【日本の刑事の銃】捜査一課特殊班(SIT)など一部で制式配備されているベレッタ92の特徴と米国内での歴史

アメリカの法執行機関では、1990年代を中心にイタリアのベレッタ92シリーズ(M92)が広く使用されていた

この銃は主に80年代中盤から2010年代にかけて、「M9」として米軍のサービスピストルに制式採用された実績から主に軍・法執行機関や銃器愛好家の間で人気・信頼性を誇る。マーケティング的には間違いなく成功したけん銃の一例である。

高い信頼を得た92シリーズ(M92)は、全米の警察、法執行機関における標準装備の一つとして長く活躍した。

そして、日本国内においては今なお、警視庁捜査第一課特殊班(SIT)や、警視庁SPなど一部では、ベレッタ92が制式配備されている実績がある

また一方で、警察とは別の捜査機関である厚生労働省地方厚生局麻薬取締部にはM85が配備されている事実も著名である。

都道府県警察では3種類の回転式および、2種類の自動式けん銃が主流

これは、日本の治安機関が国際的に高評価を得ている装備を基準に、実戦的な選定を行ってきたことを示している。

今回は米国の警察機関が長く配備してきたベレッタがなぜ受け入れられたか、日本の公的機関で配備されているベレッタのモデルについて解説する。

この記事には特定のけん銃モデルの説明文において、できるだけ事実ベースで記述し、出典を明示しておりますが、一部に個人の主観的表現やフィクション作品の例を用いた修辞が含まれている場合があります。

アメリカにおける法執行機関でのベレッタ92(M9)の配備と運用

ベレッタ92シリーズは、その高い信頼性で長年にわたり米国の軍・法執行機関をはじめ世界各国で使用されてきた。

ベレッタ92シリーズの米国警察における採用の歴史──高評価を得る信頼性と、訓練コストの課題

ベレッタ92シリーズは、1980年代から1990年代にかけて、米国の多数の法執行機関で正式に採用されている。

特に米軍が1985年にベレッタ92F(後に92FS)をM9として制式採用したことで、その信頼性と耐久性が広く知られるようになり、全米の警察機関においても導入が進んだ。

ただし、一部の州警察では米軍採用以前から導入していた事実もある。

米国警察における配備事例としては、コネチカット州警察が1981年にベレッタ92SBを採用したのが先駆けであり、これは米軍の採用よりも4年早い記録である(出典:Beretta USA公式資料)。また、ロサンゼルス市警察(LAPD)、ロサンゼルス郡保安局(LASD)、ニューヨーク市警察(NYPD)の一部部隊でも、ベレッタ92Fまたは92FSが採用されていたことが確認されている。

これらの警察組織がベレッタ92を選んだ主な理由は、高い信頼性、優れた命中精度、そしてダブルアクション/シングルアクションの操作性である。加えて、当時主流であった.38スペシャルのリボルバーに比べ、装弾数が15発と多く、火力面でも圧倒的に優位であった。

米国退役軍人省(VA)警察も2002年にベレッタ92Dを採用しており、これはスライドのセーフティ&でコッキングレバーを排したダブルアクションオンリーのモデルである。VA警察では職員の約20%が92Dを装備していた(出典:VA警察に関するWikipedia英語版)。

しかし2000年代以降、グロックなどポリマーフレームの軽量・低価格な拳銃が台頭したことで、ベレッタ92は次第に第一線から退くことになった。特にGlock 17や22のようなストライカー方式の銃は、操作がシンプルで訓練時間も短縮できるとされ、警察にとってより現実的な選択肢となったためである。

一方、ベレッタは耐久性においても定評がある。アルミ合金フレームとスチールスライドという堅牢な構造により、適切なメンテナンスさえ行えば数万発の発射にも耐える長寿命を誇る。実際、米軍による運用実績でも長期間の使用に耐えた事例が多数報告されている。

