【2025年版】大規模災害時に活発になるサバイバル無線の周波数解説

大規模災害の発生時、各自治体、警察や消防、それに自衛隊や海上保安庁は航空機で救助活動を行うため、航空無線のカンパニーラジオ、相互通信周波数が活発化。

一方、災害の発生を知った無線局は非常通信の連絡設定用周波数である4630kHzの傍受に努めるほか、必要に応じて各アマチュアバンドに設定された非常通信用周波数や呼び出し周波数の聴取および非常通信に対応するのがアマチュア局。

これら、万が一の災害発生時に活発になる災害対策系無線の現況と周波数を総合的にまとめ、概要をご紹介します。

それまで長らく身近な災害対策系無線であったアナログ消防無線(指令波)や、アナログ行政無線などの官波は相次いでデジタル波に移行し、市販のデジタル受信機では受信不可に。

しかし、むしろアナログ消防署活系無線は全国で増加。

さらに、これまで同様、防災・消防、警察ヘリといった各機関のカンパニーラジオ、自衛隊や海保などが使う災害援助用周波数や国際VHFなども引き続きアナログです。

また、大手バス、JRといった各交通機関の業務無線からも交通事故、土砂災害、水害などによる通行止め情報を収集できるほか、近隣市町村の水道企業団、土地改良区、電力なども災害対応機関なのでメモリー推奨です。

各項目に飛べます

災害対策系無線の周波数(2025年版)

それでは低い順から説明していきます。

※アマチュアバンドにおける非常用周波数はJARLが平成27年1月5日から施行しているアマチュアバンドプランを参考。

洋上管制用緊急周波数 ※SSBモード

2,182kHzは民間機及び船舶の遭難通信、非常通信、安全通信用周波数。モードはSSBのうちUSBです。IC-R6(受信改造済み)ではUSBモードの受信に非対応ですが、安価なSSB対応BCLラジオで受信可能です。

【安価でも侮れない!中国製SSB対応BCLラジオ】XHDATA D-808でHF帯SSBの洋上管制や7MHzアマチュアバンド受信可能

以下の各バンドの非常通信用周波数において、上述のSSBモード対応受信機材が必要な周波数は※SSBモードと明記。

アマチュア無線の3.5MHz帯の非常通信周波数 ※SSBモード

3,535kHz(SSB/CW)が非常通信周波数です。

非常通信の連絡設定に使用する周波数  ※SSBモード

4,630kHzはアマチュア局がそれ以外の業務局や、警察や救難機関などと直接CW(モールス)モードで交信する目的で制定された”政府公認の非常通信の連絡設定用周波数”。

無線局運用規則第4章により『非常事態が発生したことを知つた無線電信局は、なるべく毎時の0分過ぎ及び30分過ぎから各10分間A1A電波4,630kHzにより聴守しなければならない』と規定。

今回挙げた周波数の中で日本国内用の非常通信周波数として使用される可能性が大です。

なお、アマ局による電信運用は3級から。万が一の際に通信を試みなければならない可能性を懸念される方は、3アマにチャレンジを。

米軍HF-GCS用各周波数 ※SSBモード

HF-GCSは米軍同士の無線通信で日常的に4,721kHzなどHFを使用。EAMやスカイキング ・メッセージなどの場合は要注意。アマチュア局とは直接関係ありませんが、災害というよりは地球滅亡レベルの危機の前に送信されることもあります。

【悲報】核戦争で地球が終わりそうなときに流れる米軍のHF通信『HF-GCS』「スカイキング、応答するな」応答しちゃいけない理由は?

アマチュア無線の7MHz帯の非常通信周波数   ※SSBモード

HFでは最も運用者および聴取者の多い7MHz。7,050kHz(SSB/CW)が非常通信周波数です。

日中でも季節やコンディション次第では国内はもとより、東南アジア諸国、韓国、ロシア、さらにアメリカ方面まで聞こえます。

上記の動画は2011年3月11日の東日本大震災発生時の7MHz帯非常通信周波数における交信の様子ですが、妨害行為を行う不明局も。なお、上記動画中の『7.030kHz』は2011年当時の非常通信用周波数です。

また、80年代にはグリコ・森永事件の犯人と目される人物たちが同バンド周辺のオフバンド帯域で交信していたとされています。

アマチュアバンドの不明な通信『オフバンド』と『アンカバー』とは

アマチュア無線の14MHz帯の非常通信周波数 ※SSBモード

14,300kHz(SSB/CW)が非常通信周波数です。14MHzの運用には2アマ以上が必要で、海外とのDXでも人気。

80年代のテレビアニメに登場する小学生ハムたちはなんとこのバンドで全国各地のハムと交信。非常通信の紹介も。

【80年代アニメ】アマチュア無線を扱った衝撃テレビアニメがあった!

