防災行政無線の移動系と防災相互波とは | シグナリーファン

防災行政無線の移動系と防災相互波とは

防災関連の無線
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【お知らせ】
シグナリーファン編集部では、無線受信や運用に関して総務省総合通信局の公開情報・公式資料・報道記事・学術文献を継続的に調査・分析しており、各種記事はそれらの調査結果に基づいて構成しています。

災害時の“最後の砦”としての周波数たち

私たちが日常生活で耳にする機会は少ない「防災行政無線」は、都道府県や市町村などの自治体が災害時の情報伝達や指揮命令で運用する公共の通信システムです。

一般の住民が直接利用するものではなく、地域向けの放送スピーカーなどで情報を伝える「防災無線」とは役割が異なります。

【官波】官庁・行政・防災無線の解説
都道府県庁や市町村役場などの地方自治体、そして気象庁や国土交通省といった中央官庁やその地方出先機関など、さまざまな行政部門・現業部門が使用する無線通信です。1980〜90年代には実に多彩な無線が傍受でき、受信ファンの定番ジャンルでもありまし...

近年では、全国的にデジタル方式の260MHz帯域への移行が進んでおり、アナログ運用は徐々に減少しています。

詳しく見ていきましょう。

防災行政無線(150MHz帯)

代表的なものの一つが、150MHz帯で運用される防災行政無線です。

かつてはアナログの消防無線や一般事業者の連絡用としても利用されていた帯域で、現在も自治体の防災担当部門が活用しています。

  • かつてはアナログ消防無線や一般事業者の連絡波として親しまれた帯域

  • 現在も市町村役場や都道府県庁の防災担当部門が利用。

災害時には地域の最前線で重要な情報のやり取りが行われ、受信愛好家の注目を集めることもあります。平常時でも定期的に運用され、日常業務に関する通信も確認可能です。

この150MHz帯には「移動系」があり、公用車に搭載された無線機を通して、役所や自治体庁舎と現場の間で連絡を行う仕組みとなっています。

通常時は、水道や道路の保守点検、地域の土木作業に関する連絡が中心で、緊急性を伴うことは少ないのが現状です。

しかし災害が発生した場合、状況は一変します。自治体と現場をつなぐ無線網は情報収集や指揮命令に欠かせない通信手段となり、通信量も増加します。

防災相互波の種類と運用

ここで課題となるのが、災害規模の拡大に伴い、消防、警察、国土交通省の出先機関など他の防災機関と連携する必要が高まることです。それぞれが異なる通信系統を使用しているため、情報共有に制約が生じる場合があります。

この問題を解決するために整備されたのが、「防災機関相互連絡無線」、通称「防災相互波」です。

これにより、異なる機関間でも迅速な情報連携が可能となり、災害対応の効率化が図られました。

防災機関相互連絡無線、いわゆる「防災相互波」は、主に以下の二つの周波数で運用されています。

158.35MHz(VHF帯)

この周波数は、都道府県庁、市町村役場、県警本部、海上保安庁、国土交通省、電力会社、燃料基地、重化学工場、日本赤十字社など、さまざまな機関間の相互連絡に使用されます。

災害時には異なる機関同士が円滑に連携するための“相互接続線”的な役割を担います。158.35MHzは全国共通の周波数であるため、特定の地域に限らず受信可能です。

ただし、平常時に開局されることは多くないため、受信報告は限られています。

一部の消防本部では定期的に試験通話が行われており、その際にコールサインや運用形態が確認されることがあります。

報告されているコールサインの形式は、「防災相互+地名+番号」といったパターンが多いです。

実は、防災相互無線の割り当て対象には、地方自治体や行政機関のほか、石油ターミナルや化学プラントなどの大規模施設も含まれています。

理由は明白で、こうした施設で火災や事故が発生した場合、周辺への影響は甚大であり、災害対策に際しては複数機関の即時連携が不可欠となるからです。

警察・消防・自衛隊・自治体などが一斉に動く現場では、相互無線が重要な役割を果たすのです。

466.7750MHz(UHF帯)

158.35MHzが「異なる防災機関同士の連絡」を目的としているのに対し、466.7750MHzは周辺市町村役場間での横の情報共有や市町村と都道府県との垂直的な連絡に用いられます。

つまり、「地方自治体同士の連絡」に特化した全国共通波です。

主に都道府県庁や市町村役場、消防団、防災航空隊などで使用されます。

  • 市町村の外回りの職員緊急出動車両が使う

  • 市民からの通報や苦情に基づき、市役所が車両を出動させる際などに使用される

たとえば、道路の陥没、水漏れ、倒木など生活に関わる現場の確認や対応に使われます。

災害時における自治体間の相互連絡や、地域住民の安全を守るため広域での調整通信に使われるため、貴重な情報源であり重要な監視対象周波数のひとつです。

なお、466MHz帯は消防アナログ署活系無線も運用されている帯域です。以下の記事で署活系の全周波数を紹介しています。

デジタル消防無線は聴けない?三つある「消防関係無線」の聞き方
消防署と隊員および消防車両が交信するデジタル消防無線は市販の受信機では傍受できません。消防無線が260MHz帯デジタル方式化した理由秘匿性の向上による利用高度化および、電波資源の有効利用しかし、今般のデジタル化の一方で広帯域受信機で聞けるア...

参考文献 ラジオライフ2001年10月号

まとめ

このように、防災相互波は災害対応において重要な情報伝達手段となっており、広帯域受信機の周波数バンクに登録しておくと、災害時の周波数として、情報源となる可能性があります。

【2025年版】災害時の無線周波数
防災・行政・航空救難・アマチュア無線など、災害が発生した場合に活発になる周波数を解説しています。

※実際に避難が必要となる場合は、必ず国や自治体が出す避難指示に従ってください。

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