航空自衛隊も使う世界最強クラスの戦闘機F-15…「被撃墜ゼロ」はウソ?

実は航空自衛隊のF-15が“撃墜”されたことをご存知でしょうか?

えっ?いつの間に日本は戦争を・・・。いえいえ、これは訓練中の誤射なのです。

「世界最強」と評価される戦闘機 F-15J を配備している 航空自衛隊(JASDF)。米軍を含め、世界的に見ても、F-15はその実戦における“被撃墜ゼロ”という神話は広く知られています。

ところが、1995年11月22日、訓練中に自衛隊機による誤射で撃墜事故が発生。

これは世界で唯一のF-15撃墜事例です。

F-15撃墜事故の概要

日本の航空自衛隊(JASDF)も運用するF-15J/DJ系列機は、高い性能を誇る制空戦闘機として長年にわたり、世界各国のF15の実戦配備状況から見ても「被撃墜ゼロ」と言われてきました。

確かに実戦での空対空による撃墜記録は無く、その運用実績と安全性は評価されています。

しかし、これはあくまで「敵による撃墜が記録されていない」という意味であり、訓練中の誤射により機体を失った事例があることを忘れてはなりません。

実際、1995年、日本のF-15が訓練中に同機種から発射されたミサイルによって撃墜された事故が発生しています。

事故の概要:訓練中の“僚機撃墜”

1995年(平成7年)11月22日午前8時40分頃、石川県・能登半島沖の輪島市舳倉島南東約10kmの海域にて、JASDF第6航空団所属機のF-15J(機体番号62-8870)が訓練中、同じ隊所属の僚機(機体番号52-8846)を誤ってミサイルで撃墜しました。

被撃墜機のパイロットは射出座席で脱出し無事でしたが、機体は海中に墜落しました。

事故当日は空中戦闘機動(ACM)訓練中で、二機編隊でドッグファイトの模擬演習を行っていました。

その後の調査により、機械的な不具合は確認されず、人為的なミス(パイロットエラー)が有力視されました。機体製造元の調査も異常を発見せず、パイロットが誤って発射系統を有効化した可能性が高いと発表されています。

この事故では、当時の訓練飛行中に同じスクワッドロン所属のF-15Jから発射された空対空ミサイル(AIM‑9Lサイドワインダー)が味方機に命中。パイロットは脱出し無事救助されましたが、機体は失われました。これは日本の戦闘機運用史上、稀な“味方撃墜”の記録とされています。

なお、この事故を含め、航空自衛隊は1983年から2011年にかけて三菱F-15J/DJ機を10機失っています。事故では殉職された隊員もいます。

今回の事故では幸いなことに、無事救助されたことで、ある意味、笑い話にもなりますが、F-15は1990年度の調達価格で一機あたり約86億円。複雑ですね。

まとめ

誤って撃ったほうのパイロットは停職10日の処分とともに、操縦士資格を剥奪されたそうです。

さらに、撃墜されたF-15の機体はなんと民間に払い下げられ、千葉県市川市大町にあるアミューズメントパーク大慶園の片隅に、コックピット部分が転がっているそうです。

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