アマチュア無線の18MHz帯の非常通信周波数 ※SSBモード

18,160kHz(SSB/CW)が非常通信周波数です。7MHz同様、全国的に昼間でも比較的活発で海外とのDXでも多用されます。北と南の相性もバッチリ。USBがメイン。運用は3アマ以上。

アマチュア無線の21MHz帯の非常通信周波数 ※SSBモード

21,360kHz(SSB/CW)が非常通信周波数です。

漁業無線の非常通信周波数

27,524kHz(AM/USB)が非常通信周波数です。普段は呼び出し、気象情報の提供にも。北朝鮮のミサイル等が発射されると「安全情報」も。

アマチュア無線の28MHz帯の非常通信周波数 ※SSBモード

28.20MHz(SSB/CW)が非常通信周波数です。

陸上自衛隊ローVHF

陸自のヘリは地上隊員との交信をナローFMモードまたはデジタルモードで40MHz帯のローVHF帯で交信。

デジタル秘話が顕著で実際の災害時に傍受可能かは不明です。

ただ、防災訓練に陸自が参加する場合はアナログの場合も。自衛隊無線の概要は以下で解説しています。

自衛隊無線の各帯域(HF、ローVHF、UHF)ごとの受信方法解説

アマチュア無線の50MHz帯の非常通信周波数

50.10MHz(SSB/CW)、50.30MHz、51.50MHzが非常通信用周波数。51MHzが呼出兼非常通信用周波数。

50MHzはHFではなく、VHF帯の中のローVHFですが、VHFのFMモードとしては特異な電波伝搬特性を持ち、通常では見通し距離で数十キロの交信距離でも、春から夏にかけては突発的に発生するEスポ(スポラディックE層)によって、北海道から沖縄までの遠距離交信も。

60MHz帯防災同報無線

防災対策として欠かさず広帯域受信機にメモリーしたい基本的な周波数といえば、都道府県および、市町村役場が放送する地域住民向けの放送であるアナログ防災同報無線でした。

官庁・行政・防災無線の解説

こちらも周波数再編により、音声による双方向通信、複数チャネル同時使用、テレメータや静止画等データ伝送が可能な200MHzデジタル方式へ移行しており、アナログ広帯域受信機では傍受できない市町村も増えています。

地域住民への実際の避難指示や避難勧告は防災無線で行われます。

国際緊急周波数

遭難通信、非常通信、安全通信用として121.50MHzを使用。民間機では通常の管制波での交信に応答がないときはタワーが呼びかける場合も。

航空機相互間通信用周波数(ローカル)

各防災機関のヘリ、それにマスコミのヘリが集まれば災害現場の上空は過密状態に。

したがってこれらの航空機は安全のため、互いの高度や位置情報を航空機相互間通信用周波数122.60MHzで交信。判別しやすいように周辺地域名をつけた『(地域名)ローカル』で開局。

突如として122.600MHzで『(近隣の地域名)ローカル』と航空機が互いに呼びかければ、付近で何かが発生中です。

🚁【Case.1:報道ヘリが怒鳴られる瞬間】

報道ヘリが事件現場の団地上空でホバリング中。ところが……122.600MHzで何やら怒鳴り声が。

📻警察航空隊「こちら警視ヘリ「おおどり」、ブジテレビ取材ヘリさーん、JAXXX、高度下げすぎてる。上昇せよ」
📻報道JAXXX「こちらJAXXX、指示の高度遵守してます、気流でやや流されて——」
📻警察航空隊「流されてじゃねぇ!!今、作戦中なんだよバカヤロー!!!」
📻報道JAXXX「……すみません、高度上げます……」
📻警察航空隊「おめえ、前もやったろ!低すぎてローター音、現場活動の邪魔なんだよ!」
📻報道JAXXX「了解、1500に上げます、失礼しました」
📻警察航空隊「高度1500以上厳守お願いしま〜す♪次やったら、二度と現場入れさせねぇぞ!!」

