワー”が求められる任務であり、機動隊はその柔軟な動員力と高い練度を武器に、まさに縁の下の力持ちとして活躍しているのです。

2011年3月に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の原子力災害では、炉心冷却作業のため、警視庁機動隊員が高圧放水車とともに派遣されて放水を行っています。

近年では、振り込め詐欺対策の現場にも機動隊が投入されるようになっており、その存在は治安維持の最前線にとどまらず、犯罪抑止や市民生活の安全にも深く関わるようになっています。

日本最大の部隊規模を誇る――警視庁機動隊

全国の警察本部の中で、最も大規模かつ多様な編成を誇るのが警視庁の機動隊です。

警視庁には第一から第九までのナンバー隊が常設されており、いずれも都市部における大規模警備や緊急事案への即応を担っています。

さらに、テロや銃器犯罪に特化した「銃器対策レンジャー部隊」や、特殊車両や装甲車を用いた技術支援を担う「特科車両隊」など、専門性の高い部隊も複数存在しています。

これらは東京という大都市を守るために編成された、極めて高い即応力と装備力を持つ部隊です。

SATの所属と位置づけにも注目

ハイリスク事案の“最終手段”とも言える特殊急襲部隊(SAT)と機動隊の関係性についても触れておきましょう。

多くの道府県警察本部では、SATは警備部の機動隊に所属しており、機動隊の一部隊という位置づけになっています。

しかし、警視庁と大阪府警に限ってはこの限りではなく、それぞれの警備部の警備第一課に独立して編成されています。

これは、東京および大阪という大都市が抱えるリスクの多様性や即応性の必要性に対応するための措置と考えられます。

SATの運用形態にも各警察本部の特性が表れていると言えるでしょう。

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機動隊が向き合ってきた「ゲバルト」――実力部隊の知られざる戦歴

現在では治安の維持や災害救助、さらには詐欺対策にまで活動の幅を広げている機動隊。

しかしその歴史をたどると、かつては命がけの「市街戦」とも言える局面に数多く動員されてきた“戦う部隊”でした。

安保闘争の時代――コンクリートが飛ぶ「戦場」

昭和43年、全国に渦巻いた安保闘争のさなか、機動隊は大学キャンパス内で左翼学生らの激しい抵抗に直面していました。

特に象徴的な事件となったのが、日本大学における機動隊員の殉職です。学生たちが高所から投げ落とした12キロにもおよぶコンクリート片が直撃し、若き隊員の命が奪われました。

この時代の「ゲバルト(暴力的活動)」は、もはやデモという範疇を超えた市街戦の様相を呈しており、機動隊員たちは日々、命をかけて法の執行にあたっていたのです。

成田空港建設と三里塚闘争――殉職者を出した行政代執行

昭和46年、新東京国際空港(現・成田国際空港)の建設予定地でも、激しい反対運動が展開されました。行政代執行が実施された際、千葉県警に応援派遣されていた神奈川県警の特別機動隊員3名が殉職するという痛ましい事件が発生します。

この悲劇を受けて、昭和52年の三里塚闘争では、機動隊側にも強硬な対応が見られました。通常は上空に向けて発射されるはずの「ガス筒発射器」が、わずか5メートルの至近距離で水平に発射され、反対派メンバーの頭部を直撃するという事件も。法の執行と暴力の応酬は、常に紙一重です。

現代のゲバルト?――渋谷ハロウィン暴動

学生運動が沈静化した現代、2008年の第24次西成暴動を最後に、かつてのような過激な暴動はほとんど見られなくなりましたが、新たな形の混乱が起きています。

2018年の「渋谷ハロウィン暴動」では、仮装した若者たちが大量に渋谷に集結。軽トラックが横転させられるなど、近年ではまれに見るほどの混乱状態となりました。

この事態に対し、警視庁は数百人規模の機動隊を投入し、あわせて“DJポリス”と呼ばれる広報警察官も展開。騒然とする現場に対し、強制排除と懐柔の双方を駆使した柔軟な対応を行いました。現場写真に残る2020年の光景も、時代とともに変化する警備のあり方を物語っています。

ヘルメット一つにも歴史あり――警備警察の装備と進化

機動隊のヘルメットにも、その過酷な現場経験が反映されています。かつて使用されていたヘルメットは、バイザーにポリカーボネートを採用し、防弾ガラスも搭載されるなど、一般警察官の装備を超える高い防御力を備えていました。

というのも、当時は東京大学安田講堂などの高所から、石やコンクリート片、さらには火炎瓶が容赦なく投げつけられる状況だったからです。

興味深いことに、こうした行動に加わっていた一部の学生は、後に中央省庁へと“ちゃっかり”就職していたとも言われます。当時の公務員採用では、身辺調査が行われていなかったために起きた“昭和の珍事”でした。

