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シグナリーファン編集部では、警察装備や運用に関する国内外の公開情報・公式資料・報道記事・学術文献を継続的に調査・分析しており、本記事もそれらの調査結果に基づいて構成しています。

警察と対立した「韓国大統領警護処」とは?HK416やMP7など武装が強すぎる理由は?日本国内で戦闘服姿で警護展開の実績もあり

2025年、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)元大統領が、政権退陣後に複数の収賄容疑で検察の捜査対象となり、ついに逮捕状が発付されるという異例の事態が起きた。

さらに波紋を広げたのは、尹氏が自らの身柄拘束を回避するために、大統領警護処(旧・大統領警護庁)に対し「警察による逮捕を阻止せよ」と大統領権限による命令を出したと報じられたことである。

대통령경호처가 제21대 대통령 취임식을 일주일 앞둔 27일 경기도 김포 경호안전교육원에서 대통령의 절대 안전 확보를 위한 경호 훈련 현장을 언론에 공개했다. 경호요원들이 사격훈련을 하고 있다. 2025.5.27/뉴스1

2025年大統領就任式の警護訓練で登場したMP7

一見すると同国の警察機関の一部にも見える警護処だが、実際には韓国大統領に直属する完全に独立した武装法執行機関であり、その任務はあくまで大統領や要人の身辺警護に限定されている。

では、なぜこうした命令が実行可能な状況にまで至ったのか。

今回は、日本には同等の機関が存在しない「大統領警護処」という組織の成立過程や法的位置づけ、そして戦闘部隊のような重装備を背景にしたその実態について考察したい。

🛡️ 韓国警護処の“CAT(Counter‑Assault Team)”──逮捕阻止へ動く精鋭護衛隊の実力とは

韓国の大統領警護処は、大統領直属の法執行機関であり、任務はその名のとおり、大統領および元首級要人の身辺警護に特化しており、警察・軍・国家情報機関とは明確に区別されている独立機関である。

設立の起源は1963年にまでさかのぼり、当初は「大統領警護室」としてスタートした。その後、組織の改組を経て「大統領警護庁」となり、2017年に文在寅政権下で「大統領警護処」へと再編された。

法的根拠は「大統領等の警護に関する法律」に基づくものであり、韓国大統領府(旧・青瓦台)直属の機関として、他の行政機関からの干渉を受けない体制が採られている。

1. CATとは?韓国版大統領特殊護衛部隊の精鋭

大統領など要人の警護において重武装の対襲撃即応部隊として特に実戦的な能力を担う主体が「CAT(Counter Assault Team)」である。

アメリカ合衆国のシークレットサービスにも同様にCATが編成されており、これに倣ったものとみられる。

  • 米国のシークレットサービスCATは、大統領の車列後方から攻撃を抑制し、 VIPの退避を支援する戦術部隊
    韓国CATも同様に、倒壊する車両や接近する脅威を遮断し、退避・移動を確保する任務を担うとみられる。

警護体制の武装性・・SPのようなフォーマルではなく特殊部隊の姿も

ザ・ファクト|イ・セロム記者】尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する2度目の逮捕状執行が差し迫った13日午後、ソウル・龍山区漢南洞にある大統領官邸で、警護処の関係者が小銃を携えたまま敷地内を移動している。

CATは拳銃やサブマシンガン、小型ライフルに加え、防弾装備や通信機器なども標準装備とする。

平時であっても戦闘服に準じた服装を採用し、明確に「要人戦闘護衛」を想定した体制となっている点で、日本の警視庁SPなどと比較してその性格は極めて軍事的である。

尹錫悦韓国大統領とキム・ソンフン警護処次長が逮捕状の執行を阻止しようとする中、大統領官邸周辺で「CAT」と見られる特殊部隊員が活動している姿が報じられた

正式には「対襲撃チーム(Counter-Assault Team、略称:CAT)」と呼ばれ、警護処の中でも強力な武器と訓練を備えるプロフェッショナルが選抜される部隊である

2. 装備から見える威嚇力・実戦力・・なぜ?

画像の引用元 MBICニュース

ざっくり言うと、韓国は現在も北朝鮮と戦争継続中だからである。

拳銃

「なんで韓国や日本警察はベレッタのマイナーモデル使っとるんや…?」いまいち不人気な東京マルイのベレッタPx4もMP7との組み合わせで精鋭警護部隊に!?