👂傍受マニア(多摩川土手裏スキャンおじさん):「キレッキレやな警察航空隊……現場ガチでピリついとる……」録音名:《怒鳴られ報道ヘリ_1500ft限界突破.mp3》
掲示板ではこのやりとりが「今夜のベストオブおもしろ無線」として話題に。

👂傍受マニア勢:

  • 「ブジテレビの取材ヘリ、また怒られてたwww 3ヶ月前の火災現場でも旋回被せて注意食らってたぞ」

  • 「警視庁の『二度と現場入れさせねぇ』はガチっぽい。JAXXXの無茶振り有名だったからな……」

  • 「報道ヘリJAXXXvs警視庁航空隊、定期ww」

※架空の事例です。

警察・消防・海保・自衛隊機が救難活動に使う救難周波数

一方、災害現場にて各行政機関の航空機が相互交信する際は123.100MHzのほか、災害現場近隣の場外飛行場が臨時ヘリポートになる可能性も。

その際は上述のフライトサービスの周波数、または離着陸を統制するための災害援助用相互通信波である123.450MHzを使用。

航空自衛隊救難専用波

123.300MHzを使用。航空自衛隊航空救難団は都道府県知事からの災害派遣要請を受け、主に警察や消防防災ヘリで対応できない高度救難に従事。

深夜帯における離島、遠洋の船舶などからの急患搬送時にも使用され、誰もが寝静まった深夜に突如として開局し、驚くことも。

→こちらで解説しています。航空救難団の任務と救難機

防災ヘリ・警察ヘリのカンパニーラジオ

防災・警察ヘリがそれぞれの基地と交信する際は135.950MHzを共用。

警察ヘリの場合、事件関係は傍受不能のデジタルの車載通信系を使用するため、カンパニーラジオではあくまで現在地、残燃料、到着時刻等、機体の運行管理に関する報告のみ。

警察ヘリといえば、2023年に長野県で発生した猟銃立てこもり事件対応における特殊部隊SAT、SITの作戦展開がFR24で情報がおおやけになった件でもご存知の通り、緊急時は深夜でも離陸。

【航空無線受信テク】Flightradar24をエアバンド受信で便利に使う

しかし、防災ヘリは昼間限り。

また、防災ヘリの運航は民間航空会社に委託するケースもあるので、ヘリ会社のカンパニーもメモリーを。

カンパニーラジオは航空会社、警察や消防の地上運行拠点(基地)と、所属航空機とが運航管理に使う航空無線

 

消防ヘリのカンパニーラジオ

消防ヘリのカンパニーラジオは防災ヘリとは別割り当て。

複数の周波数を使用する地域もあり、確実なヒットを狙うならすべて入力を。

マスコミが運航委託するヘリ会社のカンパニー無線

災害現場にはマスコミ各社に委託された航空会社の運航する報道ヘリも飛来。これらヘリ運行会社のカンパニーも活発になります。

近隣の飛行場やグライダー滑空場の飛行援助用航空局の周波数

事件事故、災害発生現場の近隣に場外飛行場や滑空場があれば、同空域には各行政機関のヘリ、マスコミヘリ、ドクターヘリなどが大挙して押し寄せ、飛行場の飛行援助用航空局(フライトサービス)に飛来を通告。この周波数からも何かの発生を予測できます。

FSの周波数は普段から航空機が飛行場周辺を通過していくだけでも安全優先で通告するため、欠かせない情報源。

近隣FSの周波数を調べて普段から注意深く傍受し、近隣の航空機トラフィックもまめに把握を。

海上保安庁カンパニーラジオ

海難や地震による津波発生時に海上保安庁の航空機がサーチ&レスキュー・ミッションで出動していた場合、海保のカンパニーラジオ130.300MHz134.500MHzが活発に。

→掘り下げ記事 海上保安庁は警備および救難機関。その役割と司法警察権とは?

ドクターヘリ無線(医療無線)

これまで、ドクターヘリが飛来する事案ではドヘリ専用波のほか、都道府県共通波、地元アナログ消防周波数の三つが開局。

しかし、消防無線のデジタル化によって、ドクターヘリもデジタル消防無線機を搭載しはじめ、傍受は不可。

その後、医療機関からドクターヘリに指令を出すアナログの『医療無線』として復信式の場合は基地局が147.660MHz、移動局(ヘリ)が143.660MHzを使用。

単信の場合はいずれか一波。なお、航空無線のAMではなくFMモードとなるため、電波の到達距離はAMより短め。

内容は要請内容、現場詳細、担当消防隊、着陸地点(ランデブーポイント)の概要です。

病院などの拠点を離陸したドクターヘリは現場到着まではFMの医療用周波数で単信または複信方式で情報伝達を行い、現場上空になると消防無線を使って現場の各消防本部の隊員らと詳細な要請内容を交信。

