元々、この記事2015年くらいに書いたんやが・・。
航空自衛隊と海上自衛隊のパイロットになる道はいくつかあるけど、一番ストレートな方法は航空学生採用試験に合格することやな。
航空学生っちゅうのは、高校卒業(または卒業見込み)の人、中等教育学校卒業者(見込み含む)、高専3年修了者(見込み含む)、もしくはそれと同等以上の学力があるって認められた男女を対象にしとる、海上自衛隊・航空自衛隊のパイロット候補生を採る受験区分のことやね。
航空学生になったら、戦闘機だけやのうて、輸送機のパイロットになる道も開けとるで!
夢のウイングマーク~パイロットへの道は茨の道!?~
それぞれの項目に飛べます
戦闘機のパイロットになるには、甘ないんやって思ったわ。
【航空学生:パイロットの登竜門】
一番の近道は、航空自衛隊と海上自衛隊の航空学生採用試験に合格することや! 高校卒業(または見込み)の人、高専3年修了者、同等以上の学力があると認められた人が対象や。ここに合格すれば、戦闘機だけやなくて、輸送機のパイロットの道も開けるっちゅうわけや。
ほな、ここで「自分にはパイロットの適性は…」っちゅう人にも朗報や!
固定翼哨戒機(P-3C、P-1)に乗って、戦術情報の指揮をとる戦術航空士(TACCO:タコー)っちゅう道もあるんやてよ。
【航空学生の世界は地獄か!?】
せやけど、航空学生の教育は鬼のように厳しいことで有名や。
先輩学生には絶対服従、教官は神、警備犬ですら上官やから、敬礼せなあかんっちゅう話もあるくらいや。
しかも、採用されたとしても…
成績があかんかったら即クビ!
訓練中にケガしてパイロットとして飛べんようになったら即クビ!
問答無用でエリミネートされる茨の道や。
せやけど、パイロットになられへんかったとしても、自衛官の身分を失うことはないから、他の職種に配属される救済措置もあるんや。
せやから、航空学生採用試験に受かるのが一番手堅い道っちゅうわけやな。
【航空学生以外にも道はある!】
「航空学生無理やったら、もう戦闘機乗られへんのか…?」って、そんなことあらへん! 他にも道はあるんや。
防衛大学校に合格して航空要員になる
一般大学を卒業して一般幹部候補生の航空要員になる
せやけど、どっちもめちゃくちゃ狭き門やで!
ちなみに、陸上自衛隊には航空学生みたいに最初からパイロット候補生として募集する制度がない。
陸曹になってから陸曹航空操縦課程を受けるか、幹部で入隊して幹部操縦課程を受けるしかないんや。これもまた狭き門やな!
【航空学生出身の有名人もおるで!】
そんな超エリート選抜の航空学生には、有名人もおるんや。
漫画家、たなかてつお先生(八雲出身)
傭兵として戦場を渡り歩いた高部正樹さん
せやけど、平成20年9月1日(月)に航空身体検査の合格基準が改正(緩和)されたんや。
…とはいえ、気をつけなあかんのが視力の問題や!
視力の壁!レーシックはNG!
