陸上自衛隊で使用される73式小型トラックには、旧型と新型で同じ「73式」という名称が付けられています。
旧型はジープ形式です。

一方、96年から配備されている新型73式はパジェロをベースにしています。

一見すると混乱を招きそうですが、これは日本の自衛隊独特の名称付け方に由来しています。
■ 名称の由来

「73式」という呼称は、1973年(昭和48年)に制式配備されたことに由来します。
自衛隊の装備品は採用年を基準に命名されることが多く、車両や火器では「採用年+型式」という形が一般的です。

つまり、名称自体は採用時期の識別用であり、必ずしも性能や型式変更を示すものではありません。
■ 新旧が同じ名称になる理由
陸上自衛隊では、大幅な改良が施された車両でも、機能や用途が同じであれば制式名を継続して使用する場合があります。
旧型が「三菱・ジープ」ベースだったのに対し、新型は「三菱・パジェロ」ベースと全く異なる車両になりましたが、制式化された73式小型トラックの性能向上型として扱われました。
73式小型トラックは、長年にわたり部隊で使用されてきました。その間にエンジンや車体構造の改良、電子制御の追加など性能向上が行われたモデルも存在します。
しかし、自衛隊の命名規則上、原型の採用年を基に名称を維持することが通例です。そのため、旧型と改良型であっても「73式」と呼ばれ続けました。
ただ、2003年度以降は「制式化」対象から除外され、以後の正式名称については「1/2tトラック」に変更されています。
■ まとめ

73式小型トラックの新旧が同じ名称で呼ばれた理由は、自衛隊の採用年ベースの命名規則にあるわけです。
「73式」とは、1973年に制式化されたことを示す名称ですが、パジェロベースの新型が1996年から納入されても、正式には1973年に制式化された装備の更新という位置づけであるため、制式名は73式のまま残ったわけです。




