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シグナリーファン編集部では、無線受信や運用に関して総務省総合通信局の公開情報・公式資料・報道記事・学術文献を継続的に調査・分析しており、各種記事はそれらの調査結果に基づいて構成しています。

【無線用語集】電波の形式と周波数の基礎知識

本記事では、電波の形式と周波数の基礎知識について整理して解説します。

気になる用語から各種記事にリンクで飛べますので、知識を広げながら無線ライフをより楽しんでください。

  • 🚫 免責事項

    本用語集に記載された解説や説明は、あくまで無線受信・アマチュア無線に親しむ個人の主観に基づくものであり、公式規格や学術的定義とは異なる場合があります。受信環境や機材、地域によっても解釈や体感は変わり得るため、参考程度にご覧ください。実際の運用や制度に関しては、必ず関連法令・公的資料をご確認ください。

✅周波数の基礎知識

電磁波

光や赤外線、紫外線、X線、そして無線通信で用いられる電波もすべて電磁波の一種である。無線通信の基盤であり、電場と磁場が互いに直角方向に振動しながら空間を伝わる「波」の総称である。

一般に「電波」と呼ぶ場合は、無線通信で利用される比較的周波数の低い電磁波を指す。つまり「電波」は電磁波の一部であり、電磁波全体に比べれば周波数帯域が狭く、通信や放送、航行用信号などの目的に特化して利用される。

電磁波は物理的性質として光速で伝わり、媒体によって減衰し、反射する。無線通信はこの電磁波の性質を利用して情報を遠距離に伝達する技術であり、送信機から発せられた電波は受信機で再び電気信号に変換され、音声やデータとして利用される。

MF

中波帯(MF : Medium Frequency)。0.5〜1.7MHz帯前後の周波数帯を指し、最も一般的に知られているのはAMラジオ放送である。特に日本では、NHKや民放のAM局がこの周波数帯である。電波特性としては、昼間は地表波で数十〜100km程度の範囲をカバーし、夜間は電離層反射により数百〜千km以上まで到達することがある。

このため、夜には遠方局(「遠距離受信=DX」)が聞こえる楽しみがある(例:北海道で深夜に東京の文化放送やTBSラジオが聞こえる)。

中波帯は日本のアマチュアバンドには含まれていないが、1.8MHz帯(160mバンド)は中波帯に隣接し、「中波放送とハムの境界」を実感できる周波数帯として知られている。

VLF

超長波(VLF : Very Low Frequency)は、周波数3〜30kHz、波長に換算するとおよそ10〜100kmに及ぶ非常に低い周波数帯の電波であり、水中でも比較的減衰が少なく伝わる特性がある。このため、海中や遠距離向けの特殊通信に欠かせない帯域である。とくに潜水艦との通信など特殊な長距離通信に適している。

その一方で、波長が極めて長いため、送信アンテナも非常に大型化する。

💡 補足:実際の運用例として、スウェーデンのヴァールベリ無線局などが知られており、巨大なアンテナ群を用いてVLF通信を行っている。

HF(短波)

短波(HF : High Frequency)。3~30MHzの周波数帯域。電離層反射により、地球規模の通信が可能。国際線の洋上管制、海上通信、軍用無線(スパイ通信含む)のほかアマチュア無線も使用する。

VHF

超短波(VHF : Very High Frequency)。30~300MHzで民間航空、鉄道無線、消防無線など多くの業務で利用される帯域。聞き物のジャンルは主にここが一般的。

ローVHF

30〜50MHz帯の低いVHF帯域。とくに陸上自衛隊の無線で利用する帯域。50MHz帯にはアマチュアバンドもあり、夏場にはFMで東京-北海道と相性良好。

UHF

極超短波(UHF :Ultra High Frequency)。電波工学的には300MHzから3GHzまでの広い周波数帯を指すが、受信趣味では主に220MHz〜300MHz帯のUHF帯ミリタリーエアバンド(米軍/自衛隊)を指し、日本国内のアマチュア無線で「UHF」と言えば430MHz帯、1200MHz帯である。

