自衛隊の不発弾処理能力、ガチですごかった

地中に眠る戦禍の遺物 自衛隊、不発弾処理に無事故の実績

太平洋戦争中、米軍が日本各地に投下した爆弾の一部は不発のまま地中に残され、今もなお、都市開発や土木工事の現場で発見されることがある。

こうした不発弾に対応しているのが陸上自衛隊の不発弾処理隊だ。不発弾が見つかった場合、都道府県知事からの災害派遣要請を受け、隊員が現場に出動する。全国に処理隊が配備されているが、北海道北部を管轄する北部方面隊には専任の不発弾処理隊が存在せず、代わりに専門教育を受けた有資格者が個別に対応にあたっている。

陸上自衛隊による不発弾の処理活動は、1954年の自衛隊発足以来、今日に至るまで事故ゼロを継続しており、その高度な処理技術と安全管理体制は、国際的にも高く評価されている。

近年も人口密集地や住宅街、空港の建設現場などで不発弾が見つかる例があり、地域住民の避難や交通規制を伴う対応は、自治体と自衛隊による迅速な連携で行われている。戦後80年近くを経た今も、戦争の痕跡と向き合う任務は終わっていない。「沈黙の脅威」に挑む 自衛隊の不発弾処理、その手順

不発弾が掘り起こされた後は、爆発を防ぐための最重要工程である信管の除去作業が行われる。信管の除去が可能と判断された場合には、安全化処理されたうえで陸自の処理用特殊車両に積載され、演習場などの安全な場所へと移送され、最終的に爆破処理される。

一方で、信管の除去が技術的に困難、またはリスクが高すぎると判断された場合には、現地での爆破処理が実施されることもある。その場合、処理班は不発弾の周囲に大量の土嚢などを設置し、爆風や破片の飛散を最小限に抑える形で安全な爆破を行う。

不発弾処理に携わる隊員には、一般任務とは異なる「不発弾処理手当」が支給されるが、その危険性と責任の重さに比べれば十分とはいえないとの声もある。

また、近年では元自衛官が中心となって、非政府組織(NGO)などで海外の戦後地域における不発弾処理活動に参加する事例も出てきており、自衛隊で培った高度な処理技術が国際的な人道支援の場でも活用されている。

不発弾処理は、数十年前の戦争の遺物と向き合い、今を生きる人々の安全を守る「見えない任務」である。その現場では、今日も静かに命を賭した作業が続けられている。


手順の検証ポイント:

  • 不発弾処理には警戒区域と避難措置が原則(事実)。

  • 陸自には不発弾処理用の専用車両あり(通称「EOD車両」)。

  • 信管が除去できない場合の現場爆破処理は実施例多数。

  • 不発弾処理手当は存在するが金額は限定的(隊員の声として報道にあり)。

  • 元自衛官が国際NGOでEOD活動に参加している例も確認されている(例:日本地雷処理を支援する会〈JMAS〉など)。

銃弾や砲弾の処理も

不発弾として発見されるものは、必ずしも飛行機から投下された爆弾だけに限られない。日本国内では、第二次世界大戦中に使用された銃弾や砲弾などの弾薬が土壌や遺跡、旧戦跡から発見されることもある。

単純な火薬を使った花火などは湿気や経年劣化により、数年で爆発性を失う場合が多い。しかし、軍用の爆弾に使用される爆薬は化学的に安定性が高く、特殊な処理が施されていることが多いため、数十年経過しても依然として危険な状態が続くことが一般的である。このため、長期間にわたり不発弾は警戒対象となり続けている。

【検証ポイント】
・銃弾や砲弾も不発弾処理の対象となることは陸上自衛隊の公的資料などで確認可能。
・花火など単純な火薬は経年劣化で爆発性を失うことが多いのも事実。
・爆弾に使われる爆薬は化学的に安定なものが多く、劣化しても依然危険であることは爆発物処理の専門家の共通認識。

これらも安全確保のため不発弾として扱われ、専門部隊により適切に処理される。

機雷

第二次世界大戦直後、日本の海域にはアメリカ軍が敷設した機雷や日本軍が設置した防御用機雷が多数残存しており、これらにより民間人や処理に携わった関係者に多くの死傷者が出た歴史がある。当時の機雷処理は海軍省、第二復員省、海上保安庁などが担当していた。

現在においても、海上や海底で機雷やその他の不発弾が発見されることがあり、その処理および掃海作業は海上自衛隊が担当している。海上自衛隊には「水中処分隊」と呼ばれる専門部隊が編成されており、彼らは掃海艇に搭載された機関銃を使用して機雷を射撃し、また遠隔操作式の水中処分具を使って誘爆させるなどの方法で安全に処理を行っている。


【検証ポイント】
・戦後の日本海域に多数の機雷が残存し、事故が多発したのは歴史的事実。
・当時の機雷処理は複数の省庁や機関が関与していた。
・現在の機雷処理は海上自衛隊の専門部隊「水中処分隊」が担当していることは公的資料で確認可能。
・機雷処理の具体的な手法(機関銃射撃や遠隔操作の処分具の使用)も海上自衛隊の公式情報で裏付けられている。

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