広帯域受信機の楽しみ方や遊び方として、“とりあえず周波数サーチ!”を楽しむ上級者も少なくありません。未知の周波数の偶発的発見はミステリアスで面白く、受信趣味の一部です。
しかし、闇雲にサーチをしても効率的な探索には向いておらず、目的がある場合は非効率です。
したがって、受信機を効率よく運用するには、「スキャン」と「サーチ」を目的別に使い分けることが重要です。
既知の周波数はメモリへ登録してスキャン運用し、未知の周波数探索ではサーチ機能を使うことで、効率よく電波を追跡できます。
特に、未判明の周波数サーチは時間効率が悪くなりやすく、ある程度の周波数知識やバンドの見当を付けたうえで探索する方が実践的です。
基本的に広帯域受信機はスキャンとサーチの二つの機能が搭載されており、両方を使い分けて受信します。
メーカー各社によって多少の違いはありますが、広帯域受信機のスキャンとサーチ機能は概ね以下のような違いがあります。
詳しくみてみましょう。
スキャン(Scan)
「登録済みのチャンネル」を巡回する機能です。
登録した周波数の信号の有無を探す: 事前にメモリーした特定の周波数の信号を検知し、信号が見つかると停止して受信します。
- 特徴: 自分の好きな周波数(メモリーしたチャンネル)だけを高速でチェックします。
- いつ使う?: 聞きたい周波数が決まっているとき。周波数が判明しているとき。
- 複数の空港や、複数のカンパニー波を同時に待ち受けたいとき。
- 効率化のコツ: 「羽田空港用」「カンパニー波用」のようにバンク(グループ)を分ける。
- 電波が出ていないときは一瞬で次のチャンネルへ飛ぶため、数十波登録していても、どこかで交信が始まればすぐにキャッチできます。
あらかじめ受信機の『メモリーバンク』にお目当ての周波数(118.XXXМHzなど…)を1波ずつ、いくつも手作業または専用ソフトで登録(メモリー)しておき、受信機にそれらの周波数を自動で一波ずつ高速でチェックさせ、出ている信号を受信する機能がスキャン(アイコムではメモリースキャン)です。
つまり、スキャン機能は「既に判明している周波数」をあらかじめ複数登録し、信号の有無を監視し、信号を検出すると受信状態になるものです。
サーチ
一方、サーチ機能は「指定した範囲の帯域」を端から端まで探る機能です。
- 特徴: まだ知らない未知の周波数や、新しく使われ始めた周波数を見つけ出すために使います。
- いつ使う?:
- 所属が分からず周波数不明の航空機が飛んできたとき、航空無線の帯域でスキャンを走らせる。
- イベント会場や災害現場などで、未知の通信を探したいとき。
- 効率化のコツ: 「プログラムサーチ」(範囲指定)を使う。
- 航空無線なら「118.000MHz 〜 135.975MHz」のように、広い範囲を細かいステップでサーチすると、1周に数十秒〜数分かかることもあり、短時間の交信を取り逃しやすくなります。
指定された周波数範囲から信号を探す: 事前にセットされた不特定の周波数範囲を順番に走査し、出ている信号を探し、信号が見つかると停止して受信する機能がサーチ(アイコムではVFOスキャンと呼びます)です。
スキャンとサーチ使い分けは?

たとえば、航空無線で通常使用される航空管制用周波数の帯域は自衛隊専用波まで含めると118MHzから142MHzまで。
これらの間を一つの周波数に限らず、自分が今いる現在地付近で使われている周波数を探したいのなら、サーチ(アイコムではVFOスキャン)機能を使用します。
例えば、航空無線は「場所(空港やセクター)ごとに周波数が固定」されている固定割り当てですが、アマチュア無線は国に認められた範囲で「一定のルールや慣習の範囲内で比較的自由に周波数を選べる」変動割り当てです。
そのような場合、信号の有無を上から下まで高速で繰り返し探し続け、信号があれば自動的に止まり、受信できるサーチは便利です。
つまり、航空無線のように広く知られた既知の周波数を効率よく待ち受けるのが「スキャン(メモリースキャン)」であり、まだ登録していない周波数や、その場で使用されているアクティブチャンネルを探すのが「サーチ(VFOスキャン)」です。
- スキャン機能を使う場合(例):
- すでに登録されている周波数の交信を聴く: すでに広く知られている周波数はあらかじめ登録しているので簡単に受信できます。
- サーチ機能を使う場合(例):
- 特定されていない周波数や使用の定まっていない周波数の交信を探し出す: アマチュアバンドのようにバンド内の不特定の周波数が使われている範囲の周波数を探して受信できるほか、地元のマイナーな事業者の無線や航空自衛隊のGCIなど判明していない『未知の周波数』を探せます。
基本的に、スキャン(メモリースキャン)とサーチ(VFOスキャン)を適宜使い分けることで、効率的な受信が可能になります。
すでに周波数が判明している航空無線や各種業務波は、あらかじめメモリー登録してスキャンした方が効率的です。
一方、まだ把握していない周波数や、その場で使用されているアクティブチャンネルを探したい場合は、サーチ機能が役立ちます。
平日に時間が取れるなら、IC-R6の高速VFOスキャンを活かし、地元で受信できる周波数を少しずつ整理・登録していくのも、広帯域受信の醍醐味のひとつです。
とくに、UHF帯ミリタリーエアバンドの中でもGCIの周波数は市販の専門誌でも自主規制で掲載されません。
そのようなケースでは、自分でサーチ機能を使って実際の運用波を探す受信スタイルが基本です。