しかしながら、こうした性能がある一方で、すでに現在では警察などでの運用が減少している。その主な理由はコストと訓練時間である。

まず、92シリーズは比較的高価であり、近年ではGlockシリーズやSIG SAUER P320など低価格で軽量なポリマーフレーム拳銃が多数登場している。

画像は米軍の現用拳銃 SIG P320

運営規模の小さい地方警察などでは、こうした代替銃が選ばれる傾向が強まっている。

次に、ベレッタ92にはスライド上の手動セーフティ(兼デコッキングレバー)が存在するため、操作訓練に時間と費用を要する。特にダブルアクションからシングルアクションへの切り替わりや、安全装置の解除手順など、初心者向けには煩雑と感じられることもある。

このため、グロックのように操作の単純なストライカー式ピストルへ移行した警察機関も多い。

アメリカ警察特集コラム第3回『米国警察における拳銃装備の実情』──なぜグロックが圧倒的支持を受けているのかを解説する

アメリカでは警察から一般の中古銃器市場へ放出された中古銃の多くは、表面にわずかな摩耗が見られる程度であり、携帯される時間に比して実際の発射回数が少ないことを示している。一方、射撃訓練を重視する機関の下取り銃は、より摩耗の進んだ個体も見受けられる。

ベレッタ92は現在も民間においては高品質な拳銃として一定の支持を維持しているが、公的機関での採用・運用にはコスト・訓練・時代背景といった複数の要素が絡んでいる。それは、性能だけでは測れない「拳銃選定の現実」を浮き彫りにしている。

  • ベレッタ92FS(M9) は1985年にアメリカ軍(陸海空海兵隊)で M1911A1に代わる制式拳銃として「M9」 の名称で採用された。

  • その信頼性から、1990年代を中心に多くの米国内法執行機関(州警察、郡保安官、連邦機関など)でも配備された

  • ただし、警察側ではグロックなどポリマーフレームの軽量モデルへの移行も早かったため、ベレッタ92が支配的だったわけではない。
     → 例えばFBIは当初は92Fを採用した時期があるが、90年代半ばにはSIGやグロックへの移行を進めています。


出典:

  • Beretta USA公式ページ(https://www.beretta.com/

  • U.S. Army M9 maintenance data(米陸軍公的資料)

  • 米国民間銃器レビュー誌「American Rifleman」「Guns & Ammo」

  • 米司法省FBI Firearms Training Unit資料(公開分)

金属フレームであるベレッタ92の優位性は?

金属製フレームを持つ銃が一部の使用者に与える心理的・物理的な「質感」や「重厚感」、さらには歴史的背景との結びつきがどう評価されているかを検証する必要がある。

米国の銃器愛好家の間では旧来の金属フレームか、グロックやVP9に見られるポリマーフレームかで議論は常に続いている。事実として、ベレッタ92シリーズに代表されるアルミ合金製フレームのセミオート・ピストルは構造的に堅牢であり、手に持った際のバランスや作動時の感触に高い評価がある。このことは軍用・法執行機関での使用実績でも証明されているところである。

また、個人オーナーの観点からは、このような金属フレームのピストルには「ポリマー製の銃にはない所有する喜び」という感情を見出しているという向きもあるとされる。特に銃器を専門とする収集家や訓練経験者の間では、冷たい金属の感触や丁寧に加工された金属部品の動作音に対し、一定の敬意や愛着が寄せられている。

一方で、1980年代以降、Glockをはじめとするポリマーフレームの拳銃が急速に普及し始めた背景には、量産性、軽量性、耐腐食性といった実用面での合理性がある。当初こそ、忌避される動きもあったが、ポリマーフレームは温度変化に強く、メンテナンスの頻度も比較的少なくて済むことが証明され、銃器のフレーム素材として適切であることが証明された。

このため、多くの法執行機関では任務遂行の効率性を優先し、軽量で耐久性の高いポリマー製拳銃へと移行した。特にアメリカでは、1990年代以降、Glockシリーズが州警察、連邦機関、さらにはFBIなどの標準装備として広く採用されている事実がある。

したがって、「ポリマー製の銃にはない所有する喜び」という言い回しは、実用主義からはやや外れた、所有者の感性に基づく価値観の表現と位置づけることができる。これは道具としての銃器というよりも、文化的・審美的対象としての銃器への評価であり、ある種のノスタルジーや伝統への敬意が込められていると解することもできそうだ。

