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海保の艦艇と搭載武器
海上保安庁では巡視船や巡視艇を多数配備しています。巡視艇には、お花の名前などがつけられており、ファンシーな名称が大好きな可憐な海上保安庁。
しかし、海保に配備されるその武装には可愛げがありません。大型巡視船には40ミリボフォース砲や、20ミリバルカン砲など自衛隊ばりの武装が搭載されており、警察の武装とは雲泥の差です。
ただし、爆雷や魚雷、ミサイルは装備していません。
巡視艇と巡視船、どこが違う?
両者の違いを一言で言うと、大きさ、そしてそれに伴う活動範囲です。
「巡視船」は、外洋の広範囲な海域での活動に適し、比較的大きい船型になっています。
ヘリコプターを二機も搭載できるほど大型のものや、そのための各種装備が備わっており、もちろん、食事を作る調理室もあります。
一方「巡視艇」とは港内や沿岸などの限られた海域での活動に適した比較的小さい船型になっています。小型を活かし、快速になっており、密漁などの摘発に適します。
武装もやはり、大型の巡視船のほうが勝っており、2001年に北朝鮮の武装工作船から「あまみ」が、AK47小銃とロケット弾で攻撃を受けた九州南西海域工作船事件では、海上保安官が64式自動小銃と、搭載の機関砲で正当防衛射撃を行いましたが、敵の北朝鮮軍の兵士からの銃撃は強力な厚い装甲板が海上保安官を守りました。
参考サイト 海上保安庁公式サイト
http://www.kaiho.mlit.go.jp/10kanku/miyazaki/photo-gallery/zyunsisen-kan/zyunsisen-kigou-banngou.htm
密漁取締りで活躍する高速小型巡視艇
海上保安庁といえば、大きな巡視船だけが有名になりがちですが、もちろん小型の船も多様な役割を持っており、なくてはならないものです。
漁師が丹精込めて育てているアワビやナマコといった海産物を不法に密漁していく犯罪は後を絶ちません。海上保安庁では密漁対策も重要な任務として取り締まりに当たっています。
密漁を行うのは反社会勢力といった組織的集団がかかわっていることもあります。密漁者は酸素ボンベを背負い本格的な装備を用いて水中に潜り、密漁を行うこともあります。
さらには高速型のゴムボートなども使用しています。海上保安庁はこれに対応するため、小回りの利く高速小型巡視艇を配備しています。密漁船に飛び移るよく訓練された手足の長い海上保安官の姿は、さながら枝に飛び移るサルのようです。
武装は機関銃と水鉄砲。でもそれだけじゃない
巡視船艇には何が搭載されているのか
海上保安庁の巡視船艇には、諸外国のコーストガードの艦艇同様の装備が施されています。
日本独自仕様として特別、変わった装備はありませんが、近年では350トン、180トンといった大型巡視船では拠点機能強化として赤外線の捜索監視装置や、RSS 20ミリ機関砲を持たせた最新の設備を装備することによって高速機動性や射撃精度の強化夜間におけるサーチャンドレスキューの中の能力強化を図っています。
また、停船命令表示装置という大型の電光掲示板がついており、諸外国の言語で警告文などが表示される仕組みです。 巡視船はいわゆる軍艦と違って戦闘するような船ではありませんから、武装は最低限です。
どちらかといえば、武器よりも人命を救助するための多様な役立つ装備が積み込まれるのも特徴です。例えばサーチライト、赤外線暗視装置、さらに消火用の放水銃。
加えて救命艇、警備救難艇、複合艇(複合型ゴムボート)など数隻が巡視船には搭載されています。
機関砲および、機銃などの武装について
海上保安庁は捜査機関ですので、海上保安官は銃を携行する一方、巡視船にも機関銃もしくは機関砲での武装が施されています。
海保の装備する武器で、もっとも威力の強いものはボフォース40mm機関砲。これはブリッジから自動でリモートコントロールでき、射撃管制装置(Fire control system、FCS)も備わっています。
次いで、エリコン製の35ミリ機関砲、ブッシュマスターII 30mm機関砲、JM61 20mm多銃身機関砲、GAU-19 12.7mm機関銃、ブローニングM2 12.7mm機関銃という具合です。なお、過去においては海上保安庁の艦艇もMk 22・3インチ砲という強力な砲を備えていました。
またを遠隔操作で放水できる高圧放水銃も備えています。消火用のみならず、違反船の行動を阻止や不審船の制圧に使用されることもあります。
昨今では台湾の海岸巡防署所属の艦艇と、男の意地と国家の威信をかけたアン・リーサル・スカーミッシュをして、海保と台湾巡防側がお互いに海水を掛け合っていました。高圧放水銃は水産庁の漁業取り締まり船にも搭載されています。
ヘリパッド
巡視船にはヘリコプターの離発着が可能なヘリ甲板も設置されています。また、ヘリコプターを格納するための格納庫も備わっています。
その他
巡視船は船を操船するための操船区画という区画が設けられており、水密扉という非常時に水を入れないための扉によって、区画が分けられています。
面白い搭載品として海上保安庁の船に積み込まれているものがあります。それが世界各国の国旗です。例えばタイ、シンガポール、ベトナム、台湾、フィリピン、インド、インドネシアといったさまざまな国の国旗がきちんと整頓されて積み込まれているのです。これは各国の港に入港した際に事前に掲げることも時に必要になるためです。
また、小型の巡視艇には手網が積まれています。この網でアンコウを捕まえて海保の職員食堂の食材にするのではなく、臨検のときに停船させた船に対してここに免許を入れなさいと言って差し出します。
宗谷(そうや)
いまから30年前に海上保安庁の警備救難任務を描いたテレビアニメがありましたが、そのタイトルにもなっている宗谷です。
初代宗谷はアニメでも描かれている通り、南極観測船として活躍したのちに、大変多くの人々を海難から救助しました。現在、初代宗谷はすでに引退し、現在配備されているのは1978年に製造された「そうや(JCG Souya, PLH 01)」です。
ただし、初代宗谷も訓練で使用されるなど海上保安庁でいまだ活躍する船です。
尖閣諸島周辺の領海警備強化を目的に、新造された巡視船「たけとみ」と「なぐら」
我が物顔の島泥棒に対抗する新型巡視船
今なお続く尖閣諸島問題。尖閣諸島は日本の領土ですが、それが許せないとして他国が泥棒しようとしています。
このような日本の主権を侵害する行為に対抗すべく、日本政府は新型巡視船の配備を決定。佐藤雄二海上保安庁長官に「これほどの機能強化は海上保安庁66年の歴史で初めて」とまで言わしめたのが、新型巡視船たけとみ、なぐらの二隻です。海保ではさらに8隻の尖閣警備専用巡視船を追加で配備するとしています。
海上保安庁の尖閣専従部隊とは
さらに現在、海上保安庁では新たに「尖閣専従部隊」を編制し、尖閣諸島の警備に対応しています。人員は600人として、今後3年間で体制づくりを進める予定です。
海上保安庁の巡視船の名前はどうやって決まる?
海上保安庁の巡視船艇はその船型によって命名の基準を設けています。
例えば「いなさ」はPS(Patrol Vessel Small)型巡視船で、この船型の巡視船の船名は「山」の名前を付けることとしています。
他には、PL(Patrol Vessel Large)型巡視船の船名は「いず(伊豆)」「えりも(襟裳)」など、半島、岬、湾、島などの名前を付けています。
由来となるものは巡視船艇の船型によってそれぞれ違いますが、語呂のよさや知名度、配属地において親しまれるなどの地域性も考慮して命名されます。
典拠元 http://www.kaiho.mlit.go.jp/shitugi/faq/faq6.html
海保は世界最大の巡視船を持っている?世界最大の巡視船「しきしま」の秘密とは
実は海上保安庁の巡視船「しきしま」は巡視船としては世界最大級です。この船は1992年に、フランスからのプルトニウム輸送船「あかつき丸」を警護する目的で造船されました。
あかつき丸といえば、今から24年ほど前に笠原俊夫さんの漫画作品で、プルトニウム満載の「あかつき丸」に米軍の戦闘機をぶつけて放射性物質を東京湾に放出させるというテロ計画を阻止するという作品がありました。ヤバすぎますね。
このように実際当時、あかつき丸とプルトニウム輸送の問題はテロをどう防ぐか議論となっていました。海保の「しきしま」は対テロ能力に優れた上空探索用レーダーや、高性能機関砲、機関銃を多数配備しているほか、大型ヘリ「スーパーピューマ」を二機搭載でき、上空からの哨戒能力を持たせたバリバリの必勝巡視船です。
全長は150メートル、全幅は16.5メートル、総トン数は7000トンです。また、しきしまの秘密を守るため、しきしまの乗員の名前すら、船長ら数名の主要乗組員を除いて海上保安庁職員名簿にも掲載されないという徹底的な秘密主義を貫いています。
現在、酸化プルトニウムの輸送は行われなくなりましたが、ウランとプルトニウムを混ぜた燃料「MOX燃料」の輸送は不定期に行われており、その際は外国の警察(英国原子力公社警察隊)が日本までやってきて警備を行ってくれています。しきしまは今なお活躍しています。
巡視船艇を作っている会社はさまざま
2010年ごろから外国勢力による尖閣諸島の不法占拠が相次ぎ、海上保安庁では警備力向上を目的として過去に例のないほど早いペースで巡視船の配備増加を行っています。これら海上保安庁の巡視船を製造しているのは日本国内の大きな造船会社です。国防関連企業では内部スパイのあぶり出し、思想調査も蟹工船並みと聞いています。
海上保安官に貸与される個人携行火器……警棒からけん銃、サブマシンガン、散弾銃まで

