【千葉県警】『回転式けん銃への弾込め作業中に誤射』事故で『構造的、物理的に無理』との懐疑派の声が話題

画像の出典 千葉日報

2022年に発生した千葉県警の警察官が拳銃の弾込め作業中に誤って実弾を発射してしまった“事故”のニュースは、SNS上でも驚きをもって受け止められました。特に注目されたのは、その拳銃が「回転式けん銃(リボルバー)」であったという点です。

千葉県警柏署は12日、署内の拳銃庫で同日午前7時35分ごろ、男性巡査部長(54)が拳銃の実弾1発を誤発射したと発表した。巡査部長は地域課の交番勤務で、出勤に伴い回転式拳銃に弾を込めていた。拳銃庫内にいた複数人の警察官に、けが人はなかった。

同署によると、巡査部長は右手の親指に擦り傷を負っており、銃の引き金を引いた際のものとみられる。立った状態で作業しており、弾は木製の手入れ台を貫通。数十センチ先の壁に当たったという。同署は誤った原因など、詳しい状況を調べている。

引用元 https://news.yahoo.co.jp/articles/030e0a55cc070c71d7cf369e0450cdfb6ee54081

実際、この記事に対してSNSなどでは「装填中に引き金を引いても回転式けん銃なら発射されないのでは?」といった疑問の声が相次ぎ、記者の知識不足ではないかとする声まで上がりました。では、なぜそのような事態が起こり得たのでしょうか。

警察官等拳銃使用及び取扱い規範

今回の事故は「引き金を引いた」との報道になっていますが、規則では射撃するときのほか、用心金の中に指を入れないこととなっています。

(拳銃の安全規則)
第14条 警察官は、拳銃の取扱いについては、次に掲げる安全規則を厳守し、危害防止について細心の注意を払わなければならない。
(1) 拳銃を手にしたときは、回転式拳銃にあつては弾倉を開き、自動式拳銃にあつては弾倉を抜き出し遊底を引いて、たまの有無を確かめること。
(2) 射撃するときのほか、回転式拳銃にあつては撃鉄を起こさず、自動式拳銃にあつては、所属長が特に指示したときを除き、薬室にたまを装塡しないこと。
(3) 射撃するときのほか、用心金の中に指を入れないこと。
(4) 射撃の目標物以外のもの又は跳弾により人を傷つけるおそれのある方向には、銃口を向けないこと。
(5) 拳銃を他人に渡すとき及び必要があつて拳銃を拳銃入れから出しておくときは、回転式拳銃にあつてはたまを抜き出し弾倉を開いたままにし、自動式拳銃にあつては弾倉を抜き出し遊底を引いてたまが薬室に装塡されていないことを確認すること。
(6) 必要がある場合のほか、拳銃入れから拳銃を取り出し、又はこれを弄ばないこと。
(7) 職務上必要のない者には、拳銃を渡し、又は拳銃に手を触れさせないこと。

引用元 警察官等拳銃使用及び取扱い規範 https://laws.e-gov.go.jp/law/337M50400000007/

リボルバーは「安全」か?

リボルバーは、その構造上から「安全性が高い」とされています。これは純然たる事実です。

特に日本の警察で長年使われてきたニューナンブM60、S&W M37、M360J「SAKURA」といった回転式けん銃では構造上の特製として、シリンダー(弾倉)を横に開放して弾を込める(装填する)構造設計です。この方式を「スイングアウト」と呼びます。

タナカ【ガスリボルバー 】サクラ S&W(スミス&ウェッソン)M360J SAKURA ABS 1-7/8inch日本警察新制式拳銃 TANAKA ガスガン S&W M360J "SAKURA" ABS【付属品:LEDダイナモライト・ガンキーホルダー】【タナカワークスTANAKA】【18才以上用】

さらに、この状態では引き金(トリガー)そのものが物理的に作動しないのが通常の設計です。言い換えれば、「シリンダーが開いたまま」では撃鉄(ハンマー)も連動しないため、いかなる操作をしても発射には至らないというのが基本です。

