自衛隊の国内外の映画各種!日本の自衛隊を積極的に描いてくれる外国映画業界は意外にも韓国だが、隊員が嬉しくない理由とは

自衛隊が主役だったり、自衛隊が登場する国内外の映画作品

自衛隊が登場する映画には自衛隊の公式協力作や、その内容から一切協力を得られなかった作品もある。

航空自衛隊の映画

航空自衛隊の航空機が実際に撮影協力のために飛ぶことはない。あくまで恒常的な訓練飛行を撮影をさせているに過ぎないってのが建前。今は広報目的で積極的に飛ばすようやな。とはいえ、実際に配備されている自衛隊機のナマ映像はそれだけでも貴重な資料。

今日もわれ大空にあり

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やはり航空自衛隊モノのスケールの大きさと言えよう。こちらは1964年制作の『今日もわれ大空にあり』。

自身の身体不調から当時の新鋭機スターファイター機転向をあきらめる航空自衛隊教官。三橋達也が演じている。

その苦悩と決断は悲壮感が漂うが、元気よく大空へと駆け上る若い訓練生らの姿と対称的に自身は身を引いて若い後進に任せようと、安堵の表情で操縦桿をゆっくり下に向ける隊長の清々しさがそのまま一気にラストへと続く。

ベストガイ

BEST GUY ベストガイ

和製トップガン。バブル時代に制作されただけあり、根性根性の『今日もわれ大空にあり』と比べると、一気にカジュアルになったな(笑)コールサインが面白かった。

自衛隊のパイロットが使うTACネームとコールサインの違い

陸上自衛隊の映画

コメディ、シリアス問わず、もっとも映画に協力してくれるのは実は陸上自衛隊だそうだ(最近では空自に負けている!?)。

右向け左!自衛隊へ行こう

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右向け左!自衛隊へ行こう

『右向け左!』は元自衛官の史村翔(武論尊)氏原案で陸上自衛隊教育隊ものの漫画およびそれを原作とした作品。自衛隊コメディ映画の金字塔と呼び声高い。

本作は現職・元自からはもっとも自衛隊を忠実に再現した映画と言われているそうだ。自衛隊のギャグ漫画でこれを超えた作品は小林源文の「OMEGA7」を除けば今のところない。いや、オメガ7はギャグマンガじゃないだろ間抜け(笑)。こちらは陸上自衛隊全面協力で、自衛隊という組織の中身をのぞいてみたいのならば、一度視聴をお勧め。

原作は誰でも入隊できたバブルチート時代が舞台だが、なぜか映画化はバブルがはじけてチート経済のメッキがはがれ、リストラに怯えたハゲ頭のサラリーマンがコートの襟を立てて都心を足早に急ぐ、ウスラ寒~い不況と阪神大震災、ブルセラ女子高生、地下鉄サリン事件が世間を騒がせたカルト的な95年ってところが最高(笑)このあとすぐ、アジアの先進国で唯一の斜陽国家の醜態晒すはめに。

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続編は部隊配属になった主人公と仲間を描いたコメディ。映画化にあたり、全面協力した当時の防衛庁、最高っす!

戦争に行こうよ!

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おおつぼマキ原作の漫画『戦争に行こう!』を映画化した作品。なお、主人公は山本太郎氏ではない。バブル時代のど真ん中で自衛隊に入隊するヤツはまさにオチコボレ扱いされた時代というのは右向け左同様だが、自衛隊は非協力。そりゃそうでしょう。

前述の通り、本作製作陣が自衛隊への正式協力を得ていないため、装備や被服の考証は首をかしげる。パケ写では旧型迷彩服を着用している主人公だが、本編ではOD作業服風の上下に真っ赤なベレー帽で帽章は「P」……。当然、当時トイガンとして64式も89式もない。ただ、自衛隊は撮影協力していないが、フィリピン軍と現地警察が撮影協力している点に注目したい。ああ、日本の外交にまだ影響力があった時代やな。

宣戦布告

宣戦布告

宣戦布告

一方変わって、こちらは麻生幾氏原作のマジメな映画。島根県の厚賀原発への破壊工作を目的に秘密裏に潜水艇で侵攻した北朝鮮(※映画版では非存在国へ変更)のゲリラコマンドウと、それに対処する日本当局の不正規戦や情報戦、ハニートラップにひっかけられた役人を描いた作品だ。

