海上自衛隊の配備する迷彩服

海上自衛隊

海上自衛隊は2012年、ついにブルーのデジタル迷彩服を導入した。長年の悲願であった「独自迷彩」として注目を集めたが、その実用性については当初から疑問視する声も多かった。

この迷彩は米海軍の「Navy Working Uniform(タイプ1)」に酷似しているが、日本独自の意匠として細かな「錨マーク」が散りばめられている点が特徴的である。

ストライクアンドタクティカルマガジン 2016年 01 月号 [雑誌]

ストライクアンドタクティカルマガジン 2016年 01 月号 [雑誌] B017RLTETM | SATマガジン出版 | 2015-11-27

世界的にも当時はブルー系デジタル迷彩が流行しており、米海軍や中国、韓国海兵隊などが相次いで採用していた。海上自衛隊の新迷彩も、そうした国際的な流れを踏まえたものと見られている。

しかしながら、「これで本当に迷彩効果があるのか」という懸念は根強かった。

海自隊員の多くは艦艇勤務であり、山野や都市部での擬装効果を期待される陸上自衛隊とは環境が異なる。

むしろ海上自衛隊の場合、「識別性」や「統一感」といった象徴的な意味合いの方が重視されていた可能性が高い。

つまり、この青いデジタル迷彩は、実戦用の迷彩というよりも「海軍の制服」としての役割が大きいのだ。

一方で、2018年には米海軍が「青迷彩は意味がない」として廃止を発表し、2019年10月までに緑の作業服への完全移行を完了した。実際、「青い迷彩は海に落ちた際に発見しにくく、陸上では逆に目立つ」との指摘が現場から相次ぎ、不評だったという。

導入当初から「海に落ちたら発見しにくい」などと疑問視する声があった。
米海軍の兵士が10年近く作業用の制服として着用してきた青い迷彩服が緑色に切り替わる。陸上や船上で敵に見つかりにくくなるわけではなく、「青の迷彩は意味がない」と不評だった。日本国内の米海軍基地でも8日から緑の迷彩服の公式販売が始まり、青色は翌年10月までに完全に廃止される。
(出典:産経新聞「青い迷彩服、緑色に 米海軍」2018年1月13日付 https://www.sankei.com/photo/story/news/180113/sty1801130003-n1.html

伝統を重んじる海上自衛隊にとって、このデジタル迷彩の導入は大きな転換点であったことは間違いない。

しかし結果的には、米海軍の迷彩政策変更を受けて「方向を誤った」とも評される。

ともかく、これで陸・海・空の3自衛隊がそれぞれ独自の迷彩服を持つ体制となった。

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