XHDATA D-808でHF帯SSBモードの洋上管制や海上自衛隊アツギオーシャニック、7MHz受信可能

『IC-R6(受信改造済み )』で聞けない無線、それは洋上管制

その理由は下記記事にて詳しく解説中です。

【洋上管制解説…No.2】受信改造済みのIC-R6でも洋上管制が聞けない2つの理由

でも、心配無用。お高いHF対応受信機やHFアマチュア無線機も不要。

実はIC-R6の約半額で確実にSSBモードが受信できる人気の受信機材があります。

この記事の要点と結論

  1. IC-R6では聴けないHF帯SSBモードを低価格で手軽に聴ける高性能SSB対応短波ラジオ
  2. 人気の7MHz、18MHz、洋上管制、その他各種HFも聴ける
  3. VHF帯エアバンドも受信可能。大口径スピーカーで聞きやすい
  4. HF用アンテナ不要。付属ワイヤーアンテナで極めて感度良好
  5. HF&エアバンド受信の入門機に最適

『SSB対応BCLラジオ』でSSB受信をもっと手軽に

『BCLラジオ』とはAMの短波放送が聴ける『短波ラジオ』のこと。家電量販店でも数千円で買えるお手軽なラジオです。

しかし、安価な短波ラジオで受信できるのはAM/FMモードのみ。

そこで、SSB(USB/LSB)も聴きたいアマチュア無線家やHFエアバンドファンの需要に応えているのが、中国メーカー製のSSB対応BCLラジオ

Amazonで『SSB ラジオ』と検索すると、1万円程度の機種が多数出ますが、中にはSSB対応ではない安い機種も検索結果一覧に反映されているので、商品名に『SSB』の記載があるか要チェック。

なお『SW』は短波(Short Wave)帯の意味で『SSB(Single Side Band)モードの意味ではないため、ご注意を。

これらSSB対応BCLラジオはレビュー件数が多く実に高評価。

ただ、広帯域受信機同様の使い勝手といった場合は今ひとつ。

とはいえ、その価格差だけみれば、日本製のSSB対応受信機上位機種やHF機の実に5分の1から10分の1とコスパ抜群。

今回、筆者は数あるSSB対応BCLラジオの中からベストセラー機を購入し、その実力を検証。そして、その性能に驚きました。

XHDATA D-808

SSB対応BCLラジオ数あれど、大ヒットしたモデルがXHDATA D-808です。

AM・FM放送のほか、HF帯の1711-29999kHzはSSBモード、さらにVHF帯の118-137MHzのAM航空無線まで対応。

ほぼ同一筐体・同一性能・同一型番でメーカー名が違うケースが中華製品にありがちで、このXHDATA D-808にもSIHUADUON D-808というそっくりな製品が。

両モデルを使った複数の人のレビューではXHDATAのほうが感度や反応が上との評価です。

XHDATA D-808 ポータブルラジオ FM AM SW LW ワイドFM エアバンド SSB BCL DSP RDS ポケットラジオ 高感度 小型 電池式 充電式 スリープ機能付き 目覚まし時計 日本語説明書付き

XHDATA D-808。価格も手ごろで洋上管制、人気の7MHz帯アマチュアバンドも対応。日本語説明書付き

そして、このD-808は『7MHzや洋上管制も受信感度がすこぶる良い』との評価がありましたが、本当でしょうか?

はい、事実です。

D-808の最小ステップ幅は1KHz。さらに『ファインチューニングダイヤル』で細かく調整可能。SSBモードではUSB/LSB切り替え可能。

CWモードはないものの、LSBモードでモールス音を綺麗に受信。

FM放送、LW/MW、SW、そしてAMのエアバンドそれぞれのおおよその帯域の呼び出しはバンドキー短押し、周波数の直接入力&メモリーも可能と、”広帯域受信機”としては最低限必要な機能を搭載。

『D-808』のHF帯感度チェック…まずは7MHzの受信から

HFアマチュアバンドは曲者。その奥深さは一言では言い表せません。HF帯のベストコンディションも周波数と季節次第。

例えば、18MHzはほとんど日中がベスト。逆に3.5MHzは主に夜間が良好。

しかし、昼も夜も比較的安定し、HF帯のメインストリートとも呼ばれ、どのバンドより人が多くて騒がしくて楽しいのが7MHz(40mバンド)。

日本全国でモービル運用する局も多く、週末や祝日の昼間は国内局で賑わいます。

7MHzの解説は以下のページにて。

短波(HF:High Frequency)と電離層を利用すれば外国との交信も可能!

というわけで、まずは『SSB』キーを押して電波形式を『NORMAL(AM)』からLSBに切り替え、7.130kHzにチューニング。

ここに誰かが出ていれば、その日、その時間帯のコンディションは上々。

すでに筆者の地元8エリア管内のローカル局(とは言っても普段の144や430のFMではとても届かない100キロ以上先の局です)、さらに1エリア局同士の交信が明瞭入感。

ダイヤルをさらに回して下に降りていくと今度は関西弁、博多弁など全国津々浦々のアマチュア局が楽しくオンエア中。

夜が更けるにつれ、フェージングによる雑音がやや強くなる中、今度は韓国語、ロシア語による交信が入感。

国際色豊かなDXバンドの様相を魅せ始めました。

ひとまずは外部アンテナなしでのワッチでしたが、予想以上の感度に驚き。7.000kHzから7.045kHzはCW帯ですが、モールスも心地よい音色で強く入感!

