グロックといえば、現在では世界各国の軍隊や警察機関で採用される代表的なオーストリア製自動式けん銃です。
元々、グロック社は軍用ナイフなどの製造を行っていた非銃器専門メーカーであり、拳銃の製造を始めたのは1980年代以降と、他の欧米の老舗銃器メーカーに比べると比較的新興メーカーです。
しかし、革新的な構造設計と高耐久性ポリマー素材を用いた軽量なフレームは一気に市場に浸透しました。
ポリマーフレームの拳銃自体はグロック以前にも存在しており、たとえばヘッケラー&コッホ社のVP70がありました。しかし、VP70は設計思想が特殊であったこともあり商業的成功には至りませんでした。
グロックは世界中の法執行機関・軍に一気に普及しました。

特にアメリカでは現在、全米の警察の半数以上が9ミリ口径のグロック19を制式採用していると言われています。

しかし、日本の警察におけるグロックの運用実態については、意外なほど知られていません。
これまで「日本の公的機関にグロックは存在しない」とする通説は根強かったのも事実です。
かつて「日本にグロックなんて絶対に多分ねえ!それはエアガンだ!」という、あるフィクション作品でのセリフが記憶に残りますが、違法銃はともかく、日本警察の装備に関しては今やこうした認識は完全に時代遅れとなりつつあるようです。
公開資料や報道写真をたどると、日本警察で最初にグロックの存在が確認されたのは2002年の日韓ワールドカップ直前に実施された特殊急襲部隊(SAT)の訓練動画の公開でした。
その後、警視庁SPによるグロック17とみられる拳銃の携行が報じられ、2021年には東京オリンピック警備に伴い、警視庁地域部自動車警ら隊へのグロック45配備も確認されています。
ところが、東京オリンピック終了後、警視庁のグロック45は姿を消します。一部専門誌では運用において「ランヤードの破損」や「意図しないマガジンの脱落」といった不具合が報告されたため、東京オリンピック終了後には速やかに回収された報じました。
ところが2025年、今度は大阪府警で制服警察官向けのグロック45配備が確認されます。
警視庁で消えたグロック45は本当に失敗だったのでしょうか。それとも、日本警察における自動式けん銃への移行は今も続いているのでしょうか。
本記事では、SATのグロック19から大阪府警のグロック45まで、公開情報から確認できる日本警察のグロック配備事例を時系列で整理し、その背景を考察します。
始まりは2002年、SATのグロック19
日本警察におけるグロックの存在が広く知られるようになったきっかけは、2002年のFIFAワールドカップ日韓大会を前に公開されたSATの訓練動画でした。
当時、警察庁は対テロ能力を広くアピールする目的もあり、『最後の切り札』と呼ばれる警備政策の公開でテロ予備軍に圧をかけるため、それまで一般にはほとんど知られていなかったSATの訓練映像を公開します。
映像では、ヘルメットとバラクラバで顔を覆ったSAT隊員が旅客機へ突入し、人質救出作戦を想定です。

その際、隊員が携行していた拳銃として確認されたのがG19らしきサイズのグロック拳銃です。
それまで日本の警察用拳銃といえばニューナンブM60やSIG SAUER P230、P230JPなどが知られていましたが、ポリマーフレームを採用したグロックは外観からして従来の金属製拳銃とは大きく異なっていました。
角ばったスライドと樹脂製フレームを持つその姿は、日本の視聴者に強い印象を与えたのです。
グロック19は、フルサイズのグロック17を小型化したコンパクトモデルです。
装弾数や信頼性を維持しながら携帯性を高めた設計となっており、車両や航空機など狭い空間で活動する特殊部隊員にも適しています。
長らく日本の警察では、制服警察官用のニューナンブM60やSAKURA、特殊部隊向けのベレッタ92シリーズ、SIG P230、S&W M3913などが知られていました。

