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シグナリーファン編集部では、無線受信や運用に関して総務省総合通信局の公開情報・公式資料・報道記事・学術文献を継続的に調査・分析しており、各種記事はそれらの調査結果に基づいて構成しています。

【無線用語集】アンテナ関係の用語集

本記事では、受信機の耳であるアンテナの用語について整理して解説します。

気になる用語から各種記事にリンクで飛べますので、知識を広げながら無線ライフをより楽しんでください。

  • 🚫 免責事項

    本用語集に記載された解説や説明は、あくまで無線受信・アマチュア無線に親しむ個人の主観に基づくものであり、公式規格や学術的定義とは異なる場合があります。受信環境や機材、地域によっても解釈や体感は変わり得るため、参考程度にご覧ください。実際の運用や制度に関しては、必ず関連法令・公的資料をご確認ください。

✅アンテナ周辺機器の解説

受信マニアやアンテナ愛好家の間では、アンテナ性能だけでなく、フィーダーの種類や品質にもこだわる傾向がある。

ケーブル損失を最小化することで受信感度や信号の明瞭度に影響を与えるため、敷設の丁寧さやケーブル選定を楽しむ層も存在する。

特に同軸ケーブルは、アンテナから無線機へ信号を忠実に伝える“血管”のような役割を持ち、太さや種類の選択によって数dB単位で受信性能が変化する。

長距離受信や微弱信号の取り込みでは、低損失同軸の使用が決定的な差となることもある。

アンテナチューナー

アンテナチューナー(マッチングユニットとも呼ばれる)は、無線機とアンテナの間に設置される整合装置である。

無線機の出力インピーダンスとアンテナの入力インピーダンスを最適化することで、送信電力が効率的に放射され、無線機側の負荷や反射による損失を低減できる。

Comet CAT-300 COMET コメット アンテナチューナー

特に、ワイヤーアンテナや自作アンテナ、またHF帯の長波・中波・短波帯において、アンテナの物理的長さや形状が理想的でない場合に重要な役割を果たす。

送信のみならず受信においても、アンテナのインピーダンスと受信回路の入力インピーダンスが一致していないと、受信感度の低下や不要ノイズの増加を招く。

具体的には、アンテナで受信した電圧の一部が回路に取り込まれず、反射や損失が生じるため、結果として受信感度が低下する。

また、インピーダンスの不一致によって回路が雑音や外来ノイズに対して敏感になる場合があるため、「不要ノイズが増える」とも表現できうる。

【無線用語集】無線工学・信号処理編

ただし、受信では送信ほど致命的ではなく、完全一致でなくてもある程度の信号は受信可能。

つまり、不一致による影響は送信より極めて小さく、受信では「感度低下やノイズ増加の傾向がある」程度である。

そのため、アンテナチューナーを用いることで、受信信号を効率的に無線機回路に取り込むことが可能だが、受信専用であれば必ずしも必要ではない。

コネクタ

アンテナの接栓およびその各種タイプ。それぞれ変換コネクタも販売され流用も可能。

ただし、変換コネクタを介してアンテナを接続すると厳密にはSWRのマッチングが乱れる場合があるため、計測をしてから使った方が良い。

アマチュア無線機や受信機では、SMA、MPの各タイプが主流。

BNCコネクタ

1980年代から1990年代のハンディ無線機ではバヨネット方式のロック構造を持ち、ワンタッチで着脱可能のBNC接栓が主流だった。

WMYCONGCONG 30個 RCAオス-BNCメス+BNCメス-BNCメス+BNCオス-RCAメスプラグ 同軸 変換アダプタコネクター各10個

クルッと回して“カチッ”。この感触と利便性にハマる人は多い。

BNC型は回すだけで簡単に着脱でき、加えてロック機構も備えているため、扱いやすい設計であった。

しかし、その構造は比較的大きく、製造コストも高かったため、2000年代に入るとハンディ型受信機や無線機のアンテナ接栓の主流はSMA型へ切り替えが急速に進んだ。

N型コネクタ

中型のネジ込み式。防水性に優れ、警察など業務無線や基地局アンテナに多用される。耐電力も高く、数GHz帯でも安定。

M型コネクタ(PL-259/SO-239)

