画像の引用元 1994年4月8日付け 山形新聞
着脱式赤色回転灯、警棒格納装置、マイクによる広報機能…。ピザ配達でお馴染みの3輪バイク、ホンダの「ジャイロキャノピー」も、頑張れば結構スゴイ警察車両に早変わり!?
90年代、そんな「チャリンコ以上ミニパト未満」の警察車両『ミクロパト』が試験導入されていたようです。
現在、交番所員の足として使用されているのはスクーターやミニバイクです。
この「ミクロパト」は、ホンダの業務用三輪バイク「ジャイロ」をベースに、警察庁とホンダが共同開発したモデル。一般的なミニパトでは対応しづらい、狭隘地域や駐車スペースが確保できない派出所向けに考案されたものです。
1994年4月8日付けの山形新聞では以下のように報じられています。
山形県警に新型の50cc 3輪バイクが、パトロール用として導入されるようになった。
警察庁が試験的に配備するもので、全国では警視庁、静岡県と山形県警の3か所だ け。
山形県では4 月11日から、J R 山形駅前の駅 前警察官派出所に1台配備される。
試験運用の期間は’95年春まで。
ミクロパトは、警察庁とホンダが共同開発したミニバイク。駐車場がなくミニパトを配備することができない派出所や、道路が狭い地域を管轄する派出所などのために開発された。
ベースになっているのは「ホンダジャイロ」で、ピザの宅配用などに使用されている3輪バイクを改良したもの。
着脱式の 赤色回転灯や警棒格納装置などが付いているほか、速度計の近くにマイクがあり、広報もできるようになっている。
ミクロパトは警視庁に5台、山形県警と静岡県警には1台ずつ配備され、警視庁はすでに試験運用を開始している。
山形県警務課は「(本県は) 雪のある場所として選ばれたと思う。あくまで試験運用で、本格的に実施するかどうか、は未定だが、山形市内は一方通行が多いので、有効活用できるのでは…・・。将来的には改良を加えたあとに、全国的に普及していくと思う」と話していた。
引用元 1994年4月8日付け 山形新聞
この「ミクロパト」導入の試案は、地方の狭隘地や冬季積雪地域における新たな警察機動力の模索、そして1990年代に進められていた交番機能の刷新の一端を示す貴重な資料ですね。
警視庁に5台、山形・静岡に1台ずつという配分も、気候・地域性・都市構造の異なる複数地域での実証を狙ったものでしょう。
特に静岡は温暖かつ中規模都市であり、山形とは対照的な環境での比較検討が意図されたと思われます。
ただ、試験運用の期間は’95年春までという点からもわかるように、短期間の評価テストでした。
当初からミクロパトは「試行」であることが明言されており、費用対効果、耐久性、整備体制などを含めた総合的な評価を狙っていたと見られます。
3輪のジャイロ系バイクは後輪が二輪であるため、ある程度の安定性を雪上でも発揮できる可能性があるという点も試験対象となっていた可能性が高いです。
まぁ、残念ながら試験導入の結果、このミクロパト、「ホンダジャイロ」の商用車としての用途が警察業務に完全にはフィットしなかったのか、全国の警察で全く普及しなかったようですね。
それにしても、回転灯は固定式でないというのは試験導入ならではの仕様ですね。それとも、覆面のアンテナ泥棒対策みたいに盗難防止のためだったんでしょうか?
ともかく、北海道などのように自転車が警察装備として配備されていない地方で、これが広がる可能性もあったと思うと、何とも言えない気持ちがしますね。
でも、やっぱり普通の2輪やミニパトの方が使い勝手はよかったんでしょうね。