現代の機動隊員には、さらに進化した新型装備が配備されています。ヘルメットには耳や首元まで覆うプロテクターが備え付けられ、暴徒からの投石攻撃に対する防御力も格段に向上しました。技術と教訓が融合したこの装備こそ、機動隊の過去と現在を象徴する存在だと言えるでしょう。

写真は機動隊員の着用する防弾性のない暴徒鎮圧用ヘルメット。

機動隊の武装

機動隊の代表的な装備といえば、大盾、警棒(または警杖)、そして催涙ガス銃です。催涙ガス銃は、警察内部では「ガス筒発射器」と呼ばれており、過去の激しいデモでは機動隊の主力装備として用いられてきました。

実際の警備活動に出動した機動隊員。ライトブルーの出動服に身を包むが、けん銃は着装しない。

 

項目 内容
代表的な武装 大盾、警棒(または警杖)、催涙ガス銃(警察では「ガス筒発射器」と呼称)
安保闘争期の装備 濃紺の出動服、編み上げ靴、肘当て(コテ)、ポリカーボネート製バイザー付きヘルメット、銀色のジュラルミン製大盾
現在の機動隊装備 素材の耐久性が向上した出動服・出動靴、防御力の高いプロテクター類、襟元まで保護するヘルメット、バイザー付き
けん銃携行の有無 雑踏警備時は携行しないのが原則
盾の特徴 ジュラルミン製で投石や火炎瓶への防御に有効だが、防弾性はなし。あさま山荘事件ではライフルで撃ち抜かれた実例あり
活動服の識別点 機動隊員の活動服には襟元に桜のバッジが付き、一般警察官との識別が可能
近年のガス銃の使用 安保闘争のような大規模デモが減少し、現在では主に訓練や展示でしか見られない
盾の攻撃的使用 一部では暴徒に対して盾を「殴打用」に使用した例もあり、過去に報道されたことがある

安保闘争の時代には、機動隊員たちは「出動服」と呼ばれる濃紺の上下に編み上げ式の出動靴、肘当て(いわゆる“コテ”)、そしてポリカーボネート製のバイザー付きヘルメットを着用していました。

銀色の大盾を構えたこのスタイルは、当時の象徴的な姿でした。

なお、この銀色の大盾はジュラルミン製で、火炎瓶や投石にはある程度の防御力を発揮しますが、防弾性はありません。

さすまたと小型盾

実際、あさま山荘事件では、立てこもり犯のライフルによって盾が貫通された事例もあります。とくに、90年代から摘発が増えた旧ソ連製のトカレフは非常に強い威力を持つことで知られているが、ジュラルミンの盾では全くの無力です。

機動隊出動服ベルト (110cm)

機動隊出動服ベルト 警察グッズ 販売元コンクリート

現在では、当時に比べて装備の素材や性能が大きく進化しており、防御力や機動性が向上しています。

たとえば新型のヘルメットには耳当てや襟元までガードするプロテクターが付属し、顔面への投石にも耐えうる構造となっています。

また、機動隊の装備は本来、防御と制圧を目的としていますが、過去にはこれが攻撃的に使われた事例もあります。とある県の祭りで暴走族が機動隊員を挑発し、これに激昂した隊員が大盾で殴りつけたという報道もありました。

現在の日本では、安保闘争のような大規模で激しいデモ活動は少なくなり、催涙ガス銃の実戦投入を見ることはほとんどありません。訓練や公開演習の場でしか見られないというのが実情です。

雑踏警備などの一般的な警備活動では、機動隊員はけん銃(拳銃)を携行しないのが基本です。あくまで大盾や警棒、ガス銃などの「非致死性装備」によって集団の制圧を行います。

ただし、場合によっては交番勤務の地域警察官と同じ「活動服」で出動することもあり、このとき機動隊員であることを示すのが、襟元に付けられた桜のバッジです。

機動隊に配備されている盾 新旧比較

POLICE防弾盾レプリカ dd-0284

POLICE防弾盾レプリカ ケイズプランニング

現在、日本の警察では、従来のジュラルミン製の盾に代わり、より軽量で防御性能に優れたポリカーボネート製の盾が全国の警察本部に配備されています。これらの盾の製造を手がけているのが、有限会社ナンワで、同社は警察用のみならず、自衛隊や民間警備会社向けの防弾盾なども製造・販売している実績のあるメーカーです。

ポリカーボネート製の盾には大・中・小の3サイズがあり、使われる場面や任務に応じて使い分けられています。旧式のジュラルミン製の盾に比べると非常に軽量で、取り回しがよく、それでいて高い防弾性能を備えているのが特徴です。