古典的なアマチュア無線機の標準。HF〜VHFで広く使われるが、特性インピーダンスが曖昧で高周波には弱い。

SMAコネクタ

小型でねじ込み式。スクリュー式の小型規格で、広帯域受信機やハンディ無線機に多い。

小さいうえに10回ほどねじ込んで装着させるため、やや手間。

RP-SMAコネクタ

逆極性SMAタイプ。無線LANで普及した。外見はSMAに似ているがピン配置が逆。互換性に注意。

TNCコネクタ

BNCをねじ込み式にした構造。MPとのクオーター。耐振動性が高く、モバイル機器や屋外利用に適している。2GHz前後まで使用可能。

MCXコネクタ

SMAよりさらに小型。受信専用機やGPSモジュールなどに採用。小型化優先で耐久性は低め。

MMCXコネクタ

MCXをさらに縮小した規格。携帯機器や受信モジュール用。ワンタッチ着脱可能だが繰り返し耐性に注意。

DINコネクタ(7/16DINなど)

大型で高耐電力。携帯電話基地局や放送設備など大電力伝送に使われる。数GHz帯でも低損失。

SMBコネクタ

BNCやSMAより小さく、ワンタッチで接続可能。車載機器や業務用機器で使用例あり。

フィーダー

フィーダーは、アンテナと無線機を接続する伝送路であり、受信または送信した電波信号を効率よく無線機まで伝える役割を持つ。

主な種類としては、平行フィーダー(2本の導線が並んだ構造)や同軸ケーブルがあり、利用周波数帯や設置環境に応じて使い分けられる。

平行フィーダーは低損失で長距離伝送に適しているが、扱いにはバランなどの補助回路が必要な場合がある。

一方、同軸ケーブルは施工が容易で、不平衡アンテナとの接続が標準的に行える。

フィーダーの性能は伝送損失に直結するため、ケーブルの材質や長さ、周波数特性を考慮することが重要である。長距離で引き回す場合、信号減衰が大きくなるため、適切な種類のフィーダーを選ぶ必要がある。

同軸ケーブル

同軸ケーブルは、中心に配置された内導体と、その周囲を囲む外導体(編組または箔シールド)が同軸状に配置された構造を持つ伝送線である。

外側には絶縁体と外装があり、内導体と外導体の同軸構造により、外来電磁波の干渉(EMI)を低減するとともに、内導体の信号漏洩を抑制することが可能である。

この特性により、無線通信やテレビアンテナ、CATVなど幅広い用途で安定した信号伝送が実現できる。

銅芯線、銀メッキ銅、撚り線など、導体やシールド材質の違いが数dBレベルで受信感度やノイズ特性に影響する。

規格には太さや損失の異なる種類が存在し、国内では「5D-2V」や「8D-FB」といった形式が広く用いられる。

ケーブルの損失は周波数依存性を持ち、周波数が高くなるほど減衰が大きくなるため、より太い導体や低損失材を使用することが望ましい。

急な曲げや折れはインピーダンス変動や損失増加につながるため、敷設方法も受信性能に直結する。

とくに極端に弱い信号やDX(長距離通信)狙いでは、ケーブルの種類・長さ・取り回しを工夫することで、信号の明瞭度やS/N比が体感できるレベルで変わる。

つまり、同軸ケーブルはアンテナ同様にHFからVHF、UHF帯の比較的短中距離伝送の効率化に直結した重要な周辺機器である。

💡 補足:接続不良や接触抵抗の増加は、弱い信号の受信に悪影響を与える。マニアは圧着やハンダ付けで微調整する。

バラン(BALUN)

バランは電気的な整合をとる部品。アンテナの話をすると、必ずと言っていいほど「バラン(BALUN)」という言葉が出てくる。

BU55 ダイヤモンド(第一電波工業)3~75MHz広帯域バラン

要は「平衡型のアンテナと不平衡型の同軸ケーブルを仲良くつなぐ装置」と考えればわかりやすい。この小さな部品を挟むかどうかで、受信感度やノイズの入り方が大きく変わることも少なくない。

市販されているバランは、フェライトコアに巻いたトランス型や基板に組み込まれた小型のもの、金属ケース入りのしっかりしたものまでさまざまある。

しかし、受信だけを目的にするなら、必ずしもバランを入れなければならないわけではない。

アンテナ線を同軸ケーブルに直結しても、電波はケーブルを通るため、受信自体は問題なくできることが多い。

特にケーブルが短く、周囲に干渉源が少ない環境では、バランなしでも十分実用的である。

とはいえ、バランを入れると利点も大きい。アンテナに流れる電流の偏りを抑え、同軸ケーブル自体がアンテナ化してしまう不要輻射を防ぐことができる。

また、ノイズが多い環境や、同軸ケーブルと直結すると電流が片側に偏ってしまいがちな八木アンテナやダイポールなどの平衡型アンテナを正しく動作させたい場合にも、バランは安定した受信を支えてくれるパーツである。