そんな中、2002年に警察庁の特殊急襲部隊(SAT)が公開訓練でグロック19を携行している姿が確認されます。
当時の日本では、グロックは映画や海外警察の装備として知られていたものの、日本警察による採用例はほとんど知られていませんでした。
現在から振り返れば、このSATのグロック19こそが、日本警察におけるグロック配備の始まりとして確認できる最初期の事例の一つだったといえるでしょう。
グロックけん銃はマニュアルセイフティや外部露出のハンマーが非搭載。 スライドを引いて初弾を薬室に装てん後、発砲するに当たって実質的に操作するのはセイフティが組み込まれているトリガーを引くのみ。
指をトリガーに軽くかけるだけでセイフティは解除されます。
アメリカ国内では実に4000もの各州警察・法執行機関での採用実績が。採用当初は暴発事故が相次いだため、グロック社ではノーマルより重いトリガープルの 「ニューヨーク市警トリガーモデル」 もリリース。日本警察が採用したトリガープルは不明です。
グロックには口径やサイズが豊富ですが、サイズの違いを除けば、遠目から見ただけでその詳細を判別することは困難です。
例えば、フルサイズの9mm口径モデルである「G17」は、.40S&W弾を使用する「グロック22」と外見上の差異がほとんどありません。
このため、公開されている報道写真を確認する限りでは、日本の警察が採用しているグロックの詳細なモデルや口径を特定することはできません。
しかし、世界的な法執行機関のスタンダードを鑑みれば、採用されているのは9mm口径である可能性が高いと考えられます。一方で、かつての米連邦捜査局(FBI)の装備傾向を踏襲しているのであれば、.40S&W弾モデルである可能性も否定できません。
ただ、アメリカ連邦捜査局(FBI)では2016年、従来使用していた.40S&W弾のグロック22(フルサイズ)およびグロック23(コンパクト)を退役させ、再び9ミリパラベラム弾仕様のグロック17および19へと切り替えています。
これは、9ミリ弾の弾薬性能の向上による殺傷能力や貫通力の改善、反動制御のしやすさ、そして弾倉容量のメリットが評価された結果とされています。
過去に公開された訓練映像では、SAT隊員が突入の際、カールコード(脱落防止用ランヤード)とフラッシュライトを装着したグロック19を構えている姿が記録されています。
G19はG17に比べグリップが低いコンパクト・モデルですが、さらに小さいG26もあります(警察庁への納入は不明)。
日本警察におけるグロック拳銃の採用事例として、最も古くから確認されているものの一つが、2002年の日韓ワールドカップ直前に実施された警察庁特殊急襲部隊(SAT)の公開訓練です。
この公開訓練では、SAT隊員がオーストリア製自動式けん銃「グロック19」を携行している様子が報道陣に公開されました。
グロック19は、グロック17をベースに銃身とグリップを短縮したコンパクトモデルです。携行性に優れる一方、装弾数や射撃性能を高い水準で維持しており、現在でも世界各国の警察機関や特殊部隊で広く使用されています。
当時のSATでは、H&K MP5短機関銃が注目されることが多く、拳銃について語られる機会は決して多くありませんでした。しかし公開写真を確認すると、隊員が構える手の中には確かにG19サイズのグロック拳銃が収められています。
現在では日本警察におけるグロック採用例はいくつか確認されていますが、公開情報から確認できる限り、このSATのグロック19はその先駆けとなった事例の一つといえるでしょう。
興味深いのは、SATが採用したとみられるモデルがフルサイズのグロック17ではなく、コンパクトモデルのグロック19だった点です。SATによるグロック19の運用は、日本警察におけるグロック採用の方向性を早い段階から示していたのかもしれません。
SATだけではなかった?警視庁SPで確認されたグロック17
SATの公開訓練でグロック19が確認されてからおよそ10年後、今度は警視庁警備部警護課、いわゆるSPがグロック17系拳銃を携行している様子が報道映像などで確認されます。
要人警護においては即応性と高い信頼性が求められるため、世界各国の警察機関や警護部隊で採用実績の豊富なグロックは有力な選択肢のひとつとなっています。
配備の事実については、2010年に行われたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)に伴う要人警護訓練にて、グロック17の存在が公式に確認されました。
その後、2018年の公開訓練や報道写真からは、少なくともSPといった警察の精鋭部隊においてグロックシリーズは配備実績を積んでいるようです。

