記事内の引用について 画像の出典 ヤフー&ANNさんより
報道機関による嘘やデマ、あるいは印象操作とはこうやって作られるのだなぁと思ったのは2023年5月に開催されたG7各国から要人が集まった『G7広島サミット』その報道である。
今回のサミットにて、テレビ朝日が2人の女子大学生に取材を行っていたのだが、それによれば、彼女らは”警察車両を撮影しにサミットへやってきた”という。
そして、動画では彼女らの一人が、ハンディー無線機のようなものを持つ姿を映す。
特小かデジ簡なのだろうかと思ってよく見ると、なんとICOMの『IC-R6』じゃないですか。無線機ではなく、超人気の広帯域受信機。
だが、動画内のアナウンサーの説明によれば……。
手にはカメラのほか、同じ趣味を持つ仲間たちと連絡を取り合うためのトランシーバーも。警護される要人たちの行動を、独自の情報網を駆使して把握しているそうです。
とある。言うまでもなく、無線機ではないIC-R6では仲間と“連絡を取り合う”ことはできない。
アナウンサーの説明をどのように解釈してよいのか、視野の狭い筆者には読み取れなかったが、ともかくトランシーバーで同じ趣味の仲間と連絡をとって、独自の情報網を駆使して警護される要人の行動状況を把握しているという設定をマスコミに無理やり与えられた彼女たち。
普通、女子大生が仲間と連絡を取るならLINEじゃね?
それはともかく、大きなイベントは受信機が一台あるだけで楽しいもの。BTS、つまり舞台裏まで見られるのだから。
とはいえ、自衛隊や在日米軍の主催するイベントなどでは受信機の持ち込みが禁止される場合もあり、事前確認が必要になることも。
ではサミット開催期間中、彼女たちが傍受対象としていた通信は何か?
IC-R6は言うまでもなくアナログ波受信機。現在では減りつつあるアナログ無線の特定小電力無線、その他業務無線、航空無線の一種である警察ヘリのカンパニーラジオなど限られたものしか受信できないが、エアバンド愛好家の求める受信機としてのポテンシャルは高く、発売から10年以上を経ても圧倒的な支持率を誇るのも事実。
米国のバイデン大統領を乗せたエアフォース・ワン飛来の情報などが収集できる場合も。
アメリカのバイデン大統領を乗せたヘリコプターは午後8時50分ごろ、山口県のアメリカ軍岩国基地に着陸しました。
そして大統領を乗せた専用機「エアフォース・ワン」が午後9時9分ごろ、岩国基地を離陸し、日本を離れました。https://t.co/Hm9pvzW4bQ#nhk_video pic.twitter.com/LcvjpD5yN4
— NHKニュース (@nhk_news) May 21, 2023
ただし、警察のヘリが警察業務の内容をカンパニーラジオで交信する事はほとんどなく、警備の核心に触れる事は無いから、ヘリのカンパニーで警察情報は集まらない。また、ヘリテレ連絡波もデジタル化されている。
デジタル警察無線については高度なデジタル変調+暗号化されているので、目的にもよるが、暗号破りはご法度。
ただ、このような大規模なイベントでは“聞けない警察無線”よりも、多数集まっている報道機関のデジタル報道連絡波(マスコミ無線)こそが『役に立つ』、もとい、『面白い』。
デジタル報道連絡波なら、アルインコDJ-X100デジタル対応受信機で簡単に受信が可能。
もちろん、秘話コードの解析。当然、特ダネを狙う彼らは同業他社やフリーの“ナイトクローラー”に自分達の情報を教えたくないから、搬送波に秘話コードをかけ、つまりスクランブル化して部外者に交信を秘匿してしまう。
とは言え、DJ-X100デジタルでは秘話コードの自動解析に対応しており、簡単に受信が可能。DJ-X100なら情報収集でワンチャンあったかも!?
そんなにすごいの?DJ-X100。ユー!裏コマンドで隠された機能を自己責任の名の下にフル解放しちゃいなよ!ナウいナイトクローラーの基本装備はDJ-X100で決まりだぜ!
とはいえ、日本では電波法という法律があり、上述の各種無線から知りえた情報を自身の行動に“役に立たせる”と『窃用』となり、処罰の対象となることも。
結局のところ、今回のサミット会場で緊急車両フリークの女子大生が持つアナログ受信機が会場での情報収集において、その成果に寄与したか否かは不明。
しかも、肝心の「ゼレンスキー大統領が来日した」という重大情報は受信機からではなく(彼女たちを)取材中のANNスタッフから直接口頭で教えられて初めて知った様子。
これには筆者も切ない気持ちに……。
ともかく、彼女らがゼレンスキー大統領を乗せた青灯付きの特別防弾使用『BMW』を含む警護車列の撮影に成功できたことを祈りたい。