つまり、受信用ディスコーンアンテナのように広帯域をスキャンするだけなら、バランなしでも十分に楽しめる。

しかし少しでもノイズを減らして性能を安定させたいなら、手軽な小型バランをかませることで、電流をきれいに整えて、アンテナ本来の働きを最大限に引き出すことができる。

状況に応じて使い分けたい。

ガイシ(碍子)

文字通り「碍子」、つまり物理的に電気を通さないため、絶縁しながら支持する部品。

見た目は小さな陶器や樹脂の部品で、アンテナ線を柱や壁に固定するときには欠かせない存在。

Generic 10x 磁器碍子小型電気アクセサリー壁配線用セラミック碍子, 白

アンテナワイヤーを金属に直にくくりつけてしまうと、電流が柱や金具に逃げてしまい、せっかくの電波がうまく飛ばなかったり受信できなくなったりする。

そこでガイシを間に挟むことで、電線をしっかり支えながらも電気的には絶縁できる。形状は穴や溝がついており、ワイヤーを通したり結びつけたりするのに便利。

高圧線の世界でも同じ役割を持っており、巨大な鉄塔に張られた線を支える碍子は、アンテナの小さなものと原理は同じ。

インシュレーター

インシュレーター(insulator)は、日本語で絶縁体や絶縁器具を意味する。

無線通信やアンテナの分野では、アンテナを支える構造物やワイヤーの一部に取り付けられ、電気的に絶縁する役割を果たす部品を指すことが多い。

たとえばワイヤーアンテナを建物やポールに張る場合、電線そのものが導電性を持つため、そのまま固定すると建造物に電流が流れる恐れがある。

インシュレーターを間に挟むことで、アンテナと支持物を電気的に切り離し、安全かつ効率的な放射が可能になる。

また、高周波電流が不要な部分に漏れることを防ぎ、アンテナの性能を維持する役割も大きい。材質としては陶器や樹脂などが一般的であり、形状も用途に応じてさまざまに工夫されている。

なお、“インシュレーター”は広い意味での絶縁体・絶縁部品を指す言葉で、無線や電力の分野に限らず、電気を通さない素材や器具を総称して用いられる。

たとえばプラスチックやガラスなども insulator であり、アンテナや高圧送電設備に用いる部品も含まれる。

一方「碍子」は、日本語で主に電力・通信分野の絶縁器具を指す。送電線を支持する陶器製のものや、アンテナを固定する部品などが典型例である。

つまり、碍子はインシュレーターの中でも特に電線やアンテナの支持・固定用に作られた部品を意味する場合が多い。

ラジアルアース

無線アンテナの送信効率を高めるために設置される導体のネットワークをラジアルアースと呼ぶ。

地面に水平または斜めに広がる複数の導線で構成され、アンテナの下側で電波の「鏡」のような役割を果たす。

これにより、地上設置型の垂直アンテナでは放射効率が向上し、受信時のS/N比の改善につながる。

特に短波帯やアマチュア無線のVHF/UHF帯でも、ラジアルの数や長さ、設置状況によって性能差が生じることがある。

地面に直接設置する「アースラジアル」のほか、屋根上や人工基盤上に設置する場合もあり、環境に応じて適切な方法を選ぶことが重要である。

正しく整備されたラジアルアースは、アンテナの性能を最大限に引き出すための基本的な要素のひとつである。

アンテナ各種

アンテナの基本概念、役割、方式の位置付けを簡潔に紹介。

アマチュア無線アンテナ設計と製作ガイド: 100円ショップの部材でも作れる!飛距離と性能を極めるDIYテクニック

ダイポールアンテナ

ダイポールアンテナは、無線工学において最も基本的かつ代表的なアンテナの一つである。構造は単純で、導体を二分割し、中央の給電点から高周波信号を供給する形式をとる。

特に全長が波長の半分となるハーフウェーブ・ダイポールは標準的な形態とされ、アマチュア無線をはじめ各種の無線通信で広く利用されてきた。

HFV40 (HFV-40) 第一電波工業より7MHz専用V型ダイポールアンテナ【片側2.3m】
製作は容易であり、電線や金属パイプなど身近な材料で構成できる。自由空間における放射パターンは水平方向で八の字型を示し、アンテナ軸方向には放射がほとんど生じない。