警視庁では、要人警護官(SP)向けにH&K P2000とともに配備されており、2018年に実施された公開訓練においても、SPがグロックを手にしている様子が報じられています。
公開された映像や写真を見る限り、この拳銃はコンパクトなグロック19ではなく、フルサイズのグロック17である可能性が指摘されています。
SPは内閣総理大臣や国賓、海外要人などの警護を担当する専門部隊です。制服警察官や特殊部隊とは異なり、日常的にスーツ姿で任務に就くことが多く、装備選定にも独自の要求があると考えられます。

興味深いのは、日本警察で確認されたグロックの運用が、この時点では一般の制服警察官ではなく、SATやSPといった特殊任務部門に限られていたことです。
当時の警察拳銃といえば、ニューナンブM60や後継のSAKURAが主流であり、自動式けん銃であるグロックは一部の専門部隊向け装備という位置付けだったとみられます。
つまり、日本警察におけるグロックの歴史は、まずSATで始まり、その後SPへと広がったものの、まだ一般の地域警察官が携行する装備ではありませんでした。
この状況が大きく変化するのは、2021年の東京オリンピックです。
警視庁は大会警備を前に、これまでの特殊部隊・警護部門とは異なる部署へグロック拳銃を配備します。
そのモデルこそが、後に大きな話題となるのでした。
東京五輪警備で警視庁に配備された「GLOCK45」
2021年に開催された「2020東京オリンピック」は、前例のない社会情勢での開催となったが、大会は大きな混乱もなく終幕を迎えました。
ところが、表舞台である競技に注目が集まるのとは裏腹に、その舞台裏で展開された警察当局による厳重な警備体制に、一部では注視が集まっていたのです。
ある投稿者不詳の写真に写り込んだ制服警察官の装備品である。写真には腰部ホルスターに収まったグロック17(第5世代)らしきセミオート・ピストルが確認され、多くのマニアに衝撃を与えました。
機動隊でもなく、SITでもなく、自動車警ら隊員。すなわち「地域警察官」です。

「テロ対策」という大義のもと、近年では日本の警察官の装備が従来とは異なる欧米化の様相を見せることも増えていましたが、地域警察官が標準装備としてグロックを携行していた事実は、従来の「日本警察のけん銃事情」の変化を象徴する出来事と言えそうです。

これは東京オリンピックの警備に際し、地域警察官の火力および制圧力を向上させる目的で導入されたものという見方も一部にありますが、警視庁から公式な広報はありませんでした。
グロックのメカニズムはそれまでの銃のシステムに比べ、かなり奇異であり、独特のセーフアクションと呼ばれるメカはトリガーの引きシロが短く「一回撃ったら二発目はほぼ連射」と表現されることもあります。
しかも、.38スペシャル(.38Spl)の交番ピストルより威力があり、現代日本の治安情勢には最適なのかもしれません。
つまり、今回の“制服警察官とグロック”は端から唐突なものではなく、日本警察におけるけん銃装備の段階的更新が、ついに『制服のお巡りさんの腰道具』として可視化されたものにほかならないと見られています。
特にグロック第5世代(Gen5)については、装弾数、作動安定性、安全機構など信頼性が高く、現場での信頼性確保に資するとの見方が強いでしょう。

