アマチュア無線で使われるQ符号とは?

Q符号とは

この記事では「国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則」で国際的に規定されたQ符号(キューふごう、Q code)および、アマチュア無線で一般に使われることの多いハム用語を解説します。中には日本国内でしか通用しない用語もあります。よく使われる用語は決まっており、覚えてしまえば簡単です。

ただし、正規の用語、そうではない用語がありますのでご注意ください。

Q符号

Q符号(キューふごう、Q code)は、国際的な無線通信において用いられるQを頭文字とする3文字の略記号のことで、アマチュア無線でも広く使用されますが、アマチュア無線の交信ではそれほど多種類は使われません。筆者のオペレートで基本となるQ符号は『QRV(運用)』、『QRA(自局名/個人名)』、『QTH(送信場所)』、『QSO(交信)』、『QRZ(誰かこちらを呼びましたか?)』ぐらいしか使いません。QSL(交信証の交換)はしませんので、自分からは使いません。


例「145.120MHzにQSYします」

 「私のQRAはタナカ、QTHは○×県○×市です。本日はこちらでQRVしております」

 「QRZ、誰かこちらを呼びましたか?」

 「本日は楽しいQSOをありがとうございました」

アマチュア無線用語(ハム用語・・・?)

実際の交信では『アマチュア無線用語』と『アマチュア以外の無線用語』が入り混じっている

例えばよく交信で使われる『FB』は「大変良い」とか「素晴らしい」という意味。逆に『BF』はその反対、つまり「悪い」といった具合です。『セブンティースリー』は「さようなら」という意味です。

こちらは、Q符号と違って国際的に取り決められた正式なものではなく、慣習として使用されており、かなりくだけた用語もあるので、Q符号より親しみやすさがあります。ところが、親しみやすいからと言って多用するのも、場合によっては良くないという指摘もあります。

実は現状のアマチュア無線ではハム以外の無線用語、すなわちCB無線やパーソナル無線で主に使われた用語も入り混じって使われています。

なぜアマチュア無線でハム以外の無線用語を使うと嫌われるのか?

『アマチュア無線として正式ではないもの』『法で規定されていないもの』『くだけた言い方』これらが嫌いな人がこの趣味には多く『使わないほうがいい』と定義づけて啓発している人もいるためです。使うとイライラされることもありますので絡まれると面倒です。また、ハム以外の無線用語に眉をひそめるアマチュア無線家が多いのは、CB無線や廃止されたパーソナル無線の一部の愛好家の行いが起因であるという見方もあるようです。

CB無線は資格免許不要でHFの電波伝搬特性が気軽に楽しめる!違法CBと合法CBは何が違うのか?

なお、これまでこの記事では『正規のアマチュア無線用語ではない用語は気心の知れたフレンド局以外との交信で使うのはお勧めできません』としていましたが、使うことに関して『良い』『悪い』の定義を個人サイトが偉そう(笑)に行うのは避け、筆者は何も主張しないことにしました。偉そう(笑)な個人サイトですいません。

個人的に驚いたのは「お稼ぎください」という用語。もともとはアマチュア無線以外のCB無線やパーソナル無線用語だったようですが、「仕事で稼ぐ」という意味ではなく、交信局数を稼ぐといった意味です。ちなみに「仕事」は「コマーシャル」。とまあ、最初はびっくりしましたが、これらのハム以外の無線用語もなかなか興味深いものです。

1993年に出版された『まんがでわかるハム用語 (CQ comics) 』という本では、 前述した「お稼ぎください」も『お稼ぎくださいって,なにを稼げばいいのだろう』という章で紹介されているほか、ハム用語だけでなく、交信方法も詳細に解説されているので、用語などについてさらに興味があれば一読してみてください。

通話表(フォネティックコード)を覚えよう!業務無線の国家試験でも実技試験として出る

さて、アマチュア無線をやるならば、やはり通話表も覚えておいたほうが良いでしょう。アマチュア無線のみならず、航空特殊無線技士の試験にも出ます。

映画などで聞いたことがある人もいると思いますが、現在無線で使用されるフォネティックコードは欧文通話表と呼ばれるもので、Aならアルファ、Bならブラボー……などと言い換え、聞き間違いを防ぐ目的で使用されています。

アマチュア無線でも実はとっても重要なコードです。これを覚えてしまえば、航空無線でもフォネティックコードが理解できますし、将来、航空特殊無線技士などの無線資格を取る際にも通信術の実技試験として出題されるので、興味があるならば覚えてしまいましょう。

文字 使用する語 文字 使用する語 文字 使用する語 文字 使用する語
A Alpha H Hotel O Oscar V Victor
B Bravo I India P Papa W Whiskey
C Charlie J Juliet Q Quebec X X-Ray
D Delta K Kilo R Romeo Y Yankee
E Echo L Lima S Sierra Z Zulu
F Foxtrot M Mike T Tango
G Golf N November U Uniform

実は筆者も航空特殊無線技士の受験をしたのですが、送話はまったく苦労せずに覚えることができて、本番でも試験官の前で緊張することなく、正確に一文字も間違わずに発声できました。

もちろん、「はじめます、本文」も最後の「終わり」も、確実に発しました。

しかし、想像以上に難関だったのが、書き取りを行う受話の実技試験。焦って一文字逃し、結果は不合格になってしまいました。

アマチュア無線で使われるフォネティックコードと違うようだけど!?

とはいうものの、アマチュア無線では上記の正規表現のほか、独特のコードを用いる場合があります。たとえば「J」は本来のフォネティックコードでは、『ジュリエット』ですが、アマチュア無線では『ジャパン』と呼ぶこともあります。さらにEは「エドワード」、Zは 「ザンジバル」、などと表現する局もいます。「ジュリ・エイト」というのはよくわかりませんが……。

もちろん、これらの正規ではない表現を非正規表現として切り捨てるのではなく、日本のアマチュア無線文化のなかに根付いているものですから、理解しておけば、さらに交信の幅が広がります。

ただし、前述の『航空特殊無線技士』などの実技試験を伴う資格の試験では正規のフォネティックコードが基本なので、その場合は使わないようにご注意を。

和文通話表もあります

また、「あさひのあ」、「いろはのい」など、無線電話通信に使う通話表で、日本独自の和文通話表もあります。

和文通話表
朝日のア はがきのハ
いろはのイ 飛行機のヒ
上野のウ 富士山のフ
英語のエ 平和のヘ
大阪のオ 保険のホ
為替のカ マッチのマ
切手のキ みかさのミ
クラブのク 無線のム
景色のケ 明治のメ
子供のコ もみじのモ
桜のサ ヤマトのヤ
新聞のシ    
すずめのス 弓矢のユ
世界のセ    
そろばんのソ 吉野のヨ
タバコのタ ラジオのラ
チドリのチ りんごのリ
ツルカメのツ るすいのル
手紙のテ れんげのレ
東京のト ローマのロ
名古屋のナ わらびのわ
日本のニ ゐどのゐ
沼津のヌ    
ネズミのネ かぎのあるゑ
野原のノ 尾張のヲ
    おしまいのン

例えば田中さんが自己紹介する場合には以下のように使います。

「私の名前は、タバコのタ名古屋のナ為替のカ、タ・ナ・カと申します」

鈴木さんが自己紹介する場合には

「私の名前は、すずめのス、すずめのスに濁点、切手のキ、スズキと申します」

このように和文通話表を使って自分の名前や、無線では伝えにくい複雑な名称などを相手にわかりやすく伝えることができますので、覚えておくと良いでしょう。

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