さらに近隣の飛行援助局(フライトサービスなど)から、ローカル・トラフィック・インフォも仕入れたり、逆に自機の飛来を通告したりなど、複数の無線が活発化。交互の受信でオペレーションの状況把握を。

ドクターヘリの要請がなされると、着陸予定地点(公園の駐車場や学校のグラウンドなど)には消防車が駆けつけ、土ぼこりが舞うのを防ぐため、地面に散水。万が一のヘリの事故の際に対応するためレスキュー車も待機。

5分もしないうちに驚くほど静かなローター音(稀にサイレンを鳴らす場合も)を響かせ、ドクターヘリがどこからともなく飛来して着陸すると、待機していた救急車から傷病者がヘリに移送され、救命措置を受けながら、すぐさま近隣の拠点病院へ搬送されます。

なお、ドクターヘリは夜間飛行の装備がないため、運行は日没前まで。日没後の救急搬送は航空自衛隊の航空救難団が対応。

アマチュア無線の145.000MHz(呼出周波数兼非常通信用周波数)

145.000MHzが呼出周波数(メインチャンネル)兼非常通信用周波数。ほかに144.100MHz(SSB/CW)、145.300MHz、145.500MHzです。

ただ、実際に大規模災害が発生した場合は非常通信に限らず、バンド全体を上から下までサーチすると各移動局からの情報が得やすいでしょう。

土地改良区(愛称・水土里ネット)

土地改良区(愛称・水土里ネット)は主に農業用水路や機械揚水といった施設の維持および農地管理、さらには農家から賦課金の徴収までを行う公共法人で土地改良法という法律に基づき、各地域の農家で構成されています。厳密には公的機関ではなく、職員も基本的に公務員ではありませんが、地域によっては市町村役場職員が兼務も。

台風や大雨による土砂災害、水害が発生しそうな場合は昼夜の区別なく出動し、減災のために揚水施設を操作して農業用水の管理を行い、140MHz帯の専用波が活発化。

F3Eなのでアナログ受信機で聴取可能。

電力会社

普段は送電設備の保守点検で使用。火災が発生すれば電力会社も出動します。

一般的に150MHz帯を使用。近年はデジタルも導入されていますが、DJ−X100で受信可能です。

バス会社

交通情報入手に欠かすことができない価値のある無線です。

大手路線バスはもちろん、観光バス各社もメモリーしておけば、市内の路線から高速道路まで道路情報が丸わかり。149~152MHz帯域を使用。

路線バスの無線から街の交通情報が聞こえてくる

バス無線は総務省による完全デジタル化計画の予定はなし。

しかし、関東地方では古くなったアナログ機材の更新のついでにデジタル化してしまった例も。

一方、同じ公共交通機関のタクシー無線もデジタル化されていますが、2023年現在、一部方式は受信が可能。

→以下で解説済みです。デジタル・タクシー無線はDJ-X100でより簡単に受信可能に!

デジタル・タクシー無線はDJ-X100でより簡単に受信可能に!

国際VHFのメインチャンネル

船舶が使用する国際VHFの156.800MHz(16ch)はアマチュア無線同様、呼び出し周波数兼非常通信用で船舶が航海中に聴取。

16chで呼び出し後はサブchで交信し、万が一の事故発生の際には16chで遭難通信も。

海上保安庁、海上自衛隊も常に傍受し、海保から海上安全放送が行われることも。

こちらも韓国海軍とのイザコザで海上自衛隊が問い合わせに使いました。

船舶無線は『国際VHF』と『漁業無線』が主流の受信対象

JR

地域によりますが、普段の業務連絡、それに撮り鉄や中国人の踏切内侵入、鉄道路線が巻き込まれるような事故や土砂災害が発生すれば活発に。150MHzと400MHz帯(通称・Cタイプ。3波割り当て)を使っていますが、デジタル化した地域はアナログ受信機での傍受は不可。

なお、414MHz帯の受信では受信改造済みのIC-R6が必要です。その理由は以下で解説しています。

非・受信改造済みIC-R6を買うと後悔する理由とは?

