煽り運転を発端とする交通トラブルなどの事件増加で、警察の煽り運転取締りが強化されていますが、ドライブレコーダーはドライバーにとって心強い装備品です。取り締まり当局側でもドライブレコーダーを配備していますが、どうやらパトカー専用ドライブレコーダーは市販のドラレコとはまるで違うようです。
この記事では警察で配備されているパトカー専用ドライブレコーダーについてご紹介。
なお、ドライブレコーダーの普及が進むきっかけとなった『煽り運転』および、警察の煽り運転取締りについてはこちらで解説しています。
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“警視庁”は証拠能力を高めた警察専用の“ポリス・スペシャル”というドラレコを独自採用
一般に、公判においては裁判官が呈示された証拠資料をもとに、一定の事実を判断する採証を行いますが、実はドラレコで記録された動画の場合、その証拠能力が否定される場合も。動画が不鮮明だったり、改ざんが疑われる場合などは裁判官に心証を持たす力、すなわち証明力になりえないのです。
そこで、”市販のドラレコでは記録動画の改ざんなどが疑われて証明力が不足する”という点に不満があった警視庁では、裁判で警察を栄光の勝利へと導くため、トンでもない高機能ドラレコをアサヒリサーチ株式会社(東京)と共同開発して導入したのです。
それが2011年7月に警視庁に納入されたドライブマン720ps(ポリス・スペシャル)。
同社公式サイトによれば「720/720s/720psの基本性能は共通です」としていますが、このドライブマン720psは一般ユーザーに市販されない警察専用品。しかも、通常のドラレコではありえない性能を持っています。
- 日本中どこでもLED信号機が消えないフレームレートで撮影
- ファイルギャップがほぼ存在しない。
- 改ざんの難易度が高いので証拠能力が高い。
- 2重パスワード運用によるセキュリティの強化(パスを入れないと撮影も再生もできない)。
- 撮影した本体でのみ再生可能(パソコンでの再生は不可)。ドラレコ本体を裁判所に直接持ち込む。
性能の典拠元 http://www.driveman.jp/720ps/index.html
本製品では、従来のドライブレコーダーで問題とされていた、いわゆる「LED信号問題」も新技術で解決。また、撮影した本体のみでしか再生ができない720㎰の基本仕様も、はじめから『裁判での客観的証拠』を確実に意識した仕様になっています。
実際、本製品によって撮影された映像を裁判の証拠として使う場合は「本体ごと提出する」とアサヒリサーチ社のサイトに記載されています。
つまり、私たちが使う市販のドラレコは改ざんや時間差の問題で証拠能力が低いけれど、警察が採用した専用品の『720ps』によって記録された映像に限っては、その証明力は100パーセントに近いと言えそうです。
ただし、アサヒリサーチ社が全国の警察本部に納入しているモデル一覧によれば、全国的には警察仕様以外の一般の市販品のドラレコも各県警察本部へ納入されています。たとえば、栃木、徳島、埼玉など各県警察本部では720psポリススペシャルの民生版である720αを配備しています。
また同じく民生用の1080GSやGP-1は大阪府警、 鳥取、愛知、 山梨、香川、島根、滋賀県などの各県警察本部で配備されています。
これらの民生モデルの場合、証拠の確実性はどの程度まで保証されるのかは不明ですが『間違いが許されない警察が採用したドラレコ』とあれば、まぎれもなくセールスポイントになるうえ、ドライバーも心強いはず。
現在は後継のPS-1を採用
こちらもアサヒリサーチと警視庁の共同開発で、GPSを搭載し、フルハイビジョンで記録された動画はAES128ファイル暗号化形式で保存される高機能ドラレコです。
https://www.driveman.jp/products/ps1.html
こちらは”警視庁仕様”としてメモリー内蔵モデル、そして外部SDカードタイプの二種類がラインナップ。個人販売はされない特別なユーザー向けの製品ですが、警察以外の官公庁にも販売可能となっているそうです。
前後方録画可能なドラレコを装備するパトカーが増えている

沖縄県警のミニパト。前後方にドラレコを装備。これでパトカーを煽る残念な人たちへの対策も完璧。
北海道新聞によれば、北海道警察苫小牧警察署交通一課長の吉田勝彦さんの指示として『煽られた場合、安全な場所に停車して、車から絶対に出ないでその場で110番をしてください』と報じています。そのうえで北海道警察では『客観的証拠として有用なので”車両の前後”を録画できるドラレコの装着を勧めている』とのこと。
ドラレコ映像は客観的証拠になり、その設置を北海道警察が勧めているという言質は以下の報道に拠ります。
交通ルール無視深刻 苫小牧市内 「あおり運転」の男、暴行容疑で送検 04/17 05:01
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/180859
一時期、後方ドラレコによる撮影はプライバシーの侵害などという謎の議論もありましたが、取り締まり当局側が勧めていることを鑑みれば、ひとまずは設置にプライバシーの問題はないようです。なにしろ取り締まり当局でも前後方撮影可能なドラレコを装備する車両が増えているのですから。
後方ドラレコ設置は今後さらに普及が進むとみられます。また後方録画中サインのステッカーやマグネットサインも煽り防止アイテムとして大流行。
サインに気づくと、イキリ車も何故かスーッと離れていくんだとか。
警察のパトカー専用ドライブレコーダーのまとめ
このように警察のパトカーは市販品も使う一方で、より証拠としての証明能力が高い警察のパトカー専用ドライブレコーダーを使う場合も多いようです。