※広帯域受信機については広帯域受信機のページにて解説しています。
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周波数のメモリー作業
受信機の購入直後に行うことは、自分で手作業による1波ごとのメモリー作業、またはPCと専用ソフトならびに専用ケーブルを使って登録していくクローニングです。
その後はそれらの周波数をスキャン(アイコムではメモリースキャン)して受信するだけでOK。
幸いなことに貴方がIC-R6を選んだのなら、全国の主要な「空港」「鉄道」「高速道路」「バス」「特定小電力」「VHF消防・救急」「UHF消防・救急」などが各バンクごとに、あらかじめプリセットされています。
デジタル化により廃止された「VHF消防・救急」や「高速道路」以外なら、現在もアナログ運用が残っている地域では受信できる場合があります
とはいえ、自分の地元で必ずしもそれら『プリセット済み周波数』が使われているとは限りません。
むしろ、地方の小規模な飛行場の飛行援助局などは未登録の場合も。
ですから、プリセットは、
- 周波数体系を学ぶ
- バンク構成を理解する
- 最初の受信体験を得る
という意味でかなり有用ではあるものの、逆にこれら『あらかじめプリセットされたメモリーバンク』はありがた迷惑で、邪魔な存在になりうる場合もあるのです。
そこで初期メモリーを整理するために、オールリセットで一度まっさらな状態にして、自分専用の受信機として作り直す人も多くいますが、受信機単体では初期データを戻せないため、後悔するケースもあるため注意が必要です。

周波数の受信可能範囲とは?
広帯域受信機にとって『受信できる周波数の範囲』はとても重要な基本性能。
ショップの広帯域受信機の商品ページに行くと、よく「受信改造済み」と書かれています。
これは「メーカー出荷時に制限されている受信範囲を解除済み」という意味です。
実は、一部の広帯域受信機はノーマル仕様だと自主規制で受信できない範囲があり、受信周波数帯域が歯抜け状になっています。
このような受信機は、いわゆる『歯抜け仕様』と呼ばれ、受信愛好家からは敬遠されがちです。
実は筆者が推しているアイコムの『IC-R6』も本来は歯抜け受信機なのです。