RADARホルスターに収まるけん銃はグロック19Xの民間モデル『グロック45』だった
当初、このグロックのモデルについては、一部でG19ではないか、あるいはG17ではないかとの見方もありました。
しかし、写真で確認できる拳銃は、G19のようなコンパクトなシルエットではありません。スライドの全長に対してグリップが大きく見え、独特のバランスを持つ外観が確認できます。
そのため、「グロック45(G45)ではないか」との指摘も複数寄せられました。
グロック45は9×19mm弾を使用する自動拳銃で、スライドはG19と同サイズ、グリップはG17と同サイズという構成を採用しています。
そのため、コンパクトな上部に対してグリップ部分が長く見える特徴的なシルエットとなっており、今回の画像に写る拳銃の形状とも一致しているように見えます。
なお、モデル名に「45」とあるものの、.45口径ではなく、9mm口径であり、アメリカ市場でも「操作性と携行性の両立」を謳って2018年に登場した比較的新しいモデルです。
こちらがG17。フルサイズのオリジナルモデルです。
グロック45を携行していたのは警視庁自動車警ら隊
G45は“10発の執行実包”とともに支給か──火力は圧倒的なのに…?
2021年、警視庁における地域警察官(制服警察官)へのグロック45の配備は、それまで主流だった回転式けん銃からの大きな装備更新として注目を集めました。
グロック45は17発弾倉を採用し、従来の日本警察で標準的な五発装弾の回転式けん銃と比較すると携行弾数は大幅に増加しています。
そのため、性能だけを見れば、警察官の対処能力向上を意識した装備更新と受け取ることもできるでしょう。
一方で、一部メディアの報道によれば、今回のG45と共に警察官に支給された執行実包の数は十発。拳銃そのものの装弾数と実際の携行弾数との間には差があります。
そのため、グロック45の採用は単純な火力増強だけではなく、装填操作の簡略化や信頼性の向上、迅速な再装填能力の確保など、総合的な運用面を考慮した装備更新として捉えることもできそうです。
17発フル装填が可能なG45を前にして、“一人10発”の支給だと「あと7発、どうすんねん」という絶妙に腑に落ちない運用とも言えそうですが、2002年のSAT訓練動画公開と同様に、今回も警察の装備を前面に出すことで、強いメッセージ性を伝えたい意図がうかがえそうです。

実際、一部報道では導入の背景には「テロ事案などにおいて、自ら隊が現場に駆けつけた際に多弾数の火力で初動を制圧する」運用目的があったとしています。
日本は2015年、当時の安倍晋三首相による「イスラム国」への対応方針表明を受け、同組織から日本人を名指しした脅迫声明が発せられた経緯があります。
こうした事例を踏まえると、仮に国内で重大なテロ事案や銃器を用いた凶悪事件が発生した場合、「警察官の携行弾数として10発で十分なのか」という議論が生じることは不自然ではありません。
もっとも、日本の警察活動は捜査員個人による対処ではなく、無線連絡や増援要請を前提とした組織的な対応体制の上に成り立っています。仮に銃器使用の重大事件が発生した場合、刑事部捜査一課のSIT(特殊班)、警備部機動隊の銃器対策部隊、最後の切り札としてSATを含む多数の警察力が投入されます。
その一方で、事件発生直後に最初に現場へ臨場するのは地域警察官である場合が少なくありません。そのため、従来の5発装填式回転けん銃から、より多くの弾薬を装填できるグロック45へ更新されたことには、初動対応能力の向上という観点から一定の合理性を見いだすこともできるでしょう。
再度確認しますが、今回のグロック導入にについて警視庁では一切の公式発表を行なっておらず、同庁がグロック45の採用理由を「テロ対策」や「火力向上」と明示しているわけではないため、その目的については慎重に考える必要があります。