国民世論を口実に、災害派遣以外で自衛隊を絶対に出動させたくない日本政府は警察特殊部隊SATをゲリラ狩りに投入する致命的ミスを犯す。

刑事部の『SIT』と警備部の『SAT』の違いはひとつだけ

森林の中に潜む工作員を捜索するSAT隊員は黒ずくめの出動服で山中へと向かい、中途半端な作戦中止命令のために部隊は全滅してしまう。これもう作戦指揮官は死刑レベルやろ(笑)

本編を通すと、けっして自衛隊登場シーンは多くないが、当然ながら自衛隊は撮影協力しておらず、パケ写の勇ましいコブラは本編中ではほぼCG合成となっている。パケ写詐欺。

しかし、単なる色物映画扱いはできない側面も。事態は収束どころか、島根県で起きた(世界的に見れば)小規模な小競り合いが東アジア全域を巻き込んで、一触即発の危機となる。本作は敢えてハッピーエンドにもバッドエンドにもさせないことで、我々国民に『考えるきっかけ』を与えてくれている……と解釈できる。事実、本作発表から20年経っても未だ終わらない北朝鮮問題。

外国の精鋭ゲリコマの検挙をSATに命じる、現場の自衛官が武器を選択するにも上級部隊に許可を申請し、幕僚が総理にお伺いを立てて最終許可を得る……などなど、これはある意味、有事における日本政府がやっちゃうであろう「うっわ、あるある!」的な対応を忠実にシミュレートした素晴らしい作品なのだ。

国民も不幸だが、一番不幸なのは現場で無為な運命を受け入れる警察官と自衛官というわけだ。宇多田ヒカルじゃないけど(笑)

なお、今でこそ有名になったハニートラップに引っかかる政府関係者が2001年という早い時期に描かれている。

自衛隊さん、無線などからシギント (Signals Intelligence:SIGINT)してしまう

海上自衛隊の映画

ネイビー・ロック・ウォー 撃破せよ!

ネイビー・ロック・ウォー(セット) [VHS]

1990年公開の本作は海上自衛隊が撮影協力。渡辺裕之主演。監督、原作はあの泉谷しげるで、敵役で出演もしている。

独裁者しげる(語弊がありそうだな。石破ではない)率いる武装集団が、とある島を占拠。偵察へ向かった自衛隊特殊部隊(渡辺裕之)としげる隊との戦闘が起きるというストーリー。相棒ですね。

キャッチコピーはハンパなやつは見るんじゃねえ!とのことで筆者は未視聴。

艦艇や航空機など勇ましいシーンてんこ盛りで一部で定評もあるものの、渡辺裕之隊員が持つのはもちろん、M16。

自衛隊が登場する外国映画……(本当に自衛隊?という疑問も)

ついでだから、外国映画についても考察する。

ところで自衛隊が出る外国映画もある。ただ「これは本当に日本の自衛隊か!?」と疑問を抱かざるを得ないのだが。とりあえず、複数の作品を自衛隊の登場する外国映画作品としてピックアップ。

インデペンデンス・デイ

インデペンデンス・デイ (字幕版)

インデペンデンス・デイ

本作では青森県三沢基地内部と思われる軍事基地で「出口」と書かれたドアの前に立ち「攻撃は明日」と話す自衛隊っぽい人が描かれる。

宇宙人の大攻勢で地球存亡の時、アメリカ軍の呼びかけで世界中の軍隊が共同で反撃作戦を展開する中盤。中東、ヨーロッパの各国軍が反撃準備に転じる中、突然画面に映る「出口」の漢字。この感じ……日本国自衛隊か!

