実際に筆者が使用した広帯域受信機をレビューしてみます。おまけで未購入の機種の紹介もあります。

アイコム IC-R6


コンパクトさ、燃費の良さ、操作性、受信感度、秒速100サーチの高速度・・・すべての性能の平均点が他のライバル機から群を抜いており、コレで聞けないなら、もうすっぱり諦めきれるほど。

胸ポケットに入るサイズも良いし、ボタンの押し込みも柔らかすぎず硬すぎず絶妙。

筆者はニッケル水素充電池で運用していたが、満充電で約20時間の受信ができたのは驚異的かつ、大変心強かった。

欠点としてはアイコムが自主規制をしていることで可聴周波数が歯抜けになっており、受信に命をかけたいならば、受信改造済みが必要。だからとくに、航空自衛隊の特別な無線の受信を楽しみたい方には以下でご紹介している特別な改造をしている IC-R6の購入を絶対的におすすめしている。

【航空無線受信テク】航空無線を受信するためにはまず広帯域受信機を購入しよう!

ただし、改造がなされているとメーカーの無償修理が受けられない可能性がある(壊れたことが無いので修理に出したことは無い)。

周波数の入力は手打ちの直接入力のほか、クローニングソフトも用意されているので大量の周波数を一括でパソコンからメモリーしたいのなら必携だ。

なお、PCとIC-R6を接続する専用のクローニングケーブルも必要となるので注意。

あとはとくに欠点らしいものは無い・・・。物足りないとすれば、ラジオ放送を聞きながら待ち受けできる機能くらいだろうか。ssb対応や2波同時受信機能なども欲しいが、この価格帯では高望みだろう。

なお、アイコムにはさらに上位機種のハンディ・レシーバーとしてIC-R20という0.15~3304.999MHzの超広帯域をオールモードでカバーするモデルがあったが、2015年に生産終了。

そして2018年3月、待望のIC-R20の後継機種となる新型レシーバー「IC-R30」が発売された。通常のアナログ無線に加えて、D-STAR/国内DCR/NXDN/dPMR/APCO P25などのデジタル無線も受信可能。実勢価格は8万円前後。

ノーマルでは歯抜け受信機だが、ラジオライフ2018年6月号にはIC-R30の受信改造の方法も載っていたので幅広いジャンルの受信が楽しめそうだ。

ただ、聞けるデジタル無線の方式はそう多くないようだ。

バーテックス・スタンダード(ヤエス) VR-160

バーテックス・スタンダード(ヤエス)もまた売れる製品ばかり出している会社だ。VX-3は初心者から上級者まで超人気のハンディ型のアマチュア無線機で防災アイテムとしても最優秀だし、その上位機種で3級アマチュア以上向けのVX-8Dはその決定版と言ってもいいくらい。モービル機ではFT-7900も使いやすくてベストセラーだ。

さて、おそらくIC-R6と双璧をなす人気のライバル受信機がこのバーテックス・スタンダードのVR-160だろう。


受信改造不要の歯抜けなし、IC-R6よりもややコンパクトで、さらに手になじむ大きさと軽さが魅力。筐体のカチッとしたつくりと手触りは質感も良くIC-R6よりも好印象。

ラジオ放送を聴きながら無線交信を待ち受けして、受信するとラジオ放送から無線に切り替わるAF DUAL機能などは逸品。

だが、他の受信機とたがわず、AMの受信感度は悪く、NHK以外はマトモに入らないと思ったほうが良い。一方でFM放送はFBに聴取可能。

バンクボタン長押しで60機能程度を呼び出せることができ、とにかく高機能。LEDライト機能からモールス練習機能まで詰め込むあたりはVX-3と同じく少し節操なく、無駄な機能が多いと感じるかも。キーはバックライト機能つきで夜間も大変心強い。バンドスコープも面白い機能だ。

バッテリーはリチウムイオン電池のおかげで本体を薄くでき、単三電池を2本使うIC-R6よりは短いが、長時間駆動に貢献している。

ただ、放電には注意が必要で、完全に電池を使い切ると正常に充電できなくなったり、バッテリーの寿命が短くなるというのが面倒くさい。ただ、単3電池3本で駆動させるための専用電池カバーが標準セットになっており、出先や緊急時にコンビニで電池が入手できれば、災害時にも助かる(でも、すごく厚みが増すし、普段リチウムで使っていたら、このカバーを非常時のために持ち歩くってある?車移動ならいいけど・・・)。

メモリースキャンでは、登録した周波数帯域に絞ってスキャンしてくれるバンドサーチが便利だ。国際VHF、旧アナログテレビ放送、世界のラジオ局、消防救急、特定小電力など各種メモリーが登録済みだが、エアバンドは未登録のため、エアバンダーは各ショップオリジナルのエアバンドスペシャルを購入するのが吉。

フルドットLCDにより、メモリーにはカナで名前を登録もできるから見やすくわかりやすく二重丸。

だが、IC-R6に慣れてしまうと決定的にスキャン速度が遅いのは受信機として最大のマイナス点になる。

IC-R6のように「パパッ」とメモリーバンクを切り替えられない点もマイナスポイント。

また、はっきり言って、VR-160単体で周波数をシコシコとメモリーしていくのは単純作業を繰り返す自称アットホームなお店です!とか、底辺工場の苦役のようでやりたくない。IC-R6のキーのようにぐにゃあっとした感触に比べると、キーボタンが硬すぎるのだ。

