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ストップメーター

レーダーを装備していない警らパトカーも、実は速度違反取締が可能。それを可能にしているのが、矢崎総業とカンセイが納入し、交通覆面の装備でおなじみのストップメーターという速度測定装置。
測定結果はレシートのような紙が排出されるので、速度違反の経験者にはおなじみだろう。
ストップメーターとレーダーによるスピード測定の違いは、あくまで測っているのが自車(パトカー)側の速度であること。
警察無線&ホイップアンテナ
無線警ら車には車載通信系を送受信できるデジタル式警察無線が備わっている。これこそが、パトカーが”無線警ら車”と呼ばれる所以だ。白黒パトカーの場合、覆面パトカーと違って、警察無線用アンテナの秘匿や偽装の必要はないため、50センチ程度の業務用ホイップタイプ・アンテナをルーフ中央に配置。トヨタ・クラウンのポリス・パッケージの場合、はじめからエレメント設置用の基台が車内に設けられ、同軸も埋め込まれている。
交通機動隊や高速隊の場合は、トランクリッドにTLアンテナやアマチュア無線タイプのアンテナを設置する場合もある。
ミニパトでは多くの警察本部で、基幹系無線機やアンテナを装備しておらず、その場合は警察官が携行する署活系無線機PSWや、携帯電話型PSDで連絡するほか、基幹系は受令機で傍受する。
カーロケについては以下で解説している。
アイドルアップ装置
電装品の多いパトカーにとってバッテリー上がり対策は重要。実はパトカーにはバッテリー上がりを防止するためにエンジンのアイドリング調整をして回転数を上げる装置が架装されている。車種にもよるが、アイドルアップスイッチはコンソールに備わっている。
パトカーのドアの秘密
『パトカーの後部座席ドアは内側から開かない』とよく聞くが、実は本当。後部座席の片側は覆面、白黒に限らず被疑者の逃走防止のため、通常は内側から開けられないようになっている。
また、パトカーの運転席側のドアが停車中、意図的に半ドアにされていることが。
だらしないという指摘の一方で、この半ドアも理由あってのこと。詳しくは控えるが、盗難防止措置が理由。
警察官が休日に自分のクルマを運転するときも、ついつい仕事のクセで意図的に半ドアをやってしまう場合があるととのこと。
パトカーは防弾なの?
街を走っている警ら用のクラウンパトカー、ミニパト、覆面パトカーは防弾化されているのだろうか。答えは防弾化されていない。幸運なことに日本は銃社会ではなく、パトカーが銃撃されるケースは多くない(ただ、2006年には旭川でミニパトが銃撃されたほか、2007年のいわゆる函館市銃撃戦では追跡してきた道警の警らパトカーに向け、組員がトカレフ短銃を発砲。乗っていた警部補に重傷を負わせた。
組員は巡査部長から3発の威嚇射撃後、2発応射され、法を執行された)。そのため、予算もつかず、費用対効果もなし。一般車の窓ガラスは厚さわずか数ミリだが、防弾ガラスにするとなると数センチになり、無駄に重量が増すだけだ。
25年ほど前、警察マニア向けの本には「日本警察のパトカーのドアの内側には鉄板が挿入されており、イザという場合、お巡りさんはこのドアを盾にするのだ」なんて書かれていた。鉄板というのが時代を感じさせるが、実際のところは、日本の警らパトカーでそのような防弾施工は行われていない。
アメリカの警察ですら、警ら用パトカーの防弾化は一般的ではない。
しかし、NYPDに限っては2016年にNYPD本部長が2014年に起きた警官銃撃殉職事案を鑑みて、警官の安全を確保するためとして、警らパトの防弾化を推進すると発表している。https://www.dailysunny.com/2016/01/22/nynews0122-7/
ただし、日本警察に防弾車両がないワケではなく、要人警護を任務とするSPの使用するベンツやセルシオなど、黒塗りのいわゆる警護車は、ほぼ全て防弾化。
また、機動隊が使用する特型警備車(装甲車)も、当然の措置が。防弾施工は日本特装などの企業が行っている。
機動隊の特殊車両は装甲車だけじゃないぞっ!武骨なフォルムの特型警備車だけじゃなく、レスキュー車や資材搬送車、トイレカーにも萌えろ!
また警察庁長官や警視総監など階級が高位な警察官の専用車ならば、おそらくは必要な措置が取られているのではないだろうか。
その他の搭載品や架装品
その他にもパトカーにはタクシーが装備している防犯用のアクリル製仕切り、自動車学校の教習車両がつけているものと同じ助手席用の二段ミラーも特徴。さらに助手席の足元には消火器や、車両のウインドウを破砕するための市販のレスキューハンマーも搭載。
また、特殊警棒を固定するための「警棒格納装置」が、ドアの足元側に設置されている。
トランクにはカギのついた車検証入れが備わっているが、無線警ら車は通常、グローブボックスに無線機格納装置を備えるため、グローブボックスが使用できなくなるための措置となる。これは機動捜査隊が使用する機動捜査用車でも同様。
近年では神奈川県警察が配備するキザシの白黒パトカーなどにAEDも搭載されている。また、警察専用ドライブレコーダーの搭載も目を引く。
パトカーのご当地装備としては北海道警察の一部のパトカーにはエゾシカとの衝突を防ぐため、市販の高周波発生装置がナンバープレートの両脇に搭載されている。
所轄署や自ら隊の無線車に積まれる所持品検査箱(決済箱)もはずせない。職務質問時に対象者の所持品を一時的に載せ、確認するために使うのだ。機動捜査隊の覆面パトカーにも積まれている。
パトカーの「都道府県警察名」表記の書体やマークなどもイロイロ
白黒パトカー自体は全国で同じ仕様だが、表記やマークは全国で微妙に異なり、都道府県警察ごとに個性を出している。ついに北海道警察でも入れてしまったPOLICE表記や、昔からの青森県警察の白鳥マーク。かつての大阪府警の白ヌキ表記などなど、どれも個性的である。
文字の表記自体も丸文字ゴシックから、角ゴシック、警視庁では独自のテクノっぽい字体。岡山県警察もナカナカ独特の味わいを持つ毛筆風で乙である。「県警察」表記だったり「県警」表記だったりも興味深い。
以上のように、軽くご紹介した。なお、交通取締り用覆面パトカーについては以下にて解説。