G45、『二つの不安要因』で一斉回収と一部メディアで指摘あり
しかし、グロック45については、東京オリンピック閉会後に回収が行われたとする情報もあります。
この情報の出典は専門誌『ラジオライフ』です。
過去に大量配備されたM360J(サクラ)の不具合については大手新聞社などによる報道が確認できますが、グロック45の回収やトラブルについては、筆者が確認した限りでは警視庁による公式発表や大手報道機関による詳細な報道は見当たりませんでした。
そのため、現時点では『ラジオライフ』の報道内容を主要な情報源として扱っています。ご了承ください。
同誌の報道によれば、問題視された事案として次の2点が挙げられています。
トラブル、その1「ランヤード接続部に破損」
まず一つ目は、「ランヤード接続部の破損」です。
万が一の落下や奪取を防ぐための措置として、日本の制服警察官の携行する銃には必ずカールコード式のランヤード(盗難・落下防止コード)が義務付けられています。
ところが、パトカーの乗車時にG45のランヤードが引っかかり、ランヤード接続部が破損したという指摘。結果として一斉回収に至ったとされます。
というのも、グロックのランヤードはグリップ後面の穴に引っ掛けるように装着します。そのため、ホルスターに差し込んだ時に上側に飛び出てしまうのです。
ここがパトカー乗車時に引っかかりやすく、ランヤードの接続部が破損した事例があったといいます。
引用元 自ら隊配備のグロック45で発生したトラブルとは https://radiolife.com/security/police/64298/
同サイトから写真を引用しました。

引用元 ラジオライフ
グロックのユーザーがランヤードを装着する場合、本来はグリップ後部の丸い穴の部分に「Lanyard Clip(ランヤードクリップ)」という別パーツを組み込みます。

画像の引用元 グロック公式サイト https://eu.glock.com/en/products/glock-accessories/lanyard-clips
実際の運用現場では、従来のニューナンブM60やS&W M360Jの運用に倣い、日本警察伝統の鉄芯入りカールコードおよび金属製脱落防止金具をそのまま流用し、グロック45に装着していたと思われます。

気になるのは、この問題に対してグロック社や警視庁がどのような対応を行ったのかという点です。
仮に破損した箇所が拳銃本体ではなく、ランヤードクリップのような付属部品だった場合、その対応は本体の不具合とは異なる可能性があります。しかし、実際にどのような処理が行われたのかについては、公開情報から確認することはできません。
そのため、補修部品の交換によって対応されたのか、それとも別の対策が講じられたのかは不明です。
また、グロック純正のランヤードシステムはポリマー製の部品を用いた比較的軽量な構造を採用しています。もっとも、その設計思想や強度設定についてグロック社が詳細な説明を公表しているわけではなく、どの程度の負荷を想定しているのかを外部から判断することは困難です。
興味深いのは、日本警察と海外の法執行機関との運用思想の違いです。
日本の警察では、拳銃の紛失や奪取を防止する観点から、拳銃と警察官をランヤードで接続する運用が長年続けられてきました。
一方で、グロックの配備比率が高いアメリカでは、制服警官が拳銃にランヤードを常時装着する例は一般的ではありません。多くの警察機関では、レベルIIまたはレベルIIIのリテンションホルスターによって拳銃奪取対策を行っています。
その結果、
グロック社の意図を超えた使い方をした
結果的にパーツが破損した
しかし「使用方法に問題があった」として公式に表沙汰にしにくい
という「表に出しにくいトラブル」が現場レベルで発生したと考えられます。
仮にラニャードに問題があるのなら、おそらくグロック社としては
「すでに実績のあるミネベアもしくは関連業者が設計した金属製アダプタ」を日本警察用にOEM的に採用
などが今後の現実的な選択肢となるのかもしれません。
日本警察仕様の「G45JP」が登場する可能性も、今後の動向次第ではゼロではないでしょう。
トラブル、その2「パトカー乗ってるだけで、強制リロード」
第二の問題は、車両乗車中にマガジンキャッチが押され、弾倉が脱落するというものです。
Glock 45(Gen5ベース)は、操作性を重視し大型化されたマガジンキャッチを装備していますが、これがパトカー等の車両乗車中に座席や装備と干渉して押し込まれ、意図せずマガジンが脱落するケースがあった“らしい”とのことです。
しかし、このボタンが乗車中に押されてしまい、マガジンの脱落があったらしいのです。
引用元 https://radiolife.com/security/police/64298/
バスの降車ボタンやないんやが……。
以上、この二つのトラブルにより、グロック45は2021年の東京五輪終了後、実際に一部で回収措置が取られ、術科センターにて保管。その後は通常支給される「SAKURA」に戻ったというのが、一連の『ラジオライフ』による報道です。