そこで、アダムス5という純正のメモリー編集ソフト(正確にはケーブルを含む)が実勢価格5000円で販売されている。


PCと同ソフトがあれば、エクセル感覚で入力していくことが可能だ。将来、VR-160一本でやっていこうという人なら非常に重宝するだろう。

VR-160単体に直接入力していくと万が一の故障の場合、今まで手作業で入力したデータがオジャンになり、精神的なダメージが計り知れない。外部にバックアップデータを保存する”保険”の意味でも同ソフトを購入しておいたほうが良いかもしれない。

それと、旧アナログテレビのメモリーについては使い物にならないので削除してほしいよね。

VR-150

未使用なので紹介のみにとどめたいと思う。現在、スタンダードでは上記のVR-160と、前モデルのVR-150のハンディ受信機を製造販売している。

VR-160が発売されてもVR-150が製造中止にならず、今もアマゾンなどで普通に販売されているということは、アイコムのIC-R6とIC-R5の関係のように後継モデル・・ということではなく、あくまで上位機種と下位機種という区別なのだろうか。ヤエスの公式の製品説明ページでは「アウトドアレシーバー 上級バージョン登場」と記載されているとおり、筐体が頑丈。0.1~1299.995MHzをフルカバー。サーチ速度はIC-R6の秒速100chの十分の一くらいじゃないかな?価格は2万円前後のIC-R6やVR-160に比べると3000円ほど安い。なお、VR-150は歯抜け受信機なので注意。ショップの受信改造機もあるが、普通にIC-R6やVR-160を買ったほうが無難。

アルインコ DJ-X8


受信改造不要の歯抜けなし受信機。テンキーとテンキーレスを任意に選ぶことができる。録音機能により各種交信を記録できるが、トラックごとに削除できないのであくまで簡易的な機能か・・。スキャン速度は任意に変更可能で意外と速いが、本当にサーチしてくれてるのだろうか・・・。

悪い点は、デカイ、厚い。胸ポケットに入らないといったサイズの面だろうか。しかも、筐体はまるでマルハマの受信機くらい安っぽくて驚く。

ただし、同社製品にはカードサイズ受信機ことDJ-X7がラインナップされていることを付け加えておく。

また、ダイヤルを回すと「パチパチ」とうるさいのが気になる。おまけに、せっかくのテンキーモデルなのにキーの感触がグニグニしてるのが嫌だ。電池の持ちも悪い。

IC-R6の燃費の半分くらいだろうか。ちょっとこれを買う理由はないと思う。

アルインコ DJ-X81


この機種は過去に使ったことが無く、詳しい性能が分からないので貶すことは控えたいと思う。

実勢価格は25000円程度と、上記の3機種に比べてやや高価だが、何と言っても地上デジタルテレビ放送の音声が聞けるほか、津波や地震などの災害時の緊急警報放送(EEW/EWS)が電源オフ時でも自動でオンになり聴取できるところが売りでしょう。これでキミも防災マイスターになれる。

また、国際VHFの聴取に力を入れているようで、16chへの自動復帰なんて便利機能もいい。欠点は大人の事情で可聴周波数が歯抜けになっており、24時間受信していないと死ぬ、というようなヤバイ受信家ならばショップの受信改造が必要であるということくらいか。

だけどね、やっぱりコレも分厚いの!

それと、アルインコにはさらに上位のハンディ受信機にDJ-X11というモデルがあるが、これはデュアル受信が可能。分厚いけどね。

まとめ・・広帯域受信機は結局どれを買えばいいの?結論はいったいどの機種・・?

とまあ、各社のワイドバンドレシーバーの代表機種を軽くレビューしてみた。他に現在、受信機を出しているメーカーとしてはAORやユニデンやファーストコムも挙げられる。以前はユピテルや、マルハマも出していたが、すでに受信機業界からは撤退している。

結論をズバリ言うと、IC-R6かVR-160になる。

IC-R6の基本性能の高さはもう今更このサイトで言うことはないだろう。受信感度、スキャンの速度は抜群、バンク切り替えは神業的シフト。

IC-R6はかなり広範囲の無線を拾うのは確実だ。しかし、無改造機は制限があるので、各ショップの受信改造モデルを買うこと。それが無難な選択と言える。

VR-160は受信改造不要の歯抜けなしと、メモリーの豊富さが魅力。とくに各国の短波放送の周波数がメモリーされており、ラジオ放送を楽しみながら各種無線をチェックするのはとっても乙。

ただし、スキャン速度が遅いので、適宜バンクを切り替えて聞きたい周波数を選り分けて受信しよう。余裕があればどっちも買って損はない。DJ-X81はともかく、DJ-X8はテンキーを多用したい人以外は買わないほうが無難だ。

業務無線のアナログからデジタルへの移行はすでに総務省の周波数再編による決定事項であり、避けられない。今後アナログ専用受信機であるIC-R6の後継機は出るのか気になるところだが、航空無線は今後もアナログで運用され続けていくことだろう。

いずれにせよ、デジタル対応の広帯域受信器がこれから主流になる。現在のところ最も人気が高いデジタル受信機は「エーオーアール(AOR)AR-DV1」だろう。高額だが、聴けるデジタル無線方式の数が魅力的だ。


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