しかし、自衛隊っぽい人が出るこのシーンは「世界中の軍隊がアメリカ軍とともに宇宙人に対して反撃を開始する」という点景のなかの一つであり、自衛隊の戦闘機群は映っていないのが残念だ。

なぜ三沢と思慮できたのか。本作でメインの舞台となる米軍司令部のモニター画面上に日本列島、三沢付近が表示されるからだ。ただ、「出口」がなければ、ちょっと日本だとは思えないかもしれない。

メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス

メガ・シャークvsジャイアント・オクトパス(吹替版)

メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス

巨大な海洋生物と人類との戦争を描いた驚愕の海洋ホラー「メガシャークVSジャイアントオクトパス」では、アメリカのほか、日本の東京湾にも巨大生物が出現し、海上自衛隊の原子力潜水艦(!)が出撃し、戦闘を開始する。なお、念のために申し添えると2021年現在、海上自衛隊に原子力潜水艦は配備されていない。

コマンドーR

コマンドーR [DVD]

コマンドーR

今度はこちら。「コマンドーR」。おすすめできない。

あのシュワちゃん出演の名作娯楽大作映画『コマンドー(1986)』のロシア版リメイクだ。そのため、主人公が元アメリカ軍特殊部隊ではなく、元ロシア空挺軍に変更されたほか、ギャグ路線に変更された(ギャグではなく本気の演出だとしたら謝罪)。

それでも、冒頭で山小屋暮らしの主人公の娘が誘拐されるシーンなどは忠実にオリジナルを踏襲しており、思わず感心したり、ニヤリとするシーンも多い。だが、物語が進むにつれ、ダレるのだ。

サープラス店へ侵入して武器を奪う例の場面では、シュワちゃんは車で突っ込んでいたが、本作の主人公は鍵穴を銃で壊して侵入するという現実的だが、コマンドー本来の迫力と爽快感を削ぐ迫力がない演出に。全体的に火薬量が少ないとそうもなる。いや、製作費か?

そして、本作で悪役になるのが、なんと日本人。アガ……ガアッ!

「北海道のタラバガニ利権を独占しようとする”日本の悪徳将校”が北方領土を日本政府の意に反して支配している」というぶっとんだ設定はなろう系でもお目にかかれないような斬新な設定で面白い。だが、登場する自衛隊員(悪徳将校の個人的な私兵説あり)たちは、なぜか旧軍スタイル。

残念ながらこの日本人将校、銃を持った主人公の前で刀を振り回し、主人公にAK小銃に取り付けられた対人榴弾で無慈悲にふっとばされる。

制作陣が日本をイメージさせようと自衛隊であることを明確に主張するため、東京マルイの89式小銃をプロップガンとして用いるなど、好感は持てる。

しかし、将校らは旧軍服、その部下たちは自衛隊の2型迷彩にゲートルという衣装考証が酷さ。おまけにサイドカー、日本刀、開襟シャツという旧日本軍のイメージをいまだに払拭できないロシア人。

政治的配慮から、あえてそのようにしたのかもしれないが、ロシア人にとっては現在の自衛隊もこのように認識していると思って間違いないようだ。

ただ、設定が悪徳将校の私兵集団なのであれば、あり得るかもしれない。

なお、有限会社北日本ガス圧接の中古トラックが登場することで話題にもなっている本作。

コメディ映画として割り切れば、なんとか見られるが、こんなの日曜洋画劇場で放映されたら日本がパニックだ。

……って、ええ~!?自衛隊(らしき人たち)の出る外国の映画ってこんなのしかないのかよ!?

すごく悲しい……と、思ったそこのあなた。あきらめないで。毛は生えるよ。

バトルシップ

バトルシップ (字幕版)

バトルシップ

2012年4月公開の米映画「バトルシップ」に海上自衛隊が登場!

つ、ついに日本の自衛隊がハリウッド超大作映画に実際の近代装備とともに出演!それも、 主人公の米海軍兵士とパートナーという準主役的登場だ!

宇宙人相手に戦う連合国艦隊の中の部隊。そこには海自護衛艦が。しかもユニバーサル映画100周年を記念して作られた作品に日本が重要な役割を持たされた準主役として登場するとは何と光栄であろうか。

ストーリーはコマンドーRのように端からガラクタのストーリーではない。

ハワイ沖でアメリカ海軍とその友好国海軍の艦艇が多数参加する環太平洋合同演習(RIMPAC / リムパック)のさなか、突然宇宙人襲来。偵察に向かった米国海軍兵士らは攻撃を受けてしまう。反撃する米国海軍のイージス艦。そして阿吽の呼吸で普通に駆けつけ警護している日本国海上自衛隊……!!