つまり、通常の弾込め中にトリガーに指がかかっていたとしても、発射には至らないはずです。

日本の警察が長年にわたって地域警察官に回転式けん銃を配備し続けているのは、銃として基本的な安全性が非常に高い構造を持っているからです。

日本の警察で主流の回転式けん銃が「比較的安全」とされる理由とは

さらに構造的安全性が高い回転式けん銃に、あえて後付けの簡易デバイス「安全ゴム」で安全を補おうとする運用も行われています。この安全ゴムは撃鉄の作動を物理的に邪魔する仕組みですが、都内ではすでに運用が中止されています。

すなわち、自動式けん銃との最大の違いは、まさにこの「薬室(チェンバー)と弾倉の関係」にあります。

自動式けん銃では、マガジンから送り込まれた1発が薬室に残っている可能性が常にあるため、弾倉を抜いたからといって「安全」とは限らないのです。

これに対して、回転式けん銃では、シリンダーが本体に完全に収まった状態でなければ弾自体が「銃の中に存在しない」という非常に明快な安全設計になっています。

男の子の通過儀礼として、玩具銃と触れ合った人ならば、誰でも普通についている最低限の銃の知識。知っている人からしたら、『なんでやねん!?』と、思わずツッコミたくもなる話です。

千葉県警が配備する回転式拳銃の詳細は不明ですが、特別な部署でもない限り、全国の警察で基本的に同じ種類の拳銃が貸与されるため、千葉県警だけがマテバを使っているとは考えにくいです。

存在しない弾丸が発射されたことにSNSは騒然

よって、今回の「弾込め中に誤って引き金を引いて実弾が発射された」という報道内容について、事故当時、使用していたけん銃が本当に回転式であったならば、説明がつかないというのが実情です。

したがって、今回の事故は「存在しない弾丸が発射された」という謎の事故になってしまいます。

これに対して、やはりSNSでは懐疑的な見方が強いようです。

一部では『口論になってぶっ放したのでは?』とか、『心療内科でカウンセリング受けた方がいいのでは』などという、憶測まで飛んでいました。

早まった選択をするよりも、しかるべき医療機関にて早めの受診をするか、辞めたいのであれば、ヒゲソリ万引きして依願退職するより、通常の手続きに沿って退職をしたほうがよいとの人道的なアドバイスなのかもしれません。

推測:報道内容には構造上の矛盾が残る

考えられる可能性としては:

  • 弾込め作業中」という表現が不正確で、実際には弾込め後の操作段階(発射準備または点検)だった

  • 実は回転式ではなく、自動式けん銃だったが、報道段階で誤ってリボルバーと記述された。

  • 記事を執筆した記者が、けん銃の操作や構造に関する基本的知識を十分に持っていなかった

いずれにせよ、けん銃という高度な危険物を扱う現場で実際に事故が起きた以上、その詳細や再発防止策について、警察側からの明確な説明が求められる事案であることに変わりはありません。

また、単なる記者の無理解による誤記なのか、それとも実際に想定外の操作が行われたのかは、警察発表の中に具体的な技術的説明がない限り、はっきりしません。

このような報道内容が拡散されると、現場の警察官の射撃訓練や装備管理に対する誤解を招く恐れもあるため、報道機関側にも構造的理解と正確な表現が求められるでしょう。

ここで、疑問に思ってさらに警察に取材をするという骨太な昭和的記者が一人もいないことに、飼い慣らされたジャーナリズムを感じます。

まとめ

結局のところ、報道の内容を額面通りに受け取れば、「回転式けん銃の引き金を引いたら、設計通り正常に発射した」ということになります。

これは事故ではなく通常動作です。しかし、その前提を支える情報──シリンダーが閉じていたのか、引き金がなぜ操作されたのか──は一切明かされていないことに、多くの疑問が残ります。

その意味で、今回の「誤射事故」は、技術的・制度的な曖昧さを残したまま報じられた不完全報道です。結果として、事故を起こした警察官本人への精神的問題を心配する憶測まで呼んでいます。

警察からの詳細な説明がない、こうした「見かけ上の矛盾」を抱えた事故は、警察に対する信頼性や銃器運用体制への疑念を強める一因になりかねないとの声もあります。

『不具合を確認するためホルスターから銃を抜いた際に誤射』……北電泊発電所警備中の機動隊員が誤射した『自動式けん銃』とは?

Visited 7 times, 1 visit(s) today