自衛隊に入るとどうなるのか
まず入隊前についてである。よく耳にするのが「体力をつけておくべきか?」という疑問だ。この点については、自衛隊広報誌『MAMOR』において、自衛隊東京地方協力本部募集課・募集訓練班長である鈴木3等陸佐のコメントが紹介されている。
自主トレとして、20分ほどのランニングや、腕立て伏せ・腹筋がそれぞれ10回ほどできるようにしておくと良いでしょう。ただし、それよりも重要なのは、規則正しい生活を送ることです。体力は入隊後に自然と身につきます」
無理をして急激にトレーニングを始めた結果、かえって体を痛めてしまっては本末転倒である。また、入隊時には身体検査が実施されるが、すでに受験時に一度身体検査を受けていても、着隊時に再検査が行われる。もしここで異常が見つかれば、採用そのものが取り消される場合もあるという。
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着隊後の生活
そして、いよいよ着隊の日を迎える。「着隊」とは、自衛官として採用された者が、指定された駐屯地や基地に(地方協力本部の職員に付き添われるなどして)出頭することを指す。ここから本格的な隊員生活が始まるのである。
ここからは、広報官から部隊の教育係へと、「面倒を見る人」が引き継がれていく。
着隊時の持ち物は概ね以下のようなものだという。
着隊日に携行する物品
着隊日に必要とされる携行品は次のとおりである。
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印鑑(シヤチハタ不可)
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筆記具(黒・赤ボールペン、鉛筆2~3本、消しゴム、定規)
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国語辞典
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下着(シャツは白。ワンポイント可。上下6セットほど)
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タオル
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洗面具
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化粧品(女性のみ)
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ジャージ上下
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裁縫道具
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ランニングシューズ
- 腕時計
所持金については、駐屯地内の民間売店(PX)で身の回りの品物や嗜好品を購入するため、3万円から5万円程度が望ましいとされるのだが、もっとも、隊員食堂での食事はすべて無料であり、食費の心配はいらない。
教育隊によっては、運動服やその他の備品を一括購入する場合があるが、その代金は給料日以降の支払いとなるため、初期費用として現金を多く持参する必要はないそうだ。
着隊すると、これまで地方協力本部の広報官が担っていた新隊員の生活支援は、教育隊の班長に引き継がれる。教育隊の班長とは、外国軍でいえば軍曹に相当する階級の自衛官であり、初めて駐屯地に足を踏み入れた新入隊員を、まさに「現場の指導者」として迎え入れる存在である。
「合格おめでとう!よく来たな!一緒に頑張ろう!わからないことがあれば何でも聞いてくれよ!」――教育班長は、新隊員一人ひとりと固い握手を交わしながら、満面の笑みでそう語りかける。このあたたかな笑顔が見られるのは、入隊初期の限られた数日間にすぎない。
自衛官の任官宣誓と宣誓書
その後、新規採用された者にとって最初の節目となるのが「入隊式」である。式典に臨むにあたっては、入隊者一人ひとりが自らの決意を記した「宣誓書」に署名することが義務づけられている。これは単なる形式的な儀式ではなく、自衛官としての任官に際して国民の負託にこたえることを誓う、極めて重みのある行為である。
