デジタル簡易無線のモービル機とは、アマチュア無線のモービル機と同様に、自動車に搭載して使用するタイプの無線機です。
送信出力は最大5ワットで、ハンドマイクが付属、液晶パネルと本体は分離して設置できるため、車内での使用に特化した設計です。
ただし、アマチュア無線のモービル機と同様にバッテリーは内蔵されておらず、使用には外部電源が必要です。
また、ハンディ型のデジタル簡易無線機とは異なり、アンテナも別売りです。そのため、ある程度の予算が必要になる点がデメリットといえます。
デジ簡モービル機の価格と普及
デジ簡(登録局)のモービル機は、これまで比較的高額でした。

たとえば、アイコムのIC-DPR100は定価75,384円、アルインコのDR-DPM50は定価73,224円で、実勢価格でも5万円前後です。
ただし、アルインコのDR-DP50Mは、独自規格RALCWI方式(※注)を採用しており、注意が必要ですが、比較的リーズナブル。
まあ、アマチュア無線のモービル機と変調方式も普及率も違うため、単純に比べられませんが、それでもデジ簡モービル機は高価な部類。
アルインコのDR-DPM60が普及を牽引
そんな中、2017年6月にアルインコが発売したDR-DPM60が状況をガラッと変えます。

前モデルのDR-DPM50(定価73,224円)よりもリーズナブルな定価53,784円で登場しながら、機能的には劣るどころか、スタイリッシュなデザインも相まって、モービル運用を楽しみたいフリーライセンス局や業務局の間で爆発的にヒット。

見た目は、同社のアマチュア無線機DR-620と似てるけど、フロントパネルは完全新規設計。
4つのボタンとボリュームダイヤルだけというシンプルな構成で、まるで警察無線機のAPRみたいです。
免許局向けにはDR-BU60Dという同じ筐体の機種も販売されています。
ホビー向けにはSメーターや周波数表示が便利、業務向けには従来の32,767通りの秘話コードに加えて、アルインコ独自の491,505通りの秘話コード(M60やS70系同士の通話時のみ機能)が搭載されてるのが強みです。
このおかげで、フリーライセンス局にとっては待望の機種となりました。
後継機 DR-DPM61の登場
今では後継機DR-DPM61が登場。
この機種はもともと業務向けに開発されたものと思われますが、実際にはフリーライセンス局のユーザーたちがYouTubeやSNSを通じてホビー用途での活用を広めたことで、メーカーの想定を超える盛り上がりを見せたのかもしれません。
もちろん、デジタル簡易無線のモービル機も、アマチュア無線のモービル機と同様に自宅に設置して固定局として運用することが可能です。
ただし、その場合も安定化電源を別途用意する必要があります。
デジ簡でのCQの出し方については、また別の記事で詳しく解説しています。