無線をやっていると、OMさんたちが「了解!」と応答した後、1〜2秒ほどマイクを離して“間”を置くのを耳にしたことはありませんか?
最初は「なぜだろう?」と不思議に思う方も多いでしょう。
実はこの“間”には、きちんとした意味があるのです。
それは 『ブレークインタイム(break-in time)』 と呼ばれるもの。
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『ブレークインタイム(break in time)』
「ブレーク」とは英語で「割る」「中断する」といった意味があります。たとえば「コーヒーブレーク」はまさにそのような意味合いです。
無線交信における『ブレークインタイム(break-in time)』とは、受信から送信に移る際に数秒の“間”を設けることによって、他局が割り込める余地を作るためのものです。
つまり「了解!」と応答した直後に間を置くのは――
「割り込みたい方がいれば、どうぞ」
と暗に示しているわけですね。
割り込みの余地を残すために
もしオペレーター同士が「了解!」「はい、そうです!」と間髪入れずマシンガントークを繰り返していたらどうでしょう?
第三者が「ちょっと入れてほしい」と思っても、割り込む隙はまったくありません。
だからこそ、ベテランのOMさんたちは無意識のうちに“間”を大切にしているのです。
これはマナーであると同時に、交信をよりスムーズにする知恵でもあります。

そこで、この『ブレークインタイム(break in time)』が活躍するわけです。
老舗のCQ出版さんのハム語辞典には以下のように説明があるので、引用させていただきました。
ブレーク
break.他局の交信に所要があってその交信の仲間に入ること.中断.割り込み.
ブレークインタイム
break in time.交信中に,他局からの通報を受けるために送信から受信に移ったときに数秒間,間を設けること.
それでは、実際どんなふうに使うか例を見ていきましょう。
『ブレークインタイム』の実例と考察
―― OMさんトークにどう割り込む?
夜のドライブ中、無線機をONにしてバンドをスキャンしていると、ベテランOMさんたちの楽しげな交信が耳に入ることがあります。
OMさんA: 「……了解! ほな、あの時のDX交信の話やけどな……」
ここで、1~2秒の“沈黙”が。
そう、これが ブレークインタイム です。
ブレークインタイムをどう活用するか
この沈黙こそが、第三者が交信に割り込むための“窓”。
「今なら入れる!」と思えば、次のように割り込みが可能です。
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「ブレーク! こちらは〇〇(コールサイン)」
すると、OMさんたちはほぼ間違いなく反応してくれます。
OMさんB: 「おっ、ブレーク入りましたな! 〇〇さんどうぞ!」
この流れが成立するのは、沈黙の時間を意図的に残す文化 があるからです。
もしもOMさん同士がマシンガントークで沈黙ゼロなら、第三者は入る余地を失います。
デジタル簡易無線の場合
ブレークインの重要性は、実は デジタル簡易無線(DCR) ではさらに高まります。
その理由は「キャリアセンス機能」。
近くで強い電波を出している局がいると、自分の送信が自動でブロックされる仕組みがあるのです。
FMのアマチュア無線ではある程度かぶせ送信も可能ですが、DCRではそれが困難です。
だからこそ「相手が間を作ってくれること」が参加の絶対条件になるわけです。
あんまり間髪を入れずに「了解です!」「了解です!」ってフリラ局がお互いにやっていると、すぐ近いところにいる局が入り込めず、ちょっと悲しいです。
考察:ブレークインタイムが持つ意味
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マナー面:他局への配慮(「誰か入りたい人は?」の余地を残す)
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技術面:DCRなどではキャリアセンスにより間が必須
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心理面:初心者も「混ざっていいんだ」と安心して声を出せる
この3つの側面が絡み合って、ブレークインタイムは単なる沈黙以上の役割を果たしています。
まとめ
交信を聞いていて「お、この話題混ざりたい!」と思ったら――
沈黙を狙って 「ブレーク!」 を。
きっとOMさんたちも快く迎え入れてくれるはずです。
ただし、大事な話の最中に割って入るのはNG。
「空気を読む」のもまたハムのマナー。
ブレークインタイムを理解して活用すれば、無線ライフはぐっと広がります。