この宣誓は、自衛隊法によって明確に規定されており、すべての新規採用自衛官は、例外なくこれを行わなければならない。制服を着用し、記念撮影が行われる。そうした儀礼的な準備のもとで、国家への誓いが正式に交わされるのである。
自衛官の場合
宣誓書には、「私は自衛官として日本国民の負託にこたえる」旨の文面が記されており、それに署名することで、国家に対して自らの命を預ける決意を表明する。広く知られる「事に臨んでは危険を顧みず……」という一節も、この宣誓の精神を象徴する言葉の一つである。
私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。
自衛官候補生
- 自衛隊法施行規則によって定められた自衛官候補生の服務の宣誓を行う。
私は、自衛官候補生たるの名誉と責任を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、知識をかん養し、政治的活動に関与せず、専心自衛官として必要な知識及び技能の修得に励むことを誓います。
任官拒否
それは自衛隊における一つの構造的課題である
幹部自衛官を養成する教育機関、防衛大学校に入校し、税金で授業を受け、給与も支給されながら、卒業後に自衛官として任官しない者が一定数存在する。この現象は「任官拒否」と呼ばれ、過去たびたび世論の議論を呼んできた。
本来、防衛大学校は幹部自衛官を育成するための国費による教育機関であり、卒業生は自衛官として任官することが制度上の建前である。しかし、任官はあくまでも本人の意思に委ねられており、法律上の義務はない。これが制度の盲点となっている。
政府はかつて、こうした任官拒否者に対して授業料相当額として250万円を返還請求する措置を検討したことがある。税金で高等教育を受けながら、公的な職責を果たさないのは不公平であるという指摘に基づいた対応である。
一方で、自衛隊幹部の中には別の見解もある。「防衛大学校で育成された素養ある若者が、自衛官という道ではなく民間の分野で活躍することも、社会にとっては十分に有益である」とする肯定的な評価だ。国家の防衛に資するという狭義の目的を超えて、広く社会全体への貢献を重視する考え方ともいえる。
ところが、より厳格な制度が敷かれているのが、自衛隊の医官を育成する防衛医科大学校である。同校の卒業生には、卒業後9年間にわたって自衛隊に勤務する義務が課されている。この義務を果たさずに任官を拒否した場合、国家は高額な返還を求めることがある。過去には、医師免許を取得後に「自衛隊ではなく一般の病院で高収入を得たい」として任官を拒んだ卒業生に対し、約5000万円の返還を請求した事例もある。
任官拒否は、個人の職業選択の自由と、公費による専門教育を受けた者の社会的責任との間にある根深いジレンマを浮き彫りにする問題といえる。今後の制度設計や運用には、より慎重かつ誠実な議論が求められるであろう。
営内生活の実態
入隊式が終了すると、あなたの扱いはもはや「お客様」ではなくなる。教育班長の顔から仏のような笑みは消え去り、そこにはガミガミとうるさい「鬼軍曹」が現れることとなる。そして、あなたは「シャバ」とはしばしお別れ。自衛隊という閉ざされた空間で、新隊員としての営内生活が始まるのである。
着隊後には、さまざまな事務手続きや身体検査が行われる。これらを終える頃には、自衛隊という組織の空気が少しずつ肌に染み込み始めているはずだ。
つい先日まで、あなたは高校生として、国から手厚い保護を受けながら安穏と暮らしていたかもしれない。しかし今やその日々は過去のものとなり、国家支給の制服に身を包み、営内での集団生活が始まる。
戸惑い、緊張、そして環境の激変――多くの新入隊員がこのギャップに苦しむという。怖い先輩の「オラオラ節」にたじろぎ、ママや猫に会いたくなる夜もあるだろう。しかし、自衛官には「指定された場所に居住する義務」がある。あなたはその義務に従い、粛々と営内生活を開始することとなる。なお、駐屯地の柵はトゲトゲの有刺鉄線がついており、痛い。
一般的に新隊員は入隊後2~3週間を経て外出が許可される。ただし教育隊によっては、入隊式後の最初の週末に外出を許可する場合もある。とはいえ、平日は特別な理由がない限り、外出は許可されない。外泊・休暇についても、教育期間中は原則として認められないが、ゴールデンウィークなどの節目には「年次休暇」あるいは「特別休暇」として、一定期間の外出が許される。少なくとも、休暇制度のないブラック企業とは違い、制度としての余裕はある。