国際緊急周波数

軍用機や自衛隊機は主に国際緊急周波数のUHF帯、243.0MHzを使用。ガードチャンネルとも呼ばれ、韓国海軍によるレーダー照射事件で海自P-1機が呼びかけに使ったことも。

メモリーしておくと稀に領空および領海警備を担う自衛隊の任務を理解する一助にも。

救難要請から領空侵犯まで使用される国際緊急周波数とは?事件も…。航空自衛隊「GCI」とも関連

領空侵犯が行われた場合も自衛隊の戦闘機が使用します。

デジタル簡易無線(登録局)

フリーライセンス局にはお馴染みのデジ簡(登録局)ですが、一部地域では消防署および消防団も使用。公的機関の使用が増えている現状です。

デジタル簡易無線とは?『免許局』と『登録局』の違いなどを解説

なお、秘話コードを推奨する消防団が多いのですが、アルインコからDJ-X100受信改造機が発売された後、秘話コードは一瞬で解読されるため無意味に。

デジ簡では秘話コードを使えば、ホビー局も業務局を気にせずに交信ができるが・・・?

防災相互連絡波

かつて、消防無線がアナログだったころに消防機関、警察、市町村役場の防災担当部署が相互に連絡をとれるよう、158.350MHzおよび466.775MHzで整備されたもの。

導入のきっかけは対策に当たった諸機関が相互に連絡を取れず混乱した1974年の『水島臨海石油コンビナート石油流出事故』とされています。

現在は防災行政の当事者である消防機関の消防無線が150MHzアナログから270MHzデジタルに移行。

報道連絡波

報道連絡波のうち、VHFの主要波はデジタル化済みですが、一部のデジタル対応受信機で受信可能。ただし、秘話コードが使用されるため、コードの自動解析機能を持つ受信機が必要です。

その交信内容は夕方のニュースで放送される事件事項の取材内容に関連した生々しいやり取りが多く、警察経由の情報も。以下の記事で解説済みです。

【マスコミ無線】デジタル報道連絡波(放送連絡波)の受信方法

アマチュア無線の433.000MHz(呼出周波数兼非常通信用周波数)

433.000MHzが呼出周波数兼非常通信用周波数です。ほかに430.100MHz(SSB/CW)、433.300MHz、433.500MHzが指定されています。

144MHz同様、災害時に広く情報を得たいなら、バンド全体のサーチで情報収集を。

市町村役場防災移動系 150MHz帯および466MHz帯

防災移動系無線は60MHz~70MHz帯域の防災同報無線とは違い、市町村役場の緊急車両などの車載無線と市町村役場が交信する無線です。

150MHz帯と400MHz(466.0500MHz~ 466.3375MHz)帯を使用。

なお、前述のように災害が複数の地域にまたがる際は相互応援などで全国共通の防災相互連絡波466.775MHzで各市町村が連携を取る場合も。

近年、「STD-T73」モードによるデジタル化により、秘話性に優れ、傍受、情報の漏洩等に強い「260MHz帯デジタル防災行政無線システム」に移行する地域が増加。

早急に完全移行し、一般人の傍受をやめさせたい総務省の思惑がひしひしと伝わってきますが、お金のない市町村ではまだまだアナログです。

警備業者

事故、水害その他の緊急工事による道路の通行止めが行われれば、交通誘導で彼らも駆り出されます。

468MHz帯のデジタル免許局および351MHz帯の登録局を使用する業者も多いです。

消防署活系無線

署活系は『署外活動系無線』の略。2025年現在もアナログで運用される消防無線の一種です。466MHz帯域で現場の隊員同士が交信。ただし、出力は最大1W。

現場付近で受信するか、自宅にアンテナを立てる必要があります。

もちろん、台風や水害時に現場に出向いての危険な受信はNG。

260MHz帯デジタル消防無線を466MHz帯の署活系アナログ波で聞く

また、希に消防本部からのデジタル指令波をアナログに変換して署活系で流す場合も。

なお『10番A』と呼ばれる音声反転式秘話を使う消防がありますが、アルインコDJ-X100(受信改造済み)にて復調可能。

【朗報】昭和のアナログ警察無線で一世風靡した10番A、家電や消防署活系で今なお生き残る

アマチュア無線の1200MHz(呼出周波数兼非常通信用周波数)