2025年、G45は大阪府警で“復活”したのか
一時は早期退役や回収が行われたとの情報もあり、現場から姿を消したかに見えたグロック45ですが、2025年に開催された大阪・関西万博では、大阪府警の地域警察官が実際にG45を装備して勤務している様子が相次いで確認されました。
また、同府警警備部においてもG45の配備が確認されており、公開された写真や目撃情報からは、一定規模で運用が進められている可能性がうかがえます。
これにより、一部の警察本部では、長らく続いてきた「地域警察官は回転式けん銃を携行する」という従来の構図に変化が生じつつあるようです。
もっとも、警視庁でG45の運用が確認された時期は東京オリンピック・パラリンピック警備の時期と重なっており、大阪府警での配備拡大も大阪・関西万博の開催時期と重なっています。このため、大規模国際イベントに伴う警備需要との関連を指摘する見方もあります。
したがって、全国的に回転式けん銃から自動けん銃への更新が進められているのか、あるいは大阪府警など一部の警察本部に限った運用なのかについては、現時点では明らかになっていません。
しかし、少なくとも地域警察官がグロックを携行して活動する姿は、日本の警察拳銃運用の変化を示す事例のひとつとして注目されています。
海上保安庁も配備か
2026年現在、海上保安庁の広報動画にグロックの配備を伺わせる一場面(1:41あたり)が登場します。

配備するのは海保の特別警備隊(特殊部隊)です。
G45、その原点は軍用トライアルモデルにあり
アメリカの法執行機関で採用例が増えているグロック45(G45)は、一見するとコンパクトモデルのグロック19(G19)に近い外観を持っています。しかし、その特徴は外観だけではありません。
G45はG19と同サイズのスライドを採用しながら、グロック17(G17)と同じ17発装弾のフルサイズグリップを組み合わせています。この構成により、携行性と装弾数の両立を図った「クロスオーバー」モデルとして位置付けられています。
こうした発想は、単なる小型化や大型化ではなく、実際の運用環境を踏まえて異なるモデルの長所を組み合わせるという考え方に基づいています。短めのスライドによる携行性と、フルサイズグリップによる優れた保持性や装弾数を両立させた点が、G45の大きな特徴といえるでしょう。
そのルーツは、アメリカ軍が実施したMHS(Modular Handgun System:モジュラー・ハンドガン・システム)トライアルにまでさかのぼります。
グロック社は、この次期制式拳銃選定試験に向けて特別仕様の拳銃を開発しました。これが後に「G19 MHS」と呼ばれるモデルです。
このモデルはG19をベースとしながらも、フルサイズグリップやアンビセーフティ(左右両側に操作レバーを備えた手動安全装置)など、米軍の要求仕様を反映した構成となっていました。
最終的にMHSトライアルでは、SIG SAUER P320をベースとするM17およびM18が採用され、グロック案は制式採用には至りませんでした。

しかし、このクロスオーバーコンセプトそのものは高く評価され、その後、軍向け仕様を色濃く残したG19Xとして商品化されます。
さらに、その発展形としてブラックカラー仕様やフロントセレーションなどを採用したG45が登場し、現在では法執行機関向けモデルとしても広く知られる存在となっています。
市場での評価
こうして誕生したG45は、いわば軍用トライアルで培われたコンセプトを法執行機関向けに最適化したモデルといえます。
G19XとG45は、いずれもコンパクトサイズのスライドとフルサイズグリップを組み合わせたクロスオーバー構成を採用していますが、細部には違いがあります。

by This Is Why the U.S. Army Chose Sig Sauer Over Glock for Its New Handgun https://www.youtube.com/watch?v=mxOBy4xzg7Y
G19Xは米軍トライアル提出モデルの流れをくむコヨーテカラー仕様を特徴としており、一方のG45は従来の法執行機関向けグロックと同様のブラック仕上げを採用しています。