この特性から、全方位ではないものの比較的広い範囲への通信・受信に適しているとされる。

ただし、この放射パターンは理想的条件下に基づくものであり、実際の設置環境では地面や建築物、金属構造物の影響を受けて大きく変化する。

性能において最も重要な要素の一つが設置高である。理論上は波長の1/2程度の高さが一つの目安とされるが、実際には利用周波数や通信距離、用途に応じて最適な高さは変動する。

特にHF帯ではλ/2の高さを確保することが困難であるため、λ/4やそれ以下で運用される例も多い。

地面の導電率や周辺環境も放射効率やインピーダンス特性に影響を与え、結果として想定外の方向で電波が強められたり弱められたりすることがある。

このため実用においては、測定や調整を通じた最適化が欠かせない。

また、ダイポールアンテナは単体としての利用にとどまらず、多くの派生アンテナの基本素子となっている。

八木・宇田アンテナ、V型アンテナ、さらには複数のダイポールを直線状に配列したコリニアアンテナなど、その発展形は多岐にわたる。

総じて、ダイポールアンテナは単純な構造でありながらも、設置条件や応用形態によって多様な挙動を示す。

補足するならば、設置高に関して「λ/2 が最適」というよりも、λ/2 は一つの目安であり、実際の用途や通信目的に応じて異なる。

モービルホイップアンテナ

「Mobile Whip Antenna」の略。通称・モビホ。主に自動車に取り付けて使用されるホイップ型アンテナ。棒状の金属エレメントを利用した最もシンプルかつ汎用性の高いアンテナ形式である。

アマチュア無線、エアバンド、各種広帯域受信で利用される。マグネットベース一体型のほか、別途用意すれば簡単にベランダ設置できる。

ダイヤモンド SG-M507 144/430MHz帯2バンドモービルアンテナ SGM507

固定局用のフルサイズアンテナに比べて性能は劣るが、簡便さと実用的な受信感度のバランスが取れており、屋外に出せば室内アンテナより受信感度が大幅に向上する。

マグネット式は接地面が鉄でないと安定しないほか、無線機で送信が必要な場合はアースを取らなければ作動しない(アース不要タイプもあるので要確認)。

ロッドアンテナ

伸縮式の棒状アンテナ。コンパクトラジオ(昔のラジカセなど)に多い伸縮式アンテナ。

受信機でも携帯性と感度が良いことからダイヤモンド SRH789 95MHz-1100MHz帯ワイドバンドハンディーロッドアンテナが人気。

曲がりやすいため注意。

八木アンテナ(八木・宇田アンテナ)

日本の電気工学者・八木秀次と宇田新太郎によって1926年に発表された指向性アンテナ。

国内では当初大きな普及には至らなかったが、第二次世界大戦期に米国でレーダー用途などに応用されたことを契機に広まり、戦後は世界的に普及した。

現在ではテレビ受信用アンテナの代表形式としても広く認識されている。

Sirio WY 108-3N 108-137 MHz エアバンド 3エレメント Yagi アンテナ
構造は、給電される基本素子(一般にダイポール)に加えて、後方に反射器、前方に複数の導波器を直線的に配置するものである。

この組み合わせにより特定方向への放射・受信感度が高まり、逆方向や側方向からの信号は抑制される。これによって強い指向性と高い通信効率が得られる。

八木・宇田アンテナの利得は素子数を増やすことで向上するが、一定以上では増加幅が逓減し、物理的な長さや強度、設置スペースが制約要因となる。

設計においては素子間隔や長さが運用周波数に強く依存するため、実用的な性能を得るには精密な調整が不可欠である。

用途は多岐にわたり、かつては短波帯でも一部応用例があったものの、物理的サイズの制約から主としてVHF・UHF帯で利用されてきた。

今日でもテレビ放送受信、業務無線、アマチュア無線などで用いられ、限られた出力で長距離通信を行う場合に有効性を発揮する。

総じて、八木・宇田アンテナはダイポールを基礎に指向性と利得を高めた形式であり、90年以上前に考案されたにもかかわらず、その原理は現在も通用する。放送・通信の分野において、標準的なアンテナのひとつである。