今度は3.5MHz帯を受信。HFは低くなるとフェージングが強くなり、慣れないと雑音の中から信号を聞き分けるのが大変。

その場合は3mサイズの付属ワイヤーアンテナの活用がオススメ。

天井から下に垂らす、D-808本体を机に置いてワイヤーを床に垂らす、窓にワイヤーを貼りつけるなど、感度の良い受信スタイルがきっと見つかります。

メインのチューニングダイヤルで合わせただけでは変調が聞きにくいなら、正面右側面にあるチューニングダイヤルとは別に設けられた『ファインチューニング』ダイヤルを回して、さらに1KHz以下を細かく調整してゼロインすれば、より明瞭に復調されます。

HFの細かな割り当てを知るにはJARDが公表しているバンドプラン一覧でHFの周波数割り当て表が便利です。※PDFファイルです。

https://jard.or.jp/info/leaflet/bandplan_20150105.pdf

お次は洋上管制(USBモード)の受信。LSBからUSBへの切り替えは『INFO』ボタン短押しでOK。

通常、洋上管制の周波数は複数運用。電離層の状態や時刻でコンディションの良い周波数へ随時変更されます。

筆者が普段、HFのコンディションチェックを兼ねて受信している『東京レディオ』の北太平洋エリア(NP)5.628MHzでは航空機側、地上局側の女性通信官の声も驚くほど明瞭に受信できました。

5.667MHzはサンフランシスコラジオですが、こちらもかすかに聞こえます。

10.048kHzも感度良好。しかし、彼女が各機に促すセカンダリーの8.951kHzは当方の環境では受信不可。

なお、米空軍の戦略核指揮通信であるHF-GCSの11175kHzも受信。答え合わせのできない謎のコードが送出されていました(笑)

【地球終了のお知らせ】「スカイキング、応答するな」米軍が核攻撃を指令する短波無線HF-GCS

さらに、海上自衛隊厚木基地(神奈川県綾瀬市)から6.727kHzで洋上飛行の自衛隊機へ送信される『厚木オーシャニック』は、上述の洋上管制より交信頻度が少ないため受信チャンスは低めですが、お昼に太平洋上を警戒活動中のP-3Cと地上局側の交信を傍受。

今度はアマチュアバンドの18MHz(USB)に合わせます。18068kHzから18168kHzまでの範囲でUSBによる交信が行われています。千葉、鹿児島、福岡とよく聞こえて満足。

D-808のHF帯受信性能はすこぶる高いことは事実でした。

HF無線の世界はアングラだった・・・やべえ通信まとめ(傍受の際は当該工作機関から十分に適切な社会的距離を保つ必要あり)

『D-808』のポップノイズは?

評価の低いレビューを見ると、複数台購入者数名による『ポップノイズが気になる』『個体によって感度にばらつきがある』というものが。

ポップノイズといえば、筆者も過去にアルインコのDJ-X8とDJ-X11の大きい『ポッ・・ポッ』音にひどく悩まされましたが、D-808にはあのような酷いものは全くありません。

『D-808』のVHFエアバンド受信感度や音質は?

ではD-808のもう一つの機能、118〜137MHzのVHF帯エアバンド受信機能はどうでしょう。良い点、悪い点があります。

感度について

VHFの受信感度は搭載のロッドアンテナを目一杯伸ばして受信する限り、IC-R6と同等とはいきませんが、決して悪くありません。

理論上、アンテナの長さは周波数の波長ごとに合わせたほうが感度が良いとされますが、体感的にはVHFはアンテナが長いほど感度が良いです。

あとは外部アンテナ次第。現時点で1台しか購入していない筆者には検証の術がありませんが、感度について筆者の手元の個体はすこぶる良好です。

スキャンについて

しかし、D-808のエアバンド受信時の「使い勝手」は手放しで褒められません。

遅いながらもバンドスキャン機能はありますが、広帯域受信機の持つ「メモリースキャン機能」はなし。

D-808でエアバンドの個別の周波数を次々に聞きたいのなら、事前にメモリーした個別の周波数をメモリーごとに割り当てたナンバーキーを短押しし、その都度呼び出す『人力スキャン』が基本。

メモリーは10チャンネル×10バンク(各バンド)と豊富です。

ただ、メモリーした任意の周波数を表示してる時にダイヤルまたは上下方向キーで、その周辺周波数にシフトできるため、近い周波数なら即座にチューニングが可能で便利です。

とはいえ、やはりメモリースキャンがないので、ひとつの周波数を専念して聴く方以外や、もちろん航空自衛隊のGCIまで受信したいなら、やはりD-808との価格差2倍ですが、IC-R6(受信改造済)がお勧め。

音質について

DJ-X100でエアバンドを聴くと「サー」という耳障りなバックノイズでとても耐えられませんが、IC-R6での受信同様、耳が楽です。

しかもIC-R6よりスピーカーが大きいので迫力。

交信量の多い一波に固定してBGM的な使い方をするという場合でも、プロの受信機材としてもD-808のエアバンド受信機能は確実に優秀です。

上記の部分、声を大にしておすすめです。しかし、慣れとは恐ろしいものです。

エアバンドの音質に関してはIC-R6と比べると音のこもりがやや気になってはいたものの、今ではIC-R6よりも聴きやすいのですから。なお、HFでLSBモードで聴くCW(モールス)の受信音も心地良いです。

『D-808』のAM、FMラジオ放送受信感度とその他バンドの音質は?