海上保安官は銃を持つ?
法執行のためには武器が必要です。法律で海上保安官の司法警察権が認められており、海上保安庁では保安官にさまざまな武器を配備しています。

警察に多く配備されているアメリカ製『スミス&ウェッソン サクラ』という短銃を海保でも配備している。出典 海上保安庁公式サイト
海上保安官の個人携行武器には特殊警棒から散弾銃まで多彩ですが、一般隊員が使うポピュラーなけん銃として、警察同様のニューナンブM60のほか、日本では海保のみが配備している「スミスアンドウェッソンM5906」があります。

出典 海上保安庁公式サイト
さらに機関けん銃として、警察や海上自衛隊特殊部隊も使用するMP5。
そして、小銃は自衛隊と同じく89式小銃や64式小銃などが配備されています。ノンリーサルの弾丸を発射する、レミントン社のマリンマグナムというショットガンも配備されています。
海保の配備するけん銃
海上保安官に貸与されているのは、警察庁が警察官用としてかつて配備していた『ニューナンブM60』という国産の回転式けん銃のほか、最新のサクラけん銃まで配備しています。

出典 海上保安庁公式サイト
そのほか特別警備隊員用にはスミス&ウェッソンの自動式けん銃『M5906』、また特殊警備隊員用にはシグザウエルP228が配備されています。