💡 補足:海外では902-928 MHzもアマチュア・バンドに含まれる。

✅電波の種類

変調方式

電波そのものは、単なる電気の波でしかない。そこに声や音を乗せるために「変調」という作業が行われる。無線機には「変調方式」を選ぶ機能がある。変調方式とは「電波に載せられた情報を、どのように取り出すか」を指定する仕組みのこと。

そして、その方法にはいくつかの種類がある。ラジオで例えるなら、AM放送とFM放送を切り替えて受信することが、それにあたる。無線通信の世界では、AM/FM/SSB/CW/デジタル各種モードなど、多くの方式がある。

受信機の側では、それぞれの変調方式に合わせた復調モードを選ばなければ、正しく変調されず、声が歪んだり、ただの雑音にしか聞こえない。

💡 補足:AORの受信機「AR-DV10」には、受信したデジタル無線を自動で適切なモードに切り替えてくれる「デジタルオートモード」という便利な機能も搭載されている。

AM

Amplitude Modulation / 振幅変調電波形式の一種。音声を搬送波の強弱で表現。中波ラジオなどで使用。航空無線ではICAO(国際民間航空機関)がVHF帯の航空移動通信にAMを国際標準として定めている。

航空機の安全運航では、管制官とパイロットの交信が重なったときでも「誰かが送信している」と分かることが重要であり、この点でFMよりAMが有利である。なお、受信モードを誤ってAMをFMで受信した場合 「……ザザザ……ブヒュイーーーン!!」 → 管制官・パイロットの声が「宇宙人の声」みたいに全然聞き取れない。

FM

Frequency Modulation / 周波数変調電波形式の一種。音声を周波数の揺らぎで表現。FMラジオ、業務無線などで使用。音質が良く、雑音に強いという利点はあるが、FMは強い電波だけが残って弱い方が消える「キャプチャ特性(弱肉強食特性)」が働くため、同時送信されると、弱いほうの電波は”潰されて”聞こえない。このため、24時間通信量が多い上述の航空無線では使われない。

ナローFM

帯域の狭いFM変調。通常のFMより周波数占有幅が狭く、業務無線や特定小電力無線などで使用。

CW

Continuous Wave。いわゆるモールス信号の送受信に使われるモード。搬送波を単純に「出す/止める」だけで情報を送る最も基本的な無線通信方式。変調を使わず波を断続させるだけなので、USBでもLSBでもBFOを当てればトーン音になり受信可能。非常に狭い帯域幅で通信でき、雑音にも強いため、微弱な信号でも遠距離通信が可能。短波帯のアマチュア無線や軍事・海上通信で長らく利用されている。

つまり、SSB対応であればCWも聞けるので、わざわざ「CWモード」を付けない受信機・SSB対応BCLラジオも多い。高級機は『CW専用フィルター(狭帯域でノイズを落とす)』を切り替えるために「CWモード」を搭載する。

SSB

Single Side Band主に短波で使われる抑圧搬送波単側波帯方式。USB(上側波帯)とLSB(下側波帯)がある。一般的にSSBといえば、LSBとUSBのどちらかを使うことを意味する。

💡 補足:正確な周波数への微調整USBやLSBで人声が自然に聞こえるよう、正確な周波数に微調整して最適化する操作を「ゼロイン」と呼ぶ。SSBでは数Hz単位の調整が重要。

LSB

『Lower Side Band』の略で、SSBの一種。短波帯などで使われるSSB方式の一つ。搬送波の下側にある周波数成分(下側波帯)のみを利用する音声通信モード。アマチュア無線では7MHz帯などで主に使用される。

USB

『Upper Side Band』の略で、SSBの一種。LSBの対で、搬送波の上側の周波数成分(上側波帯)のみを利用する方式。主にHFの航空無線である洋上管制、海上無線で使用される。アマチュア無線では14MHz以上の帯域で主に利用。

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