ラジオ放送ではAM,FM共に受信感度に不満はありません。音質ではやや『サー』という音が気になりますが、2万円のIC-R6でAM放送を受信したときより遥かにマシで、実用上まったく問題ないものと思います。

音質に関しては、8万円のIC-R30でNHKのFM放送を聞いていていつも筆者が感じる『わざわざNHKのアナウンサーが部屋まで出張してきてくれて部屋でニュース読んでくれてるような申し訳ないほど不気味な臨場感』のようなものは、さすがにD-808にはありません。

『D-808』のうるさいビープ音は設定でオフに

D-808が届いた直後、開封して軽く使ってみると、操作のたびに大きなビープ音が鳴って驚く方が多いはず。電源OFF状態で「5」キーを長押しすればオフにでき、深夜も安心して使えます。

『D-808』のバッテリー持ちは?

D-808は付属の『18650型リチウムイオン充電池』一本を使用します。2時間ほどのUSB充電で25時間以上の連続駆動と文句なし。

『D-808』の外部アンテナ接続方法は?

D-808は3.5mmイヤホンジャックに3.5mmイヤホンプラグ型のSMA(メス)接栓変換ケーブルを接続すると、一般的なSMA接栓のアンテナのほか、さらにMP変換コネクターもあれば、モービルホイップなど外部アンテナを使用できます。

アンテナ次第ですが、エアバンドに対しては非常に効果があります。筆者が使用している製品は以下の変換ケーブルおよびMP変換プラグです。

3.5mm L型 モノラルミニプラグ(オス) - SMA(メス)変換ケーブル 0.1m FNT-LH-3SMA10

3.5mm L型 モノラルミニプラグ(オス) – SMA(メス)変換ケーブル 0.1m FNT-LH-3SMA10

 

Kaunosta M型変換コネクタ SMA変換コネクタ m型メス⇔SMAオス プラグラジオアンテナ用コネクタ 2個入り

Kaunosta M型変換コネクタ SMA変換コネクタ m型メス⇔SMAオス プラグラジオアンテナ用コネクタ 2個入り

『D-808』の販売ショップは?

筆者はアマゾンの上記ページからプライム配送で購入しました。

日本語説明書、ワイヤーアンテナ、リチウムイオン充電池(18650)が付属したセット品で即日使用可能でした。

なお、星が一つのレビューには『スピーカー部が凹んでいた』というものが。

これは中国製品の品質管理なのか、返品された商品をそのまま再販してるのか不明ですが、筆者の個体は外装の気になる傷はありませんでした。

『D-808』総評

いかがでしょうか。

何でもかんでも低価格の一台に求めるのはNGですが、あと少しだけ広い周波数帯域とメモリースキャン搭載など融通がきいてくれれば……と惜しさを感じざるを得ないこの低価格のSSB対応BCLラジオ『D-808』。

29.999MHzまでのHF帯がAM、SSB(USB/LSB)で受信でき(30MHz帯を使う漁業無線は受信不可)、AM、FMラジオ放送、さらに118-137MHzのVHF帯エアバンドまで受信できる優秀な受信機、もとい、ラジオです。

118-137MHzのエアバンド帯受信機能に関しては、すでに優秀なIC-R6(受信改造済)を所有しており、D-808は140MHz帯の陸上自衛隊管制やUHF帯の航空自衛隊GCI波を受信できない理由からメイン機ではありません。

しかし、一波固定の航空交通管制の傍受、さらに近隣で事故災害発生の際、防災ヘリや報道ヘリの飛来など航空交通の情報収集では追加の受信機として使用します。

さらに、昼間は18MHzのアマバンド、夕方以降は5MHzおよび10MHz帯の洋上管制、3.5MHzおよび7MHz帯のHFアマ、6MHz帯の自衛隊『厚木オーシャニック』など、SSB(USB/LSB)専用の優秀な受信機になります。

あとは暇があれば、20MHz帯域の漁業無線などのワッチにも活用したいと考えています。

予算は少ないけどHFのSSBを聴いてみたいビギナーの方はもちろん、ベテランHFリスナーの普段使いや枕もとのお供としてもコストパフォーマンスは抜群。

なお、上述したとおりエアバンドは標準のロッドアンテナを最大に伸ばす、同様にHF帯受信に関しては付属のワイヤーアンテナを外部アンテナ端子(3.5ミリ径)に差し込むだけで充分な感度でしたが、必要に応じてHF用アンテナを用意するとさらに耳が良くなるでしょう。