呼び出し用兼非常用が1295.00MHz(FM)、 非常用が1294.00MHzです。

災害時に聴取したい周波数のまとめ

上記をまとめると、以下のようになります。

周波数または帯域 用途 モード
洋上管制用緊急周波数 航空救難/国際通信  SSB
3.5MHz帯 アマチュア無線・非常通信  SSB
4,630kHz 非常通信の連絡設定用  SSB
米軍 HF-GCS 軍用短波通信  SSB ※アナログ/デジタル
7MHz帯 アマチュア無線・非常通信  SSB
14MHz帯 アマチュア無線・非常通信  SSB
18MHz帯 アマチュア無線・非常通信  SSB
21MHz帯 アマチュア無線・非常通信  SSB
漁業無線 非常通信(海上)  アナログAM/SSB
28MHz帯 アマチュア無線・非常通信  アナログFM
陸上自衛隊 ローVHF 陸上自衛隊の短波無線  アナログFM/デジタル
50MHz帯 アマチュア無線・非常通信  アナログFM
60MHz帯 防災同報無線  アナログAM
国際緊急周波数(VHF) 救難通信  アナログAM
航空機間通信(ローカル) 航空機相互通話  アナログAM
救難用共通波 警察・消防・海保・自衛隊  アナログAM
航空自衛隊専用救難波 救難活動  アナログAM
防災ヘリ・警察ヘリ カンパニーラジオ  アナログAM
消防ヘリ カンパニーラジオ  アナログAM
報道ヘリ マスコミ無線  デジタル(秘話あり)
近隣飛行場・滑空場 飛行援助航空局  アナログAM
海上保安庁 カンパニーラジオ  アナログAM
ドクターヘリ 医療無線  アナログFM
145.000MHz アマチュア無線 呼出/非常通信  アナログFM
土地改良区 水利管理  アナログFM
電力会社 設備管理/保守  アナログFM/デジタル
バス会社 運行連絡  アナログFM/デジタル
国際VHF 海上通信(16ch)  アナログFM
JR 列車無線  アナログFM/デジタル混在
国際緊急周波数(UHF) 航空・海上共通  アナログAM
デジタル簡易無線(登録局) 一般業務/個人局  デジタル
防災相互連絡波 行政機関の相互連絡  アナログFM/デジタル
報道連絡波 中継・報道班と本社の連絡  アナログFM/デジタル
433.000MHz アマチュア無線 呼出/非常通信  アナログFM
150MHz帯/466MHz帯 市町村役場防災移動系  アナログFM
警備業者 施設警備等  アナログFM/デジタル
消防署活系無線 現場活動/指令系  アナログFM(反転秘話
1200MHz帯 アマチュア無線 呼出/非常通信  アナログFM

以上のように総務省の周波数再編とデジタル方式への移行も見られますが、HF帯の救難系、VHF帯の消防防災ヘリなどのカンパニー系や、航空機間相互通信周波数、それにアマチュア無線からは今後も各地からの情報入手が期待できますし、デジタルマスコミ無線ならDJ-X100(受信改造済み)で秘話コード解読もOK。

▼ 周波数の詳細は地域別・業種別に

具体的な周波数や運用実態については、各ジャンルごとにまとめられた周波数リスト本・冊子類を参考にするのが確実です。都道府県単位、業種単位で細かく掲載されているため、地域特有の傍受チャンスも見つかります。

アマチュア無線は、災害時の「最後の砦」

アマチュア無線は普段の趣味にとどまらず、災害時の頼れる耳になります。通信インフラがダウンした際に有効な非常通信手段としての活用も。

  • 阪神・淡路大震災

  • 東日本大震災

  • 令和3年以降の消防団における運用

――いずれも、有線が使えなくなった局面での貴重なライフライン

144MHz/433MHzのメインチャンネルは、「災害時以外は聞く意味がない」とバッサリ切る人もいる一方、災害発生時に非常通信が行われる可能性に備えて平時からモニターしている人も多数います。その注意深いモニターが命を救う一助にも。

傍受に飽きたらアマチュア無線の資格取得も一考かもしれません。

 注意点と法的配慮

ただし、以下のように注意点も。

  • アマチュア無線の非常通信帯域では、災害直後の不要な交信はNG。
    受信する場合も、静かに傍受するだけにとどめ、不要な呼び出しは控えるのがルールです。

  • 傍受した内容を他人に伝えること(漏洩)や、情報をもとに行動すること(窃用)は電波法違反。
    あくまでも「自分で聴く」ことに限定し、法を守った運用が大切です。

受信内容はあくまで参考情報として扱い、実際の避難行動などは、各自治体が災害対策基本法に基づいて発する避難指示に必ず従ってください。