日本警察の警護員(SP)ではPX4の配備事例は確認されておらず、配備の可能性はないと見られますが、92系や90TWOの配備があります。

また、グロック17の配備も行われています。

【警備部の装備トレンドは?】警視庁SPの使うけん銃にP2000など登場

ライフル・SMG系

過去にはUZI、MAC-10を使用し、その後90年代以降はMP5が標準装備となった。

さらに近年ではより貫通力の高いMP7を配備していることが明らかになっている。

  • 一般警護員はMP7サブマシンガン、 H&K MP5、K2小銃。

  • 一方CAT要員は、HK416(5.56mm)カービン/狙撃銃、擲弾発射器

  • ショットガンを配備

なお、文在寅・元大統領が市場視察の際の警護官がMP7機関けん銃を露出させた「大邱七星市場機関短銃暴露論議」というものがある。

ある議員は警護員がH&K MP7を直接公開する行為をした点に対して繊細で衝撃的だと問題提起したのだ。

その他

  • ドローン撃墜用高出力マイクロ波発射装置

さらにAR‑15系ライフルと予備弾を収納可能なリュックを常備する姿も確認され、戦術装備+実弾携行を推測させる状況となっている

3. 組織構成と緊張の高まり

  • 冠銘は警護処全体で約200人、そのうちCATは約50人前後と推定 。

  • CAT要員は、警察特殊部隊や陸軍707特殊任務団(韓国のデルタフォースに相当)出身の精鋭で構成されているとされ、極めて高度な戦術能力を有する部隊との分析がある

4. 武力衝突も辞さない姿勢か?拡大する論議と警護処の是非

野党「共に民主党」の議員は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領(当時)がCATに「実弾で威嚇せよ」と指示したのではないかと主張している

【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の拘束令状が再発付されてから1週間となる13日、ソウルの大統領公邸の周辺を警備する大統領警護処の特殊チームとみられる要員の姿が捉えられた。

引用元 大統領警護処の特殊要員? ヘルメット・戦闘服で公邸警備=韓国  2025.01.13 17:12 https://jp.yna.co.kr/view/AJP20250113002400882

実際にCAT要員が官邸をパトロールする姿が確認され、間接的に“武力による逮捕阻止”を視野に入れた展開が進行していると見られている

CATの存在と実態が明らかになる中、野党は「警護処の私兵化」を強く批判警護処を解体し、警察や他機関へ業務移管すべきと訴えている

一方で、警護処側は「専門性と軍との連携力が必要」と主張した

台頭するCATの存在は、既存の法制度の限界と、国家的安全保障体制の強化要請とのせめぎ合いを象徴している。

「逮捕阻止に武力を用いるのか」という事態は、民主主義体制における法の支配という観点から重大な問題を含んでおり、韓国国内で警戒感が高まった。

今後、CATの活動と警護処の法的位置づけが、制度的にどこまで許されるのかが焦点となる。


2023年にCAT来日?韓国警護処隊員が日本で警護展開

2023年春、韓国の尹錫悦大統領(当時)が来日し、空港や岸田総理と銀座で会談した際、日本側の警察による厳重な警備に加え、なんと韓国側の警護要員、なかでも戦術服に身を包んだ「CAT(対応攻撃チーム)」要員が確認され、話題を呼んだ。

警護処隊員1
警護処隊員2

画像の出典:UPI(United Press International

その姿は日本のスーツ姿のSPとは対照的で、日韓の要人警護体制の違いが浮き彫りとなった。

なお、防弾盾まで構えた物々しい姿ではあるが、ホルスターには拳銃は収まっておらず日本国内法の下で配慮された、外交特権の範囲内での一時的な特例運用とみられる。

こちらの動画には、東京・銀座で岸田首相との非公式夕食会が開かれた際、複数の警察車両と制服・私服警察官が密集している様子が映っている。

当然、その警戒に当たっていたのは“日本警察”の制服や私服警察官、SPであった。

【悲報】警視庁SPさん、警護対象者の「動く壁」だった

動画などには、戦闘服(アサルトスーツ)を着用し、防弾ベストやゴーグル、通信機器を装備した要員の姿が映っている。

ただし、武装については見当たらず、CATが何らかの銃器を携行していたという目撃証言はない。

日本の警護要員が原則としてスーツ着用で拳銃のみを携帯するのに対し、韓国国内でのCATは突発的な武力攻撃にも即応できる重装備であることが特徴だ。

銃刀法や入管法の規定により、外国の警察機関職員であっても、武器や弾薬の持ち込みは厳しく制限される。

しかし、外交上の特例として、アメリカのシークレットサービスなど一定の範囲内で警護要員の装備や行動が事前に調整され、日本政府の黙認のもとで活動が許可されるケースもあるとされている。

今回の警備も、そうした協議のうえで実施されたと考えるのが自然である。

📌 まとめ

大統領の身を守るためには警察すらも敵とみなし、重武装での篭城も辞さない韓国の大統領警護処。

国家元首への最前線護衛精鋭部隊であり、高度な戦術装備を伴っている。

さらには、その要員が日本で警護活動をしていたことは、両国間の警備文化の違いを際立たせるものである。

今回の警護活動も、日本外務省や同警察庁を通じた事前調整の結果であると見られるが、武装を前提とする韓国型の警護体制が日本の街中で展開された背景には、2022年に発生した安倍元総理狙撃事件、国際的なテロ対策や要人警護の高度化といった時代の要請もあると言える。

参照文献

https://ja.namu.wiki/w/%EB%8C%80%ED%86%B5%EB%A0%B9%EA%B2%BD%ED%98%B8%EC%B2%98

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