「レーシック(LASIK)で視力回復してから受験しよかな?」って思った君、やめたほうがえよ。
航空学生、つまりパイロットを目指す受験生にとって視力は大きな問題やね。
現在は視力回復の手段としてレーザー等を用い、角膜の表面を薄くすることによって曲率を下げて視力を矯正するというレーシック手術が一般的やね。
せやけど、航空学生の受験資格には、「近視矯正手術(オルソケラトロジー含む)を受けていないこと」と明記されとるよ。
LASIK
なお、日本眼科学会公式サイトによると、LASIKとは以下のように説明されとるで。
LASIKは、フェムトセカンドレーザーというレーザーを用いて角膜の表層部位にフラップを作製し、それをめくって角膜実質を露出させ、そこにレーザーを照射して角膜実質の一部を切除しすることにより角膜の屈折力を変化させ、屈折以上を矯正します。
出典 日本眼科学会公式サイト
つまり、レーシックは眼科手術やね。
「航空学生」の受験概要案内
防衛省による公式な「航空学生」の受験概要案内を見ると、「近視矯正手術(オルソケラトロジーを含む。)を受けていないこと」と明記されているので以下に典拠を示すで。
片眼の遠距離裸眼視力又は矯正視力が0.7以上かつ両眼の裸眼視力又は矯正視力が1.0以上
中距離裸眼視力又は矯正視力が0.2以上
近距離裸眼視力又は矯正視力が0.5以上
近視矯正手術(オルソケラトロジーを含む。)を受けていないこと。
なお、矯正視力は眼鏡を使用する。(コンタクトレンズは不可)
防衛省公式サイトより引用。引用元の明示
http://www.mod.go.jp/pco/sapporo/recruit/faq_examination.html
上記が防衛省が公式に発表している航空要員の視力の基準。つまり、近視矯正手術の一種であるレーシック受けてもうたらアウト!パイロットの夢が潰えてしまうで!
なお、オルソケラトロジーとは就寝時に特殊なコンタクトレンズを装用し、視力を回復させるという手法。
また、自衛隊が公式協力した宮嶋茂樹氏の女性自衛官パイロット写真集「自衛隊 レディース 空飛ぶ大和撫子」によると、下記の一文が記載されており興味深い。
ちなみに角膜手術しても無駄である。入隊後、眼圧検査で一発でバレるらしい。その瞬間、パイロット資格は無条件で剥奪されるという。
出典 宮嶋茂樹 著『自衛隊レディース 空飛ぶ大和撫子』
飛行要員を目指すのであれば、手術(オルソケラトロジー含む)以外の方法で視力回復に努めたほうがええっちゅうことやね。
航空自衛隊の戦闘機パイロットによる視力を良くするための空自公式コメント
以下に引用したものは航空自衛隊の戦闘機パイロットによる視力に関する公式コメントや!
天気の良い日には遠くを眺める等、視力を維持向上してください。
引用元 空自公式サイト
http://www.mod.go.jp/asdf/wadf/respon/
また、パイロットへの加給食として「目に良いとされるブルーベリーのジュース等」を配給しとるで。
防衛省公式サイトより引用。引用元の明示
http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/omosiro/omosiro11.html
こんなんで目が良くなったら誰も困らんで。スマホを投げ捨てるしかないやん。
ともかく、勉強も体力も根性も以前に、何より視力を重視しとるな?この航空学生ちゅう試験は。
航空学生の試験と身体検査など
航空学生の試験には、筆記試験と身体検査があるんや。受験するんは、日本全国の有名な進学校の生徒ばっかりで、幼いころから英才教育を受けてきたような連中や。基礎学力は完璧、しかも数学と英語が普通にできて当たり前っちゅうレベルやないと話にならんと言われとる。
航空自衛隊の航空学生3次試験で行われる衝撃的なこと
せやけど、単なる秀才やからって受かるわけちゃうねん。パイロットには適性が求められるからな。
そのため、なんと実際の操縦試験があるんや。
警察や消防の試験みたいに、腕立て伏せや腹筋みたいな体力テストはないけど、航空自衛隊の航空学生3次試験では、適性を調べるための大掛かりな試験が待ち受けとる。しかも、この試験のプロセスで、受験生にとってはめちゃくちゃ貴重な体験ができるんや。なんと、実際の練習機に乗り込んで、空中で飛行実技試験を受けることになるんやで!