なお、士や曹の身分であっても、2等陸曹以上かつ30歳以上であり、配属先が地本(地方協力本部)など駐屯地外に所在する場合や、親の介護、既婚者といった特別な事情がある場合には、営外での居住が認められる。
部屋の構成については教育隊により異なるが、入隊直後はおおむね6~10名の相部屋となり、部隊勤務に移行すると、1~4名の部屋へと変更される。これは改善ともいえるし、妥協ともいえるだろう。
部屋の区分は出身地などを考慮して、全国から来た隊員が均等に配置されるように調整されている。部隊によっては相部屋にパーティションを設けて簡易的に個室化している例もあり、メンタル面への配慮がなされていることがうかがえる。
このように、営内での共同生活こそが新隊員教育の基本形である。
なお、一部の創作に見られるような「男性と女性が同じ宿舎で生活する」という描写は現実に存在しない。陸・海・空すべての自衛隊において、女性宿舎は男性宿舎とは完全に別棟となっており、男性隊員の立ち入りは厳禁である。万が一、誤って侵入した場合でも厳重注意となり、悪意ある行為であれば警務隊に身柄を拘束される。
女性自衛官は基本的に男性隊員と同等の訓練を受けるが、居住空間、入浴施設、更衣室などについては女性専用スペースが整備されているため、安心して生活を送ることが可能である。
起床――らっぱの音とともに一日が始まる
自衛隊で、らっぱの鳴らない日はない。
朝は「起床らっぱ」によって目を覚まし、昼は「昼食らっぱ」とともに食事を摂り、夜は「消灯らっぱ」に見送られて眠りにつく。日々の始まりと終わり、すべてにらっぱの音が寄り添っている。
「起床らっぱ」が鳴り響くや否や、新隊員たちはただちに身支度を整え、整列点呼に向かう。点呼を終えると部屋に戻ってベッドを丁寧に整え直し、顔を洗ってようやく目が覚める。やがて「課業開始らっぱ」が響き渡る。
言葉にすればそれだけのことだが、自衛官にとって、らっぱの音色は胸に沁み入る特別な存在である。ちなみに陸上自衛隊では、所定の教育課程を修了すると「らっぱ手」としてMOS(職種分類)を取得できる。
基本教練――始まる「ハイポート&武装走」
いよいよ本格的な訓練が始まる。新隊員たちは、自動小銃を胸の前に掲げて走る「ハイポート」で、精神と体力の限界に挑む。
使用するのは89式小銃。約3.5kgの鉄の塊を胸の高さで支えながら走り続けるのは、見た目以上に過酷だ。基本的な個人装備はケブラーヘルメット、戦闘用サスペンダー、ベルトなどで構成された「戦闘装着セット」を身につけて走る。負荷は相当なものだ。
日常と訓練――自衛隊の「しきたり」
日夕点呼
点呼では、一人ひとりが在室しているかどうか、体調に異常がないかを確認し、上官に報告する。朝夕の規律の基本だ。
球技
球技は体力練成の一環として取り入れられている。基地や駐屯地には専用のグラウンドがあり、部隊単位で汗を流す。
塵芥作業(じんかいさぎょう)
いわゆる清掃。駐屯地内の美化を保つために、隊員たちはゴミ収集作業にも従事する。
不寝番
夜間の警戒にあたる係。懐中電灯、警棒、警笛、腕章の4点装備。眠気との戦いは、任務の重みを物語る。
号令訓練
「気をつけ!」「敬礼!」といった基本号令の発声を訓練する。声に魂を込める、いわば自衛官の第一声だ。
舎前(しゃぜん)
隊舎の前のスペース。呼び出し時によく使われる。「君たち(お前ら)、舎前に集合だ!」
自由時間
基本的には課業(08:00~17:00)以外が自由時間だ。ただし、消灯は23:00。もちろん、らっぱが鳴る。
警衛勤務――「上番」と「下番」
駐屯地の警備にあたる「警衛当番」の交替時を、それぞれ「上番」「下番」と呼ぶ。民間の警備会社でも使われる用語だ。任務は24時間体制。警戒区域への不審者の侵入があれば、3度の呼びかけに応じない者を捕獲する。状況が明らかな敵対行動であれば、実力行使も辞さない。携帯するのは89式小銃に加え、特殊警棒である。
匍匐前進――地を這い、前に進む
腹ばいになり、腕と足で地面を這う「匍匐(ほふく)前進」は、基本中の基本。鉄条網の下を通過するような訓練も含まれている。頭を上げれば即座に班長の叱責が飛ぶ。
海上自衛隊の名物――「カッター訓練」
海上自衛隊では、幹部候補生や新隊員に対し「カッター訓練」が課される。9メートルの手こぎボートを、45名の乗員全員で息を合わせて漕ぐ。進むためには全員の協調が必要であり、まさに一致団結を学ぶ場である。
「5分前の精神」――時間を制する者は任務を制す