気になる日本人出演者だが『バタアシ金魚』でスクール水着姿の高岡早紀にデッキブラシでぶんなぐられた浅野忠信が海自隊員を演じるというから驚きだ。

『トランスフォーマー』ではアメリカの同盟国である日本国は一切登場せず、かろうじて主人公の高校生の「(トランスフォーマーは)きっと日本製だ!」という台詞があったくらいで、地球の危機なのにアメリカの最大の同盟国であるわが国、そしてわが国の自衛隊という組織はまったくカヤの外で歯がゆい思いがしたものだが、ついに日本国自衛隊がハリウッド映画に登場したのだ。

とはいうものの、インディペンデンスデイのように米軍の全部隊規模、世界規模で戦うわけではないので、拍子抜け感は否めない。

宇宙人側のバリアによってハワイ周辺海域を遮断されてしまい、取り残された数隻の米軍艦艇と日本の「みょうこう(実際はあたご)」、そして退役したはずの戦艦ミズーリだけが地球を救うために果敢に活躍するのだが「近代軍隊が限られた戦力で戦わざるを得ない」というアイデアは戦国自衛隊的面白さがある。

それもそのはず、この映画の原作はあの有名な海戦ボードゲームである。

でも、全軍投入だったら最後にアメリカは核兵器を使っちゃいそうで、自衛隊も登場する以上、それはマズかったのかもしれない。インデペンデンスデイは使っちゃってますしなあ。

ただ米兵の口から台詞として「(海上)自衛隊」という名称が出なかったのは少しヤキモキする。本作における海上自衛隊の呼び名は『日本の部隊』であった。ただ、オリジナル版では『(JM)SDF』と呼ばれているかもしれないが。

ただ、宇宙人撃退後、ラストの勲章授与式でアメリカ軍兵士らと共に記念撮影をするナガタ一佐と海軍兵たちのやりとりが面白い。

米海軍での写真撮影時の掛け声は「はい、チーズ!」ではなく、”ネイビ~!”らしいのだが、ナガタ一佐は”ネイビ~!”とはなぜか言えない。米軍の女性兵士に「あんたもネイビーって言いなさいよ?」と言われても海上自衛隊(JMSDF)が海軍(Navy)を公に名乗ることは、はばかられるのだろう。苦笑いするナガタ一佐がツボなのだ。この演出、監督が『自衛隊は普通の軍隊と異なる』という日本人の認識を皮肉って描いたとしたら、アメリカ人のセンスが最後に光っており、爽やかなオチと笑いで締めくくられた後味の良い映画になっている。

なお、防衛省および海幕は本作の撮影に公式協力はしていないが、偶然パール・ハーバーへ寄港していた海上自衛隊イージス護衛艦「きりしま」および、その乗員が撮影に協力したとのことです。

【余談】韓国映画の中の自衛隊

実は韓国の戦争映画には自衛隊が『敵』としてよく出演する。

例えば、最新鋭潜水艦が日本へ核攻撃を目論む「幽霊(ユリョン)」、さらに韓国国防部全面協力作品の「韓半島(ハンバンド)」では『陸上自衛隊仕様かつ、肩パッチが旭日章』という制服を着た海上自衛隊員とその艦艇を韓国海軍が撃退するような映画。当然、海自の護衛艦は『(韓国側が)勝手に撮影したものを基にしたCG』だそうだ。

探せば自衛隊が出る韓国映画はまだあるかもしれないが、ある意味、こんなに「日本の自衛隊」を積極的に描いてくれる外国映画業界は韓国だけかもしれない。

まとめ

  • 自衛隊の出る国内映画は多数存在する。
  • 自衛隊の出る外国映画は少数存在する。
  • 一部は自衛隊かどうかわからない。
  • ロシア人は旧軍と自衛隊の区別がつかない模様。
  • 韓国の映画には自衛隊がよく登場する。ただし、敵として。

このように昨今の自衛隊では、広く国民へ活動をアピールする狙いでアニメには資料や航空機のエンジン音提供、セリフのイントネーション指導まで、映画には自衛隊施設の開放と隊員をエキストラで出演させるなど、積極的に協力しているようだ。

人気の俳優と同じファインダーに入れるのは、厳しい任務に就く自衛官にとって、報われることなのかもしれない。このように映画の中の自衛隊もまた活躍しているのだ。