まだ車すら運転したことのない高校生にとっては、めちゃくちゃ驚きの試験やな。
実際の飛行試験の内容
もちろん離着陸は教官が操縦するんやけど、上空では受験生自身が、上昇・上昇旋回・水平旋回・急旋回といった基本的な操縦をやらされるんや。この飛行実技試験は、CP-1からCP-4までの過程に分かれとる。
試験の前には、簡単な概要説明はされるけど、試験官は「手順を暗記しても意味ないからな」と冷たく言い放つ。「パイロットの適性試験ちゅうのはな、限られた時間内でどんだけ飛行手順を覚えられるかってことやねん」って感じや。
高校時代にグライダーの免許を取ったり、航空特殊無線技士の資格を持っとったら、航空機に対する知識と技術があるって判断されて有利かもしれへん。でも、何の資格も持ってへんでも、適性があれば受かるもんは受かるんや。
操縦試験中は、受験生の緊張をほぐすためか、教官が「あれ、富士山やで。きれいやなぁ」とか「三保の松原やで」なんてフレンドリーに話しかけてくることもあるらしいわ。
採用後の教育
採用されたら、正式な自衛官かつ「航空学生」として、全員が航空自衛隊や海上自衛隊の基地で集団生活をしながら、約2年間の基礎教育を受けることになる。その後、飛行訓練を中心とした、それぞれの段階の操縦課程へ進むんや。
航空自衛隊の航空学生は、まずプロペラ機による初等訓練を受けるんやけど、それが終わったら、次に中等練習用の亜音速ジェット機T-4に乗ることができるようになるんや。
また、パイロットにとって英語は必須科目や。航空管制は英語が基本やし、米軍との共同訓練でも英語が使われる。せやから、航空自衛隊のパイロットは、奈良県の航空自衛隊幹部候補生学校で3か月から半年間、みっちり英語教育を受けるんやで。
訓練中に教官が怒鳴るときは日本語やけど、基本的なコミュニケーションは英語やから、英語力がないとアカンねん。
Eチェック判定とエルミネートとは
もしも訓練中に根性や学ぶ意欲が足らんかったら、「Eチェック判定」ちゅう恐ろしい評価が下されるで。
Eチェック判定っちゅうのは、航空学生の訓練で連続して不合格の評価をくらった者に対して、「お前、何考えとんねん。4.5億円の税金使って飛行訓練してる自覚ないんか?なら、パイロット以外の職種に行くか、辞めるか決めろや!」って言い渡される寸前の最終ラインやね。
せやけど、このEチェック判定から怒涛の猛勉強と努力で這い上がって、無事にウイングマークを取得したパイロットもおる。
こういう「Eチェック判定から起死回生・・怒涛の猛勉強と努力」っちゅうような根性話は、ドラマチックなんかね?防衛省の広報でも好んで紹介される話やな。
ほんでな、もしもEチェック判定から復活できへんかったり、ケガで訓練が続けられへんようになった場合、待ち受けるんが「エリミネート」や。
これは、航空学生の教育課程の途中で、パイロットのコースから外れることを意味する重大な判定やで。
パイロット資格はもちろん、ウイングマークすら取得できへんようになってまう。
このエリミネートの烙印を押されたら、自衛隊でのパイロットの道は完全に絶たれるから、航空学生にとっては対空ミサイルよりも恐ろしい存在やと言われとるんや。
F転とは?