この種のポリカーボネート盾は、世界の警察機関でも広く使用されており、トカレフ短銃やマグナム弾といった強力な拳銃の弾丸にも耐えうる設計となっています。ただし、さすがに自動小銃などの高威力弾には対応が難しく、銃弾の種類によっては貫通のリスクがあります。

なお、こうした盾は機動隊だけでなく、刑事部や地域警察(交番など)でも必要に応じて配備されており、事件現場や突発的な危険への対応に使われています。

防弾盾78SR-レベル3

防弾盾78SR-レベルB 003I47396 | ラムエンタープライズ株式会社 |

そして、警察の中でも特殊部隊にあたるSAT(特殊急襲部隊)では、さらに強力な防弾性能を持つ「小銃対応大盾」が使用されており、対テロや銃器使用事案に備えた万全の装備体制が整えられています。

管区機動隊とは?

通常、機動隊は各都道府県警察が独自に編成しており、その所属する警察官もすべて、その都道府県警察の一員として任務にあたっています。しかし、これとは別に「管区機動隊」と呼ばれる特別な機動隊が存在します。

この管区機動隊は、東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州といった全国の7つの「管区警察局」が臨時に編成するもので、いわば都道府県の縄張りを一時的に超えて組織される広域部隊です。

大規模災害や深刻な事件が発生した際に、あらかじめ「管区機動隊員」として指定されていた警察官たちが、それぞれの県警本部から召集され、管区機動隊員として現場に出動します。

ただし、北海道警察と警視庁は、それぞれ「管区警察局」制度に属しておらず、管区機動隊にも参加していません。警視庁には独自の大規模部隊がすでに存在し、北海道警察もまた管区をまたがる必要がないため、独立した運用がなされています。

機動隊の「機能別部隊」

機動隊は機能別部隊が編成されているという特色があります。

最新 日本の対テロ特殊部隊

最新 日本の対テロ特殊部隊

4384042256 | 柿谷 哲也 | 三修社 | 2008-10-31

機動隊には、専門部隊として、爆発物処理班、機動救助部隊、水難救助部隊、銃器対策部隊等の機能別部隊が編成されています。

機動隊の機能別部隊その1 銃器対策部隊 & 銃器対策レンジャー部隊

機動隊の中でも、特に重武装かつ即応性に優れた部隊が「銃器対策部隊」です。この部隊は、原子力関連施設などの高度警備対象を担任すると同時に、銃器を使用した重大事件が発生した際の対処にも出動します。

事件の重大性は高いが、耳のつぶれた柔道の猛者揃いのSIT(特殊犯捜査係)では対応困難。かといってSAT(特殊急襲部隊)を出動させれば、過剰反応としてマスコミに叩かれてしまう——そんな微妙な局面で頼りになるのが、やっぱり機動隊。その中の通称「銃対(じゅうたい)」と呼ばれるこの銃器対策部隊です。

また、SATが未編成の県警では、この銃器対策部隊が警備警察の「実力行使の最後の砦」として機能します。ただし、警察庁では必要に応じて警視庁SATの全国への応援派遣を行っています。

現在、全国の警察本部機動隊に配備された銃器対策部隊の隊員数は、総勢約1,900人。装備面でも非常に充実しており、ドイツ製のMP5サブマシンガン、高精度なライフル銃、防弾盾、さらには耐弾・耐爆仕様の特型警備車両(装甲車)まで投入されており、重装備のテロリストや武装グループへの対応も想定されています。

特筆すべきは、警視庁での独自強化です。2015年4月からは、銃器対策部隊の中に「ERT(エマージェンシー・レスポンス・チーム)」という先遣部隊が編成され、万が一テロが発生した際には、SATよりも先に現場へ駆けつけ、即応的な初動対応を行います。

さらに、こちらも警視庁のみに配備されている特殊部隊が「銃器対策レンジャー部隊」です。この部隊は市街地や高層建築物における強襲突入を専門とする特別高等作戦部隊で、ヘリコプターからロープを使ってラぺリング降下し、上階から建物に突入するといった高度な戦術行動を行います。

訓練は陸上自衛隊のレンジャー教育課程を委託しており、非常に過酷な訓練を経た精鋭たちによって構成されており、その実力はSATにも劣らぬレベルとされています。

陸上自衛隊のレンジャー課程教育とは?

