買ってはいけない広帯域受信機は? | シグナリーファン

買ってはいけない広帯域受信機は?

広帯域受信機
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【お知らせ】
シグナリーファン編集部では、無線受信や運用に関して総務省総合通信局の公開情報・公式資料・報道記事・学術文献を継続的に調査・分析しており、各種記事はそれらの調査結果に基づいて構成しています。

2025年現在、広帯域受信機(ワイドバンドレシーバー)は、アイコム、アルインコ、AORといった国内の無線機メーカーによって製造・販売されています。

かつてはユピテル、マルハマ、ファーストコムも受信機市場に参入していましたが、ファーストコム製品はすでに販売されておらず、ユピテルは受信機事業から撤退しています。また、マルハマは2010年に自己破産して以降、市場から姿を消しています。

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国内製品だけでは機能面で満足できないユーザーの中には、ユニデンが北米向けに展開する受信機のように、近くの無線局から発信された電波の周波数を瞬時に割り出す「クロースコール機能」を備えたモデルを活用するケースもあります。さらに、盗聴器で使用されやすい帯域に特化して探索できる機能を搭載した機種も存在します。

多くの広帯域受信機は、アマチュア無線(主に144MHz帯・430MHz帯)をはじめ、各種の業務無線、航空無線、鉄道無線、消防関連無線など、多様な電波を受信できます。

価格の違いは、受信感度、可聴帯域の広さ、対応する電波形式、スキャンやサーチの速度、搭載機能の量といった要素によって生じます。

一般的な受信機には、指定した範囲を連続的に走査し、信号を検知すると停止するサーチ機能のほか、登録済み周波数を順に受信するメモリースキャン機能が備わっています。

おすすめハンディ広帯域受信機の機種比較
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今回は、「買ってはいけない受信機」を考えてみます。

購入前には、目的とする無線がその機種で問題なく受信できるか、あらためて確認する必要があります。

例えば、アナログかデジタルか、HF・VHF・UHFのどの帯域を扱えるか、またAM・FM・SSBといった受信モードに対応しているかは、受信機を選ぶうえで最も基本的な確認事項です。

アナログAM方式の航空無線やアナログFM方式の業務無線、アマチュア無線を受信するだけであれば、アナログ専用のIC-R6でも十分に対応できます。

これに加えて、タクシー無線や報道機関が用いるデジタル方式の無線も受信したい場合には、アナログ・デジタル両対応のDJ-X100が選択肢になります。

さらに、洋上管制通信や短波帯で聞こえるSSB信号の受信を重視する場合には、2025年現在ではSSBラジオが実用的な選択肢といえます。

【超人気】XHDATA D-808でHF帯SSBを受信しよう
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これらは受信機選びの基本的なポイントであり、多くのユーザーにとって常識的な内容です。

しかし注意しなければならないのは、同じシリーズ名の機種であっても、世代や流通経路によって性能や対応範囲が異なる「買うと損する事実」が存在する点です。

意図せず、それらのモデルを選んでしまうと、必要な機能に対応していなかったり、特定の周波数帯が受信できない場合があります。

では、どのような受信機が「買ってはいけない」とされるのか、その理由と背景について詳しく解説します。

買ってはいけない受信機 その1 『歯抜け』

2025年現在、アイコムのIC-R6とアルインコのDJ-X100は広帯域受信機の中でも、ベストセラーの大人気機種で広く普及しているモデルです。

アイコム 広帯域ハンディレシーバー IC-R6 受信拡張スペシャルバージョン

しかし、両機種の標準版(ノーマル版)は受信できない周波数帯が残されており、いわゆる「歯抜け」です。

買うと泣く理由は以下の記事で詳しく挙げて解説しています。

受信改造ではないIC-R6は損する?
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このため、用途によっては標準版では十分に活用できないケースがあります。

IC-R6、DJ-X100ではこうした事情から、受信範囲を拡張した「受信改造済み」モデルを選ぶユーザーが少なくありません。

【無線用語集】受信改造と送信改造に関する用語
無線機の世界には、メーカー出荷時の仕様を超えて受信範囲を拡張したり、送信周波数を拡張する「改造」という分野があります。受信改造は航空自衛隊のUHF帯通信(GCI、GCA)などを聞く目的が多いでしょう。一方で送信改造は、規定外の周波数に出られ...