総じて、金属製フレームの銃器が持つ「喜び」とは、技術的優劣を超えた感覚的価値であり、それを肯定するか否定するかは、銃器をどう位置づけるか――単なる道具か、あるいは文化の一部か――という視点の違いに依拠しているといえるのかもしれない。

スライドの破損問題とは

ベレッタ92シリーズ(米軍採用名:M9)は、その整備性と堅牢性により、今日も世界中の警察や軍隊など各国の法執行機関で幅広く使用されているのは事実だ。

しかし、米軍では配備当初、「スライド破損問題」が発生──制式採用拳銃に生じた構造上の課題である。

ベレッタ92シリーズ(米軍名称:M9)は、1985年に米陸軍の制式拳銃として採用されたイタリア製の自動拳銃である。しかし本格配備から数年後、M9のスライドが射撃中に破断し、後方へ飛散するという深刻な事故が数件報告された事実がある。これは、発砲時に後退したスライドが兵士の顔面を直撃し負傷させる重大な事故であったことから、米国会計検査院の指摘の元、M9の製造元を巻き込んだ大きな問題となった。


■ 問題の発生と公式記録

M9のスライド破損問題は、1987年から1989年ごろにかけて米軍の訓練現場で複数発生した。最も著名な事例は、米陸軍が提出した公式報告書および当時のGAO(米政府監査院)による調査記録に残っており、次のように報告されている。


■ 原因の分析と製造側の対応

この問題の原因は、スライドの金属疲労および材料品質の問題にあるとされた。初期ロットの一部で、使用されたスチールの硬度と靭性(割れにくさ)が不十分で、長期間の使用により破断が起きたという結論である。

これに対し、ベレッタ社はスライド設計を改良。破断しても後方へ飛散しないよう、スライド後部に「スライドキャッチ溝(enlarged hammer pin)」を追加し、破断時にスライドの後退を物理的に制限するよう改修した。


■ 米軍の対応とその後の評価

米軍は1990年代以降、改修版のM9に切り替えた上で、スライド破断事故の再発防止を図った。現在に至るまで、同様の重大事故は確認されておらず、当時の問題は「素材と設計の初期的課題であり、技術的に解決された」と広く認識されている。


出典:

  • Government Accountability Office (GAO) Quality and Safety Problems With the Beretta M9 Handgun

  • U.S. Army Materiel Command, Engineering Report on M9 Slide Failures, 1988(要約のみ公開)

  • Beretta USA Press Release, 1990.

ベレッタ92シリーズ(M92)の部品点数とパーツリスト

本稿では、ユーザーマニュアルや公的資料に基づき、基本的な分解と安全確認の手順を整理する。メンテナンスは簡単。この92シリーズは分解も容易で、これまで作られたハンドガンの中でも最も信頼性の高いものの一つである。

Beretta 92FSの主な部品一覧(抜粋)