一方で、戦闘機パイロットから救難機や輸送機のパイロットに変更されることを「F転」と呼ぶんや。
F転になったら戦闘機には乗られへんけど、パイロットのコース自体は明るいっちゅうことやな。
航空自衛隊における航空学生の教育
空自で飛行教育を担うのは瀬戸内海を望む山口県防府市にある第12飛行教育団。
防府では航空学生に対して「航空学生課程(約2年)」と「地上準備課程(0.5~6ヶ月)」、および「初級操縦課程」の教育訓練を行っとる。
なおやな、「初級操縦課程」は第11飛行教育団でも行われており、そちらに進む場合もあるで。
約2年間、座学を中心とした基礎教育を受けて修了後、飛行幹部候補生として約2年間の飛行訓練を中心とした操縦教育を経て、パイロットの資格を取得します。その証として「ウイングマーク」を授与されます。さらにその後約4ヶ月から1年で、戦闘機、輸送機、救難機に分かれて教育訓練を受けて、各部隊に配属されます。「初級操縦課程」を修了した後、芦屋基地の第13飛行教育団での「基本操縦前期課程」、または美保基地の第3輸送航空隊での輸送機等の操縦士育成の「基本操縦課程」に進みます。
このようにして、複数のメソッドを用いた教育カリキュラムが行われている。
海上自衛隊における航空学生の教育
山口県下関市の東端にある海上自衛隊小月教育航空隊っちゅうとこでは、海自の航空部隊を支えるパイロットと戦術航空士の基礎教育をやっとるんや。ここが海上自衛隊の航空エリートを育てる「揺りかご」みたいなもんやな。その、揺りかご、めっちゃ激しく揺さぶられるけどな。
2種類の教育課程
海上自衛隊の航空学生には2つのルートがあるんや。
-
幹部航空基礎課程(12週間)
- 対象:防衛大学校卒業生、一般大学卒業者など、将来幹部になる人
- 内容:航空の基礎教育を短期間でガッツリ学ぶ -
航空学生課程(2年間)
- 対象:高校卒業生で、パイロットや戦術航空士を目指す若者
- 内容:2年間かけて、基礎からみっちり鍛えられる
この教育を受けたら、みんな次の段階として徳島航空基地で計器飛行の訓練を受けるんやで。ここでは、天候が悪くても計器だけで安全に飛べるようになるための技術を学ぶんや。
もちろん、ただ飛ぶだけやなくて、将来の幹部自衛官としての資質も叩き込まれる。軽い気持ちで来たら、しんどすぎて泣くハメになるのは目に見えとるで。
脱獄みたいなことになるんちゃう?
海上保安庁パイロットの育成もやっとる!
ちなみに、海上自衛隊は海上保安庁のパイロット育成も手伝っとるんや。せやから、小月には将来自衛隊のパイロットになる学生と、海保のパイロットになる学生が一緒に学んどるわけや。
射出座席の脱出訓練がヤバい!
戦闘機には、緊急時にパイロットを機外に脱出させる**射出座席(イジェクションシート)**が付いとるんや。
簡単に言うと…
- 非常時にレバー引くと、キャノピー(機体のガラス部分)が吹き飛ぶ!
- 次の瞬間、座席の下のロケットモーターが火を噴いてパイロットごと射出!
- パラシュートが開いて、無事に降下(するはず)
ただし、戦闘機の射出座席はめちゃくちゃ負担がデカい。座席ごとぶっ飛ぶ瞬間、6G(体重の6倍の力)がかかるから、下手したら気絶するレベルや。
「ほな、実際に飛んでみよか?」とはいかんけど、この射出脱出を疑似的に体験する訓練があるんや!
- ロケットの代わりに圧縮空気を使う
- せやけど、Gは6G!一瞬で天国見えるレベル!
ほんで、もしパイロットが海に落ちたときのために、
- 自動で膨らむ救命いかだ
- 生き延びるための食料・救助信号
なんかも座席に仕込まれとる。
ちなみに、アメリカのU-2偵察機には自尽用の毒が入っとったらしいけど、自衛隊のはそこまで過激なもんはないで!
空挺降下訓練もするんや!
海自のパイロットや戦術航空士は、陸上自衛隊第1空挺団で「落下傘降下訓練」も経験することになる。
- 高さ80メートルの降下塔から飛び降りる
- 実際の空挺降下に近い状況をシミュレーション
- ここでビビっとったら話にならん!
まとめ!
✅ 航空学生には2つのルート(幹部候補生コースと高校卒業コース)がある
✅ パイロットは徳島航空基地で計器飛行の訓練へ進む
✅ 海上自衛隊は海上保安庁のパイロット育成もやっとる
✅ 射出座席の脱出訓練は6Gでガチの地獄!
✅ 陸自の空挺団で降下訓練も経験!
せやから、「空飛ぶ海自のエリート」になりたいんやったら、小月での訓練を乗り越える覚悟がいるで!