by GLOCK official「GLOCK 19X」 https://www.youtube.com/watch?v=TX0rA1apy-A
また、MHSトライアル向けに提出された試験銃にはマニュアルセーフティが装備されていましたが、市販のG19XおよびG45には採用されていません。これは従来のグロックシリーズと同様に、トリガーセーフティを中心とした「セーフアクション」システムを維持するためです。
その結果、G45は従来からグロックを運用してきた法執行機関にとって違和感なく導入できる仕様となり、現在では警察機関や民間市場において広く認知されるモデルとなっています。
言い換えれば、G45は軍用トライアルから生まれたコンセプトを受け継ぎながらも、その完成形は法執行機関の実務ニーズに合わせて磨き上げられたモデルといえるでしょう。
日本警察がG19、G17ではなく、G45を配備したことに一定の合理性があります。
その後、グロック社はG19Xで採用したクロスオーバーコンセプトを発展させ、法執行機関向け市場も意識した「グロック45(G45)」を発表しました。
G45は、G19と同サイズのコンパクトなスライドと、G17と同サイズのフルサイズグリップを組み合わせたモデルです。また、従来の法執行機関向けグロックと同様にブラックカラーを採用しており、外観面でも警察市場を意識した構成となっています。
このクロスオーバー構成の特徴は、フルサイズグリップによる良好な保持性と、コンパクトスライドによる携行性を両立している点にあります。そのため、G45は法執行機関や民間市場において注目を集めるモデルとなりました。
実際、アメリカでは多数の法執行機関がグロック製拳銃を採用しており、グロックは警察市場における代表的な拳銃メーカーのひとつとして知られています。
「握れるかどうか」も任務遂行の鍵──法執行機関と拳銃グリップの関係性
射手によっては、グロック19(G19)のグリップがやや短く感じられる場合があります。特に手の大きな射手では、小指がグリップ下部から外れることがあり、グリップエクステンション付き弾倉などのアクセサリーが利用されることもあります。
こうした背景を考えると、コンパクトなスライドとフルサイズグリップを組み合わせたクロスオーバー構成には、一定の需要が存在したと考えられます。
拳銃の性能は、単に命中精度や信頼性だけで語れるものではありません。実際の運用現場では、「しっかり握れるか」「素早く構えられるか」といった人間工学的な要素も重要な評価基準となります。
そのため、G19XやG45のようなクロスオーバー型拳銃は、コンパクトスライドによる携行性と、フルサイズグリップによる保持性を両立したモデルとして注目を集めています。
グリップ形状が操作性に大きな影響を与えることは、各国の法執行機関における装備選定からもうかがえます。
たとえば、ある国の警察ではH&K USPコンパクトを採用していましたが、一部の警察官からはグリップサイズに関する意見もあったとされています。その後継として導入されたH&K P2000は、交換式バックストラップを採用し、使用者の手の大きさに合わせた調整を可能としました。
このような事例は、拳銃選定において口径や装弾数だけでなく、使用者との適合性も重視されていることを示しています。
また、グリップ周辺の設計も操作性に影響を与えます。たとえば、ランヤードリングやランヤードアタッチメントの形状によっては、使いにくいです。だから日本警察では90年代後半、ニューナンブのグリップを改良し、ランヤード・リングと小指の干渉を解消しました。
拳銃の紛失や落下を防止するための安全対策は重要ですが、その一方で操作性とのバランスも求められたわけです。
「警察向け」と「民間向け」の境界を越えた拳銃「グロック45」