Beretta 92FS(ベレッタ92FS)の部品点数について、Beretta Webに掲載されている分解図と部品リストに基づき、主要部品を以下に示す。

No. 部品名(英語) 部品名(日本語)
1 Barrel 銃身
2 Locking Block ロッキングブロック
3 Locking Block Plunger ロッキングブロックプランジャー
4 Locking Block Plunger Pin ロッキングブロックプランジャーピン
5 Slide スライド
6 Extractor エキストラクター
7 Extractor Pin エキストラクターピン
8 Extractor Spring エキストラクタースプリング
9 Rear Sight リアサイト
10 Trigger Bar Detent トリガーバーデテント
12 Firing Pin ファイアリングピン
13 Firing Pin Spring ファイアリングピンスプリング
14 Safety Lever Assembly セーフティレバーアセンブリ
15 Firing Pin Plunger ファイアリングピンプランジャー
18 Recoil Spring リコイルスプリング
19 Recoil Spring Guide リコイルスプリングガイド
21 Disassembly Lever 分解レバー
22 Slide Stop Spring スライドストップスプリング
23 Slide Stop スライドストップ
24 Trigger トリガー
25 Trigger Pin トリガーピン
26 Trigger Spring トリガースプリング
27 Trigger Bar トリガーバー
28 Trigger Bar Spring トリガーバースプリング
29 Disassembly Button 分解ボタン
30 Disassembly Spring 分解スプリング
31 Hammer Release Lever ハンマーリリースレバー
32 Ejector エジェクター
33 Hammer Release Lever Pin ハンマーリリースレバーピン
34 Ejector Spring Pin エジェクタースプリングピン
35 Hammer ハンマー
36 Hammer Pin ハンマーピン
37 Hammer Strut ハンマーストラット
38 Hammer Spring ハンマースプリング
39 Lanyard Loop ランヤードループ
40 Sear シアー
41 Sear Spring シアースプリング
42 Sear Pin シアーピン
43 Magazine Catch Assembly マガジンキャッチアセンブリ
47 Lanyard Loop Pin ランヤードループピン
48 Grip, Right グリップ(右)
49 Grip, Left グリップ(左)
50 Grip Screw グリップスクリュー
51 Grip Bushing グリップブッシング
52 Magazine マガジン
57 Firing Pin Block Spring ファイアリングピンブロックスプリング
58 Firing Pin Block ファイアリングピンブロック
60 Safety Plunger Spring セーフティプランジャースプリング
61 Safety Plunger セーフティプランジャー
63 Recoil Spring Pin リコイルスプリングピン
64 Firing Pin Block Lever ファイアリングピンブロックレバー
69 Lock Washer ロックワッシャー

これらの部品は、Beretta Webの分解図および部品リストに基づいている。

これらの部品のうち、消耗品は主にロッキングブロックである。ベレッタ社ではその耐久回数は22,000発と謳っており、良好な状態を保つために適宜交換することが望ましい。


 参考リンク

これらのリストは、Beretta 92FSの構造やメンテナンスに関心のある場合、必要な情報として機能する。

ベレッタ92の基本分解手順(フィールド・ストリッピング)

通常、けん銃の分解メンテナンスにはフィールド・ストリッピング(Field Stripping)がある。これは、銃器を使用者が工具を使わずに分解・清掃・点検する作業のことを指す。これは、戦場や訓練中といった「現場(=フィールド)」で迅速に行えることが求められるため、このように呼ばれている。

使用後の銃の定期的な分解・清掃は、作動不良を防ぎ、長期的な信頼性を維持するために不可欠だ。

分解に先立ち、安全確認は絶対条件である。銃口を安全な方向に向けたまま、まずマガジンを取り外す。次にスライドを後退させて開放状態にし、チャンバーに実弾が装填されていないことを肉眼で確認する。これは実弾残留による不意の発射事故を防ぐため、最も基本的かつ厳格に守られなければならない。

  1. マガジンを抜く
     安全確認の第一歩。マガジンキャッチを押してマガジンを抜き取る。

  2. スライドを後退・ロック
     スライドを手動で引いてスライドストップでロックし、内部の状態を確認する。

  3. テイクダウンレバーを操作
     本体左側のテイクダウンレバーを90度下方へ回転させ、スライドのロックを解除。

  4. スライドを前方に引き抜く
     スライドをレールに沿って前方に引き抜くと、スライドごとバレルとリコイルスプリングが外れる。

  5. リコイルスプリングとガイドロッドを取り外す
     スライド裏からリコイルスプリングとそのガイドロッドを慎重に引き抜く。これで基本的な分解は完了となる。

  6. バレルを取り出す
     スライドからチルト構造を考慮しながらバレルを前方へ抜き出す。

これで主要構成部品に分解され、日常的な清掃や注油が可能になる状態となる。

ただし、フィールド・ストリッピングは日常的な清掃および潤滑、機能点検のための最低限の作業範囲であり、「完全分解(detail stripping)」とは異なり、あくまで簡易的・現場レベルの分解作業である。バネ、トリガー、セーフティ機構まで完全分解するには専門知識と工具が必要であり、訓練を受けた職員または銃器技術者の作業範囲となる。また、それぞれの国の法の範囲内で行うべきであり、法で認められない者が試みることは一切推奨されない。

出典:

  • Beretta USA. 92 Series Operator’s Manual.

