主に受信マニアが対象とする無線の聞き物は、主にタクシー・警備・その他業務無線全般、航空無線、それに軍事系の一部通信といったものまで様々。主だったものは以下のジャンルごとに大まかに別れ、さらに細分化されています。
本記事では、これらの無線を整理して解説します。
気になる用語から各種記事にリンクで飛べますので、知識を広げながら無線ライフをより楽しんでください。
✅おもしろ無線の種類
ユーティリティ無線
業務無線全般を指す呼称には「ユーティリティ無線」という呼び名もある。「U局」と略されることもある。
1980年代の『ラジオライフ』誌では「全国ユーティリティ無線局訪問」という企画が組まれており、官庁を含む各地の各種業務無線局が紹介されていた。取材許可が出て掲載されたこと自体、当時としては驚きであり、現在でも貴重な資料となっている。
💡 補足:ムック本「おもしろ無線受信ガイド」シリーズも見逃せない。
エアバンド
いわゆる航空無線。VHF帯(118~137MHz)を中心とする航空関連通信。
軍用・自衛隊はさらに上の138~142MHzのほか、UHFの225〜390MHzまで使う。
他にも洋上管制と言って、HFを使う無線もある。
おそらくこの趣味界隈において、最もファンが多いのがこのエアバンドである。
航空無線と聞くと、定型的で淡々としたやり取りを思い浮かべる人が多いかもしれないが、新年の時期になると雰囲気は一変。交信の中で「明けましておめでとうございます」や「ハッピーニューイヤー」といった挨拶が交わされ、無味乾燥な航空無線の世界にも温かな空気が広がるのである。
さらに、深夜などは稀に一部の外国人パイロットは最後に「おやすみなさい(日本語)」と一言添えることもある。緊張感に包まれがちな通信の場に人間味が垣間見える。
ミリタリー無線
いわゆるGCIなどの航空自衛隊の無線を含む、軍事通信一般である。一部は航空無線と領域が重複する場合もある。
プロパガンダ放送
これもある意味では軍事的な領域である。ラジオ放送を利用した謀略戦である。日本政府がアメリカに向けて行った「ゼロ・アワー」が有名。
現代でも朝鮮半島での南北対立で行われている。
乱数放送
同様にこれもある意味では軍事的な領域である。短波帯で流される数字列読み上げ放送(スパイ通信の一種)。北のA3放送は警察庁警備局(公安)や自衛隊の監視対象およびマニアの受信対象。
誘導無線
主に鉄道無線で使用される長波通信方式。通常の無線は「アンテナから電波を飛ばして」通信するが、誘導無線はちょっと違う。→ レールの横に専用ケーブル(誘導線)を敷いておき、そのケーブルに弱い電波を流し、線路上の列車がそれを「アンテナ代わりに受け取る」仕組み。
電波を空中に飛ばす方式だと、トンネル内(すなわち地下鉄)では届きにくい。→ ケーブルをレール沿いに這わせれば、列車が線路上に存在する限り、“線路沿いの電波ガイド”に従って通信できる。
💡 補足:ただし、電波法上の無線局ではない。
消防無線
消防専用の無線周波数。厳密には指令波、救急波、活動波がある。東消を除き、2015年までアナログだったため、誰でも受信可能だった。現在は全国でデジタル化が完了しているが、同時に全国で普及が進んだ466MHz帯の消防署活系無線はアナログのため受信可。
💡 補足:詳しい消防無線周波数はこちら。
報道連絡波
主に報道関係の使う業務無線。テレビ局やラジオ局などの報道機関が取材・中継のために使用する業務用無線の周波数を指す通称。「マスコミ無線」とも呼ぶが、正式には電波法に基づき報道業務用無線局などに免許されており、事件・事故・災害・イベント現場などからの連絡や中継スタッフ間の通信に利用される。
とくにヘリによる取材では事件事故現場の詳細が交信から判明する。
💡 補足:一般の傍受を防ぐため、秘話コードが使用される。