ノーマルではなく、帯域を拡張させた「受信改造済み」を当サイトがお勧めしている理由もこのためです。

DJ-X100の場合、流通している受信改造版では、さらにコマンド入力によって、タクシー無線(T61:TYPE1~4)や電力・ガス事業者が使用するdPMR方式の受信が可能となるほか、デジタル簡易無線、事件・事故情報が流れるマスコミ無線の秘話コード解析、消防無線のアナログ署活系で用いられる反転秘話の解読などにも対応します。

ただし、これらの追加機能を備えたモデルであっても、警察・消防のデジタル方式には対応していません。

「デジタル警察無線受信機」が発売されない理由
世界でも高く評価されている優れた技術力を持つ日本メーカー。しかし、なぜ「デジタル警察無線が聞ける受信機」を一切発売しないのでしょうか?今回は、そんな「警察無線が聞ける受信機の問題」について解説してみたいと思います。この記事の要点 一般に市販...

機能表を見ただけでは万能機のように感じられることがありますが、実際には受信できない分野も多いため、過度な期待は避けるべきです。

このように受信改造された、IC-R6およびDJ-X100は、ノーマル版と改造版の価格差が小さいことが多く、特別な理由がない限りノーマル版を選ぶメリットは少ないと言えます(ただし、DJ-X100の改造版は防水保証が無効になるケースがあるため、この点にも注意が必要です)。

買ってはいけない受信機 その2『古い中古の受信機』

フリマやオークションに大量に出回っている“20~30年以上前の受信機”は、よほどのフラッグシップ機を除き、現代機より性能面で明確に不利です。

マルハマの『鳴物入シリーズ』

1990年代の低価格帯モデルは、当時としては画期的でしたが、現在の受信環境で使うと受信感度の差が大きく、サーチ速度も遅めで、故障率も無視できません。

たとえば、90年代にヒットしたマルハマ「鳴物入シリーズ」はホームセンターで手軽に買える入門用受信機で扱いやすく、筆者もかつて複数台所有していました。

しかし、音声反転秘話のデコードや、旧アナログコードレス帯域の300MHz帯の受信が可能であることから、自衛隊のGCIができる一方、200MHz台が受信できないなど、当時の廉価機らしい制限が目立ちます(上位モデルは一部異なる)。

オークションで安価に入手できるとしても、現行機と比較した際の性能差は大きく、あえて選ぶ理由は少ないと感じられます。

2010年発売のIC-R6ですら、90年代機と比較すると明確に受信感度が優れており、技術の進化を素直に甘受したいところです。

買ってはいけない受信機 その3『スケルチが開いたときにポップ音が大きい受信機』

製造終了となったアルインコのDJ-X11とDJ-X8には、スケルチが開く瞬間に耳障りな「ポッ」というポップノイズが入る個体が存在します。

これは仕様によるもので改善が難しく、長時間モニターでは耳への負担が大きくなりやすい点です。

筆者がX11を手放した理由もまさにこのポップ音でした。X11はSSB対応や二波同時受信など魅力的な機能を備えていますが、このノイズだけはどうしても慣れませんでした。

下記のページでは、受信改造済みIC-R6と競合し得る各メーカーの受信機をまとめています。

おすすめハンディ広帯域受信機の機種比較
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受信機選びの総括(2025年版)

受信機を選ぶ際は、用途と受信対象の信号形式、周波数帯、モードに応じて慎重に判断することが重要というわけです。アナログ受信、デジタル受信、SSB受信の3つの用途に分け、最後におさらいしてみましょう。

アナログ受信向け

アナログ専用の受信機では、アイコムのIC-R6(受信改造済み)がベストな選択肢です。受信改造済みなら、ノーマル版で受信できない周波数帯域が解放され、主に航空自衛隊のGCIを狙いたい場合、効率よく聴取できます。

アナログ&デジタル受信向け

アナログだけでなくデジタル無線も受信したい場合には、アルインコのDJ-X100(受信改造済み)が適しています。

タクシー無線やマスコミ無線、dPMR方式などのデジタル無線に対応しており、現場での災害情報収集や技術研究としての無線受信にも活用できます。

DJ-X100があれば、必ずしもIC-R6を追加で購入する必要はありません。ただし、警察や消防のデジタル無線には対応していない点には注意が必要です。

SSB受信・HF帯受信向け

HF帯のSSB(単側波帯)受信や洋上管制通信、7MHz帯のアマチュア無線、米軍のHF-GCSなど、世界規模の通信を受信したい場合には、専用のSSB対応BCLラジオが格安かつ高性能で便利です。

これらのラジオは、HF帯をカバーし、SSB(USB/LSB)に対応するほか、一部ではUHFエアバンドも受信可能です。そのため、他の受信機を補完する“2波同時受信的”な使い方にも適しています。

総括

IC-R6(受信改造済み)、DJ-X100(受信改造済み)、SSB対応短波ラジオの3ラインナップを理解しておくことで、アナログ・デジタル双方の通信や特殊通信まで幅広く受信可能な環境を構築できます。

価格や型番だけで選ぶのではなく、自分の目的に合った機種を選ぶことが、長期的に満足度の高い受信環境を作るコツです。

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