そこで各ショップでは、ノーマル機には『受信拡張改造』を行って、受信可能範囲を広げてセールスポイントとしているわけです。
広帯域受信機を買うのであれば、受信改造モデルをおすすめします。
ただ、はじめから歯抜けになっていない受信改造不要の受信機もあります。
なぜ歯抜け受信機と、歯抜けではない受信機があるのでしょうか。
それはメーカーが加盟する自主団体の自主規制にあります。過去にはアナログ通信による通話傍受が問題視され、コードレス電話、アナログ携帯電話、MCA、一部業務波などの周波数が受信できないよう配慮されたのです。
無線の周波数を調べる方法は?
一般的に周波数は、その用途や利用者に応じて分類されます。たとえば、放送用、業務用、アマチュア無線用などです。
日本では、無線局が利用する周波数帯の多くが、総務省資料や「電波利用ホームページ」などで公開されています。
ただし、これは「すべての周波数が完全公開されている」という意味ではありません。
実際には、警察・自衛隊などの一部無線では、運用上の理由から詳細情報が公開されていない場合もあります。
つまり、一般公開されている周波数と、実際の運用現場でサーチによって把握される周波数は、必ずしも一致するとは限らないのです。
周波数の公開について
1周波数の公開とは
総務省では、電波法第26条の規定に基づき免許の申請等に資するため、割り当てることが可能な周波数や既に割り当てている周波数の現状を閲覧できるようにしております。なお、インターネットにおいても公開しています。
出典 https://www.soumu.go.jp/soutsu/kanto/ru/frequancy/kokai/index.html
周波数の調べ方は大きく分けると以下の手法があります。
1、出版物・オンライン情報で調べる
webで周波数を調べる手法は以下の3つです。
市販の電子書籍で調べる
各種周波数を調べる方法として、もっとも定番なのが市販の周波数資料です。
代表的なものとしては、『周波数手帳ワイド』『周波数バイブル』『周波数帳』などがあります。
特に『周波数手帳ワイド』は価格も比較的手頃で、航空無線、消防、防災、行政、鉄道、バス無線など幅広いジャンルを収録しており、初心者にも人気です。
一方、『周波数帳』は膨大な情報量で知られた大型資料で、HF帯を含む詳細データが特徴でした。現在は定期刊行が終了していますが、中古市場では今も流通しています。
ただし、近年はデジタル化や運用変更により、掲載内容と現行運用が一致しないケースもあるため注意が必要です。
航空無線に特化した『航空無線ハンドブック』などもあります。
また現在、便利なアイテムとしてアマゾンにて三才ブックスの『ラジオライフ手帳ワイド 三才ムック vol.806 Kindle版』がダウンロード販売されています。一冊購入しておくと便利です。筆者も購入しました。
そして、こちらの『おもしろ無線受信ガイド』シリーズは30年近い歴史を持つ定番バイブルでおすすめです。
ver.24ではついに登場したアルインコのデジタル対応受信機『DJ-X100』の総力特集を兼ねており、「次世代おもしろ無線」となる各種デジタル無線受信の幕開けを感じさせます。
なお、これらの電子書籍版はAmazonキンドル読み放題に入っていると、無料で閲覧できます。
2、航空ファンなどのサイトで調べる
多くの航空ファンがいらっしゃるので、周波数を紹介しているサイトも豊富です。
「羽田空港 TWR MHz」のように検索すると見つけやすいでしょう。
3、総務省公式の『無線局データベース』で調べる
総務省が運営する公式サイト『電波利用ホームページ』では、誰でも無料で閲覧可能な「無線局データベース」が公開されています。
このデータベースでは、一般企業や各種団体が使用している周波数を確認できます。
ただし、公開対象となっている無線局情報のみが掲載されています。特に、国の安全保障や外交、災害対策に関わる無線局については、その重要性から情報が非公開。
たとえば、自衛隊の防衛用周波数、消防・防災・水防・道路管理・防災行政などの公的機関が使う無線、外交や航空保安、航空機製造修理といった用途も非公開の対象です。
さらに、犯罪の予防や捜査、取締りなどに関わる無線局──警察・検察・海上保安庁・刑務所・入国管理局・公安調査庁・税関・国税庁・麻薬取締官事務所・労働基準監督署・漁業指導監督・郵政監査といった機関──の周波数情報も公開されていません。
また、非常警報用の周波数や、民間分野における特定用途──貨物輸送、現金や有価証券の輸送を担う警備保障事業、さらには一部の金融機関が使用する無線──についても非公開扱いとされています。
典拠元 総務省公式サイト「無線局等情報検索」
http://www.tele.soumu.go.jp/j/musen/sp/
http://www.tele.soumu.go.jp/musen/SearchServlet?pageID=1
2、自分で受信機を使って調べる
公開資料や周波数リストに掲載されている既知の周波数だけでなく、実際に受信機のサーチ機能を使って、その場で運用されているアクティブチャンネルを探すのも受信趣味の醍醐味です。
また、Uniden BearTrackerシリーズやアルインコ DJ-X100のように、近距離の強い電波を素早く検出できる機能を備えた機種も存在します。
受信機のザーザー音が酷い場合は
FMモードでは、無信号状態でスケルチが開いていると「ザーッ」というノイズが聞こえる場合があります。
そのような場合は、スケルチ設定を調整してみましょう。スケルチとは、一定以下の弱いノイズを自動的にミュートする機能です。

IC-R6では初期設定が「オート」になっていますが、弱い遠方波も狙いたい場合は、低めのスケルチ設定が好まれることもあります。
一方、スケルチレベルを高めにすると、弱い信号やノイズでスキャンが止まりにくくなり、快適に運用しやすくなります。
また、LED照明やパソコン、USB機器などの家電はノイズ源になる場合があるため、受信機やアンテナを離すと改善することがあります。
まとめ
効率よく受信したいなら、既知の周波数はあらかじめ受信機へ登録し、メモリースキャンでの受信を活用しましょう。
一方、まだ把握していない周波数や、その場で運用されているアクティブチャンネルを探したい場合は、サーチ機能が役立ちます。
スキャンとサーチを目的に応じて使い分けることで、広帯域受信機をより快適かつ効率的に楽しめるでしょう。












































































