海上自衛隊で徹底される心構え。「次の行動に、5分前には移れるようにする」ことが教育される。この精神を身につければ、日常生活においても時間に遅れることはない――はずである。
銃剣道――自衛官のたしなみ
自衛官にとって、銃剣道はただの武道ではない。身体操作、精神統一、そして突撃の構えを養う、実戦に通じる技術である。
休日と「青虫ジャージ」
教育期間中の休日。真っ青なジャージを身につけて過ごす日常がある。通称「青虫ジャージ」。その上に戦闘服を重ね着すれば、「ジャー戦」の完成だ。しかし、2025年現在は廃止されている。
週休二日とはいえ、教育期間中は休暇も作業で埋まることが多い。朝から制服や戦闘服のアイロンがけ、半長靴磨き(先輩のぶんも)、縫い物……。自衛官は驚くほどアイロンがうまい。そして最後は、ドアノブを金属磨き「ピカール」で仕上げる。細部にこだわる習慣は、任務の精度にもつながるのだ。
車の所有
自衛隊では、入隊したばかりの新隊員が自家用車やバイクを持ち込むことはできない。車を所有できるようになるのは、概ね1年が経過し、正式な申請を経て許可を得てからだ。それまでは移動手段がないため、休日も基本的には駐屯地内で過ごすことになる。
とはいえ、新隊員教育の期間中には「引率外出」という楽しみな行事も用意されている。これは営内班の仲間たちと班長の引率で、地元の繁華街などを散策できる外出の機会だ。班ごとに制服姿で町を歩く光景は、地元でもちょっとした名物になっている。
規律違反への対処
一方で、規律違反にはそれなりの罰がある。なかでも「外出禁止」は代表的な懲罰の一つだ。遅刻や私語、整理整頓の不備といった小さな違反も重なると、処分の対象になる。班長に怒られるような行動は慎まなければならない。
特に注意したいのが、「台風」と呼ばれる教育隊ならではの“洗礼”だ。これは、部屋の整理整頓が不十分と判断された際に、班長の手で居室が徹底的に荒らされるというもの。個人の持ち物はもちろん、官品、さらにはベッドまでもが文字通りひっくり返される。その荒れ方は凄まじく、訓練を終えて夕食後に戻ってきた部屋が、まさに台風の通過後のような惨状になっていることもある。
部屋の外に持ち物がぶちまけられているのはまだ序の口で、二段ベッドの上段と下段がひっくり返されているという“演出”が加わることもある。もはや怒りというより、芸術的な破壊行為にすら見えるその仕打ちは、古くから自衛隊に伝わる教育的指導として知られ、新隊員たちに畏れられている。
なんだか営内での生活は、怖くて窮屈そうに感じるかもしれない。
もちろん、自衛隊は軍隊だから、厳しい毎日が待っているのは間違いない。しかし、駐屯地の中には隊員がリラックスできる娯楽施設も整っている。売店や食堂、そしてインターネットが使えるコーナーもあり、売店は「PX(ピーエックス)」と呼ばれている。
制服はもちろん、日用品や食料品、CD、土産物、雑誌まで、品揃えはローソンやセイコーマートのように充実しているのだ。
歩幅75センチメートル
変なアニメのタイトルではない。男性隊員が行進する際の歩幅が75センチメートルであるということだ。駐屯地にはその75センチごとにラインが引かれており、普段から隊員はその歩幅を意識して歩いている。女性隊員の場合は70センチメートル。
ベッドメイキング
自衛官の教育で特に厳しく教えられるのが、寝具の整理整頓だ。ベッドメイキングでは毛布の畳み方まで細かく決まっており、乱れていると先に説明した「台風」が上陸する羽目になる。たたんだ毛布は「バームクーヘン」と呼ばれている。まさにその形がバームクーヘンに似ているからだ。
武器授与式と小銃分解結合訓練
自衛官は銃の取り扱いをしっかり身につけなければならない。
厳粛な武器授与式を終えると、89式、20式小銃の操作訓練や整備、そして本格的な射撃訓練が始まる。ただし、貸与された小銃は常に自分のロッカーに保管しているわけではなく、武器庫で厳重に一括管理されている。
「執銃」は基本教練の一環であり、儀礼的な意味合いもある小銃の取り扱い訓練だ。立て銃から元へ銃に戻す動作まで、すべての手順を自衛官は完璧に覚える。教育隊では、小銃を体で覚えるまで何度も分解と結合を繰り返す。この訓練を「小銃分解結合訓練」と呼ぶが、64式小銃の場合、部品は約150点もあり、それぞれの手順を覚えなければならない。
もし分解中に小さな部品を飛ばしてしまうと大変だ。怒り心頭の班長が飛んできて叱責され、腕立て伏せ10回ほどの罰が科せられることになる。
気になる食事は?