そして、屋根のテレビ受信用八木アンテナでUHF帯航空無線を受信したいと考えてみたくなるもの。

しかし現実的には、テレビ用の八木アンテナをそのまま流用するよりも、航空無線専用八木アンテナを導入するほうが、確実かつ安定した受信が期待できる。

ディスコーンアンテナ(Discone Antenna)

上部の円盤(disk)と下部の円錐(cone)を組み合わせた構造を持つ広帯域特化アンテナである。

円盤は給電点に接続され、円錐は放射体として機能する。全体の形状は逆さの傘のように見えることから、視覚的にも特徴的である。

広帯域受信でも使われるが、果たして利得は良いのか、以下の記事で考察している。

ディスコーンアンテナ(Discone Antenna)は広帯域受信に最適?実は落とし穴も……

GPアンテナ

GPアンテナ(グランドプレーンアンテナ)は、垂直方向に設置される単一の放射素子と、その根元から放射状に広がる複数のラジアルから構成される基本的な不平衡アンテナである。

Comet GP-6 コメット デュアルバンド144/430MHz GPアンテナ

電気的には1/4波長の垂直アンテナに仮想的な地面を与えた構造であり、この地面に相当する部分をグランドプレーンと呼ぶ。

ラジアルの本数、長さ、角度によって給電点インピーダンスが変化し、理想的には水平ラジアルの場合36〜37Ω程度の不平衡インピーダンスとなる。

ラジアルを斜め下方向に傾けることで約50Ωに近づけ、標準的な同軸ケーブルとのマッチングを容易にできる。

給電方式は不平衡であり、一般的には特別なバランを必要とせず、同軸ケーブルを直接接続可能である。

ただし、長い給電線を用いる場合や周囲に金属構造物が存在する場合は、放射パターンが乱れやすくなるため、バランを併用することで安定性を高めることができる。

放射特性は水平面でほぼ全方位に均一であり、地平線方向に強く電波が伝わる傾向がある。

この特性により、VHF・UHF帯の固定局通信や業務無線基地局、FM放送受信などに広く利用される。

HF帯においても1/4波長の垂直素子を用いたGPアンテナは存在するが、波長が長くなるためラジアルの長さや設置高さの制約が大きく、一般的には設置が難しい。このため、短波帯での運用は限定的である。

144/430MHz デュアルバンドグランドプレーンアンテナ、高利得グラスファイバー製、固定局用、レピーター対応型TC-FB17UV GPアンテナ

利得や放射パターンは設置高さや周囲環境に大きく依存する。地面の導電率、周辺建物、金属構造物などが影響を与え、特定方向への電波強度が想定外に変化することがある。

ラジアルの長さや角度を微調整することで、インピーダンスや利得、放射パターンを改善できるため、実用上は測定や調整を通じた最適化が不可欠である。

このようにGPアンテナは、構造自体は単純でありながら、実際の設置環境や調整によって性能が大きく変わる。

幅広い周波数帯に対応可能で、入門者向けでありながら実務用途にも耐えうる、基本かつ応用範囲の広いアンテナ形式である。

受信マニア的には「万能垂直アンテナ」や「地平線キラー」といった俗称で親しめるかもしれない。水平面にほぼ均一に電波を受ける特性から、特定方向を向けずに広範囲をカバーできる点はまさに広帯域受信に適している。

複数のラジアルを微調整して利得や放射パターンを最適化する作業は、マニアにとっては一種の趣味的実験であり、設置や調整の手間が楽しみの一部となるだろう。

熱心なマニアはラジアルの角度をほんの数度変えるだけで受信状況が変わることに歓喜し、微調整のために何時間も庭や屋上に張り付くことすらある。こうした様子は、外から見ると奇妙に映ることが多いのだが……。

とはいえ、技術面では、設置高さ、周囲環境、ラジアル調整による最適化が性能を左右し、実用性は非常に高い。趣味的要素と技術的要素が同居するのが、GPアンテナの面白さである。