by Checking out the Glock G45 https://www.youtube.com/watch?v=AF52-roLXYw
スライドはグロック19(コンパクトサイズ)、グリップはグロック17(フルサイズ)。このクロスオーバー構成を採用したグロック45(G45)は、グロック19Xで確立されたコンセプトをさらに発展させたモデルです。
外観は19Xとよく似ていますが、G45では従来の法執行機関向けモデルと同様のブラックカラーが採用されました。また、最新のGen5世代をベースとしており、各部に改良が施されています。
その代表例が、スライド前方に追加されたフロントセレーションです。従来の後部セレーションに加え、前方にも滑り止め加工を設けることで、スライド操作の選択肢を広げています。薬室確認(プレスチェック)を行う際にも活用できるため、実用性の向上を意識した改良と見ることができます。
また、Gen5世代では、長年採用されていたフィンガーグルーブ(指掛かり用の溝)が廃止されました。これにより、手の大きさや握り方の違いによる影響を受けにくくなり、より幅広い射手に対応しやすいグリップ形状となっています。
さらに、マガジンウェルの拡張や操作系の見直しなども行われており、再装填時の操作性向上が図られています。
こうした改良の積み重ねによって、G45は単なる「G19とG17の中間モデル」ではなく、クロスオーバーコンセプトを成熟させたGen5世代の代表的モデルへと発展しました。
もともと軍用トライアルに端を発したこの設計思想は、その後、法執行機関市場や民間市場でも支持を集めることになります。コンパクトなスライドによる携行性と、フルサイズグリップによる優れた保持性を両立できる点は、多くの射手にとって魅力的な要素だったのでしょう。
G45は、単なる派生モデルではなく、グロックが長年培ってきた実用拳銃の設計思想を集約した一つの完成形と見ることもできそうです。
まとめ
以上、日本の警察におけるグロック45の運用事例、グロック45の誕生について見てきました。
東京オリンピック・パラリンピック警備の時期に警視庁で運用が確認された後、一時は回収や運用縮小を指摘する情報もありました。しかし、その後の大阪・関西万博では大阪府警の地域警察官や警備部門で装備例が確認されており、少なくとも一部の警察本部では現在も運用が継続されていることがうかがえます。
余談ですが、グロック社が公開しているプロモーション映像には、世界各国の警察機関の徽章が登場します。その中には警視庁の徽章も確認できることから、日本の警察関係者や装備愛好家の間では以前から話題となっています。
もっとも、日本警察におけるグロック45の運用には、今後も検討すべき課題が残されているのかもしれません。グロックシリーズに共通する特徴として、外部から操作するマニュアルセイフティを備えていない点が挙げられます。この設計は迅速な射撃を重視する考え方に基づくものですが、その評価は運用環境や組織によって分かれます。
実際、アメリカ軍はMHS(Modular Handgun System)トライアルにおいてマニュアルセイフティを要求項目のひとつとしていました。一方、多くのアメリカの警察機関では、グロックのセーフアクションシステムを前提とした運用が行われています。
また、ニューヨーク市警では過去にトリガープルを重くした専用仕様のグロックを採用したことで知られています。これは拳銃そのものの欠陥を意味するものではなく、組織ごとの運用方針や安全管理上の考え方の違いを示す事例といえるでしょう。
日本警察では、かつてP230に独自のマニュアルセーフティを追加して導入した経緯もあるなかで、今回のマニュアルセーフティを持たないグロック45の配備で、拳銃の安全機構に対する考え方に変化が生じている可能性もうかがえます。

日本警察では、地域警察官のけん銃運用は長らく回転式けん銃で統一されており、その期間は半世紀以上に及びますが、今後、日本警察におけるグロック45の配備がさらに拡大するのか、それとも限定的な運用にとどまるのかは現時点では不明です。
しかし、少なくともG45は、日本の警察拳銃の歴史において、自動けん銃への移行を象徴する存在のひとつとして注目されるモデルになったといえそうです。

関連リンク
本記事に関連する話題について、当サイト「シグナリーファン」内の以下の記事でも詳しく紹介しています。関心のある方はぜひご覧ください。
〖千葉県警〗『回転式けん銃への弾込め作業中に誤射』事故で『構造的、物理的に無理』との懐疑派の声が話題
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