  • U.S. Army Technical Manual TM 9-1005-317-10.Operator’s Manual for Pistol, Semiautomatic, 9mm, M9

  • NATO Standardization Agreement (STANAG) 2324.

日本で運用されるベレッタの種類

2025年現在、日本国内で公的機関により運用されているベレッタ製けん銃の種類は、確認できる範囲でおおむね3系統(警察2種、厚労省1種)に分類される。

写真引用元 厚生労働省公式サイト

以下に、事実ベースでそれぞれを詳述する。


1. 警察で使用されているベレッタ(その1)

『92FS VERTEC』

ケイエスシー(KSC) KSC M92バーテック07 HW 18歳以上ガスブローバックガン

概要:

ベレッタ M92FS Vertec(ヴァーテック)は、ベレッタ社が標準的なM92FS(米軍制式採用のM9としても有名)をベースに、近代的な改良を加えた派生モデルである。M92シリーズの扱いやすさ・信頼性を維持しつつ、グリップ形状やアクセサリーレールなどの現代的仕様に適応したモデルであり、2000年代初頭に登場した。

警視庁をはじめとする全国の特殊犯捜査係(SIT)で配備されている。SITでは日本警察で一般的な38口径の回転式のほか、M3913などセミオート・ピストルも使用されてきた実績があるが、2006年ごろからの報道では92FS VERTECを配備してるクライムシーンが増えている。

刑事部の『SIT』と警備部の『SAT』の違いはひとつだけ

◆ 主な特徴

1. ストレートグリップ(Vertecグリップ)

従来のM92FSは背面が曲線的な「湾曲グリップ」だったのに対し、Vertecでは1911系に近い直線的なグリップ角度が採用された。これにより、グリップがややスリムになり、小さめの手にもフィットしやすいとされる。

2. ピカティニーレール搭載

Vertecの大きな進化点は、フレーム下部にピカティニーレールを標準搭載している点である。これにより、タクティカルライトやレーザーサイトなどの装着が容易になった。これは主に警察など法執行機関の現場運用に配慮した変更である。なお、日本警察での運用例ではグリップ内蔵型レーザーを装着していた。

3. ショートリーチ・トリガー

トリガーの位置もわずかに手前に設定されており、トリガーリーチが短くなっている。これもまた、手の小さい射手でも操作性が良好となる設計である。

4. 92FSの基本構造はそのまま

ロッキングブロックによるティルト不要のショートリコイル、ダブルアクション/シングルアクション(DA/SA)、スライド一体型のアンビデクストラウス・セーフティ/デコッカーなど、92FS本来の機構は継承。


◆ 技術仕様(Beretta公式より)

項目 内容
口径 9mmパラベラム(9x19mm)
全長 約217 mm
銃身長 約125 mm
重量 約945 g(空マガジン時)
装弾数 15発(標準マガジン)
作動方式 ショートリコイル式・DA/SA
セーフティ デコッキング機能付きマニュアルセーフティ(スライド)
フレーム材質 アルミ合金(軽量)
グリップ ストレート形状(Vertecタイプ)
アクセサリー ピカティニーレール付き

◆ 派生と評価

M92FS Vertecは、米国法執行機関や一部特殊部隊(例:USマーシャルなど)に評価されたが、グリップ角度の変更に馴染めない従来型ユーザーからは好みが分かれた


また、VertecフレームをベースにM9A1やM9A3といった後継モデルが開発され、これらはよりモダンなニーズに対応して進化している。

Vertecは「クラシックな名銃をモダナイズした最初の本格派」として、一定の歴史的意義を持つモデルである。現在はM9A3などの上位互換モデルにその役割を引き継いでいるが、Vertec独自のスリムで直線的なグリップや、簡易タクティカル対応性を高く評価する声はいまだ根強い。

根拠:

  • 2006年頃からの報道


2. 警察で使用されているベレッタ(その2)

『90-Two』

概要:

伝統的な92FSのメカニズムを踏襲しつつ、外観や操作性、安全性、アクセサリ対応などを現代的に再設計した意欲作である。こちらも9mm口径(複数あり)のセミオートマチック拳銃で、ポリマーグリップが特徴。

栃木県警のTSITに配備されている。

90-Twoは世界的に見ても、軍・警察への大量採用は見られなかった。現在、ベレッタの製品ラインナップから外れている(生産終了)。後継にはより実用性を重視した M9A1→M9A3→M9A4 へと進化しており、90-Twoは意欲的な中間世代モデルとしての歴史的価値を持つ。

◆ 外観の大幅刷新

  • スライドとフレームの曲面デザイン

    • 92FSの角ばった印象に比べ、90-Twoは流線形で滑らかな外観を採用。空気力学的で未来的な印象を与えるデザインは、従来モデルと一線を画す

  • モジュラーグリップシステム

    • グリップパネルが一体型で交換式。S・M・Lの3サイズが用意され、手の大きさに応じたフィッティングが可能になった。

◆ 機能面での改良

  • インテグレーテッド・アクセサリーレール

    • フレーム前方にピカティニーレールが標準装備され、ライトやレーザーサイトの装着が容易になっている。

  • 改良されたセーフティ/デコッカー

    • 92FSと同様に、スライド上部にデコッキングレバー兼セーフティを備えるが、操作感がよりスムーズになっている。

  • メカニズムは基本的に92FSと共通

    • ロッキングブロック式のショートリコイル作動、ダブル/シングルアクション(DA/SA)、15発マガジンなど、基本仕様は92FSと共通。

90-Two(9mmパラ版)技術仕様

項目 内容
使用弾薬 9x19mm(9mmパラベラム)
装弾数 15発(9mm標準マガジン)
全長 約217 mm
銃身長 約125 mm
重量(空マガジン) 約945 g
動作方式 ショートリコイル、DA/SA
材質 スライド:スチール、フレーム:アルミ合金
アクセサリーレール 標準装備

根拠:

  • 事件報道、専門誌の記事など


3. 厚生労働省地方厚生局麻薬取締部で使用されているベレッタ

ベレッタ85(Cheetahシリーズ)

概要:

麻薬取締官(いわゆる「麻取」)に配備されている拳銃。.380ACP(9mmショート)弾を使用するコンパクトモデルで、一般的な日本警察のリボルバーに比べても小型。
主に携行性・隠密性を重視しつつも、セミオートの即応性を備える装備として運用されている。

麻薬取締官が『警察官には認められない連射が可能なオートマチック』を使う理由とは?

根拠:

  • 2000年代以降の報道取材および厚生労働省地方厚生局麻薬取締部ウェブサイトにおける装備の画像掲載

  • ただし、同省が自ら配備を明らかにした事実は配備が終了した可能性を示唆している

補足:なぜベレッタが選ばれたのか

日本の警察・麻薬取締官において、従来の回転式拳銃(リボルバー)では対応困難な事案――突発的な襲撃、複数犯との交戦、高い隠密性が要求される内偵活動など――に対応するため、より即応性と火力を持つセミオート拳銃の必要性が浮上したことは十分に事実を裏付けるだろう。

その中で、ベレッタ社の信頼性、操作性、そして西側諸国での実績が評価され、選定されたと見られる。

なお、上記の配備自体の事実は、各種事件の報道ベースと銃器専門誌の取材であり、警察庁や厚労省が直接的にベレッタの配備を公式に言及してはいない。

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結論

ベレッタ92は現場で信頼されるハンドガンの一つであり、日本警察が制式配備している事実からも証明されている。

しかし、アメリカではすでにベレッタ92シリーズ(M92)の採用実績は「Glock(グロック)」に抜かれてしまっているのが現状である。

アメリカ警察特集コラム第3回『米国警察における拳銃装備の実情』──なぜグロックが圧倒的支持を受けているのかを解説する

日本では近年、地域警察官へのグロック配備が話題になっているが、こちらも今後の動向が注目される。

東京五輪警備で警視庁自動車警ら隊に配備された「GLOCK45」の一斉回収は『二つの不安要因が原因』との一部指摘あり

 

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