💡 補足:「屋根に立ててるやつ、避雷針?」と聞かれたことある。

バーアンテナ

比較的単純な構造の直線状のアンテナ。ハムがよく来る酒場ではない。棒状の導体を水平に設置して使用する。

AMラジオで受信用に使われることが多く、広帯域受信機のAMラジオ放送受信用の内蔵アンテナとしても使われる。

電波の方向性が低く、受信しやすい方向に向きを変える必要があるが、安定した受信が可能で実用性が高い。

ヘリカルアンテナ

導体をらせん状に巻きつけたアンテナ。主に円偏波の送受信に適している。UHF帯や衛星通信、GPS受信などに用いられることが多い。

コンパクトながら広帯域対応が可能で、指向性や利得をある程度設計で調整できる点が特徴である。

💡 補足:受信機付属アンテナで主流である。

ループアンテナ

導体を閉じた輪の形状に形成したアンテナ。

磁界成分に対して感度が高く、電界成分に対する感度は比較的低いことから、方向性が強く、特定方向からの信号を選択的に受信するのに適している。

FMループアンテナ 屋外RV FMアンテナ
ループの直径や周長は受信周波数に依存し、一般的には受信する波長に応じた設計が求められる。小型のループアンテナでは感度は低下するものの、特定周波数のノイズ選択性が向上する特性を持つ。

受信専用アンテナとして、短波帯や中波帯で広く利用される。

都市部やビルの密集した環境においては、周囲の電波障害や雑音を回避し、狙った信号を選択的に受信できる点で特に有用である。

また、磁界成分に依存した特性のため、外部ノイズの影響を受けにくく、夜間の中波受信やDX通信の受信にも適している。

受信マニアの主観的視点では、方向性とノイズ耐性の高さから「狙い撃ちアンテナ」や「アパマンの救世主」と評価できるかもしれない。

小型のループアンテナを屋内に設置して微調整し、雑音を避けつつ信号をピンポイントで受信する作業は、趣味的な実験としても楽しまれる。

ただし、設置環境や周囲の電波条件により性能は大きく変動することに留意したい。

ワイヤーアンテナ

導体を細長い線状に形成し、空中に展張して使用する方式のアンテナ。

構造は単純でありながら、設置方法や長さ、周囲環境によって性能が大きく変化するため、実務上の運用には一定の知識が求められる。

アンテナテクノロジー WA7 7MHz帯 ワイヤーダイポールシリーズ

ワイヤーアンテナには多様な形式が存在するが、代表的なものとしては、全長が波長の半分に相当するハーフウェーブ・ダイポールや、1/4波長で地面やラジアルと組み合わせて使用される垂直型ワイヤーアンテナが挙げられる。

設置においては、ワイヤーを水平または斜めに張ることが一般的で、支持物として木や金属ポール、建築物などが利用される。

高さや張り方は放射特性に影響を与え、特にHF帯の通信では設置高が低い場合、地面との結合により指向性や利得が変動する。

また、都市部やビル群の近傍では電波の反射や散乱の影響を受けやすく、受信・送信の効率に影響することがある。

そのため、ワイヤーアンテナの運用では、長さや形状の調整、周囲環境の把握が重要となる。

また、給電点にアンテナチューナーを組み合わせることで、理想的でない長さのアンテナでも効率的に信号を放射・受信できる。

このため、HF帯を中心としたアマチュア無線局においては、基本的な通信設備の一部として広く利用されている。

さらに、ワイヤーアンテナは単体で使用されるだけでなく、複数本を組み合わせて指向性を持たせたアレイ形式として運用されることもある。

これにより、特定方向への通信効率を高めたり、不要方向からの干渉を低減したりすることが可能である。総じて、ワイヤーアンテナは設置や調整の自由度が高く、基本的な構造でありながら実用性に優れるアンテナ形式である。

ワイヤーアンテナは、簡易な材料で製作可能であり、折りたたみや収納も容易であることから、ベテランハムの間では経験則や慣習に基づいて、移動運用や災害時の非常通信において有用とされる。

イヤホンアンテナ機能

イヤホンケーブルをアンテナとして動作させられる受信機の機能。受信機につないだイヤホンのケーブルをアンテナとして動作させられる機能である。

要するに、イヤホンケーブル自体が簡易アンテナとなり、外付けアンテナがない場合でもある程度の電波を受信できるようになる。

警察官の使う『Pチャンイヤホン』が各種業界でも絶賛される理由は?

特にAMラジオや短波受信で有効で、携帯性が求められるハンディ受信機で便利に使える。

もちろん本格的な外部アンテナほどの性能は期待できないが、手軽に受信を楽しむための補助的な機能である。

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