このように、銃器対策部隊は、通常警備の延長では対応できないシリアスな局面において、現場の治安を保つ最後の一線を担っているのです。

機動隊の機能別部隊その2 原発特別警備部隊

警察警備最前線 (JPOLICE特選ムック)

警察警備最前線 (JPOLICE特選ムック)

4863204019 | イカロス出版 | 2010-12-17

その中でも特に注目すべき存在が「原発特別警備部隊」です。

その名のとおり、各地にある原子力発電所の警戒・防護を任務とする部隊で、原子力施設の安全を警察の立場から守っています。

一見すると、私企業である電力会社の施設を警察が守っているという構図は、戦前の「請願巡査制度」を思わせるような印象を受けるかもしれません。韓国などでは現在も類似の制度が残っていますが、日本の場合、電力会社が警察に対して直接的に警備費を負担しているわけではありません。

電力供給は国民生活の基盤であるライフラインの一部と位置づけられており、その公益性を重視して、警察による原発警備の経費はすべて国費でまかなわれています。

日本警察が原子力施設の警備体制を強化したのは、比較的最近のことです。2000年代初頭、世界各地で「ゲリラ・コマンドゥ」と呼ばれる不正規戦が注目され始め、重要インフラ施設に対する攻撃への懸念が高まったことが背景にあります。

こうした国際情勢の変化を受け、日本でも2004年、ついに警察官を常駐させるかたちでの本格的な原発警備体制が導入され、「原子力施設警戒隊」が発足。

なお、海外における原子力施設の警備体制はすでに高度に組織化されており、たとえばアメリカでは、エネルギー省(DOE)の傘下にある法執行機関が武装警備を担当するほか、イギリスでは「英国原子力公社警察隊(Civil Nuclear Constabulary)」がその任に当たっています。

日本の原発特別警備部隊は、装備の面でも非常に高度なものを備えます。自動式けん銃に加え、ドイツ製のサブマシンガン「MP5」や、高精度なライフル「M1500 バーミンター(害獣駆除仕様)」なども配備されています。

警察の銃器.2 『特殊銃』MP5から自衛隊89式、対物狙撃銃まで

ただし、これらの特殊装備は原発敷地内であってもむき出しの状態で携行されることはなく、普段は専用のケースに収納され、民間人に対する不要な威圧感を与えないよう配慮。あくまで、必要なときに即応すべく備えているのです。

『不具合を確認するためホルスターから銃を抜いた際に誤射』……北電泊発電所警備中の機動隊員が誤射した『自動式けん銃』とは?

さらに、こうした警備力の向上には、自衛隊との連携も重要な役割を果たしています。現在では警察と陸上自衛隊の間で「治安出動時における協定」が結ばれており、原子力警備部隊も含め、各地の警察部隊は自衛隊と定期的に合同訓練を行っています。

その訓練内容は実戦的であり、警察官が自衛隊ヘリに同乗して上空から索敵を行う訓練や、銃器を携えた共同警備の演習なども含まれています。

このように、原発特別警備部隊は、国家の重要インフラを保護するための要として、現代の治安維持の最前線に立っているのです。

機動隊の機能別部隊その3 各種救助部隊

東日本大震災や広島土砂災害、熊本地震でも救助に活躍!警察と災害救助活動

警察白書 平成24年版

警察白書 平成24年版

4324095140 | ぎょうせい |  2012-07-24

日本全国の警察では、災害時や緊急事態に対応するため、専門の救助部隊である「広域緊急援助隊」が編成されています。中でも警視庁には、「警視庁機動救助隊」と「特殊救助隊」が設置されており、特に前者は『レスキュー110』の通称で知られています。

レスキュー110は単なる救助部隊にとどまらず、警察官としての使命と救助隊員としての責務の間で葛藤する場面も描かれてきました。例えば、漫画『ドーベルマン刑事』では、レスキュー110の隊員が犯人を救助しようと奮闘したものの、善意を裏切った犯人が非道な行為に及んだため、最終的には主人公の刑事によって制裁を受けるというエピソードがあり、印象に残っています。

また、国内のみならず、海外で大規模災害が発生した際には、北海道、警視庁、埼玉、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡の9都道府県警察本部の機動隊から選抜された隊員によって「国際警察緊急援助隊」が編成され、現地での救助活動に従事することもあります。

さらに、全国の警察には地域ごとに山岳救助隊が組織されており、山岳地帯での遭難救助や捜索活動では、航空隊のヘリコプターとの連携によって迅速な対応が図られています。

また、水難救助についても、各都道府県警察には専従の水難救助隊が存在します。ただし、これらの隊員は日常的には警備やパトロールなど他の業務に従事しており、水難救助が必要となった際に召集されて部隊として活動します。水難救助の際には「水難救助車」と呼ばれる特殊車両が投入されるほか、水中の証拠物件の捜索なども任務に含まれています。

まとめ

このように、機動隊は単なる集団警備のための部隊ではなく、災害時の救助活動や特殊な犯罪への対応まで、幅広い任務を担っています。

警視庁には特殊車両を運用する「特科車両隊」も設けられているほか、裏カジノ店の鋼鉄製の扉をエンジンカッターで切り開いて突入するような場面も、実際に彼ら機動隊が担っているのです。

また、近年ではオレオレ詐欺などの特殊詐欺の取り締まりにも機動隊が活用されており、その活動領域はますます広がっています。