悪意ある一部の人間が警察車両のように見せかけた車両を使い、違法行為を行う事件が各国で後を断ちません。
日本の福岡県ではこんな事件も。
【衝撃】覆面パトが緊急走行！？→交差点で一般車と事故→運転手ら車内篭城→周囲『警察官の前に人としておかしいやろ！』→駆けつけ警察『あれは偽ものです…』
アメリカでも日本と同じく、偽の覆面パトカーによる事件が相次いでおり、市民は偽警官、偽覆面パトカー（いわゆるフェイク・ポリスカー）に対しては強く警戒をしているのが実情です。
偽の覆面パトカー事件とは例えば、赤色・青色のストロボライトを違法に取り付け、ドライバーを停車させて強盗や暴行を行う事件。
米国では特に、犯罪者が覆面パトカーを装い、無防備な市民をターゲットにする事件が時折報道されています。
偽覆面パトカーの事件では、「犯罪者が人気のない場所に誘導しようとする」ことが多いもの。
やはり、中には間抜けな偽覆面もいて、あろうことか帰宅中の現職警官の自家用車を止めてしまい「誰っすか？バッジナンバー、ソラで言うてみ？」とやられ、そのまま御用になった事件も。
2019年にフロリダで発生した事件では、犯人が刑事の車とは知らずに停車させ、通報されて逮捕されています。
OOPS: When Matthew Erris decided to play cop, turn on his red and blue lights and pull somebody over, he didn’t know the other driver was a REAL undercover #TeamHCSO detective! Deputies found an airsoft pistol under his seat. Erris is facing a charge for impersonating a LEO pic.twitter.com/jStsiWAImD
— HCSO (@HCSOSheriff) April 18, 2019
男はエアソフトBBも所持し、警官を騙った罪で起訴されています。
2019年にフロリダで発生した事件で犯人が私用したニセ覆面。SUV「2007 シボレー トレイルブレイザー」のフロントグリルにブルーとレッドのストロボライト、ルーフにフラッシャーを装備。犯人はなんと、本職の潜入捜査刑事の車をそうとは知らずに止めてしまい、見抜かれて逮捕。画像の出典 CNN
警察も「無理に路肩に停車せず、安全な場所まで移動して通報するように」と指導しています。
そのような事件が起きうる環境であることから、最悪の場合、交通取締りの本物の警察官やState Trooperが市民に偽警官と誤解されて銃を突き付けられ、最悪の事態に至る懸念も払拭できません。
1997年に起きたブルーライト・レイピスト事件とは？
このような事件の中でも、95年から97年にかけてアーカンソー州ロノーク郡で発生したブルーライト・レイピスト事件は同州中部の無防備な女性たちに大きな恐怖をもたらしたアメリカ犯罪史上でも稀に見る『ニセ警官およびニセ覆面パトカー事件』。
青色警光灯（blue light）を自分の白いセダンにつけて警察車両を装った男・Robert Todd Burmingham（ロバート・トッド・バーミンガム）にハイウェイ38号で停車させられた4人の女性が性被害を受けました。
Robert Todd Burmingham 出典 www.dailymail.co.uk
バーミンガムは警察官や法執行官のふりをして女性に加害しようと企み、自家用車に警察の覆面パトカーが使う青ライトを使用したため、1997年に「ブルーライトラピスト」として知られるようになりました。
バーミンガムはアーカンソー州の悪名高い不法に警察車両を装った連続強姦犯として、レイプ、重大強盗、誘拐の罪で起訴され、1998年にクロス郡で有罪判決を受け、60年から80年の長期収監となりました。
ブルーライトを規制するシャノン法の成立のきっかけに
実はバーミンガムによるこのブルーライト事件は、アーカンソー州で青色の警察車両用ライト、またはその青色レンズ、その他の法執行機関の記章を所持、購入、販売、または譲渡することを違法にする「シャノン法」が成立するきっかけに。
被害女性の一人であるシャノン・ウッズさんの呼びかけによって、覆面パトカーが使うブルーライトを所有している人々に厳しい罰金を科す法律の改正を支援し、2017年にアーカンソー州で法律が施行されました。シャノンさんは、ロノーク郡セーフヘブンと提携して性被害者ケアセンターを開設しています。
このように偽覆面パトカーを使って違反金をだまし取ったり、強盗や女性にわいせつ行為を働く犯罪者が多くいるため、一部の州警察では裁判所命令で交通取締用覆面パトカーの使用を禁止。ニューヨークでは96年から州知事令で交通取締のみ、覆面パトカーの使用を禁止しています。
この事件が直接的に影響を与えたかは不明ですが、全米の警察機関では交通取締り用に完全なる覆面パトカーを使う例はほぼないようです。ただ、捜査用の覆面パトカーまで禁止された例はないようです。
では、完全ではない覆面パトカーとは。多くの場合、車体に何らかの警察の標を残し、完全に一般車両に化けない『ステルス』や『スリックトップ』タイプのパトカーがそれに当たります。
スリックトップは完全な覆面車両とは異なり、多くはドアに警察のエンブレムやマーキングが入っている「パトカーらしさ」をある程度残しているため、市民が本物の警察と認識しやすくなります。完全な覆面車両では、こうした外観の警察装備がないため、市民が本物と見分けにくいので、適宜運用されています。