食堂は基地や駐屯地はもちろん、潜水艦や護衛艦の中にも設けられている。自衛隊の食事が美味しい理由のひとつに、季節ごとの料理が欠かさず提供されることがある。
たとえばクリスマスにはチキンやケーキが出され、お正月には餅も振る舞われる。食べるものに困ることはまずない。
部隊配属と進学制度 自衛官の“その後”に迫る
新隊員は基礎課程教育を終えたのち、全国各地の一般部隊に配属される。配属先は本人の適性や訓練成績、さらには本人の希望などを総合的に考慮して決定される。自衛隊においては採用試験だけでなく、教育修了直前の区隊長面接など、複数の場面で面接が行われており、これらが重要な判断材料となっているという。
また、配属後は希望すれば定時制高校や通信制大学に通学する許可を得ることも可能で、スクーリングへの参加も認められている。課業後に独学を続ける隊員も少なくなく、自衛隊生活と学業の両立を目指す環境は制度面でも整備されているのが現状だ。
とりわけ、夜間学校への進学に関しては制度が確立されており、若い自衛官がこの仕組みを活用していた事例は少なくない。ただし、高等教育機関、すなわち打学に関していえば、全てが門戸を開いているとは言い難い。産経新聞の報道によれば、東京大学大学院に対し入学を志願した自衛官が、「自衛官であること」を理由に願書の受け取りを拒否されたというケースが実際に存在する。
もしこれが事実であるとすれば、国の安全保障を担う職にある者への不当な差別であり、看過できない問題である。日本最高峰の教育機関である東京大学には、公平性の原則に基づいた改善が強く求められる。
これが自衛隊流の成人式だ!
18歳で入隊すると、20歳の成人式を自衛隊内で迎えることになる。自衛隊でも20歳を迎える隊員を祝うため、各部隊では盛大な成人式が執り行われている。
一般的な成人式といえば、晴れ着を着て、恋人や友人と車で乗り付け、記念写真を撮ったり、市長の挨拶を聞いたりするが、正直なところ参加したくないという若者も多いだろう。成人式でのあの気まずい空気や、帰りにもらう「国民年金を納めましょう」というパンフレットも、あまり嬉しいものではない。
それに対し、陸上自衛隊札幌駐屯地の成人式は一味違う。ここでは雪中ラグビーが恒例行事として行われており、厳しい環境の中で体を動かす、非常にダイナミックな式典となっている。しかも、この雪中ラグビーには女性隊員も参加しており、男女問わず力を合わせて成人を祝っている。
まとめ
以上、自衛隊入隊前後に起こりうる主な事柄を本項にて簡潔にまとめた。
自衛隊の生活は厳しい規律と厳格な訓練が基本だが、一方で隊員の生活を支える娯楽施設や季節の食事も充実している。入隊後は車の持ち込み制限や細かい生活ルールに従いながら、武器の扱いや基本動作をしっかり身につけていく。成人式などの行事も独自の文化があり、仲間との絆を深める機会となっている。将来の進学や自己啓発の道も用意されているものの、一部ではまだ課題も残されている。総じて、厳しさの中に隊員同士の連帯や成長の場が存在するのが自衛隊の現実だと言える。
さて、自衛隊入隊後に待ち受ける日々、そしてその直前に起こりうるさまざまな出来事について――。それを手軽に、しかも漫画で知ることができるのをご存じだろうか。
その一例が、陸上自衛隊が配信している漫画『さむらい物語』である。想像以上に中身は本格的であり、「面白い」との声も多い。作品では、入隊から始まる自衛官としての日々が、臨場感を持って描かれている。若者の感情に訴えかけたりする手法、活動を「プロパガンダ」と呼ぶが、漫画をそれに使うのはプロパガンダ大国日本では戦時中からのセオリーであるし、現代でもちょうど良い代物なのかもしれない。

画像の引用元 https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/about/comic/index.html
また、自衛隊愛知地方協力本部が提供する『漫画モリヤマ!』は、特筆に値する内容である。この作品では、着隊から入隊後の生活に至るまでのプロセスが、ほぼすべて網羅されており、一般の読者でも自衛隊生活の実像に触れることができる。
漫画モリヤマ!の詳細は、愛知地方協力本部の公式サイト(http://www.mod.go.jp/pco/aichi/manga1.html)で掲載されていたが、現在はリンク切れである。
本記事の執筆にあたっても、これらの漫画を参考資料の一つとした。